税理士事務所・会計事務所業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2025年最新版

税理士事務所・会計事務所業界に関する最新のM&A動向をご紹介します。 近年の市場推移やトピックス、業界再編にまつわる情報、税理士事務所・会計事務所業界の周辺業界を含めたM&A・事業承継の事例をわかりやすく解説しています。 また、日本M&Aセンターが取り扱う最新のM&A案件、当社仲介によりM&Aを実行された経営者様の事例、 各業界の動向やM&A(第三者承継)への理解を深めるセミナー情報などもご紹介します。
更新:
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⽬次
税理士事務所・会計事務所業界の
動向について
会計事務所には、公認会計士事務所、税理士事務所、監査法人事務所、会社設立決算事務引受業が含まれています。会計事務所では、法人や個人の各種税務の相談、申告業務、記帳代行といった税務・会計に関するサービスを展開します。
税理士は主に税務に関する専門知識を持ち、個人や法人を対象に、税金の申告・税務書類作成の代理・税務コンサルティングなどを担います。一方、公認会計士は主に企業の財務に関する専門知識を有し、財務書類の作成や会計処理に関する監査や指導を担います。
会計事務所には、「ビッグ4」と呼ばれる世界的な会計事務所があります。これらはアーンスト&ヤング(EY)、デロイト・トウシュ・トーマツ(DTT)、KPMG、プライス・ウォーターハウス・クーパース(PwC)で、会計、監査、税務、コンサルティングなど多様な専門サービスを提供しています。これらの事務所は国際的に展開し、日本における主要な監査法人もビッグ4と提携関係にあります。
日本では、EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、有限責任あずさ監査法人、PwCあらた有限責任監査法人が4大監査法人として位置づけられています。公認会計士・監査審査会によれば、これらの法人は上場会社を100社以上監査し、常勤の監査実施者が1,000名以上在籍している大手監査法人に該当します。そのため、大手4法人は日本の上場企業の大多数を監査しているとされています。ビッグ4と中堅ファームがグローバルに活動する一方、日本市場では地域特化型ファームが優勢ですが、知名度と信頼性の面でビッグ4は依然として重要な存在です。
ビッグ4と中堅ファームは、主に買収を通じてITコンサルティング領域での事業拡大に投資しています。これらの動きは、税務・会計に関するサービスにとどまらない、クライアントからのコンサルティングサービス需要の高まりなどに起因しています。
日本税理士会連合会が2014年に実施した「第6回税理士実態調査」によると、税理士の年齢分布には明確な傾向があります。最も多い年齢層は60歳代であり、全体の70%以上が50歳以上です。一方、30歳代以下は約11%と非常に少なく、若手税理士の育成が課題となっています。税理士試験は合格までに数年を要し、国税専門官からの転身も多いため、税理士を取得するのは中高年層が中心です。
加えて、税理士は開業することで定年を気にせず働くことができるため、ミドル世代以上の人々がセカンドキャリアとして選ぶことも多いです。このような背景から、税理士業界は高齢化が進行しています。さらに、独立開業に向いている資格と言われる通り、この職業は独立開業を選ぶ人が多く、全体の70%以上を開業税理士が占めています。
税理士事務所・会計事務所業界の
事業継承M&A動向
総務省統計局の「事業所・企業統計調査」と「経済センサス」では、税理士事務所と公認会計士事務所の数がまとめられており、その数は2006年以降、減少が続いています。税理士法人の増加や高齢化による廃業が影響しているためです。
これらの結果から、公認会計士・税理士は高齢化と共に事務所数の減少が進んでいることが明らかです。税理士の将来的な人材確保や業界の活性化が求められる状況です。
会計事務所・税理士事務所の事業承継を行う場合、一般的には親族間承継、親族以外承継(従業員承継など)、M&A(第三者承継)の3つの方法があります。
親族間承継では、経営者の子どもや親族が事業を引き継げるため、計画的に進められ、資産の相続もスムーズです。しかし、税理士資格が必要です。親族以外承継の場合は、職員に引き継ぐことなどが考えられますが、手続きが複雑になりがちです。M&Aでは、既存事務所を譲渡・売却することで利益を見込めますが、譲渡先の選定が重要です。仲介会社に依頼するのも一つの手です。
税理士事務所・会計事務所業界における
M&A活用のメリット
税理士事務所・会計事務所業界におけるM&A活用のメリットをご紹介します。
- 譲渡側のメリット
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- 大手・中堅事務所とグループを形成することにより、関与先にワンストップサービスを提供できる。
- スムーズに後継者問題を解決できる
- 資格業のため元所長が残るケースも多い
- 税理士法人に参画する形態をとるケースが多いため、対外的にはM&Aとは判別できず、社会的な体面を保ったままM&Aのメリットを享受できることができる
- 適切な会社に譲渡すれば、職員の雇用は保証され、成長機会も増える
- 譲受け側のメリット
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- 通常の業務展開では難しい他の地域への進出が容易に可能
- MAS業務(経営支援)主体の事務所が、従来業務主体の事務所をM&Aすることにより関与先の増加のみならずコンサルティング収入の増加を見込むことも可能
- 関与先数の増加により業務のスケールメリットを見込むことができる
- 資格者や監査、コンサルティングなどの技能者を採用することができる
- 財務力強化・コストの削減(管理部門コスト等)
会計士・税理士事務所がM&Aによる事業承継を検討する理由は、主に4つあります。まず、後継者問題の解決です。中小企業を対象とする個人事務所は、若手の税理士、公認会計士が大手監査法人に流れるため、後継者確保が難しくなっています。また、税理士の試験を受ける若者が減少しており、税理士の数が将来的に減少する見込みです。次に、顧客基盤の拡大についてです。大手法人は新規顧客の開拓が必要ですが、M&Aによってそのコストを削減できます。税理士法の改正により、営業活動が自由化され、競争が激化したため、顧客基盤が安定していない事務所は収益が不安定になります。3つ目に、職員雇用の継続が挙げられます。事業承継を行うことで、職員の雇用を維持でき、人的資源を活用する重要性が増しています。最後に、売却益の獲得も可能となります。これにより生活の余裕を得られるだけでなく、新規ビジネスに挑戦するための資金として活用することができます。
税理士事務所・会計事務所業界で
M&Aを実行する際のポイント
税理士事務所・会計事務所業界でM&Aを実行する際に注意すべきポイントには、下記のようなものがあります。
- 税理士事務所のM&Aは業界独特の一定の相場が存在する。相場は地域や時期によって変化するが概ね一年分の顧問収入をベースに、双方の交渉で決定されるケースが多い
- 但し、これは申告業務にかかる個人事業の部分で、記帳代行やコンサルティングを別会社としている場合などは、通常の時価純資産方式やDCF方式が用いられる
- 関与先の剥落リスクについて、予め金額に反映させるケースも多い
- 税理士事務所のM&Aは株式の譲渡ではないため、株の売買ではなく事業の対価として金銭の授受が個人同士、或いは個人と法人(税理士法人)の間でなされる。其の名目については税務上の観点も考え十分に協議する必要がある
- 労務問題
会計事務所のM&Aは、一般的な企業のM&Aとは異なる特徴を持っています。多くの企業のM&Aでは、資産などの移動が生じます。例えば、製造業のM&Aでは工場などの建物や機械、建設業では重機などの資産が、譲渡企業から譲受け企業に移動します。一方、会計事務所は資産がほとんどないケースが多いため、こういった固定資産の移動は、基本的にはほとんどありません。そのため、会計事務所のM&Aの場合は、顧問先の数と顧問料を中心とした売上構成や利益を算定根拠として、譲渡価格を決定するケースが多くなります。そのため、顧客や顧問先の経営状況を確認し、M&A後に解約の可能性もある顧客・顧問先がないかを事前に精査しておきましょう。経営者と関係性の高い取引先については、引退後も取引継続が可能かも重要です。
つぎに、専門性の高い資格が核となるサービスであるため、有資格者である職員・従業員を円滑に引き継げるかが重要なポイントとなります。M&Aを機に独立を考えそうな方がいないかどうかなど、必ず確認しておきましょう。
また、事務所が法人化されている場合と個人事務所の場合では、M&Aの手法も異なります。法人化されている場合は株式譲渡が、個人事務所の場合は事業譲渡が一般的です。株式譲渡と事業譲渡では、手続きや税金関連、リスクなどが異なるため、注意が必要です。
これらのほかにも、M&Aを進めるにあたっては専門的な知識と幅広い知識が必要とされるため、専門家に相談することがおすすめです。
税理士事務所・会計事務所における
M&Aの価格相場
本業界のM&Aの価格・相場感の考え方についてお話します。M&Aには様々な評価方法があります。その一例として「取引事例法」をご紹介します。
取引事例法は、過去のM&A事例から、事業内容・地域・財務指標などが似ている企業の売買事例を選定し、その売買実績に基づいて価値算定を行う方法です。取引事例法において重要なのは、類似の取引事例を参考にすることです。しかし、「他社のM&A実績から価格を参考に知りたい」と思っても、非上場企業のM&Aでは、情報が非公開のため、ほとんど参照することはできません。
類似する条件を見つけるために非常に多くの事例の蓄積が必要になります。日本M&Aセンターでは、M&Aにおいて成約実績10,000件超、M&A成約件数のギネス世界記録™に4年連続で認定※されるなど、豊富な実績があります。事業内容・地域・財務指標などから似た会社の売買事例を選定し、一定のルールで公正な価値評価を算出することができます。
こちらから当社の株価算定シミュレーションを体験することができます。
※ギネス世界記録™:M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の最多取扱い企業(2020年~2023年)
では、より高い評価を得て、より高く会社を売るにはどうしたらよいでしょうか。また、魅力的な買い手企業を見つけるにはどうしたらよいでしょうか。M&Aの価格は最終的には売り手企業と買い手企業との交渉になるので、買い手企業にとって「この会社が欲しい」と思われる要素を増やしていくことが必要です。
例えば、どの業界でも、全体的に人材不足となっています。買い手企業からすれば、より若くて優秀な人材(税理士、公認会計士など)が確保できるようであれば、M&Aによって買収するメリットが大きくなります。
さらに、コンプライアンスやガバナンスの問題もあげられます。これはどちらかというと、交渉でマイナス要素を作らないという視点です。具体的には、顧客との間でのトラブルがないか、社会保険にしっかり加入しているか、などです。これらがあると潜在的な費用や負債として見られ、価格交渉上不利になりえます。事前にこれらの要素がクリアされていますと、買い手企業としても安心してM&Aを実行することができますし、価格交渉でのマイナスポイントが少なくスムーズに進めやすくなる傾向にあります。
なお、実際には個別の業種や取引環境等によって価格相場は変動しますし、場所や経営状態によっても大きく左右されます。初期的なご相談や、簡易的な株価診断は無料にておこなっておりますので、よりくわしく評価や課題について聞きたい方は、お問い合わせいただければ、弊社コンサルタントからご説明いたします。
税理士事務所・会計事務所における
M&Aによる事業承継の流れ
M&Aによる事業承継の一般的な流れは、以下のステップから構成されます。
まず、M&Aの希望がある場合、専門家への相談が必要です。具体的には、士業のネットワークや公的機関、金融機関、M&A仲介会社などが相談先として一般的です。自社に最適な承継相手を見つけるためには、専門会社のネットワークを利用することが有効であり、仲介まで依頼できる会社を選ぶとスムーズな進行が期待できます。
次に、承継先の選択を行います。この段階では、仲介会社からの提案を基に承継先を決定し、秘密保持契約書を締結して互いの会社資料を開示します。続いて、基本合意書を作成します。この合意書には、譲渡価格の概算、スケジュール、役員の処遇、独占交渉権の付与期間などが盛り込まれます。
その後、デューデリジェンスが行われます。この企業監査は、譲受側が譲渡側のリスクや資産価値を把握するために、専門家が財務状況や営業状況、IT環境などを調査し評価する重要なプロセスです。
次に、デューデリジェンスを経て最終契約書が締結されます。この契約書には、全ての条件が明示されます。最後に、最終契約締結後にクロージングが実施され、株式などの引き渡しやその対価の支払いが行われることで、M&Aが実行されるのです。このように、M&Aによる事業承継は、専門的な手続きと慎重な調査を経て進められます。
日本M&Aセンターは、創業時から会計事務所・税理士事務所とのつながりが深く、会計事務所・税理士事務所を営む先生方とのM&Aの実務経験を豊富に持っています。会計事務所・税理士事務所のM&Aにおいて、特有の論点に対応できるメンバーが全力で支援してまいります。お気軽にご相談ください。

株式会社日本M&Aセンター
業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。
税理士事務所・会計事務所業界の
M&A仲介実績
日本M&Aセンターが仲介・支援して成約した税理士事務所・会計事務所業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2025年3月までの実績を掲載しています。次回の更新(2025年4月~6月分)は2025年7月30日以降の予定です。
譲渡・売却企業 | 譲受け・買収企業 | |
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2025年3月 | 会計事務所(関東) | 会計事務所(関東) |
2025年3月 | 会計事務所(九州・沖縄) | 会計事務所(関西) |
2025年2月 | 会計事務所(関西) | 会計事務所(関西) |
2025年1月 | 会計事務所(関東) | 会計事務所(関東) |
2024年12月 | 士業事務所(関東) | 会計事務所(関東) |
2024年12月 | 会計事務所(関東) | 会計事務所(関東) |
2024年12月 | 会計事務所(中国・四国) | 会計事務所(中国・四国) |
2024年12月 | 会計事務所(東海・北陸) | 会計事務所(東海・北陸) |
2024年9月 | 会計事務所(関西) | 会計事務所(関西) |
2024年6月 | 会計事務所(東海・北陸) | 会計事務所(東海・北陸) |
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