トラック運送業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2025年最新版

トラック運送業界に関する最新のM&A動向をご紹介します。 近年の市場推移やトピックス、業界再編にまつわる情報、トラック運送業界の周辺業界を含めたM&A・事業承継の事例をわかりやすく解説しています。 また、日本M&Aセンターが取り扱う最新のM&A案件、当社仲介によりM&Aを実行された経営者様の事例、 各業界の動向やM&A(第三者承継)への理解を深めるセミナー情報などもご紹介します。
更新:
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M&A案件(売却・事業承継案件)
譲渡・売却を希望するトラック運送業界および隣接業界のM&A案件をご紹介します。非公開のM&A案件のご紹介や具体的な投資金額やエリアを絞って案件を探したい方は「M&A買収ニーズ」よりご登録をお願いします。
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トラック運送業界とM&A動向
トラック運送業界には、企業間の調達物流や販売物流を、トラックを用いて請負う事業や、主に一般消費者を対象として比較的小さい荷物を配送する事業、個人や法人の住居や拠点の引越し・移転に関するサービスを提供する事業などが含まれています。
トラック輸送は日本の輸送ニーズに非常に適しており、国内物流において重要な役割を担っています。市場規模は約19兆円にも達し、産業活動や国民生活に不可欠な存在です。しかしながら、ドライバーの労働時間規制が施行され、さらなる働き方改革や賃金の引き上げが求められています。政府も物流革新に向けた政策を進め、業界と協力してドライバーの労働環境の改善に取り組んでいます。
トラック運送業界は2024年に大きな転換点を迎えました。「2024年問題」として労働時間の制限やドライバー及び後継者不足が顕著になっています。2024年から年960時間の上限規制が導入されたことで、売上や利益の減少のリスクが高まり、長時間労働と低賃金が続く中でドライバー不足が深刻化しています。また、近年は価格競争の激化や安全装備の導入に伴うコスト増加も問題です。中小事業者の参入により競争が激化し、利益が圧迫されています。さらに、燃料価格の上昇も影響を与え、運送会社の利幅を減少させています。
このような状況下で、運送会社のM&Aが注目を集めています。M&Aを通じて同業他社を買収することで、コストを抑えつつ迅速にリソースを確保することが可能です。加えて、後継者不足による廃業を防ぐために、自社を売却することで取引先との関係を維持し、従業員の雇用を守ることができます。
これらの課題に対して、M&Aが積極的な解決策として期待されています。M&Aにより、人材や車両の確保がスムーズになり、売却側にとっても従業員の雇用維持や後継者問題の解決が図れます。また、買う側には新規参入リスクの低減や既存事業の拡大といったメリットがあり、業界全体の改革と成長に寄与する可能性があります。
トラック運送業界における
M&A活用のメリット
トラック運送業界におけるM&A活用のメリットをご紹介します。
- 譲渡側のメリット
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- 規模の拡大により、トラックの実働率、積載効率の向上が見込め、より安定的な経営計画が描ける
- 流通機能全般を一括して請け負う3PL等の特徴ある物流システムを構築することができる
- 後継者問題を解決できる
- オーナー社長は個人保証や担保提供から解放され、ハッピーリタイアができ、必要に応じて、役員等として継続してかかわることも可能
- 適切な会社に譲渡すれば、社員の雇用は保証され、成長機会も増える
- 譲受け側のメリット
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- 既存顧客への新商品の提供
- 売上規模・シェアの拡大
- 事業多角化・新規事業への参入
- 人的リソースを獲得できる
- バリューチェーンの補完・関連事業領域の拡大
- リスク分散ができる
- コストの削減・財務力強化(管理部門コスト、物流コスト等)
- 規模の拡大により、トラックの実働率、積載効率の向上が見込める
- エリアの拡大、顧客の多様化を時間をかけずに実現できる
トラック運送業界で
M&Aを実行する際のポイント
トラック運送業界でM&Aを実行する際に注意すべきポイントには、下記のようなものがあります。
- トラック・車両等の整備状況
- 過去の事故履歴や安全対策
- 取引先等との関係性
- 人的リソース管理
- 財務問題
- 労務問題
- コンプライアンス
- ガバナンス・管理体制
ここでは一般的なポイントをご紹介させていただいておりますが、実際には、個別事情を勘案すると大きく変わります。また、業界によっては独自の規制や商習慣が存在するため、M&Aの仲介を行ううえで、それぞれの業種・業界の特性を正しく理解していることが非常に大切です。
全国に拠点を展開する日本M&Aセンターでは、各業界に精通したコンサルタントが所属しているため、専門性の高いサービスを提供させていただくことが可能です。秘密保持を厳守のうえ、個別相談を無料でお受けしています。M&Aの進め方やポイントなど、気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
トラック運送業界における
M&Aの価格相場
トラック運送業界のM&Aにおける価格や相場感について説明いたします。まず、中小企業のM&Aには明確な相場が存在せず、最終的な価格は売り手と買い手の交渉によって決まることが特徴です。M&Aの価格は、業種や企業の規模、人材の質、財務状況、ブランド力、将来性、市場環境など、多岐にわたる要素によって変動します。そのため、個別の状況を考慮しながら価格が算出されることになります。
M&Aの価格算定にはいくつかの評価方法がありますが、その中の一つに「取引事例法」があります。取引事例法は、過去のM&A事例の中から、事業内容や地域、財務指標が似ている企業の売買実績を基に価値を評価する方法です。取引事例法において重要なのは、類似の取引事例を参考にすることですが、類似条件を見つけるためには、相当数の事例を蓄積する必要があります。非上場企業のM&Aの多くが非公開情報であることから、他社の実績を参考にすることはハードルが高い方法でもあります。その点、日本M&Aセンターでは、M&Aにおいて成約実績10,000件超、M&A成約件数のギネス世界記録™に4年連続で認定※されるなど、豊富な実績があります。事業内容や地域、財務指標に基づく似た会社の売買事例を選定し、一定のルールに従って公正な価値評価を行うことが可能です。こちらから当社の株価算定シミュレーションを体験することができます。
※ギネス世界記録™:M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の最多取扱い企業(2020年~2023年)
次に、より高い評価を得て会社を高く譲渡売却するためには、よりシナジーのある買い手を見つけることが重要です。M&Aの最終価格は、売り手企業と買い手企業の交渉によって決まるため、買い手が「この会社が欲しい」と思う要素を増やしていく必要があります。例えば、現在、トラック運送業界の市場では人材不足が全体的な問題となっており、若くて優秀な人材を採用できる利点がある場合、買い手企業にとってM&Aの魅力が増します。
さらに、コンプライアンスやガバナンスに関する問題も重要な要素です。具体的には、顧客とのトラブルが存在しないか、社会保険への適切な加入状況が確認されることが求められます。これらの問題があると、潜在的な費用や負債として見なされ、価格交渉において不利な要因となり得ます。これらの要素が事前にクリアである場合、買い手企業も安心してM&Aを進めることができ、価格交渉もスムーズに進行しやすくなる傾向があります。
最後に、M&Aを成功させるためには、総合的に企業の魅力を高める努力が欠かせません。これは、価格評価への影響だけでなく、交渉の流れにも深く関わる要素であるといえるでしょう。
なお、実際には個別の業種や取引環境等によって価格相場は変動しますし、場所や経営状態によっても大きく左右されます。初期的なご相談や、簡易的な株価診断は無料にておこなっておりますので、よりくわしく評価や課題について聞きたい方は、弊社コンサルタントから詳細をご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。

株式会社日本M&Aセンター
業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。
トラック運送業界の
最新M&A事例を解説
2024年問題を機に物流業界全体で再編が進み、M&A件数も増加傾向にあります。とくに、上場企業が買い手となる買収、資本参加が増加しました。トラック運送業界では、2024年問題や業界再編、DX化など、様々な要因がM&Aを加速させています。上場企業による買収が増加し、中小企業は同業他社とのM&Aや、大手企業の傘下に入ることで、業界の変化に対応しようとしています。
運送業・倉庫業×運送業
トナミ運輸、イディアトランスポートサービスの事業譲受
- 譲渡企業
- 株式会社イディアコーポレーション(神奈川県横浜市)、株式会社イディアトランスポートサービス(栃木県宇都宮市)
- 譲受け企業
- トナミ運輸株式会社(富山県高岡市)
M&Aの概要
スキーム:事業譲渡 実行時期:2025年5月1日
2025年5月1日、トナミ運輸株式会社は、株式会社イディアトランスポートサービスの宇都宮事業所の事業を譲受する事業譲渡契約を締結しました。また、併せてイディアトランスポートサービスの親会社である株式会社イディアコーポレーションより、該当の不動産を取得しました。
トナミ運輸は、トナミホールディングスグループの中核事業会社。貨物自動車運送事業、貨物利用運送事業、倉庫業、コンピュータによる情報処理、ソフトウェアの開発・販売等を行っています。
イディアトランスポートサービスは、一般貨物自動車運送事業、倉庫業、構内作業請負業を行っています。
事業譲受の内容は下記のとおりです。
・イディアトランスポートサービスは、宇都宮事業所と高崎事業所の2か所に営業所を有していますが、今回の事業譲受の対象は、「宇都宮事業所」に係る事業のみとなります。
・宇都宮事業所の土地および建物の一部は、イディアトランスポートサービスの親会社であるイディアコーポレーションが所有しています。今回の事業譲受に伴い、イディアコーポレーションからの不動産取得も同時に行います。
トナミ運輸は、本事業を譲り受けることを通じて、栃木県内における配送業務の効率化や新たな販路拡大、配送サービスの効率化、ドライバーをはじめとする人材の確保を図ります。
運送業×物流・金融
日本郵便、物流大手のトナミHDへのTOBが成立
- 譲渡企業
- トナミホールディングス株式会社(9070)
- 譲受け企業
- 日本郵便株式会社(東京都千代田区)、JWT株式会社(東京都千代田区)
M&Aの概要
スキーム:TOB 実行時期:2025年4月10日
日本郵便株式会社の子会社であるJWT株式会社を通じて実施された、トナミホールディングス株式会社(以下:トナミHD)の公開買付け(TOB)が、2025年4月10日をもって終了しました。応募株券等の総数(7,916,930株)が買付予定数の下限(6,036,500株)以上となったため、成立しています。
本公開買付けの結果、2025年4月10日(本公開買付けの決済の開始日)付で、トナミHDは、JWTの連結子会社、日本郵便の孫会社となりました。今後、トナミHDは上場廃止となる見通しです。
日本郵便は、郵便業務、銀行窓口業務、保険窓口業務、印紙の販売、地方公共団体からの受託業務、前記以外の銀行業、生命保険業および損害保険業の代理業務、国内・国際物流業、ロジスティクス事業、不動産業、物販業等を行っています。
トナミHDは、貨物自動車運送事業等を営む会社の事業活動の支配・管理を行っています。
物流業界を取り巻くさまざまな環境変化がある中、日本郵便とトナミHDにおいて意見交換などを継続的に実施した結果、双方にとって最適なパートナーであるという認識に至りました。そのため、トナミHDのマネジメント・バイアウト(MBO)を企図し、創業家代表・経営陣・日本郵便の共同コンソーシアムによる公開買付けを実施することとなりました。
本件M&Aにより、トナミHDと日本郵便との協業による更なる付加価値の創出を目指します。
運送業×物流
丸運、機工事業の中村運輸機工を買収
- 譲渡企業
- 有限会社中村運輸機工(東京都大田区)
- 譲受け企業
- 株式会社丸運(9067)
M&Aの概要
スキーム:株式譲渡 実行時期:2025年4月1日
株式会社丸運は、有限会社中村運輸機工の全株式を取得する株式譲渡契約を締結し、2025年3月31日付で同社を完全子会社化しました。
丸運は、一般貨物輸送、エネルギー輸送、国際物流など、幅広い物流サービスを提供する総合物流会社です。
中村運輸機工は、1976年設立で、重量物運搬や据付撤去工事などに強みを持っています、一般貨物自動車運送事業、重量品運搬および据付撤去工事、クレーンのおよび荷役機械の賃貸業等を行い、機工事業に永年の経験と優れた技能を保有しています。
丸運は、2022年に公表した長期ビジョンにおいて、今後成長が見込める分野として「機工事業」を掲げ、積極的な投資を実行していくことを表明しています。
本件M&Aにより、優秀な人材や車両を確保することで、機工事業の拡充を図ります。
物流(3PL)×運送業
ヤマトHD、コントラクト・ロジスティクス事業のナカノ商会を子会社化
- 譲渡企業
- 株式会社ナカノ商会(東京都江戸川区)
- 譲受け企業
- ヤマトホールディングス株式会社(9064)
M&Aの概要
スキーム:株式譲渡 実行時期:2024年12月1日
ヤマトホールディングス株式会社(以下:ヤマトHD)は、2024年12月1日に、株式会社ナカノ商会の株式を取得し、連結子会社化しました。
ヤマトHDは、「宅急便」など各種輸送に関わる事業を行っています。
ナカノ商会は、3PL(サードパーティー・ロジスティクス)に強みがあり、多くの企業に物流アウトソーシングを提供する総合物流企業です。
ヤマトグループは、基盤領域であるエクスプレス事業の利益成長に向けた収益拡大、および、宅急便ネットワークの強靭化、成長領域であるコントラクト・ロジスティクス事業、グローバル事業の拡大による事業ポートフォリオの変革に取り組んでいます。
一方、ナカノ商会は、保管・庫内作業・輸送サービスに加え、顧客仕様に再構築した物流施設のサブリースなど、顧客ニーズに合わせた複数の機能を一貫して提供することで、小売事業者や、食品等のメーカー・サプライヤー、EC事業者の上流の物流領域を中心に、法人顧客を有しています。
法人顧客を持つナカノ商会がグループに加わることで、①コントラクト・ロジスティクス事業の拡大、②エクスプレス事業とのシナジー創出、③両社のリソースを共同利用するなどコストシナジー創出などを通じて、法人ビジネス領域を拡大することが期待されています。
トラック運送業界の
M&Aニュース
トラック運送業界のM&Aニュースを表示します。
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2025.7.1
センコーグループHD、首都圏の警備会社の東宝総合警備保障を買収
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2025.6.30
SBSホールディングス、ブリヂストン物流の株式66.6%を取得し子会社化
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2025.6.13
ヒガシHD、ITサービス事業のピアレスを買収
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2025.5.1
トナミ運輸、イディアトランスポートサービスの宇都宮事業所事業を買収
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2025.4.18
センコーグループHD、インドの物流会社PDS社を買収
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2025.4.11
日本郵便、物流大手のトナミHDへのTOBが成立
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2025.4.7
福山通運、タイのRenown Transportを買収
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2025.4.1
丸運、機工事業の中村運輸機工を買収
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2025.3.19
ニッコンHD、中央紙器工業へのTOBが成立
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2025.3.14
SBSホールディングス、インドネシアの物流会社TJPの株式77%取得
トラック運送業界の
M&A仲介実績
日本M&Aセンターが仲介・支援して成約したトラック運送業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2025年3月までの実績を掲載しています。次回の更新(2025年4月~6月分)は2025年7月30日以降の予定です。
譲渡・売却企業 | 譲受け・買収企業 | |
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2025年3月 | その他運送・海運関連サービス(関東) | トラック運送(関東) |
2025年3月 | トラック運送(関東) | トラック運送(東海・北陸) |
2025年3月 | トラック建機等の販売・改造・修理(関東) | 運送関連サービス(関東) |
2025年3月 | 採石・砂利採掘・砕石・鉱業(北海道・東北) | トラック運送(北海道・東北) |
2025年3月 | 野菜加工・卸売(北海道・東北) | トラック運送(北海道・東北) |
2025年1月 | 倉庫(関東) | トラック運送(関東) |
2024年12月 | トラック運送(北海道・東北) | トラック運送(北海道・東北) |
2024年12月 | トラック運送(関東) | トラック運送(関東) |
2024年12月 | トラック運送(東海・北陸) | トラック運送(関西) |
2024年12月 | トラック運送(海外) | トラック運送(北海道・東北) |
トラック運送業界の
最新のM&A事例インタビュー
当社の仲介によりM&A・事業承継されたトラック運送業界の事例を、経営者様へのインタビュー形式でご紹介します。
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深刻なドライバー不足と高齢化で事業継続が困難に。採用力のある会社にグループインしてわずか半年で採用に成功
譲渡:北海道深川市 貨物自動車運送業、クレーンリース業
譲受け:北海道札幌市 運送事業、普通倉庫業宮本運輸は、長らく人材不足の課題を抱えていました。事態が深刻化し、採用力のある会社への譲渡を行って半年、採用を含め現状について話を伺いました。
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マレーシア現地企業2社に出資。 自社の戦略に合致する企業と手を組み 国境を越えて配送網を構築
譲渡:東京都千代田区 倉庫・運輸関連業
譲受け:マレーシア 低温輸送・冷凍冷蔵倉庫/倉庫賃貸・運送車両賃貸及び修繕多彩な低温物流サービスを行うニチレイロジグループ。マレーシアで低温物流事業を手掛ける会社に出資を行った同社に海外戦略をお聞きしました。
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企業の一員になったことで物流業界に明るい未来が描けるようになりました
譲渡:埼玉県戸田市 特定貨物自動車運送業
譲受け:運送事業を手掛けるアジェクト。近年、管理体制に課題を抱え、自社の体質改善や企業価値向上を目的に、3PLの企業と提携を結びました。
トラック運送業界の
セミナー情報
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