葬祭業業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2025年最新版

葬祭業業界のM&A

葬祭業業界に関する最新のM&A動向をご紹介します。 近年の市場推移やトピックス、業界再編にまつわる情報、葬祭業業界の周辺業界を含めたM&A・事業承継の事例をわかりやすく解説しています。 また、日本M&Aセンターが取り扱う最新のM&A案件、当社仲介によりM&Aを実行された経営者様の事例、 各業界の動向やM&A(第三者承継)への理解を深めるセミナー情報などもご紹介します。

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葬祭業業界の概要とM&A動向

葬祭業界とは、亡くなった方を送り出す「葬儀・告別式」や「火葬」、さらには「法要」「仏壇・墓石販売」など、死後の儀式や関連サービスを提供する業界です。
主なプレイヤーは、地元密着型の中小葬儀社(家族経営や地域の老舗企業など)、大手チェーン(例:燦ホールディングス(公益社)、ティア、くらしの友 など)、異業種からの参入企業などがあります。

少子高齢化による需要の増加と多様化

日本の高齢化は年々進行しており、死亡者数も増加傾向にあります。一方で、「家族葬」や「直葬(火葬のみ)」など、簡素で低価格な葬儀を選ぶ人も増え、単価は下落傾向にあります。
高齢化が進むにつれて、人生の終末期をどのように過ごすか、また残された家族への負担を減らすためにどう準備するかを考える「終活」という言葉が広まり、関心を持つ人が増えています。終活とは、人生の終わりに向けて、残された家族に負担をかけないように、身の回りの整理や財産、葬儀、お墓、介護、医療などについて事前に準備や意思表示をしておく活動のことです。終活は、単に死後の準備をするだけでなく、残りの人生をより良く生きるための活動でもあります。終活が広まったことにより、それに関連するサービスも増えています。例えば、エンディングノートや、生前に自らの遺産整理を進めたり、葬儀や墓地の準備を進めたり、葬儀社との生前契約(葬儀プランの決定、遺影写真の準備など)があります。
また、オンラインでの葬儀相談や、リモート参列、ライブ配信などが登場し、コロナ禍を機に葬祭業にもオンライン化とDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速しました。集客においても、Googleマップや口コミサイト、ポータルサイト経由の問い合わせが増加しています。

葬祭業業界の最新のM&A動向

葬祭業業界では、業界再編が加速しています。本業界には高齢の経営者が多く、後継者不足を背景に中小葬儀社のM&Aが進んでいます。とくに、都市部や人口減少地域での競争激化を受け、大手を中心にスケールメリットを求めて、成長戦略にM&Aを取り入れる動きが顕著です。
近年の主なM&A事例では、エリア外への進出のため該当エリアの中堅葬儀社を買収した事例、営業基盤を強化するために地元の葬儀社を買収した事例、若年層ニーズを取り込むためベンチャー企業を買収した事例などがあります。
葬祭業界は高齢化により安定したニーズがありますが、顧客ニーズは「低価格・簡素・個別化」に移りつつあります。デジタル対応終活対応といった新サービスの展開が求められており、そうした変化に適応できる企業のM&Aが活発化しています。今後も地域の老舗葬儀社と大手・新興プレイヤーとのM&Aが増える見込みです。

葬祭業業界をとりまく環境

市場・販売/生産・取引動向

日本の葬祭業業界は、人口減少国家の中にあっても死亡数の増加と葬儀スタイルの多様化に支えられ、長期的には「件数増・単価下落・構造変化」という特徴的なトレンドをたどっている状況です。厚生労働省「人口動態統計」によると、死亡数は2010年の約119万4,000人から2013年には推計約127万5,000人、2023年には157万6,016人へと増加しており、約10年間で30万人以上増えたことになります。

矢野経済研究所「葬祭ビジネス市場に関する調査(2023年)」によれば、葬祭ビジネス市場規模(事業者売上高ベース)は、2020年に新型コロナウイルス感染症拡大の影響で前年比約2割減と大きく落ち込んだ後、2021年・2022年は回復局面にあります。2022年の市場規模は1兆6,447億円で前年比106.6%とされており、死亡数の増加に支えられた需要回復と、行動制限緩和に伴う葬儀規模の一部正常化が背景にあるとされています。

同調査や業界分析レポートを総合すると、2023年の葬祭市場規模は約1兆7,000億円台前半(約1兆7,273億円程度)と推計されており、2019年(パンデミック前)比では件数増加により市場規模は拡大しつつも、単価下落の影響で伸び率は緩やかにとどまっているとされています。

互助会保証株式会社が経済産業省「特定サービス産業動態統計調査 葬儀業」のデータを基に整理した「葬儀業の売上高等の推移(2000年を100とした場合の推移)」では、2000年を100とした場合、最新データ時点で売上高指数が約225.8、取扱件数指数が約276.0、事業所数指数が約527.5、葬祭単価指数(売上高/取扱件数)は約81.8とされています。これは、約20年強の間に「事業者数と件数は大幅に増えた一方で、1件あたり単価は2割程度低下した」ことを示しており、小規模葬・簡素葬の普及が単価を押し下げていると考えられます。

また、e-Statに掲載されている「費用規模別年間葬儀取扱件数」では、冠婚葬祭業を対象に、50万円未満〜500万円以上までの費用帯別に件数が集計されており、全国計でも「50万円未満」「50万〜100万円未満」の低価格帯の件数が厚みを増していることが確認できます。これらのデータは、価格志向の高まりと、葬儀プランのパッケージ化・定額化が進んできたことを裏付けるものといえます。

葬儀形態別の構成比の変化も重要です。2025年公表の調査では、全国レベルでの葬儀形式の構成比として、家族葬が50.0%、一般葬が30.1%、一日葬が10.2%、直葬・火葬式が9.6%とされており、家族葬が「スタンダード」な形式となり、一日葬や直葬・火葬式といった簡素型葬儀が一定のシェアを占めていることが示されています。

こうした市場構造の変化は、売上高のボリュームゾーンが「高単価の一般葬」から「中〜低単価の家族葬・一日葬・直葬」にシフトしていることを意味します。一方で、事前相談や会員制度、生前契約、オンライン相談、終活セミナーといった周辺サービスをパッケージ化することで、LTV(顧客生涯価値)を高めるビジネスモデルが広がりつつあり、単価下落を補う動きも見られます。

M&A観点
市場全体は件数増加と単価下落が同時進行しており、1件あたりの粗利確保が難しくなる一方で、会館ネットワークの拡大や互助会・保険・墓石・仏壇・遺品整理等の周辺サービスとのクロスセルによって、スケールメリットと収益多角化を図る余地が大きい環境です。M&Aにより広域展開やサービスライン強化を図ることで、①需要変動リスクの平準化、②仕入・人材・広告のスケールメリット獲得、③顧客IDを軸にした終活〜葬儀後サービスまでのLTV最大化が期待できると考えられます。

事業者・設備・拠点動向

総務省・経済産業省による「令和3年経済センサス‐活動調査(サービス関連産業B)」では、冠婚葬祭業全体の結婚式・披露宴の年間取扱件数が約10万6,095件、葬儀の年間取扱件数が約145万8,252件と集計されています。そのうち葬儀の年間取扱件数ベースでは、「葬儀業」が約133万2,485件と大半を占め、「冠婚葬祭互助会」が約12万4,740件、「結婚式場業」が約1,027件という構成になっています。また、冠婚葬祭業全体の1事業所あたり葬儀年間取扱件数は153.3件と報告されています。

この結果は、葬儀需要の大部分を専門葬儀社と互助会系事業者が担っていること、1拠点あたり年間100〜200件程度の施行件数をこなすビジネスモデルが標準的になっていることを示唆します。大都市圏では、家族葬専用の小規模会館を高密度に配置するドミナント出店モデルが広がっており、1会館あたり床面積はコンパクトでも稼働件数を高めることで収益性を確保するケースが増えています。

設備面では、厚生労働省「衛生行政報告例 第5表 墓地・火葬場・納骨堂数」によると、全国の「恒常的に使用している火葬場」は2020年度末で約3,040施設、2021年度末で約2,980施設と、概ね3,000施設前後で推移しています。いずれも自治体や一部広域連合が設置・運営するケースが多く、民間が直接火葬炉を保有するモデルは限定的です。

こうした前提のもと、民間葬儀社は「火葬場へのアクセスの良い自治体斎場周辺」あるいは「自社会館と公営火葬場を複数組み合わせたネットワーク」によってビジネスモデルを構築しています。都市部では駅近・ロードサイドの小規模ホールで家族葬・一日葬に特化し、地方では自社セレモニーホールや会館をドミナント配置して地域シェアを高める戦略が一般的です。加えて、終活相談サロン、エンバーミングセンター、遺品整理拠点など、付帯機能を別拠点として整備する動きもみられます。

互助会保証株式会社「データで知る互助会 Gojokai Data」によると、2025年3月末時点で全国の互助会数は231社、加入契約数は約2,095万件、前受金残高は約2兆3,814億円と推計されています。互助会は葬儀・婚礼などライフイベントを対象にした積立契約を通じて、会館・式場ネットワークと顧客基盤を形成しており、一部地域では互助会グループが葬儀需要の相当部分を担っています。

M&A観点
事業所・会館・火葬場という物理的アセットは、高い固定費を伴う一方で、地域シェアを高めるほど稼働率を引き上げやすい性格を持ちます。葬儀業では、①自社会館ネットワークのドミナント化、②互助会・寺院・石材店などとの提携・統合による供給網の高度化、③エンバーミングセンターや生花・料理の内製化といったスケールメリットがM&Aによって実現しやすく、1会館あたり件数・粗利の改善につなげやすいと考えられます。

需要側ファクター

人口動態の観点では、前述のとおり死亡数は長期的に増加しており、2010年の約119万7,000人から2023年の157万6,016人 まで増加しています。一方で出生数は急減しており、自然減少幅は拡大を続けています。死亡数の増加は葬儀件数の底堅さにつながる一方、今後数十年スパンでは人口減少と高齢世帯の縮小が進むため、一定の時点をピークに需要が頭打ちとなる可能性も意識する必要があります。

世帯構造の変化も重要です。単身高齢者世帯や夫婦のみ高齢世帯の増加により、「親族・地域とのつながりが弱い」「葬儀に動員できる人数が限られる」ケースが増え、小規模葬・家族葬・直葬への選好を後押ししています。消費者向け調査では、全国レベルで家族葬の選択割合が50%前後とされ、一般葬の割合を上回る水準になっているとの結果も示されています。

終活・事前準備の浸透も需要側の構造を変えています。お葬式に関する全国調査(2013〜2020年)では、生前に葬儀社を決定していた割合が2013年以降一貫して増加し、2017〜2020年には約3.5人に1人が故人と一緒に葬儀社を決めていたと報告されています。要因として、「終活」という言葉の定着や、生前相談・事前見積もりを行う葬儀社の増加が挙げられており、今後も事前準備ニーズは高まると見込まれます。

加えて、樹木葬・海洋散骨・永代供養墓といった「墓じまい・自然葬」ニーズや、オンライン参列・ライブ配信・Web追悼ページなど、葬儀後を含めた多様な送り方を求める声が広がっています。エコロジー志向の高まりから、棺材や供花・供物に環境配慮型素材を用いる「エコ葬」や、CO₂排出量に配慮した火葬・埋葬の取り組みも一部で始まっています。

M&A観点
需要側の変化は、「誰に・どのような価値提案をする葬儀社が伸びるか」を左右します。家族葬・一日葬・樹木葬・オンライン参列などに強みを持つ事業者が、従来型一般葬主体の事業者と組み合わさることで、①顧客ポートフォリオの多様化、②終活〜葬儀〜墓じまいまでの一気通貫サービスの構築、③地域宗教事情に応じたマルチフォーマット展開といったシナジーを発揮しやすくなります。需要構造のシフトを踏まえると、「高付加価値型サービスを持つ小規模事業者」×「会館網・ブランドを持つ中堅〜大手」というM&Aの組み合わせが合理性を持ちやすいと考えられます。

制度・規制・DX

葬祭業は、複数の法律・行政制度のもとで規律されています。まず、生活衛生関係営業全体の基本法として「生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(生衛法)」があり、公衆衛生と利用者保護の観点から、営業者団体の自主的活動の促進、料金等の規制、苦情処理体制や表示の適正化などが定められています。

埋火葬や墓地に関しては、「墓地、埋葬等に関する法律(墓地埋葬法)」が主体となり、墓地・火葬場・納骨堂の設置・管理・運営について、都道府県や自治体の許認可・指導のもとで運用されています。厚生労働省は「墓地・埋葬等に関する情報」や「全国火葬場データベース」を通じて関連情報を公開しており、自治体の生活衛生担当部局が現場での窓口を担っています。

料金表示や広告については、「特定商取引に関する法律」「消費者契約法」「景品表示法」が重要です。消費者庁は2012年に「葬儀事業者における葬儀費用に係る表示の適正化について」を公表し、不当な比較広告や、実際には適用されない割引表示などについて注意喚起を行いました。その後も、インターネット葬儀仲介サービス「小さなお葬式」やその他の仲介事業者に対して、景品表示法違反(有利誤認)に基づく課徴金納付命令が出された事例があり、Web広告・料金表示の適正化が厳しく求められている状況です。

業界団体による自主ガイドラインとしては、全国規模の葬祭事業者団体が定める「葬祭サービスガイドライン」があり、顧客情報の守秘義務、見積書交付の義務、料金体系の明確化、説明責任などを葬祭事業者の行動指針として位置付けています。消費者向けの解説版「消費者向け葬祭サービスガイドライン〈わたしたちの誓い〉」では、消費者の権利といのちの尊重が示されており、トラブル防止の観点からも重要な位置づけです。

人材・スキル面では、厚生労働省が「職業能力評価基準(葬祭業)」および「職業能力評価シート(葬祭業)」を整備しており、「施行業務」「企画・営業」「生花」などの職種ごとにレベル1〜4の能力要件を定義しています。これらは、葬祭ディレクター(技能審査)資格とも連動し、教育・評価・キャリアパス設計の基礎として活用されています。

DXの観点では、電子契約・電子帳票保存・インボイス制度への対応、オンライン相談・Web見積もり、動画配信によるリモート参列、顧客ID・CRMによる会員基盤管理などが急速に進展しています。これらは、電子帳簿保存法や個人情報保護法、クッキー・行動履歴の取扱い等に関するガイドラインの遵守が前提となり、ITベンダーとの協業とともに、社内の情報セキュリティ・アクセス権限管理の強化が求められます。

M&A観点
制度・規制・ガイドラインは、買収検討時のデューデリジェンス(DD)項目としても重要です。特に葬祭業では、①生衛法や墓地埋葬法に関わる許認可や自治体との関係性、②景品表示法・特商法・消費者契約法に関する過去の指摘・行政処分の有無、③葬祭サービスガイドライン・職業能力評価基準に沿った教育・評価体制、④個人情報・顧客データの管理水準が、PMI後のブランド毀損や法的リスクを左右します。M&Aの観点からは、「許認可・ブランド・コンプライアンスを含めた無形資産の承継」をどう担保するかが、金額評価以上に重要な論点になります。

供給・ロジスティクス/サプライチェーン

葬祭業のサプライチェーンは、棺・祭壇・仏具、供花・生花装飾、料理・返礼品、霊柩車・マイクロバス、遺影写真・映像制作、会場設備・備品など、多数のサプライヤーに支えられています。互助会保証株式会社がまとめた「葬儀業の実態」「葬儀業の売上高等の推移」などの資料によれば、葬儀業は特定サービス産業動態統計調査においても長期的に売上・件数とも増加してきた一方で、単価低下により粗利率が圧迫されていることが示されており、資材・外注費の管理が経営上の重要テーマになっています。

近年は、エネルギー価格や物流費の上昇、トラックドライバーの人手不足(いわゆる「2024年問題」)などにより、生花・料理・返礼品・供物などの調達コストが上昇傾向にあります。これに対応するため、葬儀事業者同士や互助会グループ内での共同購買・共同配送、生花・料理・返礼品の集中仕入先の統合、モーダルシフトの検討などが進められています。特に生花については鮮度維持のためのコールドチェーンや在庫廃棄リスクが大きく、地域単位での共同配送ネットワーク整備が課題となりやすい領域です。

品質・トレーサビリティの観点では、火葬場における環境規制・排ガス基準、作業者の安全衛生基準などが厳格化されているほか、食品衛生法や各種衛生基準に基づく料理提供、ギフト製品の品質保証など、多層的な管理が求められます。原材料・資材の価格変動リスクを踏まえ、複数サプライヤーとの取引ポートフォリオを構築しつつ、長期契約やボリュームディスカウントによる価格安定化を図る動きも見られます。

M&A観点
サプライチェーンの観点からは、①生花・料理・返礼品などの中核サプライヤーをグループ内に取り込む垂直統合、②互助会グループや複数葬儀社による共同購買会社・共同配送会社の設立、③ITを活用した在庫管理・需要予測システムの導入をM&Aや資本業務提携によって加速させるシナリオが考えられます。葬儀単価が下がる環境では、「仕入・物流の数%の削減」が利益に直結しやすく、サプライチェーン高度化を目的としたM&Aの合理性は高いといえます。

人材

葬祭業は労働集約度が高く、24時間365日の対応や深夜・早朝対応が求められる業種であり、人材確保・働き方改革が大きなテーマになっています。厚生労働省の「葬祭業」職業能力評価基準では、「施行業務」(搬送・遺体処置・湯灌・納棺・会場設営・式典運営・アフターケアなど)、「企画・営業」「生花」などの職種ごとに求められるスキルや役割が体系的に整理されており、新入社員から管理職まで段階的なスキルアップが前提とされています。

現場では、葬祭ディレクター資格取得者や経験豊富な施行担当者の不足、若年層人材の採用難、夜間対応や連続勤務による離職率の高さなどが課題となるケースが多く見られます。一方で、終活相談や相続・保険・不動産などとの連携、IT・デジタルを活用したマーケティングや業務改善など、新たなスキルセットも求められており、従来の「施行中心」の人材構成から、コンサルティング・営業・DX人材を含む多様なチーム構成へと移行しつつあります。

人材育成では、OJTと資格取得支援に加え、標準化されたマニュアル・スクリプト・チェックリストの整備、eラーニングによる教育、評価制度と連動したスキルマップの導入などが広がっています。人的資本開示の流れも相まって、採用・育成・定着・エンゲージメントをどのように可視化し改善していくかが、中長期的な競争力の源泉となりつつあります。

M&A観点
葬祭業のM&Aでは、「人材こそ最大の資産」であるケースが少なくありません。特に、①資格者・ベテラン葬祭ディレクターを含むチーム、②終活・相続・保険など周辺分野にまたがるコンサルティング人材、③DX・マーケティング・データ分析の専門人材を保有する会社は、買い手にとって高い戦略的価値を持ちます。PMI段階では、評価制度・報酬体系・勤務シフト・教育メニューをどう統合し、モチベーションを維持・向上させるかが成功の鍵となります。

ガバナンス/広告・品質/コンプライアンス

葬祭業では、料金表示・広告内容・営業手法などに関するコンプライアンスが経営上の重要テーマです。消費者庁が公表した「葬儀事業者における葬儀費用に係る表示の適正化について」では、会員割引が実際には適用されないプランを「割引適用」と表示するケースなど、景品表示法上問題となる可能性のある表示事例が整理されています。また、インターネット葬儀仲介事業者に対する課徴金納付命令事例は、オンライン広告や比較サイトにおける料金表示が厳しくチェックされていることを示す好例です。

品質面では、葬儀内容や進行、遺体の取り扱い、会場清掃、安全管理などに関するクレーム・トラブルが経営リスクとなり得ます。業界団体のガイドラインや社内マニュアルに基づき、事前説明・同意の徹底、見積もり書・請求書・サービス提供内容の整合性確認、トラブル発生時の是正プロセス・報告書作成・再発防止策の共有など、品質保証サイクルを整備する必要があります。個人情報保護の観点では、会員情報・顧客家族情報・喪主連絡先・参列者情報など、センシティブな情報を扱うため、情報セキュリティポリシーやアクセス権限管理、外部委託先の監査も重要です。

ガバナンスの観点では、オーナー経営色の強い事業者では、内部統制・職務分掌・稟議プロセスが未整備なまま規模拡大しているケースもあります。特に、多店舗展開・多地域展開を行う中堅以上の企業では、取締役会・監査・内部監査機能の整備、コンプライアンス研修、通報窓口(ホットライン)の整備、反社会的勢力との関係遮断など、一般的なコーポレートガバナンスの枠組みを葬祭業の文脈に落とし込むことが求められます。

コーポレートガバナンス・内部統制の観点では、上場企業だけでなく中堅企業でも、取締役会・監査機能・内部監査の強化、コンプライアンス教育、内部通報制度の整備などが求められるようになっています。ESG投資の広がりに伴い、環境・社会・ガバナンスに関する情報開示やサステナビリティレポーティングへの対応も、機械メーカーにとって無視できないテーマとなりつつあります。

M&A観点
買収側にとっては、法令違反や重大クレームの有無、過去の行政指導・訴訟・損害賠償リスクの有無は、バリュエーションやスキーム設計に直接影響します。DD段階で、①広告・料金表示・契約書の適法性、②個人情報保護・セキュリティ体制、③内部牽制・稟議・承認プロセス、④苦情対応・事故時対応の履歴を精査し、必要に応じて表明保証・補償条項やアーンアウトを活用することが実務上重要です。PMIでは、ガバナンス・コンプライアンスの共通ポリシーを早期に整備・周知し、グループ全体でのブランド・信頼性を維持・向上させることが求められます。

M&Aリレーション(業界再編の地合い)

葬祭業業界では、上場グループや大手互助会グループ、地域密着型の中堅チェーン、単独事業者など、多様なプレイヤーが存在しています。近年は、専門葬儀社大手による家族葬特化チェーンの買収や、地方の老舗葬儀社への資本参加、ファンドによる地域有力葬儀社への投資など、再編事例が増加しています。日本M&Aセンターの葬祭業レポートや業界ニュースでも、上場グループによるTOBを通じた家族葬チェーンの完全子会社化や、ファンドによる地域葬儀社の株式取得といった事例が紹介されており、スケールメリットと地域密着性を両立させるための再編が進んでいることがうかがえます。

再編の背景には、①後継者難・事業承継問題、②単価下落・人件費上昇・物流コスト増による利益率圧迫、③DX投資・設備投資の負担、④広告・料金表示・コンプライアンス対応の高度化といった構造要因があります。特に、オーナー経営者の高齢化に伴い、「親族内・役員内に後継者が見つからない」「互助会との関係性を維持しつつ事業を承継したい」といったニーズが増えており、第三者承継(M&A)が選択肢として一般化しつつあります。

一方で、買い手側から見ると、葬儀業は地域密着性が高く、信頼・口コミ・寺院との関係など、数値化しにくい無形資産が価値の源泉となります。そのため、買収後にオーナー・キーマンが一定期間残ることを前提とした段階的承継や、グループブランドと既存ブランドを併存させる「ハウス・オブ・ブランド」型の運営など、柔軟なPMI設計が求められます。

M&A観点
今後3〜5年を見据えると、①後継者難に直面する中小葬儀社の第三者承継案件、②互助会・寺院・石材店・遺品整理・相続・終活サービスなどとの垂直・水平統合、③ファンドによる地域有力チェーンのロールアップ投資などが中心的な再編シナリオとして想定されます。買い手・売り手双方にとって、「地域ブランド・人材・会館ネットワーク・互助会契約・寺院ネットワーク」といった無形資産の引き継ぎ方と、価格・のれん・アーンアウトを含むスキーム設計が、M&A成功の決定要因になると考えられます。

葬祭業業界の今後の課題と展望

マクロ環境と3つのシナリオ

課題
人口動態と単価下落が同時進行する中で、葬祭業界の中長期的な市場ボリュームと収益性をどう見込むかは、経営計画・M&A戦略の前提を大きく左右します。死亡数は今後も一定期間は増加が続くと見込まれる一方、葬儀単価は家族葬・一日葬・直葬の普及により下押し圧力が続く可能性があります。
対応策
2023年の市場規模(約1兆7,000億円台)を起点に、今後3〜5年(例:2028年頃)までのシナリオを簡易的に設定することが有効です。ベースシナリオでは、死亡数の緩やかな増加(年平均+0〜1%)と単価の微減(年平均▲0〜1%)が相殺され、市場規模は年平均0〜1%程度の成長にとどまる前提を置きます。上振れシナリオでは、終活・事前契約・周辺サービス(相続・遺品整理・墓じまい等)の収益化や、DXによる効率化でEBITDAマージンを1〜2ポイント改善し、売上成長率も1〜2%台に乗せることを目標とします。下振れシナリオでは、価格競争激化や直葬比率上昇により単価が年▲2%程度下落すると仮定し、売上横ばい〜微減を前提に、固定費削減と選択と集中による耐性強化を図る前提とします。
M&A観点
シナリオごとに、①売上高・EBITDA・会館数・稼働率・従業員数・資格者数などのKPI、②M&Aによる追加投資余力、③のれん償却や利払いを含めたキャッシュフローへの影響を定量化しておくことで、M&A戦略の「攻守のバランス」を判断しやすくなります。ベースシナリオを前提にM&Aを実行しつつ、下振れシナリオでは追加投資を抑制し、上振れシナリオでは再投資を加速するトリガーをあらかじめ設計しておくことが望ましいです。

利益率圧迫要因への対応(人件費・エネルギー・物流費・仕入価格)

課題
人件費上昇、最低賃金の引き上げ、深夜・休日手当の増加、エネルギー価格・物流費・仕入価格の上昇などにより、葬祭業の営業利益率・EBITDAマージンは圧迫されやすい構造にあります。前述のとおり葬儀単価が下落傾向にある中で、価格転嫁には限界があり、安易な値上げは集客・口コミへの悪影響が懸念されます。
対応策
短期的には、①会館別・プラン別の損益管理を高度化し、採算性の低いプランやオプションの見直し、②生花・料理・返礼品・備品の仕入見直し・共同購買、③シフト最適化・業務分担見直しによる労働生産性向上、④電気料金・燃料費の契約見直し・省エネ投資を実施することが考えられます。中期的には、終活相談・事前会員・法要・仏壇・墓石・墓じまい・相続・保険など、葬儀前後の周辺サービスでの収益機会を増やし、「葬儀単価」だけに依存しない収益構造へと転換していくことが重要です。
M&A観点
M&Aを通じて、①一定規模以上の会館ネットワークを構築しスケールメリットを高める、②生花・料理・返礼品などの仕入機能を内製化・集約化する、③高付加価値の周辺サービス(相続・遺品整理・墓じまい・終活メディア等)を取り込むことで、単価下落を吸収しつつ利益率を維持・向上させる戦略が有効です。バリュエーションの際には、コストシナジーとクロスセルによる売上シナジーを定量化し、PMIでどこまで実現できるかを慎重に検証する必要があります。

ロジスティクス再編と共同購買/共同配送

課題
生花・料理・返礼品・仏具・消耗品・車両など、葬祭業のサプライチェーンは多岐にわたります。個別の小規模事業者がそれぞれに調達・配送を行っている場合、スケールメリットを得にくく、在庫ロスや配送コストが嵩む傾向にあります。また、ドライバー不足や時間外労働規制の影響で、地域物流の安定確保が難しくなる可能性もあります。
対応策
中期的には、①グループ内で生花・料理・返礼品を集約調達し、地域単位での共同配送網を構築する、②在庫・リードタイム・廃棄率などのKPIを可視化し、在庫適正化とロス削減を進める、③クラウド型の仕入・在庫管理システムを導入し、拠点間の融通と統制を強化することが有効です。高付加価値の商品については自社開発・OEMを組み合わせ、価格競争だけでなく商品力で差別化できるポートフォリオを構築することが望まれます。
M&A観点
サプライチェーンを軸にしたM&Aとして、①生花・料理・返礼品の地域卸・製造会社の買収、②複数葬儀社・互助会による共同購買会社の設立・統合、③物流専業会社との資本業務提携などが考えられます。買収後のPMIでは、マスタデータ(商品コード・単価・取引条件)の統合、与信・支払条件の統一、配送ルート最適化など、IT・オペレーション両面の統合作業が成否を分けます。

人材確保・定着・教育とスキルミックスの最適化

課題
地方を中心に、葬祭ディレクターや施行スタッフ、司会・案内スタッフ、ドライバー、火葬場従事者などの採用難・人手不足が顕在化しています。長時間勤務や不規則なシフトに対する心理的ハードルも高く、若年層の応募者が限定的になりがちです。一方で、終活・相続相談、Webマーケティング、デジタルツール活用など、新たなスキルも求められています。
対応策
人材確保においては、①仕事内容・キャリアパス・報酬水準を明確化した採用ブランディング、②ワークライフバランスを意識したシフト設計(夜間対応専任チーム・当直専門スタッフの活用等)、③リスキリングを含む体系的な教育制度が鍵となります。スキルミックスの観点からは、「施行業務」と「営業・終活相談」「DX・マーケティング」など、職種ごとに求めるスキルと人数構成を設計し、繁忙期・閑散期の業務配分も含めて最適化することが重要です。
M&A観点
M&Aを通じて、①特定地域に強い人材チーム(葬祭ディレクター・司会・フロントスタッフ)を獲得する、②終活・相続・保険など周辺分野に強い人材を取り込む、③DX・マーケティングに強い小規模ベンチャーをグループに迎え入れるなど、人材ポートフォリオを一気に多様化させる戦略が考えられます。PMIでは、評価制度・報酬体系・資格手当・インセンティブ設計を統合し、離職を抑えつつモチベーションを高める仕組みづくりが不可欠です。

デジタル/データ活用(Web集客・CRM・オンライン葬儀)

課題
葬儀社選びにおいて、インターネット検索・口コミサイト・比較サイトの影響力が高まる中、Webマーケティングのノウハウを持たない葬儀社は、認知獲得・リード獲得で不利になりやすい状況です。また、会員・互助会・問い合わせ・施行履歴などのデータが散在している場合、顧客単位でのLTV管理やクロスセル提案が難しくなります。
対応策
Web集客の面では、①自社サイト・SEO・ローカル検索対策、②口コミサイト・比較サイトとの連携方針の明確化、③終活・葬儀に関するコンテンツマーケティング、④オンライン相談・チャット・LINE公式アカウント等による接点拡大が重要です。データ活用の面では、顧客ID・世帯IDを軸にしたCRMを整備し、問い合わせ〜事前相談〜施行〜法要〜墓じまいまでのライフサイクルを一元的に管理することで、タイミングを捉えた提案がしやすくなります。将来的には、AIを活用した需要予測・人員配置・不正検知(過大割引・過小請求・不適切なオプション提案のチェック等)も検討領域になり得ます。
M&A観点
デジタルに強い事業者(オンライン葬儀プラットフォーム、終活メディア、比較サイト運営会社など)とのM&A・資本提携は、顧客接点とデータ基盤の獲得という観点で大きな意味を持ちます。PMIでは、①顧客データベース・会員データ・互助会契約情報の統合、②プライバシーポリシー・利用規約の統一、③マーケティングオートメーションツールの共通化など、IT・リーガル両面の統合設計が重要となります。

ガバナンス/コンプライアンスの高度化

課題
葬儀事業者は、高齢者やその家族を相手に「一度きりのサービス」を提供するため、説明責任・料金表示・クレーム対応・個人情報保護などの面で高い倫理性と透明性が求められます。過去の景品表示法違反や不適切な広告事例は、業界全体への信頼にも影響を与え得るため、1社の不祥事がプレーヤー全体の規制強化・監視強化につながるリスクがあります。
対応策
ガバナンス強化の具体策として、①取締役会・経営会議におけるコンプライアンス報告の定例化、②料金表示・広告・契約書のリーガルチェックプロセスの整備、③苦情・事故・ヒヤリハットの記録と全社共有、④内部通報制度の整備、⑤第三者による監査・レビューの活用などが挙げられます。特に、Webサイト・チラシ・ポータルサイト・比較サイトでの表現統一と整合性確認は、実務上のポイントです。
M&A観点
M&Aでは、対象会社のガバナンス・コンプライアンス体制の成熟度を評価し、リスクの高い案件についてはバリュエーションでのディスカウント、表明保証・補償の強化、PMIにおける早期是正計画の策定などで対応する必要があります。一方で、ガバナンス体制が整った事業者をグループの「モデルケース」として位置付け、他社の標準に引き上げるハブとして活用するという発想も重要です。

出店/拠点/フォーマット戦略

課題
人口減少・地域偏在・競争環境の変化を踏まえ、どのエリアで、どの規模の会館を、どのフォーマット(家族葬専門・多目的ホール・直葬拠点など)で展開するかは、葬祭業にとって戦略の中核です。過剰出店は稼働率低下と固定費増を招き、逆に出店不足はシェア獲得機会を失うリスクがあります。
対応策
3〜5年スパンでの出店・改装・撤退のポートフォリオを作成し、①将来死亡数・世帯数・競合状況を踏まえたエリア分析、②既存会館の稼働率・収益性に基づくリージョン別戦略、③家族葬・一日葬・直葬・大型葬それぞれの需要に対応できるフォーマット設計を行うことが必要です。直営とFC(フランチャイズ)のすみ分けや、寺院・自治体斎場との提携活用も併せて検討されます。
M&A観点
M&Aは、①ホワイトスペースへの一気のエリア進出、②競合との統合による過当競争緩和と稼働率改善、③老朽会館の建替えや新フォーマットへの転換の契機として活用できます。PMIでは、会館ブランド・価格帯・サービス内容のポジショニングを整理し、カニバリゼーション(自社同士の競合)を避けるためのポートフォリオ管理が重要です。

地域/エコシステム連携

課題
葬祭業は、医療機関・介護施設・自治体・宗教法人・相続・保険・不動産・清掃・物流など、多様なプレイヤーとの連携の上に成り立つサービスです。単独企業では、終末期・看取り〜葬儀〜法要〜墓じまい〜相続整理までを一気通貫で提供するのは難しく、地域包括ケアの流れの中で葬祭業の役割も再定義が求められています。
対応策
地域連携の具体策として、①医療・介護施設との情報連携と看取り前後の相談体制整備、②自治体との包括協定(災害時の遺体安置・火葬体制、孤立死・行旅死亡人対応など)、③宗教法人との連携による儀礼面の充実、④相続・法律・税務・不動産・保険などの専門家とのパートナーシップ構築などが挙げられます。これにより、顧客にとってのワンストップ窓口としての機能を強化しつつ、新たな収益機会も創出できます。
M&A観点
エコシステム視点では、葬儀社が中心となって関連ビジネスをグループ化していく「縦の統合」と、複数葬儀社・互助会・関連事業者が連携して地域プラットフォームを形成する「横の連携」の両方が考えられます。M&Aや資本業務提携により、相続・終活メディア・遺品整理・墓じまい・樹木葬・散骨事業者などを取り込み、地域住民にとって「人生終末期の総合サービスプラットフォーム」として位置づけられるかどうかが、中長期競争力の差につながる可能性があります。

倒産/再編の地合いとM&A機会

課題
人口減少・単価下落・人件費上昇・設備投資負担などの要因により、葬祭業・冠婚葬祭業全体では、特に地方・中小事業者を中心に収益性・資金繰りに課題を抱えるケースが増えています。信用調査会社の倒産統計でも、冠婚葬祭関連業種の倒産・廃業件数は一定水準で推移しており、金利上昇局面では借入依存度の高い事業者にとって経営環境が厳しくなり得ます。
対応策
個社レベルでは、早期に資金繰り計画・借入返済計画を見直し、必要に応じて金融機関との協議やリファイナンス、設備投資・出店計画の見直しを行うことが重要です。同時に、第三者承継(M&A)を含めた複数の選択肢を検討できるよう、決算・月次試算表・KPIを整備し、外部アドバイザーと対話できる状態を整えておくことが望まれます。
M&A観点
マクロレベルでは、葬祭業界は今後も「緩やかな需要増+構造変化+中小事業者の再編余地」という構図が続くと見込まれます。買い手にとっては、①ドミナント強化・新エリア参入・周辺サービス強化の機会、売り手にとっては、②後継者問題の解決・個人保証や資産リスクの軽減・従業員雇用の維持という観点から、M&Aの重要性は高まると考えられます。中長期的には、ファンドや金融機関を含む多様なプレイヤーが関与する「再編の第二幕」が進展する可能性もあり、各社が自社の立ち位置とタイミングを戦略的に検討することが求められます。

リスク管理・BCP(災害・感染症・地政学リスク)

課題
新型コロナウイルス感染症の経験からも明らかなように、感染症の流行は葬儀の形式・規模・参列者数・飲食・滞在時間などに大きな影響を与えます。また、日本は地震・台風・豪雨災害などの自然災害リスクが高く、会館・火葬場・インフラが被災した場合の業務継続計画(BCP)が不可欠です。
対応策
BCPの観点では、①感染症流行時の式場利用人数・滞在時間・飲食提供に関するガイドラインとオペレーションの整備、②災害時の会館・火葬場・安置施設の代替拠点確保と、その際の顧客・自治体との連絡手順、③電源・水・通信手段のバックアップ、④保険・補償の整備などが重要です。また、DXを活用したリモート参列・オンライン配信・事前説明動画などの仕組みは、平時の付加価値向上だけでなく、有事のサービス提供継続にも貢献します。
M&A観点
リスク管理の観点からは、特定エリア・特定顧客層への依存度が高いポートフォリオは、災害・感染症・地域経済の変動に対して脆弱になりがちです。M&Aを通じて、①地理的分散を図り地域リスクを分散する、②複数フォーマット・サービスラインを保有し需要変動に柔軟に対応する、といったポートフォリオ構築が有効です。また、BCPや危機対応のノウハウを持つ事業者をグループに迎え入れ、その知見を全社展開することも、レジリエンス向上の観点から価値ある戦略といえます。
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消費者庁「株式会社ユニクエストに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について」
いい葬儀「お葬式に関する全国調査(2013-2020 年)/全調査結果のまとめ」
政府統計の総合窓口(e-Stat)「費用規模別年間葬儀取扱件数(冠婚葬祭業)」
政府統計の総合窓口(e-Stat)「経済センサス‐活動調査 冠婚葬祭業(小分類・細分類)」
政府統計の総合窓口(e-Stat)「衛生行政報告例(墓地・火葬場・納骨堂数)関連」
葬儀事業者における葬儀費用に係る表示の適正化について
互助会保証株式会社{データで知る互助会 Gojokai Data」
互助会保証株式会社「葬儀業の売上高等の推移」
e-Gov 法令検索「生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(生衛法)」
LDT 株式会社「葬儀トレンド 2025 上半期」
経済産業省「令和 3 年経済センサス‐活動調査 産業別集計(サービス関連産業 B)」
経済産業省|特定サービス産業動態統計調査 長期データ/調査の結果
厚生労働省|生活衛生関係営業に関する制度と施策
厚生労働省|職業能力評価基準(葬祭業)におけるレベル区分の目安
厚生労働省|54_葬祭業
厚生労働省|職業能力評価シート(葬祭業)
厚生労働省|令和 5 年(2023)人口動態統計(確定数)の概況
厚生労働省|令和 5 年(2023)人口動態統計月報年計(概数)の概況
厚生労働省|平成 22 年(2010)人口動態統計の年間推計
厚生労働省|平成 25 年(2013)人口動態統計の年間推計
シンプルなお葬式|家族葬が選ばれる割合は 50%に。最近、増えている理由とメリット・デメリットを解説
矢野経済研究所「葬祭ビジネス市場に関する調査を実施(2023 年)」
Zenn|日本の葬儀業界を取り巻く課題と変革の時代
全日本葬祭業協同組合連合会|葬祭サービスガイドラインについて

葬祭業業界における
M&A活用のメリット

葬祭業業界におけるM&A活用のメリットをご紹介します。

譲渡側のメリット
  • ブランドを残せる
  • 後継者問題を解決できる
  • オーナー社長は個人保証や担保提供から解放され、ハッピーリタイアができる
  • 個人保証や担保提供から解放されたうえで役員等として継続してかかわることも可能
  • 事業意欲旺盛な会社との協業により、相互に発展することが可能
  • 適切な会社に譲渡すれば、社員の雇用は保証され、成長機会も増える
譲受け側のメリット
  • 売上規模・シェアの拡大が見込める
  • 事業多角化・新規事業への参入
  • 人的リソースを獲得できる
  • 関連事業領域の拡大
  • リスク分散ができる
  • 財務力強化・コストの削減(仕入れコスト、管理部門コスト、物流コスト等)
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葬祭業業界で
M&Aを実行する際のポイント

葬祭業業界でM&Aを実行する際に注意すべきポイントには、下記のようなものがあります。

  • 簿価評価や減損リスク
  • 地域との信頼関係
  • 人的リソース管理
  • コンプライアンス
  • ガバナンス・管理体制

葬祭業は、不動産(斎場)や設備の固定資産比率が高く、簿価評価や減損リスクに注意が必要です。また、地域との信頼関係や宗教的慣習に基づく運営が多いため、人的資産の引継ぎや従業員の定着も重要なM&A要素です。
ここでは一般的なポイントをご紹介させていただいておりますが、実際には、個別事情を勘案すると大きく変わります。また、業界によっては独自の規制や商習慣が存在するため、M&Aの仲介を行ううえで、それぞれの業種・業界の特性を正しく理解していることが非常に大切です。日本M&Aセンターでは各業界に精通したコンサルタントが所属しているため、専門性の高いサービスを提供させていただくことが可能です。
当社では秘密保持を厳守のうえ、個別相談を無料でお受けしています。当社は全国に拠点を展開しております。気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

葬祭業業界における
M&Aの価格相場

葬祭業業界のM&Aにおける価格や相場感について説明いたします。まず、中小企業のM&Aには明確な相場が存在せず、最終的な価格は売り手と買い手の交渉によって決まることが特徴です。M&Aの価格は、業種や企業の規模、人材の質、財務状況、ブランド力、将来性、市場環境など、多岐にわたる要素によって変動します。そのため、個別の状況を考慮しながら価格が算出されることになります。
M&Aの価格算定にはいくつかの評価方法がありますが、その中の一つに「取引事例法」があります。取引事例法は、過去のM&A事例の中から、事業内容や地域、財務指標が似ている企業の売買実績を基に価値を評価する方法です。取引事例法において重要なのは、類似の取引事例を参考にすることですが、類似条件を見つけるためには、相当数の事例を蓄積する必要があります。非上場企業のM&Aの多くが非公開情報であることから、他社の実績を参考にすることはハードルが高い方法でもあります。その点、日本M&Aセンターでは、M&Aにおいて成約実績10,000件超、M&A成約件数で世界No.1*のギネス世界記録™に5年連続で認定されるなど、豊富な実績があります。事業内容や地域、財務指標に基づく似た会社の売買事例を選定し、一定のルールに従って公正な価値評価を行うことが可能です。こちらから当社の株価算定シミュレーションを体験することができます。

※ギネス世界記録™:M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の最多取扱い企業 2020~2023年に続き、5年連続でギネス世界記録™に認定

あなたの会社の評価額はいくら?

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あなたの会社が現在どう評価をされるか、ぜひ見てみませんか?

次に、より高い評価を得て会社を高く譲渡売却するためには、よりシナジーのある買い手を見つけることが重要です。M&Aの最終価格は、売り手企業と買い手企業の交渉によって決まるため、買い手が「この会社が欲しい」と思う要素を増やしていく必要があります。例えば、現在、葬祭業業界の市場では人材不足が全体的な問題となっており、若くて優秀な人材を採用できる利点がある場合、買い手企業にとってM&Aの魅力が増します。
さらに、コンプライアンスやガバナンスに関する問題も重要な要素です。具体的には、顧客とのトラブルが存在しないか、社会保険への適切な加入状況が確認されることが求められます。これらの問題があると、潜在的な費用や負債として見なされ、価格交渉において不利な要因となり得ます。これらの要素が事前にクリアである場合、買い手企業も安心してM&Aを進めることができ、価格交渉もスムーズに進行しやすくなる傾向があります。
最後に、M&Aを成功させるためには、総合的に企業の魅力を高める努力が欠かせません。これは、価格評価への影響だけでなく、交渉の流れにも深く関わる要素であるといえるでしょう。

なお、実際には個別の業種や取引環境等によって価格相場は変動しますし、場所や経営状態によっても大きく左右されます。初期的なご相談や、簡易的な株価診断は無料にておこなっておりますので、よりくわしく評価や課題について聞きたい方は、弊社コンサルタントから詳細をご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。

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業界別M&Aレポート編集部

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業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。

葬祭業業界の
最新M&A事例を解説

葬祭業(家族葬)×葬祭業
燦HD、きずなHDへのTOBが成立で連結子会社化

譲渡企業
株式会社きずなホールディングス(7086)
譲受け企業
燦ホールディングス株式会社(9628)

スキーム:TOB 実行時期:2024年9月2日

M&Aの概要

2024年7月12日、燦ホールディングス株式会社(以下:燦HD)は、株式会社きずなホールディングス(以下:きずなHD)の普通株式を公開買付け(TOB)により取得することを決定しました。きずなHDはこの買収に賛同を表明しています。この動きは、燦HDがさらなる成長を目指すための重要なステップとなります。

燦HDは、専門葬儀社最大手である「株式会社公益社」を中核とするグループの持株会社です。
きずなHDは葬儀関連業務の企画や管理を行っています。「家族葬のファミーユ」を中心に事業を展開しており、とくに「家族葬」に特化していることが特徴です。

燦HDときずなHDは共に葬儀業界において重要な役割を担っています。
今回の公開買付けの目的は、きずなHDを完全子会社化することにより、シナジー効果を得ることです。シナジー効果とは、二つの企業が統合することによって生まれる相乗効果を指します。具体的には、以下の4つのポイントが挙げられます。
まず、出店地域の補完作用があります。燦HDが展開するエリアと、きずなHDが展開している地域が異なる場合、お互いの地域を補完し合うことで、サービスの提供範囲が広がり、全体としてのクオリティが向上します。
次に、家族葬等の小規模葬儀の成長が挙げられます。近年、家族葬などの小規模葬儀が増加しています。これにより、きずなHDの小規模葬儀に関する経験と知見を燦HDが取り入れることで、成長の機会が増えます。
そして、管理コスト削減。二つの企業が一緒になることで、重複する業務を見直し、コストを削減することができます。たとえば、複数の店舗を運営する際に、共同で一つのシステムを使うことで経費を抑えることができます。
最後に、エンバーミングサービスの共用による収益機会の確保が挙げられます。エンバーミングとは、故人の遺体を保存するための処置です。これを共有することで、より多くの顧客に対応し、新たなサービスを提供できる可能性が高まります。
燦ホールディングス株式会社による、株式会社きずなホールディングスの公開買付けは、買付けの期間は2024年7月16日から30営業日行われ、2024年8月27日をもって終了しました。応募株券等の総数(6,536,898株)が買付予定数の下限(4,694,700株)以上となったため、TOBが成立しています。
きずなホールディングスは、本公開買付けの決済の開始日である2024年9月2日付で、燦ホールディングスの連結子会社となりました。
また、きずなホールディングスは東京証券取引所グロース市場に上場していましたが、燦HDの子会社化に伴い、所定の手続を経て、2024年9月27日に上場廃止となりました。
このプロセスは、企業の合併や買収において一般的な流れであり、親会社の下で新たな戦略を進めるためのものです。

今回のTOBは、燦HDにとって新たな成長機会をもたらし、葬儀業界全体でのサービス向上に寄与することが期待されます。燦HDときずなHDが協力し合うことで、より良いサービスを提供し、顧客のニーズに応えることが可能になるでしょう。

葬祭業(家族葬)×ファンド
ベーシック・キャピタル・マネジメント、葬儀場運営の飛鳥会館の株式を譲受

譲渡企業
株式会社飛鳥会館(山口県下関市)
譲受け企業
ベーシック・キャピタル・マネジメント株式会社(東京都中央区)

スキーム:株式譲渡 実行時期:2024年12月20日

M&Aの概要

2024年12月20日、ベーシック・キャピタル・マネジメント株式会社は、運営するファンド(BCM-V投資事業有限責任組合)が、株式会社飛鳥会館の株式を譲り受けたことを公表しました。
本件では、ふくおかフィナンシャルグループの一員である株式会社FFG成長投資が運営するファンド(FFG成長投資1号投資事業有限責任組合)と共同で株式を譲り受けています。

ベーシック・キャピタル・マネジメント株式会社は、2002年に中小・中堅企業を投資対象とする投資ファンド運営会社として設立されました。カーブアウト、事業承継、新興企業の成長支援など様々なケースで、投資先経営陣と対話しながら、それぞれの実情に合わせたアプローチにより、価値ある企業の成長を支援しています。
飛鳥会館は、1980年創業の葬儀場運営企業で、山口県下関市エリア・福岡県北九州市エリアを中心に店舗を展開しています。サービス内容は家族葬が中心であり、地場に深く根差したブランドを確立しながら、近年は店舗を拡大させてきました。
本件は、飛鳥会館からの事業承継を支援するものです。ベーシック・キャピタル・マネジメントは飛鳥会館の更なる成長に向け、現在の特徴を活かしながら、事業承継後の経営体制の構築・管理体制の整備・営業体制の強化を中心として、事業拡大を推進していくことを表明しています。

葬祭業業界の
M&Aニュース

葬祭業業界のM&Aニュースを表示します。

葬祭業業界のM&Aニュース一覧

葬祭業業界の
M&A仲介実績

日本M&Aセンターが仲介・支援して成約した葬祭業業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2025年9月までの実績を掲載しています。次回の更新(2025年10月~12月分)は2026年1月30日以降の予定です。

譲渡・売却企業 譲受け・買収企業
2025年9月 理美容(北海道・東北) セールスプロモーション(関東)
2025年9月 測量・地質調査(中国・四国) 建築工事(中国・四国)
2025年9月 測量・地質調査(中国・四国) 舗装工事(九州・沖縄)
2025年9月 産業廃棄物処理(東海・北陸) 産業廃棄物処理(関東)
2025年9月 産業廃棄物処理(関東) 産業廃棄物処理(関東)
2025年9月 法人向けサービス(関東) 会計事務所(関東)
2025年9月 エンターテインメント(中国・四国) エンターテインメント(中国・四国)
2025年9月 法人向けサービス(関東) 自動車小売(関西)
2025年9月 理美容(九州・沖縄) 理美容(関東)
2025年9月 法人向けサービス(関東) 理美容(関東)

葬祭業業界を含むその他サービス業のM&A仲介実績一覧

サービス業界の
最新のM&A事例インタビュー

当社の仲介によりM&A・事業承継された事例を、経営者様へのインタビュー形式でご紹介します。

葬祭業業界のM&A事例インタビュー一覧

葬祭業業界の
セミナー情報

当社では、M&Aや事業承継をはじめ、経営に役立つさまざまセミナーを開催しております。ぜひご参加ください。

葬祭業業界向けセミナー一覧

業界別M&A・事業承継の動向

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