葬祭業業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2025年最新版
葬祭業業界に関する最新のM&A動向をご紹介します。 近年の市場推移やトピックス、業界再編にまつわる情報、葬祭業業界の周辺業界を含めたM&A・事業承継の事例をわかりやすく解説しています。 また、日本M&Aセンターが取り扱う最新のM&A案件、当社仲介によりM&Aを実行された経営者様の事例、 各業界の動向やM&A(第三者承継)への理解を深めるセミナー情報などもご紹介します。
更新:
葬祭業業界の
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⽬次
葬祭業業界の概要とM&A動向
葬祭業界とは、亡くなった方を送り出す「葬儀・告別式」や「火葬」、さらには「法要」「仏壇・墓石販売」など、死後の儀式や関連サービスを提供する業界です。
主なプレイヤーは、地元密着型の中小葬儀社(家族経営や地域の老舗企業など)、大手チェーン(例:燦ホールディングス(公益社)、ティア、くらしの友 など)、異業種からの参入企業などがあります。
少子高齢化による需要の増加と多様化
日本の高齢化は年々進行しており、死亡者数も増加傾向にあります。一方で、「家族葬」や「直葬(火葬のみ)」など、簡素で低価格な葬儀を選ぶ人も増え、単価は下落傾向にあります。
高齢化が進むにつれて、人生の終末期をどのように過ごすか、また残された家族への負担を減らすためにどう準備するかを考える「終活」という言葉が広まり、関心を持つ人が増えています。終活とは、人生の終わりに向けて、残された家族に負担をかけないように、身の回りの整理や財産、葬儀、お墓、介護、医療などについて事前に準備や意思表示をしておく活動のことです。終活は、単に死後の準備をするだけでなく、残りの人生をより良く生きるための活動でもあります。終活が広まったことにより、それに関連するサービスも増えています。例えば、エンディングノートや、生前に自らの遺産整理を進めたり、葬儀や墓地の準備を進めたり、葬儀社との生前契約(葬儀プランの決定、遺影写真の準備など)があります。
また、オンラインでの葬儀相談や、リモート参列、ライブ配信などが登場し、コロナ禍を機に葬祭業にもオンライン化とDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速しました。集客においても、Googleマップや口コミサイト、ポータルサイト経由の問い合わせが増加しています。
葬祭業業界の最新のM&A動向
葬祭業業界では、業界再編が加速しています。本業界には高齢の経営者が多く、後継者不足を背景に中小葬儀社のM&Aが進んでいます。とくに、都市部や人口減少地域での競争激化を受け、大手を中心にスケールメリットを求めて、成長戦略にM&Aを取り入れる動きが顕著です。
近年の主なM&A事例では、エリア外への進出のため該当エリアの中堅葬儀社を買収した事例、営業基盤を強化するために地元の葬儀社を買収した事例、若年層ニーズを取り込むためベンチャー企業を買収した事例などがあります。
葬祭業界は高齢化により安定したニーズがありますが、顧客ニーズは「低価格・簡素・個別化」に移りつつあります。デジタル対応や終活対応といった新サービスの展開が求められており、そうした変化に適応できる企業のM&Aが活発化しています。今後も地域の老舗葬儀社と大手・新興プレイヤーとのM&Aが増える見込みです。
葬祭業業界における
M&A活用のメリット
葬祭業業界におけるM&A活用のメリットをご紹介します。
- 譲渡側のメリット
-
- ブランドを残せる
- 後継者問題を解決できる
- オーナー社長は個人保証や担保提供から解放され、ハッピーリタイアができる
- 個人保証や担保提供から解放されたうえで役員等として継続してかかわることも可能
- 事業意欲旺盛な会社との協業により、相互に発展することが可能
- 適切な会社に譲渡すれば、社員の雇用は保証され、成長機会も増える
- 譲受け側のメリット
-
- 売上規模・シェアの拡大が見込める
- 事業多角化・新規事業への参入
- 人的リソースを獲得できる
- 関連事業領域の拡大
- リスク分散ができる
- 財務力強化・コストの削減(仕入れコスト、管理部門コスト、物流コスト等)
葬祭業業界で
M&Aを実行する際のポイント
葬祭業業界でM&Aを実行する際に注意すべきポイントには、下記のようなものがあります。
- 簿価評価や減損リスク
- 地域との信頼関係
- 人的リソース管理
- コンプライアンス
- ガバナンス・管理体制
葬祭業は、不動産(斎場)や設備の固定資産比率が高く、簿価評価や減損リスクに注意が必要です。また、地域との信頼関係や宗教的慣習に基づく運営が多いため、人的資産の引継ぎや従業員の定着も重要なM&A要素です。
ここでは一般的なポイントをご紹介させていただいておりますが、実際には、個別事情を勘案すると大きく変わります。また、業界によっては独自の規制や商習慣が存在するため、M&Aの仲介を行ううえで、それぞれの業種・業界の特性を正しく理解していることが非常に大切です。日本M&Aセンターでは各業界に精通したコンサルタントが所属しているため、専門性の高いサービスを提供させていただくことが可能です。
当社では秘密保持を厳守のうえ、個別相談を無料でお受けしています。当社は全国に拠点を展開しております。気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
葬祭業業界における
M&Aの価格相場
葬祭業業界のM&Aにおける価格や相場感について説明いたします。まず、中小企業のM&Aには明確な相場が存在せず、最終的な価格は売り手と買い手の交渉によって決まることが特徴です。M&Aの価格は、業種や企業の規模、人材の質、財務状況、ブランド力、将来性、市場環境など、多岐にわたる要素によって変動します。そのため、個別の状況を考慮しながら価格が算出されることになります。
M&Aの価格算定にはいくつかの評価方法がありますが、その中の一つに「取引事例法」があります。取引事例法は、過去のM&A事例の中から、事業内容や地域、財務指標が似ている企業の売買実績を基に価値を評価する方法です。取引事例法において重要なのは、類似の取引事例を参考にすることですが、類似条件を見つけるためには、相当数の事例を蓄積する必要があります。非上場企業のM&Aの多くが非公開情報であることから、他社の実績を参考にすることはハードルが高い方法でもあります。その点、日本M&Aセンターでは、M&Aにおいて成約実績10,000件超、M&A成約件数で世界No.1*のギネス世界記録™に5年連続で認定されるなど、豊富な実績があります。事業内容や地域、財務指標に基づく似た会社の売買事例を選定し、一定のルールに従って公正な価値評価を行うことが可能です。こちらから当社の株価算定シミュレーションを体験することができます。
※ギネス世界記録™:M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の最多取扱い企業 2020~2023年に続き、5年連続でギネス世界記録™に認定
次に、より高い評価を得て会社を高く譲渡売却するためには、よりシナジーのある買い手を見つけることが重要です。M&Aの最終価格は、売り手企業と買い手企業の交渉によって決まるため、買い手が「この会社が欲しい」と思う要素を増やしていく必要があります。例えば、現在、葬祭業業界の市場では人材不足が全体的な問題となっており、若くて優秀な人材を採用できる利点がある場合、買い手企業にとってM&Aの魅力が増します。
さらに、コンプライアンスやガバナンスに関する問題も重要な要素です。具体的には、顧客とのトラブルが存在しないか、社会保険への適切な加入状況が確認されることが求められます。これらの問題があると、潜在的な費用や負債として見なされ、価格交渉において不利な要因となり得ます。これらの要素が事前にクリアである場合、買い手企業も安心してM&Aを進めることができ、価格交渉もスムーズに進行しやすくなる傾向があります。
最後に、M&Aを成功させるためには、総合的に企業の魅力を高める努力が欠かせません。これは、価格評価への影響だけでなく、交渉の流れにも深く関わる要素であるといえるでしょう。
なお、実際には個別の業種や取引環境等によって価格相場は変動しますし、場所や経営状態によっても大きく左右されます。初期的なご相談や、簡易的な株価診断は無料にておこなっておりますので、よりくわしく評価や課題について聞きたい方は、弊社コンサルタントから詳細をご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。
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株式会社日本M&Aセンター
業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。
葬祭業業界の
最新M&A事例を解説
葬祭業(家族葬)×葬祭業
燦HD、きずなHDへのTOBが成立で連結子会社化
- 譲渡企業
- 株式会社きずなホールディングス(7086)
- 譲受け企業
- 燦ホールディングス株式会社(9628)
スキーム:TOB 実行時期:2024年9月2日
M&Aの概要
2024年7月12日、燦ホールディングス株式会社(以下:燦HD)は、株式会社きずなホールディングス(以下:きずなHD)の普通株式を公開買付け(TOB)により取得することを決定しました。きずなHDはこの買収に賛同を表明しています。この動きは、燦HDがさらなる成長を目指すための重要なステップとなります。
燦HDは、専門葬儀社最大手である「株式会社公益社」を中核とするグループの持株会社です。
きずなHDは葬儀関連業務の企画や管理を行っています。「家族葬のファミーユ」を中心に事業を展開しており、とくに「家族葬」に特化していることが特徴です。
燦HDときずなHDは共に葬儀業界において重要な役割を担っています。
今回の公開買付けの目的は、きずなHDを完全子会社化することにより、シナジー効果を得ることです。シナジー効果とは、二つの企業が統合することによって生まれる相乗効果を指します。具体的には、以下の4つのポイントが挙げられます。
まず、出店地域の補完作用があります。燦HDが展開するエリアと、きずなHDが展開している地域が異なる場合、お互いの地域を補完し合うことで、サービスの提供範囲が広がり、全体としてのクオリティが向上します。
次に、家族葬等の小規模葬儀の成長が挙げられます。近年、家族葬などの小規模葬儀が増加しています。これにより、きずなHDの小規模葬儀に関する経験と知見を燦HDが取り入れることで、成長の機会が増えます。
そして、管理コスト削減。二つの企業が一緒になることで、重複する業務を見直し、コストを削減することができます。たとえば、複数の店舗を運営する際に、共同で一つのシステムを使うことで経費を抑えることができます。
最後に、エンバーミングサービスの共用による収益機会の確保が挙げられます。エンバーミングとは、故人の遺体を保存するための処置です。これを共有することで、より多くの顧客に対応し、新たなサービスを提供できる可能性が高まります。
燦ホールディングス株式会社による、株式会社きずなホールディングスの公開買付けは、買付けの期間は2024年7月16日から30営業日行われ、2024年8月27日をもって終了しました。応募株券等の総数(6,536,898株)が買付予定数の下限(4,694,700株)以上となったため、TOBが成立しています。
きずなホールディングスは、本公開買付けの決済の開始日である2024年9月2日付で、燦ホールディングスの連結子会社となりました。
また、きずなホールディングスは東京証券取引所グロース市場に上場していましたが、燦HDの子会社化に伴い、所定の手続を経て、2024年9月27日に上場廃止となりました。
このプロセスは、企業の合併や買収において一般的な流れであり、親会社の下で新たな戦略を進めるためのものです。
今回のTOBは、燦HDにとって新たな成長機会をもたらし、葬儀業界全体でのサービス向上に寄与することが期待されます。燦HDときずなHDが協力し合うことで、より良いサービスを提供し、顧客のニーズに応えることが可能になるでしょう。
葬祭業(家族葬)×ファンド
ベーシック・キャピタル・マネジメント、葬儀場運営の飛鳥会館の株式を譲受
- 譲渡企業
- 株式会社飛鳥会館(山口県下関市)
- 譲受け企業
- ベーシック・キャピタル・マネジメント株式会社(東京都中央区)
スキーム:株式譲渡 実行時期:2024年12月20日
M&Aの概要
2024年12月20日、ベーシック・キャピタル・マネジメント株式会社は、運営するファンド(BCM-V投資事業有限責任組合)が、株式会社飛鳥会館の株式を譲り受けたことを公表しました。
本件では、ふくおかフィナンシャルグループの一員である株式会社FFG成長投資が運営するファンド(FFG成長投資1号投資事業有限責任組合)と共同で株式を譲り受けています。
ベーシック・キャピタル・マネジメント株式会社は、2002年に中小・中堅企業を投資対象とする投資ファンド運営会社として設立されました。カーブアウト、事業承継、新興企業の成長支援など様々なケースで、投資先経営陣と対話しながら、それぞれの実情に合わせたアプローチにより、価値ある企業の成長を支援しています。
飛鳥会館は、1980年創業の葬儀場運営企業で、山口県下関市エリア・福岡県北九州市エリアを中心に店舗を展開しています。サービス内容は家族葬が中心であり、地場に深く根差したブランドを確立しながら、近年は店舗を拡大させてきました。
本件は、飛鳥会館からの事業承継を支援するものです。ベーシック・キャピタル・マネジメントは飛鳥会館の更なる成長に向け、現在の特徴を活かしながら、事業承継後の経営体制の構築・管理体制の整備・営業体制の強化を中心として、事業拡大を推進していくことを表明しています。
葬祭業業界の
M&Aニュース
葬祭業業界のM&Aニュースを表示します。
-
2025.10.23
燦ホールディングスとこころネット、経営統合へ
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2025.9.12
ニチリョク、金宝堂に葬祭会館「ラステル新横浜」事業を譲渡
-
2024.6.24
クラウディアHD、婚礼衣裳販売等のブライダルハウス島田を買収
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2024.6.19
ツカダ・グローバルHD、米国の持分法適用会社BT KALAKAUA,LLCの株式を追加取得し子会社化
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2023.10.26
こころネット傘下の喜月堂HD、子会社3社を吸収合併、商号変更へ
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2023.10.20
クラウディアHD、婚礼和装製造販売の二条丸八を子会社化へ
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2023.7.20
こころネット、喜月堂ホールディングスを子会社化へ
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2021.12.13
タメニー、資本業務提携及び第三者割当による新株式発行へ
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2021.1.13
こころネット、サービス付き高齢者向け住宅運営を展開するエルタへ事業譲渡へ
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2020.9.18
テイクアンドギヴ・ニーズ、連結子会社の全株式を不動産事業およびホテル事業のケン不動産リースに譲渡へ
葬祭業業界の
M&A仲介実績
日本M&Aセンターが仲介・支援して成約した葬祭業業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2025年9月までの実績を掲載しています。次回の更新(2025年10月~12月分)は2026年1月30日以降の予定です。
| 譲渡・売却企業 | 譲受け・買収企業 | |
|---|---|---|
| 2025年9月 | 理美容(北海道・東北) | セールスプロモーション(関東) |
| 2025年9月 | 測量・地質調査(中国・四国) | 建築工事(中国・四国) |
| 2025年9月 | 測量・地質調査(中国・四国) | 舗装工事(九州・沖縄) |
| 2025年9月 | 産業廃棄物処理(東海・北陸) | 産業廃棄物処理(関東) |
| 2025年9月 | 産業廃棄物処理(関東) | 産業廃棄物処理(関東) |
| 2025年9月 | 法人向けサービス(関東) | 会計事務所(関東) |
| 2025年9月 | エンターテインメント(中国・四国) | エンターテインメント(中国・四国) |
| 2025年9月 | 法人向けサービス(関東) | 自動車小売(関西) |
| 2025年9月 | 理美容(九州・沖縄) | 理美容(関東) |
| 2025年9月 | 法人向けサービス(関東) | 理美容(関東) |
サービス業界の
最新のM&A事例インタビュー
当社の仲介によりM&A・事業承継された事例を、経営者様へのインタビュー形式でご紹介します。
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【TOB事例インタビュー】ウェディング事業と貸会議室事業の意外なシナジー
譲渡:東京都中央区 ブライダル事業 (婚礼プロデュース部門・婚礼衣裳部門・レストラン部門)
譲受け:ウェディング関連事業を運営するノバレーゼは、2024年11月ティーケーピーによるTOBに賛同する意思決定を発表。TOB成立までの経緯を聞きました。
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「事務所をより大きくしていきたい」。あえて変えることを宣言し、PMIにも注力
譲渡:静岡県浜松市 社会保険・労働保険手続き等
譲受け:静岡県のM&パートナーズは、関東エリアの顧客増加を受け、東京の社会保険労務士事務所との吸収合併を行いました。代表にM&Aを通じた成長戦略について伺いました。
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「この先の人生をどう過ごしたいか」。60歳を前に決断した会社の進む道
譲渡:東京都荒川区 社会保険・労働保険手続き等
譲受け:11人のスタッフが在籍する社労士事務所の代表は、60歳を目前に、事務所の存続のためM&Aを選択しました。現在も代表として円滑な引き継ぎに注力する中、話を伺いました
葬祭業業界の
セミナー情報
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