通信業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2025年最新版

通信業界に関する最新のM&A動向をご紹介します。 近年の市場推移やトピックス、業界再編にまつわる情報、通信業界の周辺業界を含めたM&A・事業承継の事例をわかりやすく解説しています。 また、日本M&Aセンターが取り扱う最新のM&A案件、当社仲介によりM&Aを実行された経営者様の事例、 各業界の動向やM&A(第三者承継)への理解を深めるセミナー情報などもご紹介します。
更新:
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M&A案件(売却・事業承継案件)
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⽬次
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通信業界の
概要とM&Aの動向
通信業界は、電波や通信に関するサービスを提供する重要な分野で、固定通信、移動体通信、インターネット接続サービス(ISP)などが含まれます。
固定通信業界の売上高は約4兆円で、NTTグループがインフラの過半を担っています。固定電話契約は減少傾向ですが、データ伝送需要の増加により売上は回復しています。
一方、移動通信業界の売上高は約10兆円で、MNO(移動体通信事業者)とMVNO(仮想移動体通信事業者)に分かれています。主要なMNOにはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルがあり、各社は5Gインフラの構築や低価格プランの提供に注力しています。移動通信の売上は「ユーザー数×ARPU(平均収入)」で構成され、契約数は増加していますが、ARPUは低料金プランの影響で減少しています。
通信業界のビジネスモデルは、BtoC、BtoB、BtoBtoXに分かれ、各社は収益力向上を図るため、自社の経済圏を拡大しています。特に、NTTドコモは「dポイント」、KDDIはライフスタイルサービス、ソフトバンクは「PayPay」などを活用し、多様なサービスを展開しています。
近年、IT技術の進化により、5GやIoTの導入が進み、通信業界は急速に成長しています。この流れの中で、M&A(合併・買収)による企業の統合や提携が活発化しており、競争力の強化や市場シェアの拡大が期待されています。特に異業種との連携や新しいビジネスモデルの構築が進む中で、M&Aは企業戦略の重要な要素となっています。経営者にとって、これらの動向を注視することは、今後のビジネス展開において非常に重要です。
通信業界、
注目のM&A事例
2023年以降、M&A市場が活況を呈する中、通信業界のM&Aで注目されたのはNTTドコモ、マネックスグループ、マネックス証券の3社による資本業務提携です。この提携は、通信キャリア最大手であるNTTドコモとネット証券の連携を示しています。ネット証券は若年層を中心に口座数が年々増加しており、特に2024年から始まる新NISA制度の影響で注目度が高まっています。
新NISAでは個人が保有できる口座は1つのみのため、証券会社間の選択が重要となり、激しい競争が繰り広げられています。このため、各証券会社は他社に選ばれるための戦略を立てる必要があります。特にSBI証券や楽天証券が手数料をゼロにしたことから、証券口座の獲得競争が一層激化しています。
マネックス証券は、これまでの競合の戦略とは異なるアプローチを模索していると見られます。NTTドコモの顧客データの豊富さに注目し、提携を通じた新たなビジネスモデルを構築することが期待されています。この提携は、ドコモとマネックス双方の戦略が合致した結果とも言えます。
また、通信キャリア大手の契約件数の現状を見てみると、NTTドコモが約8,800万契約を誇り、KDDIやソフトバンクが続きます。これに対し、ネット証券の口座数はSBI証券でも約1,100万口座と、顧客基盤には大きな差があることが分かります。この実情を踏まえると、M&Aによる事業拡大の方が、内部で事業を立ち上げるよりも効率的な選択とされることが多いでしょう。業務提携が実際に開始した後の、両社のシナジー展開に注目が集まります。
通信業界における
M&A活用のメリット
通信業界におけるM&A活用のメリットをご紹介します。
- 譲渡側のメリット
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- 後継者問題を解決できる
- オーナー社長は個人保証や担保提供から解放され、ハッピーリタイアができる
- 個人保証や担保提供から解放されたうえで役員等として継続してかかわることも可能
- 優秀な技術者の獲得
- 新しい技術の習得
- 事業意欲旺盛な会社との協業により、相互に発展することが可能
- 適切な会社に譲渡すれば、社員の雇用は保証され、成長機会も増える
- 譲受け側のメリット
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- 売上規模・シェアの拡大が見込める
- 事業多角化・新規事業への参入
- 人材の獲得・技術力の向上
- シナジーの創出
- バリューチェーンの補完・関連事業領域の拡大
- リスク分散ができる
- コストの削減・財務力強化(管理部門コストなど)
通信業界で
M&Aを実行する際のポイント
通信業界でM&Aを実行する際に注意すべきポイントには、下記のようなものがあります。
- 優秀な人材の継続雇用
- 労務問題
- 財務問題
- コンプライアンス
- ガバナンス・管理体制
ここでは一般的なポイントをご紹介させていただいておりますが、実際には、個別事情を勘案すると大きく変わります。また、業界によっては独自の規制や商習慣が存在するため、M&Aの仲介を行ううえで、それぞれの業種・業界の特性を正しく理解していることが非常に大切です。日本M&Aセンターでは各業界に精通したコンサルタントが所属しているため、専門性の高いサービスを提供させていただくことが可能です。
当社では秘密保持を厳守のうえ、個別相談を無料でお受けしています。当社は全国に拠点を展開しております。気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
通信における
M&Aの価格相場
本業界のM&Aの価格・相場感の考え方についてお話します。M&Aには様々な評価方法があります。その一例として「取引事例法」をご紹介します。
取引事例法は、過去のM&A事例から、事業内容・地域・財務指標などが似ている企業の売買事例を選定し、その売買実績に基づいて価値算定を行う方法です。取引事例法において重要なのは、類似の取引事例を参考にすることです。しかし、「他社のM&A実績から価格を参考に知りたい」と思っても、非上場企業のM&Aでは、情報が非公開のため、ほとんど参照することはできません。
類似する条件を見つけるために非常に多くの事例の蓄積が必要になります。日本M&Aセンターでは、M&Aにおいて成約実績10,000件超、M&A成約件数のギネス世界記録™に4年連続で認定※されるなど、豊富な実績があります。事業内容・地域・財務指標などから似た会社の売買事例を選定し、一定のルールで公正な価値評価を算出することができます。
こちらから当社の株価算定シミュレーションを体験することができます。
※ギネス世界記録™:M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の最多取扱い企業(2020年~2023年)
では、より高い評価を得て、より高く会社を譲渡売却するためにはどうしたらよいでしょうか。また、魅力的な買い手企業を見つけるにはどうしたらよいでしょうか。M&Aの価格は最終的には売り手企業と買い手企業との交渉になるので、買い手企業にとって「この会社が欲しい」と思われる要素を増やしていくことが必要です。
例えば、どの業界でも、全体的に人材不足となっています。買い手企業からすれば、より若くて優秀な人材が確保できるようであれば、M&Aによって買収するメリットが大きくなります。
さらに、コンプライアンスやガバナンスの問題もあげられます。これはどちらかというと、交渉でマイナス要素を作らないという視点です。具体的には、顧客との間でのトラブルがないか、社会保険にしっかり加入しているか、などです。これらがあると潜在的な費用や負債として見られ、価格交渉上不利になりえます。事前にこれらの要素がクリアされていますと、買い手企業としても安心してM&Aを実行することができますし、価格交渉でのマイナスポイントが少なくスムーズに進めやすくなる傾向にあります。
なお、実際には個別の業種や取引環境等によって価格相場は変動しますし、場所や経営状態によっても大きく左右されます。初期的なご相談や、簡易的な株価診断は無料にておこなっておりますので、よりくわしく評価や課題について聞きたい方は、お問い合わせいただければ、弊社コンサルタントからご説明いたします。

株式会社日本M&Aセンター
業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。
通信業界の
最新M&A事例を解説
通信業界×小売業界
三菱商事・KDDI・ローソン、資本業務提携契約を締結 KDDIがローソンを買収
スキーム:資本業務提携・TOB 実行時期:2024年9月頃
M&Aの概要
三菱商事株式会社(8058)、KDDI株式会社(9433)、株式会社ローソン(2651)の3社は、2024年2月6日、「リアル×デジタル×グリーン」を融合させた新たな生活者価値創出に向けた資本業務提携契約を締結しました。
また、三菱商事とKDDIは、公開買付け等によるローソンの非公開化に関する取引に合意し、KDDIはローソンに対する公開買付け(TOB)を実施。TOBが成立したため、ローソンの株主を三菱商事及びKDDIのみとするための一連の手続(スクイーズアウト手続)を実施し、2024年7月24日付けでローソンは上場廃止となりました。
本件成立後、三菱商事とKDDIは、ローソンの議決権を50%ずつ保有し、両社は共同経営パートナーとして、ローソンの企業価値向上に向け、3社で取り組んでいく計画です。
本資本提携の狙い
コンビニエンスストア業界は食品や日用品を安定的に供給できる社会インフラとして欠かせない存在となっており、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機にお客さまの生活スタイルや消費行動、価値観が多様化する中においても、ローソンはニューノーマルへの対応として、店内厨房や冷凍食品、デリバリーの強化等、変化対応に取り組んできました。
一方で、今後も加速する事業環境の変化に対応していくべく、通信関連事業を基盤とした顧客接点と、デジタルを強みに様々なサービスを有するKDDIとの連携を更に強化していくことを狙いとして、本提携の合意に至りました。
KDDIでは、携帯電話事業を中核に、銀行や保険、旅行、デリバリーといった幅広い領域に進出しています。さらに、auスマートパスプレミアムという会員数1,300万人以上を誇る、日本最大級のサブスクリプションサービスを展開しています。
ローソンは、「ローソン」をはじめ「ローソンストア100」や「ナチュラルローソン」等、特色あるコンビニエンスストアを全国約14,600店舗で展開する他、スーパーマーケット業態の成城石井事業やチケット販売や映画館運営、旅行業等を行う「ローソンエンタテインメント」、店舗ATMを中心に金融事業を行う「ローソン銀行」などを通じて、幅広い顧客接点を有しています。
これらの特徴の異なる、国内有数の経済圏を持つ企業同士が互いの顧客基盤やサービスを連携することで、ローソン・KDDIの店舗の相互活用による店舗網の拡大、ローソン店舗における通信、金融、ヘルスケアなどの提供サービスの拡充、ポイント経済圏の拡大など、リアル・デジタル融合型サービスの開発に加え、ローソンが掲げる脱炭素社会実現に向けた長期目標達成のための環境負荷低減施策の推進などに取り組みます。
証券業界×通信業界
NTTドコモ、マネックスグループ及びマネックス証券と資本業務提携契約を締結
スキーム:資本業務提携 実行時期:2024年1月4日
業務提携の概要
2023年10月4日、株式会社NTTドコモ(東京都千代田区)は、マネックスグループ株式会社(8698)とその子会社であるマネックス証券株式会社(東京都港区)との間で、資本業務提携契約を締結しました。この資本業務提携契約に基づく一連の資本提携に関する手続きが、2024年1月4日に完了し、NTTドコモ、マネックスグループおよびマネックス証券は業務提携を開始しました。この協業の第一弾として、NTTドコモやマネックス証券のオウンドメディアやドコモショップ店舗にて、資産形成に資するコンテンツの提供をすることとなります。
NTTドコモは、携帯電話をはじめとする日本最大手の移動体通信事業者です。通信事業のほか、動画配信・ショッピング・電子書籍等の事業を展開しています。
マネックスグループは、オンライン証券の大手。金融商品取引業等を営むグループ会社の株式保有等を行う持株会社です。
マネックス証券は、マネックスグループ100%出資のオンライン証券会社。マネックスグループの主力事業を担っています。
本資本業務提携契約の締結によりNTTドコモは、マネックス証券が株式移転にて設立する中間持株会社の株式譲渡および第三者割当増資にて、中間株式会社の株式および議決権割合の約49%を保有することになりました。また、マネックスグループおよびマネックス証券と提携することで、投資分野に本格参入します。
通信業界の
M&Aニュース
通信業界のM&Aニュースを表示します。
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2025.6.20
NTT、NTT データグループへのTOBが成立 完全子会社化へ
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2025.6.16
NTTドコモ、デジタルマーケティング事業のCARTA HOLDINGSに対しTOB実施へ
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2025.6.3
ソフトバンク傘下のSBペイメントサービス、アイルランドのNomupayと資本業務提携
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2025.5.29
NTT、SBIホールディングスと資本業務提携
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2025.5.29
NTTドコモ、住信SBIネット銀行へのTOB実施へ
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2025.5.8
NTT、NTT データグループの完全子会社化に向けTOB実施
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2025.4.18
ソフトバンク、金融アプリケーションサービス展開のアイ・ティ・リアライズを買収
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2025.4.18
U-NEXT HOLDINGS傘下のU-POWER、電力小売事業のくこくエネルギーを買収へ
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2025.3.20
ソフトバンクG、米の半導体設計会社Ampereを約9,730億円で買収へ
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2025.2.10
PayPay、ソフトバンクおよびLINEヤフーからPayPay証券の株式を買収、子会社化へ
通信業界の
M&A仲介実績
日本M&Aセンターが仲介・支援して成約した通信業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2025年3月までの実績を掲載しています。次回の更新(2025年4月~6月分)は2025年7月30日以降の予定です。
譲渡・売却企業 | 譲受け・買収企業 | |
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2025年3月 | 官公庁向け受託開発(北海道・東北) | その他IT関連(関東) |
2025年1月 | 業務用ソフトウェア受託開発(関東) | その他IT関連(関東) |
2024年11月 | 受託開発ソフトウェア(海外) | その他IT関連(関東) |
2024年9月 | その他IT関連(海外) | 自社ソフトウェア開発(北海道・東北) |
2024年9月 | 自社ソフトウェア開発(北海道・東北) | その他IT関連(関東) |
2024年9月 | EC販売(北海道・東北) | その他IT関連(関東) |
2024年8月 | 受託開発ソフトウェア(甲信越) | その他IT関連(甲信越) |
2024年8月 | その他IT関連(中国・四国) | ファンド(関東) |
2024年3月 | その他IT関連(九州・沖縄) | 受託開発ソフトウェア(九州・沖縄) |
2024年3月 | その他IT関連(関東) | 受託開発ソフトウェア(関東) |
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