税理士事務所・会計事務所業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2025年最新版

税理士事務所・会計事務所業界のM&A

税理士・会計事務所業界に関する最新のM&A動向をご紹介します。 近年の市場推移やトピックス、業界再編にまつわる情報、税理士・会計事務所業界の周辺業界を含めたM&A・事業承継の事例をわかりやすく解説しています。 また、日本M&Aセンターが取り扱う最新のM&A案件、当社仲介によりM&Aを実行された経営者様の事例、 各業界の動向やM&A(第三者承継)への理解を深めるセミナー情報などもご紹介します。

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税理士事務所・会計事務所業界の概要とM&A動向

会計事務所には、公認会計士事務所、税理士事務所、監査法人事務所、会社設立決算事務引受業が含まれています。会計事務所では、法人や個人の各種税務の相談、申告業務、記帳代行といった税務・会計に関するサービスを展開します。

税理士は主に税務に関する専門知識を持ち、個人や法人を対象に、税金の申告・税務書類作成の代理・税務コンサルティングなどを担います。一方、公認会計士は主に企業の財務に関する専門知識を有し、財務書類の作成や会計処理に関する監査や指導を担います。

会計事務所には、「ビッグ4」と呼ばれる世界的な会計事務所があります。これらはアーンスト&ヤング(EY)、デロイト・トウシュ・トーマツ(DTT)、KPMG、プライス・ウォーターハウス・クーパース(PwC)で、会計、監査、税務、コンサルティングなど多様な専門サービスを提供しています。これらの事務所は国際的に展開し、日本における主要な監査法人もビッグ4と提携関係にあります。
日本では、EY新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、有限責任あずさ監査法人、PwCあらた有限責任監査法人が4大監査法人として位置づけられています。公認会計士・監査審査会によれば、これらの法人は上場会社を100社以上監査し、常勤の監査実施者が1,000名以上在籍している大手監査法人に該当します。そのため、大手4法人は日本の上場企業の大多数を監査しているとされています。ビッグ4と中堅ファームがグローバルに活動する一方、日本市場では地域特化型ファームが優勢ですが、知名度と信頼性の面でビッグ4は依然として重要な存在です。
ビッグ4と中堅ファームは、主に買収を通じてITコンサルティング領域での事業拡大に投資しています。これらの動きは、税務・会計に関するサービスにとどまらない、クライアントからのコンサルティングサービス需要の高まりなどに起因しています。

日本税理士会連合会が2014年に実施した「第6回税理士実態調査」によると、税理士の年齢分布には明確な傾向があります。最も多い年齢層は60歳代であり、全体の70%以上が50歳以上です。一方、30歳代以下は約11%と非常に少なく、若手税理士の育成が課題となっています。税理士試験は合格までに数年を要し、国税専門官からの転身も多いため、税理士を取得するのは中高年層が中心です。
加えて、税理士は開業することで定年を気にせず働くことができるため、ミドル世代以上の人々がセカンドキャリアとして選ぶことも多いです。このような背景から、税理士業界は高齢化が進行しています。さらに、独立開業に向いている資格と言われる通り、この職業は独立開業を選ぶ人が多く、全体の70%以上を開業税理士が占めています。

税理士事務所・会計事務所業界の
事業継承M&A動向

総務省統計局の「事業所・企業統計調査」と「経済センサス」では、税理士事務所と公認会計士事務所の数がまとめられており、その数は2006年以降、減少が続いています。税理士法人の増加や高齢化による廃業が影響しているためです。
これらの結果から、公認会計士・税理士は高齢化と共に事務所数の減少が進んでいることが明らかです。税理士の将来的な人材確保や業界の活性化が求められる状況です。

会計事務所・税理士事務所の事業承継を行う場合、一般的には親族間承継、親族以外承継(従業員承継など)、M&A(第三者承継)の3つの方法があります。
親族間承継では、経営者の子どもや親族が事業を引き継げるため、計画的に進められ、資産の相続もスムーズです。しかし、税理士資格が必要です。親族以外承継の場合は、職員に引き継ぐことなどが考えられますが、手続きが複雑になりがちです。M&Aでは、既存事務所を譲渡・売却することで利益を見込めますが、譲渡先の選定が重要です。仲介会社に依頼するのも一つの手です。

税理士事務所・会計事務所業界をとりまく環境

税理士事務所・会計事務所業界は、日本の企業・個人の税務申告や会計処理を支える専門サービス産業であり、企業数の推移や税制改正、デジタル化、人材動向など多様な要因の影響を受けながら構造変化が進んでいます。本節では、市場規模や事業者構造、需要側の変化、制度・DX、人材・ガバナンスといった観点から、同業界をとりまく環境を整理します。

市場規模とサービス構成・顧客構造

総務省統計局「経済センサス-活動調査」において「7242 税理士事務所」に分類される税理士事務所の売上金額は、2012年に861,437百万円、2016年に1,074,475百万円、2021年には1,377,117百万円と推計されており、9年間で約1.6倍に拡大しています(単位:百万円、出典:総務省統計局「平成24年・平成28年・令和3年 経済センサス-活動調査」)。

同期間における従業者数は、2012年108,673人から2021年146,965人へ約35%増加しており(単位:人、同出典)、事務所数は減少傾向にある一方で、1事業所当たりの従業者数・売上高が着実に拡大していると解釈できます。

サービスの内訳としては、従来型の税務顧問料・決算申告業務・記帳代行が依然として売上の中核を占めつつも、近年は以下のような高付加価値サービスの比重が高まりつつあると考えられます。

  • 相続税申告、資産税コンサルティング、富裕層向け事業承継・資産承継支援
  • 中堅・中小企業向けの経営管理・CFO代行、管理会計・予算管理導入支援
  • スタートアップ・IPO準備企業向けの資本政策・ガバナンス・内部統制整備支援
  • M&A・組織再編・グループ通算制度対応など、再編・連結税務に関する支援
  • クラウド会計やバックオフィスBPO(給与計算・請求・支払処理等)の導入・運用支援

顧客構造を見ると、中小企業庁「中小企業の企業数・事業所数」によれば、2021年6月時点の中小企業数は336万者であり、日本全体の企業の大多数を中小企業・小規模事業者が占めています。この中小企業・小規模事業者に加え、個人事業主やフリーランス、副業人材の増加により、税務申告や帳簿作成の外部委託ニーズが拡大しています。総務省統計局の公表結果を踏まえた民間調査によれば、本業がフリーランスの有業者は2023年時点で約209万人とされており、全就業者に占めるフリーランスの比率も徐々に上昇しています(出典:総務省統計局「令和4年就業構造基本調査」を基にした民間推計)。

M&A観点
中長期的に売上規模は拡大しつつも、サービスミックスによって収益性が大きく異なる状況にあるため、M&Aでは「どの領域の売上が伸びているか」「定型業務と高付加価値業務の比率」「相続・事業承継・M&A・国際税務など成長領域のケイパビリティ」を精査し、成長セグメントに強みを持つ事務所を取得することで、短期間でのサービスライン拡充と平均単価向上を図ることが重要になります。

事業者数・事務所数と業界構造

総務省統計局「事業所・企業統計調査」および「経済センサス」を基にした分析では、税理士事務所・公認会計士事務所数は2000年代半ばをピークに減少基調にある一方、税理士法人の拠点数や売上規模は拡大していることが報告されています。民間調査の整理によれば、2012年から2016年にかけて税理士事務所数は約3.1万事務所から約2.7万事務所へ減少した一方で、売上金額は増加しており、事務所の大型化・法人化が進んだと指摘されています。

日本税理士会連合会が公表する税理士登録者・税理士法人届出数によれば、2024〜2025年時点で全国の税理士登録者数は約8万人台前半、税理士法人届出数は5,000法人超とされており、登録者数が横ばい〜微増で推移するなか、法人化・多拠点化が進行している状況がうかがえます。

また、地域別には、東京・大阪など大都市圏に登録者数が集中している一方、地方圏では高齢化と後継者不在により事務所数が減少している地域も確認されています。地方の小規模事務所では1拠点あたりの顧問先数が一定である一方で、都市部の中堅・大規模法人では1拠点あたりの従業者数・売上・顧問先数が相対的に大きく、規模の経済とブランド力を背景に広域展開を進めるケースが増えています。

このように、業界全体の売上・従業者数は増加する一方で、事務所数は頭打ち〜減少、規模の二極化が進行しており、「多数の小規模個人事務所」と「少数の大規模税理士法人・監査法人」という構造に向かっているとみることができます。

M&A観点
事務所数減少と売上規模の拡大は、大手・中堅事務所による統合・再編が進行していることの裏返しでもあります。今後も、地域に根差した小規模事務所の承継M&Aと、専門領域や業種特化に強みを持つ中堅事務所の統合が並行して進む可能性が高く、M&Aでは「地域補完」「顧問先ポートフォリオの補完」「税理士法人ネットワークへの組み込み」を意識したスキーム設計が重要になります。

需要側ファクター(企業・個人事業主・資産家の動向)

中小企業庁「中小企業の企業数・事業所数」によれば、中小企業の企業数は2016年から2021年にかけて減少しているものの、依然として全企業数の約99%超を占めており、日本経済の基盤を構成しています。企業数が横ばい〜微減となる一方、事業承継や第二創業、スタートアップの増加などにより、税務・会計の専門サービスに対するニーズは質的に多様化しています。

個人事業主・フリーランスについては、総務省統計局や内閣府の調査を基にした民間推計によれば、全就業者に占めるフリーランスの割合は3〜5%程度とされていますが、IT・クリエイティブ・専門サービスを中心に増加傾向にあります(内閣府「日本のフリーランスについて」、総務省統計局「令和4年就業構造基本調査」等)。フリーランス人口の拡大は、確定申告支援や経費管理・記帳代行、インボイス登録の判断など、新たな顧客セグメントの形成につながっています。

国税庁によれば、2023年10月にスタートしたインボイス制度(適格請求書等保存方式)に関連し、2023年中にインボイス発行事業者になった個人事業者は約198万人に達しました。消費税の仕入税額控除要件の厳格化により、インボイス登録・帳簿保存・請求書管理に関する実務負荷は増加しており、小規模事業者ほど税理士・会計事務所への相談ニーズが高まる傾向があります。

一方で、人口減少・高齢化の進行に伴い、事業承継の局面を迎える中小企業・個人事業主は増加しており、相続税・贈与税・事業承継税制・自社株評価などに関する高難度の相談が増えています。相続・資産税に強みを持つ税理士事務所や、M&A・事業承継に専門性を持つ事務所への需要は、今後も一定程度の成長が見込まれます。

M&A観点
企業・個人事業主の構造変化により、スタートアップ・フリーランス・インボイス対応・相続・M&A・国際税務などニッチ領域に強みを持つ事務所の価値が高まっています。M&Aでは、顧客ポートフォリオとサービス特化領域の組み合わせを精査し、成長セグメントに強い事務所を核として周辺事務所を統合することで、需給変化に対応したプラットフォーム型のグループを構築しやすくなります。

制度・規制・DX(税制改正・電子化・個人情報保護等)

税理士事務所・会計事務所業界は、税理士法、公認会計士法、会社法、金融商品取引法、電子帳簿保存法、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)、マイナンバー法など、多数の法令・制度のもとで業務を行っています。とくに、税務代理・税務書類の作成・税務相談を独占業務とする税理士法、公認会計士の業務範囲と独立性規制を定める公認会計士法は、業務範囲・責任・コンプライアンス水準を規定する基本法令です。

電子帳簿保存法は、税務関係帳簿書類のデータ保存を可能とする法律であり、国税庁の特設サイトでは「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3類型に応じた要件や、令和5年度税制改正による見直し内容が整理されています。これにより、電子データのまま保存することが容易になった一方、要件を満たさない運用を行った場合のリスク管理も重要性が増しています。

消費税のインボイス制度は、複数税率に対応し事業者が消費税を正確に納めるための仕組みとして2023年10月に開始されており、適格請求書発行事業者の登録・請求書発行・保存に関する実務対応が必須となりました。制度開始後も経過措置や実務運用に関するQ&Aの更新が継続しており、税理士事務所・会計事務所には継続的な制度フォローと顧問先への情報提供が求められています。

個人情報保護法および個人情報保護委員会の各種ガイドラインは、マイナンバー・給与情報・財務情報など機微性の高い情報を扱う税理士事務所にとって重要な枠組みです。個人データの取得・利用目的の特定、第三者提供・越境移転、漏えい時の報告義務などが詳細に規定されており、クラウドサービスの利用や外部委託時には契約面・技術面双方の安全管理措置の確認が不可欠です。

こうした制度改正・デジタル化の進展は、税理士事務所・会計事務所に対して、単なる「制度対応」のみならず、顧問先の業務プロセス全体のデジタル化・効率化を支援する役割を期待させています。一方で、システム投資・運用負荷や、法令の継続的なキャッチアップと内部規程・マニュアル整備が経営負担となる側面もあります。

※電子帳簿保存法やインボイス制度などの税制・制度は、毎年度の税制改正や省令・通達・Q&Aの更新により要件が見直されており、本文の記載内容は2025年12月時点の公表情報に基づく概要である点に留意が必要です。

M&A観点
制度・DX対応に先行投資し、クラウド会計・電子帳簿・インボイス・マイナンバー・個人情報保護等に関するノウハウや運用体制を確立している事務所は、他事務所との統合後にグループ標準を展開しやすいという特徴があります。M&Aでは、法令対応マニュアル・チェックリスト・システム運用体制を有する事務所を「制度・DXプラットフォーム」として位置付け、PMIでグループ全体に横展開することで、統合シナジーとコンプライアンス水準の均質化を同時に図ることが期待されます。

サービス供給体制・IT・外部パートナーとの連携

税理士事務所・会計事務所のサービス供給体制は、会計ソフト・クラウド会計・BPO事業者との連携によって大きく変化しています。クラウド会計ソフト市場では、弥生、freee、マネーフォワードなど上位数社による寡占が進んでおり、民間調査によれば個人事業主のクラウド会計利用率は2023年時点で30%超、2025年には38.3%に達したとされています。

クラウド会計ソフト「freee会計」は、2024年6月末時点で有料課金ユーザー企業数(個人事業主を含む)が約54万事業所に達しており、OBC「奉行シリーズ」は累計80万社以上への導入実績を有するとされています。こうしたソフトウェアベンダーと連携することで、税理士事務所はデータ連携・自動仕訳・電子申告・経営ダッシュボードなどを通じた効率化・高度化を図ることができます。

また、中小企業のIT活用に関する調査では、IT・ソフトウェアの分野別導入状況のうち「経理・経費・会計システム」の導入比率が最も高いとの結果が示されており、経理・会計領域は中小企業にとってIT投資の優先分野となっています。税理士事務所は、これらのシステム導入・運用支援のパートナーとして位置付けられつつあります。

供給体制の面では、記帳代行・データ入力・経理BPOを国内のバックオフィスセンターやニアショア・オフショア拠点に外部委託する動きも広がっています。標準化しやすい定型業務を外部化することで、事務所内の専門人材を高付加価値業務にシフトさせることが狙いです。一方で、品質管理・情報セキュリティ・個人情報保護上の管理体制をどのように維持するかが課題となります。

M&A観点
クラウド会計・BPO・経理アウトソーシングのプラットフォームを持つ事務所やグループ会社を取得することで、複数の税理士事務所の定型業務を集約し、標準化と規模の経済を同時に実現できる可能性があります。PMIでは、顧客マスタ・勘定科目体系・業務フロー・SLA(サービスレベル合意)を共通化し、グループ全体で同一のクラウド基盤・BPOセンターを利用することで、コスト削減と品質の均一化を図る戦略が有効です。

人材環境(資格者・スタッフ・採用・教育)

税理士登録者数は長期的には増加してきたものの、近年は増加ペースが鈍化しています。日本税理士会連合会の公表資料やそれを引用する民間調査によれば、2023年3月末時点の税理士登録者数は約8万〜8.1万人、2024年時点でも約8万人台前半で推移しているとされています。

一方で、税理士試験・公認会計士試験の受験者数は長期的に減少傾向にあり、若年層の専門資格志向の変化や、他の専門職種・IT分野へのキャリア選好の多様化が背景にあると指摘されています。結果として、税理士・公認会計士の有資格者数は横ばい〜微増であるのに対し、若手人材は相対的に希少なリソースとなっています。

日本税理士会連合会が実施した「税理士実態調査」を基にした2024年時点の分析では、税理士の年齢構成は60歳代が25%超、70歳代が約2割、60歳以上の合計が過半を占めており、高齢化の進展が明確になっています。若手・中堅層の比率が相対的に小さいことから、今後10〜15年の間に大量の世代交代が必要になると見込まれます。

給与水準については、会計事務所専門の人材紹介会社や求人サイトの集計によれば、都市部の中堅・大規模事務所では経験・資格に応じて年収水準が上昇傾向にあり、人材獲得競争が激化しています。一方で、地方の小規模事務所では報酬水準や労働環境の制約から採用難・定着難が深刻化しているケースも見られます。

働き方の面では、コロナ禍以降、リモートワーク・オンライン会議・フレックスタイム・副業容認など、多様な働き方が一部の事務所で導入されており、若手人材ほどワークライフバランスや柔軟な働き方を重視する傾向が強いとされています。このため、人材戦略は「資格者の確保」だけでなく、「働き方・教育・キャリアパスを含むトータルな人材価値提案」が求められる局面にあります。

M&A観点
人材確保・後継者問題は、多くの税理士事務所・会計事務所にとってM&A検討の主要なトリガーとなっています。承継M&Aにより、後継者不在の事務所の顧問先・スタッフ・ノウハウを引き継ぐことができるほか、大規模事務所・ネットワークへの参加により、若手人材に多様なキャリアパスや教育機会を提供できる余地が広がります。PMIでは、評価制度・報酬体系・パートナーシップ制度の統合が、優秀な資格者・スタッフの定着に直結する重要な論点となります。

ガバナンス・品質・コンプライアンス

税理士・公認会計士は、税理士法・公認会計士法に基づき、守秘義務・独立性・誠実義務などの倫理規範が課されています。税務代理・税務書類の作成に関する責任は重く、誤りや不正関与が発覚した場合には、懲戒処分・損害賠償・信用失墜など重大な影響を及ぼす可能性があります。

監査法人については、日本公認会計士協会が公表する「監査実施状況調査」や「上場企業監査人・監査報酬実態調査」などを通じて、監査に関与する公認会計士・補助者の人数、監査時間、監査報酬、品質管理の状況が定期的に集計されています。近年は、監査チームに占める補助者比率の上昇や、品質管理レビューの強化、ガバナンス体制の高度化などが課題として指摘されています。

税理士事務所・会計事務所においても、マネーロンダリング対策(AML/CFT)、反社会的勢力排除、贈収賄・独禁法・下請法等への対応、個人情報・マイナンバー情報の漏えい防止、サイバーセキュリティ対策など、広範なコンプライアンス課題への対応が求められています。特に、クラウドサービスや外部BPOを活用する場合には、委託先管理やアクセス権限管理、ログ管理など、ITガバナンスの整備が不可欠です。

品質確保の面では、業務マニュアル・チェックリスト・レビュー体制・ピアレビューなどを通じて、担当者ごとの品質ばらつきを抑制する取組みが重要です。大規模事務所ではISO等の認証取得や内部品質レビュー部門の設置、内部通報制度の整備など、組織的なガバナンス強化を進める動きも見られます。

M&A観点
品質管理・コンプライアンス体制が一定水準以上に整備された事務所は、グループ統合後に「品質・コンプライアンスのけん引役」となり得ます。M&Aの際には、財務情報や顧問先構成に加えて、品質管理規程・内部監査・コンプライアンス教育・情報セキュリティ対策の成熟度をデューデリジェンスで確認し、PMIにおいてグループ共通のガバナンス・品質基準として展開することが、ブランド価値とリスクコントロールの両面で重要になります。

税理士事務所・会計事務所業界の今後の課題と展望

税理士事務所・会計事務所業界は、利益率圧迫要因の顕在化、人材確保・後継者問題の深刻化、デジタル化・AIの進展、ガバナンス・コンプライアンス要請の高度化、地域間格差や企業倒産の増加など、複数の構造変化に直面しています。本節では、今後3〜5年程度を基本スパンとして、課題・対応策・M&A観点をセットで整理します。

まず、中期的な業界像を検討するうえで、以下のようなKPIが参考になります。

  • 1事務所当たり売上高(単位:万円/事務所)
  • 1人当たり売上・付加価値(単位:万円/人)
  • 顧問先数(事業者数・個人顧客数)
  • クラウド会計利用率(顧問先・事務所双方)
  • 相続・事業承継・M&A案件数(単位:件/年)
  • 資格者数・スタッフ数・離職率(単位:人・%)

ベースケースでは、経済成長率が緩やかに推移しつつ、インボイス制度・電子帳簿保存法・マイナンバー等の制度対応や、顧問先のDX支援ニーズを背景に、業界全体の売上は年率1〜3%程度の伸びを維持する一方、人件費・ITコストの上昇により利益率は横ばい〜やや低下するシナリオが想定されます。

上振れシナリオでは、クラウド会計・自動化ツールの導入が進み、1人当たり売上・付加価値が高まりつつ、高付加価値サービスへのシフトに成功した事務所を中心に利益率が改善する可能性があります。逆に下振れシナリオでは、価格競争と人件費・賃料・ITコストの増加が重なり、定型業務に依存した事務所の収益性が低下し、承継M&Aや事業縮小を余儀なくされる事例が増えるリスクがあります。

利益率圧迫要因と収益構造改革

課題
人件費の上昇、専門人材の採用競争、オフィス賃料の高止まり、セキュリティ対策を含むIT投資、電子帳簿保存法・インボイス制度対応のためのシステム更改などは、税理士事務所・会計事務所の固定費・準固定費を押し上げています。一方で、定型的な記帳代行や申告書作成業務はクラウド会計・AI・RPAの進展により価格競争にさらされており、顧問料の値上げは顧客離反リスクを意識する必要があるため容易ではありません。結果として、売上総利益率・営業利益率は圧迫されやすい構造にあります。
対応策
利益率改善に向けては、以下のような施策が想定されます。
  • 定型業務プロセスの標準化・マニュアル化・RPA導入による処理時間短縮と属人性低減
  • クラウド会計・電子申告・ワークフローシステム等の統合により、入力・確認・承認プロセスを一元管理
  • 経営計画策定・資金繰り・管理会計導入支援・M&A・事業承継・国際税務など、高付加価値サービス比率の拡大
  • 報酬体系の見直し(タイムチャージから価値ベース・サブスクリプション型への移行を含む)
  • オフィスの集約・サテライトオフィス・リモートワーク活用による固定費の軽減
M&A観点
M&Aでは、システム・業務フロー・料金体系を統一することにより、バックオフィス機能・管理部門を集約し、規模の経済と範囲の経済を同時に追求するシナリオが考えられます。PMIにおいては、顧客マスタ・勘定科目体系・報酬マスタ・与信・請求・回収プロセスの統合が重要な論点となり、グループ全体で共通のクラウド基盤を採用することで、システム投資の重複を回避しつつ利益率の底上げを図ることが可能です。収益性の高い高付加価値サービスを提供する事務所をハブとして統合を進めることで、グループ全体の収益構造を徐々にシフトさせる戦略も有効です。

人材確保・後継者問題

課題
前述のとおり、税理士・公認会計士の登録者数は横ばい〜微増である一方、年齢構成は60歳以上が過半を占める高齢化構造となっています。地方の小規模事務所ほど、後継者となり得る若手税理士・公認会計士の確保が難しく、所長の高齢化とともに顧問先の将来対応に不安を抱くケースが増えています。また、都市部の中堅・大規模事務所であっても、優秀な若手・中堅人材の採用・定着競争が激化しており、給与水準だけでなく、働き方・キャリアパス・教育環境など総合的な魅力が問われています。
対応策
人材確保・育成に向けては、以下のような施策が考えられます。
  • リモートワーク・時短勤務・副業容認など、多様な働き方の導入による採用プールの拡大
  • 評価制度・昇進プロセスの透明化と、パートナーシップへの明確なキャリアパスの提示
  • 税務・会計に加え、M&A・事業承継・国際税務・DXなど新領域の研修・OJTの充実
  • 人事評価における「教育・ナレッジ共有」へのインセンティブ付与
  • 地方事務所と都市部事務所間の人材交流・出向・オンラインOJTの仕組み作り
併せて、所長の高齢化に備えた計画的な事業承継・パートナーシップ移行を進めることで、顧問先と従業員双方に安心感を提供する必要があります。
M&A観点
後継者不在の事務所にとって、第三者承継型M&Aは重要な選択肢です。譲渡側にとっては、顧問先・従業員・ブランドを継続させつつ、所長が段階的に引退できるメリットがあり、譲受側にとっては、一定規模の顧問先・スタッフ・ノウハウを一括して獲得できるメリットがあります。PMIでは、評価制度・報酬体系・パートナーシップ制度を早期に統合し、旧所長の役割・残留期間・次世代パートナー候補の位置づけを明確にすることで、モチベーションと離職リスクの管理が重要になります。

デジタル/データ活用・AIの影響

課題
クラウド会計・電子帳簿保存法・インボイス制度対応の進展により、仕訳・帳票照合・集計などの定型業務は急速に自動化可能な領域となっています。民間調査によれば、個人事業主のクラウド会計利用率は2025年時点で約4割弱に達し、主要ベンダーのクラウド会計ユーザーは合計で数十万〜100万事業所規模に拡大しています。AI・機械学習の活用により、自動仕訳、異常検知、経営ダッシュボードの自動生成、申告書の自動チェックなど、税務・会計実務の高度化・効率化が進む一方で、「定型業務の差別化要因としての価値」は相対的に低下しつつあります。投資負担やIT選定の難しさ、既存システムとの統合、セキュリティリスク、IT人材不足などから、十分なDXを進められていない事務所も少なくありません。
対応策
DX・AI活用においては、単独事務所でゼロから開発・運用するのではなく、以下のような戦略が現実的です。
  • クラウド会計・ワークフロー・文書管理・電子契約などSaaSの組み合わせを標準プラットフォームとして採用
  • AI搭載の自動仕訳・OCR・チャットボット等を活用し、専門家のレビューにリソースを集中
  • ITベンダーやクラウド会計ベンダーとのパートナーシップ(認定アドバイザー制度など)を活用
  • 所内にDX推進担当者を置き、業務フローとシステムを一体で設計・見直し
  • 顧問先向けに「DX診断」「クラウド会計導入支援」「ペーパーレス経理」などのサービスラインを整備し、自社のDXと顧問先のDXを連動させる
M&A観点
DXに先行して投資し、クラウド会計・ワークフロー・データ連携基盤を有する事務所や、IT子会社・システム会社とグループを形成している事務所は、M&Aにおいて「デジタル・プラットフォーム」の中核となり得ます。こうした事務所を譲受し、PMIで顧客マスタ・勘定科目体系・権限設定・ログ管理などのマスタ統合を進めることで、グループ全体のデータ基盤を統一し、経営ダッシュボード・KPIモニタリング・リスク管理を一体的に高度化することが可能です。

ガバナンス/コンプライアンス・リスク管理

課題
税務・会計の専門サービスは、虚偽申告や粉飾決算、不適切な節税スキーム、不十分なAML/CFT対応など、コンプライアンス違反が生じた場合の影響が大きい領域です。個人情報保護法やマイナンバー制度のもとでは、財務情報や個人番号の漏えいに対する社会的な目も厳しくなっており、クラウドサービス・外部委託の活用に伴い、サイバー攻撃や内部不正のリスクも増大しています。組織規模が拡大し、複数拠点・多数のパートナー・スタッフを抱える事務所ほど、ガバナンス・品質管理・コンプライアンス統制の難易度は上昇します。
対応策
ガバナンス・コンプライアンス強化に向けては、以下のような取り組みが求められます。
  • 税理士法・公認会計士法・個人情報保護法・マイナンバー法・AML/CFT関連法等に基づくコンプライアンス方針・行動規範の明文化
  • 業務プロセスごとのチェックリスト・レビュー手続・承認ルールの整備
  • 内部通報制度・コンプライアンス窓口の設置と匿名通報の仕組み
  • 情報セキュリティポリシー・アクセス権限管理・ログ監査・多要素認証等の技術的対策
  • 定期的なコンプライアンス研修・eラーニングの実施と、違反時の対応方針の明確化
加えて、大規模な災害・感染症・サイバーインシデントに備えたBCP(事業継続計画)を策定し、データバックアップ・代替拠点・リモートワーク体制を整備することも重要です。
M&A観点
M&Aにおいては、譲渡側事務所のコンプライアンス・リスク管理水準を適切に把握することが重要であり、デューデリジェンスで過去の指摘・処分・情報漏えい・内部不正・AML/CFT対応状況等を確認する必要があります。譲受後は、グループ共通のコンプライアンス・品質管理フレームワークを適用し、内部監査・品質レビュー・情報セキュリティ基準を順次統一していくことが望ましいです。品質管理の水準が高い事務所をコアとして再編を進めることで、グループ全体のブランド価値とリスクプロファイルを改善する方向でのPMIが想定されます。

拠点戦略・地域エコシステムとの連携

課題
都市圏への人口・企業集中と、地方圏における人口減少・高齢化により、地域ごとに税理士事務所・会計事務所の需給バランスは大きく異なります。地方では、所長の高齢化と後継者不在により事務所数が減少する一方、地域金融機関・商工会議所・自治体・他士業(弁護士・社会保険労務士・司法書士等)との連携を通じて、地域包括的な事業承継・再生支援が求められる局面が増えています。コロナ禍を契機にオンライン面談・リモートワークが普及した結果、立地の制約は緩和されつつありますが、地域密着型の信頼関係の重要性は依然として高い状況です。
対応策
拠点戦略・地域連携に関しては、以下のような方向性が考えられます。
  • 主要都市圏にハブ拠点を設けつつ、地方には規模を絞ったサテライト拠点や提携事務所網を構築
  • 地域金融機関・商工会議所・自治体・スタートアップ支援機関と連携し、共同セミナー・相談会・専門家派遣を通じた顧客基盤の拡大
  • 同一地域内の士業(弁護士・社労士・司法書士・弁理士等)との連携によるワンストップサービス体制の構築
  • オンライン面談・クラウドツールの活用により、地理的距離を超えたサービス提供を行いつつ、地域特性に応じた対面サポートも適宜組み合わせる
M&A観点
M&Aでは、地域ごとのハブ事務所となりうる中堅事務所を核に、近隣の小規模事務所を段階的に統合するシナリオが想定されます。これにより、地域におけるブランド力・採用力・サービス提供力を高めつつ、顧問先の事業承継・再生ニーズに一体的に対応することが可能になります。また、地方優良事務所の承継M&Aを通じて、都市部の大規模事務所が地域エコシステムに参画し、地域金融機関・自治体との連携を強化する動きも今後増える可能性があります。

倒産・再編の地合いとM&Aマーケット

課題
帝国データバンクおよび東京商工リサーチの集計によれば、2024年の全国企業倒産件数は前年比2桁増となり、件数は約1万件規模と、2010年代前半以来の高水準に達しています。背景には、人件費・エネルギー価格・物流コストの上昇、ゼロゼロ融資の返済負担、金利上昇期待などがあり、特に中小・小規模企業の倒産・廃業が増加しています。企業倒産の増加は、税理士事務所・会計事務所にとって、顧問先の減少や売掛金の回収不能リスクといったマイナス要因をもたらす一方で、事業再生・再編・M&A支援、事業承継・廃業支援といった新たなコンサルティングニーズも生み出します。顧問先ポートフォリオが特定業種・地域に偏っている事務所ほど、景気変動・制度変更・コスト増の影響を受けやすくなります。
対応策
倒産・再編の地合いに対応するためには、以下のような視点が重要です。
  • 顧問先ポートフォリオを業種・地域・規模別に把握し、リスク集中の有無を定期的にモニタリング
  • 事業承継・廃業・M&A・再生支援に関するノウハウを蓄積し、顧問先に早期相談を促す
  • 金融機関・再生支援機関・専門家ネットワークとの連携を強化し、協働スキームを構築
  • 顧問契約における報酬体系(成功報酬・月額フィー・プロジェクトフィー)のバランスを見直し、景気変動に強い収益構造を設計
M&A観点
M&Aマーケットの観点では、企業倒産・休廃業の増加は、税理士事務所・会計事務所自身の承継ニーズ拡大だけでなく、顧問先の第三者承継案件の増加にも直結します。譲受側としては、顧問先・人材・ノウハウが一体となった事務所の取得により、安定した収益基盤を確保しつつ、再生・事業承継・M&A支援機能を強化することが可能です。バリュエーションにおいては、顧問先の継続率・業種ポートフォリオ・単価水準・クロスセル余地などを定量化し、PMIでのシナジー(顧問先の増加・高付加価値サービスの追加・コストシナジー)を織り込んだ評価が求められます。
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厚生労働省「統計からみるハイヤー・タクシー運転者の仕事」
e-Gov法令検索「道路運送法」
e-Gov法令検索「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」
経済産業省 資源エネルギー庁「燃料油価格定額引下げ措置」
燃料油価格定額引下げ措置事務局「ガソリン全国平均価格の推移」
一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「統計調査」
一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「タクシー事業の現状」
一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「タクシー運転者の年収・労働時間」
一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「TAXI TODAY in Japan 2025」
一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「営業収入の対2019年同月比(2020年1月〜2025年9月)
政府統計の総合窓口(e-Stat)「自動車輸送統計調査 年報」
燃料代高騰の推移と見直しのポイント!高速道路をお得に走るならエヌ・ビー・シー協同組合
一般財団法人日本エルピーガス協会「統計資料:価格」
国土交通省「ハイヤー・タクシーの車両数及び輸送人員」
国土交通省観光庁「インバウンド消費動向調査 2024年暦年の調査結果(確報)の概要」
統計局「人口推計(2024年(令和6年)10月1日現在)」
内閣府規制改革推進会議「タクシー運転手の現状とタクシーに関する事故データ」

税理士事務所・会計事務所業界における
M&A活用のメリット

税理士事務所・会計事務所業界におけるM&A活用のメリットをご紹介します。

譲渡側のメリット
  • 大手・中堅事務所とグループを形成することにより、関与先にワンストップサービスを提供できる。
  • スムーズに後継者問題を解決できる
  • 資格業のため元所長が残るケースも多い
  • 税理士法人に参画する形態をとるケースが多いため、対外的にはM&Aとは判別できず、社会的な体面を保ったままM&Aのメリットを享受できることができる
  • 適切な会社に譲渡すれば、職員の雇用は保証され、成長機会も増える
譲受け側のメリット
  • 通常の業務展開では難しい他の地域への進出が容易に可能
  • MAS業務(経営支援)主体の事務所が、従来業務主体の事務所をM&Aすることにより関与先の増加のみならずコンサルティング収入の増加を見込むことも可能
  • 関与先数の増加により業務のスケールメリットを見込むことができる
  • 資格者や監査、コンサルティングなどの技能者を採用することができる
  • 財務力強化・コストの削減(管理部門コスト等)

会計士・税理士事務所がM&Aによる事業承継を検討する理由は、主に4つあります。まず、後継者問題の解決です。中小企業を対象とする個人事務所は、若手の税理士、公認会計士が大手監査法人に流れるため、後継者確保が難しくなっています。また、税理士の試験を受ける若者が減少しており、税理士の数が将来的に減少する見込みです。次に、顧客基盤の拡大についてです。大手法人は新規顧客の開拓が必要ですが、M&Aによってそのコストを削減できます。税理士法の改正により、営業活動が自由化され、競争が激化したため、顧客基盤が安定していない事務所は収益が不安定になります。3つ目に、職員雇用の継続が挙げられます。事業承継を行うことで、職員の雇用を維持でき、人的資源を活用する重要性が増しています。最後に、売却益の獲得も可能となります。これにより生活の余裕を得られるだけでなく、新規ビジネスに挑戦するための資金として活用することができます。

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税理士事務所・会計事務所業界で
M&Aを実行する際のポイント

税理士事務所・会計事務所業界でM&Aを実行する際に注意すべきポイントには、下記のようなものがあります。

  • 税理士事務所のM&Aは業界独特の一定の相場が存在する。相場は地域や時期によって変化するが概ね一年分の顧問収入をベースに、双方の交渉で決定されるケースが多い
  • 但し、これは申告業務にかかる個人事業の部分で、記帳代行やコンサルティングを別会社としている場合などは、通常の時価純資産方式やDCF方式が用いられる
  • 関与先の剥落リスクについて、予め金額に反映させるケースも多い
  • 税理士事務所のM&Aは株式の譲渡ではないため、株の売買ではなく事業の対価として金銭の授受が個人同士、或いは個人と法人(税理士法人)の間でなされる。其の名目については税務上の観点も考え十分に協議する必要がある
  • 労務問題

会計事務所のM&Aは、一般的な企業のM&Aとは異なる特徴を持っています。多くの企業のM&Aでは、資産などの移動が生じます。例えば、製造業のM&Aでは工場などの建物や機械、建設業では重機などの資産が、譲渡企業から譲受け企業に移動します。一方、会計事務所は資産がほとんどないケースが多いため、こういった固定資産の移動は、基本的にはほとんどありません。そのため、会計事務所のM&Aの場合は、顧問先の数と顧問料を中心とした売上構成や利益を算定根拠として、譲渡価格を決定するケースが多くなります。そのため、顧客や顧問先の経営状況を確認し、M&A後に解約の可能性もある顧客・顧問先がないかを事前に精査しておきましょう。経営者と関係性の高い取引先については、引退後も取引継続が可能かも重要です。
つぎに、専門性の高い資格が核となるサービスであるため、有資格者である職員・従業員を円滑に引き継げるかが重要なポイントとなります。M&Aを機に独立を考えそうな方がいないかどうかなど、必ず確認しておきましょう。
また、事務所が法人化されている場合と個人事務所の場合では、M&Aの手法も異なります。法人化されている場合は株式譲渡が、個人事務所の場合は事業譲渡が一般的です。株式譲渡と事業譲渡では、手続きや税金関連、リスクなどが異なるため、注意が必要です。
これらのほかにも、M&Aを進めるにあたっては専門的な知識と幅広い知識が必要とされるため、専門家に相談することがおすすめです。

税理士事務所・会計事務所における
M&Aの価格相場

本業界のM&Aの価格・相場感の考え方についてお話します。M&Aには様々な評価方法があります。その一例として「取引事例法」をご紹介します。
取引事例法は、過去のM&A事例から、事業内容・地域・財務指標などが似ている企業の売買事例を選定し、その売買実績に基づいて価値算定を行う方法です。取引事例法において重要なのは、類似の取引事例を参考にすることです。しかし、「他社のM&A実績から価格を参考に知りたい」と思っても、非上場企業のM&Aでは、情報が非公開のため、ほとんど参照することはできません。
類似する条件を見つけるために非常に多くの事例の蓄積が必要になります。日本M&Aセンターでは、M&Aにおいて成約実績10,000件超、M&A成約件数で世界No.1*のギネス世界記録™に5年連続で認定されるなど、豊富な実績があります。事業内容・地域・財務指標などから似た会社の売買事例を選定し、一定のルールで公正な価値評価を算出することができます。

こちらから当社の株価算定シミュレーションを体験することができます。

※ギネス世界記録™:2024年 M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の最多取扱い企業 2020年から5年連続でギネス世界記録™に認定

あなたの会社の評価額はいくら?

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あなたの会社が現在どう評価をされるか、ぜひ見てみませんか?

では、より高い評価を得て、より高く会社を売るにはどうしたらよいでしょうか。また、魅力的な買い手企業を見つけるにはどうしたらよいでしょうか。M&Aの価格は最終的には売り手企業と買い手企業との交渉になるので、買い手企業にとって「この会社が欲しい」と思われる要素を増やしていくことが必要です。
例えば、どの業界でも、全体的に人材不足となっています。買い手企業からすれば、より若くて優秀な人材(税理士、公認会計士など)が確保できるようであれば、M&Aによって買収するメリットが大きくなります。
さらに、コンプライアンスやガバナンスの問題もあげられます。これはどちらかというと、交渉でマイナス要素を作らないという視点です。具体的には、顧客との間でのトラブルがないか、社会保険にしっかり加入しているか、などです。これらがあると潜在的な費用や負債として見られ、価格交渉上不利になりえます。事前にこれらの要素がクリアされていますと、買い手企業としても安心してM&Aを実行することができますし、価格交渉でのマイナスポイントが少なくスムーズに進めやすくなる傾向にあります。

なお、実際には個別の業種や取引環境等によって価格相場は変動しますし、場所や経営状態によっても大きく左右されます。初期的なご相談や、簡易的な株価診断は無料にておこなっておりますので、よりくわしく評価や課題について聞きたい方は、お問い合わせいただければ、弊社コンサルタントからご説明いたします。

税理士事務所・会計事務所における
M&Aによる事業承継の流れ

M&Aによる事業承継の一般的な流れは、以下のステップから構成されます。
まず、M&Aの希望がある場合、専門家への相談が必要です。具体的には、士業のネットワークや公的機関、金融機関、M&A仲介会社などが相談先として一般的です。自社に最適な承継相手を見つけるためには、専門会社のネットワークを利用することが有効であり、仲介まで依頼できる会社を選ぶとスムーズな進行が期待できます。
次に、承継先の選択を行います。この段階では、仲介会社からの提案を基に承継先を決定し、秘密保持契約書を締結して互いの会社資料を開示します。続いて、基本合意書を作成します。この合意書には、譲渡価格の概算、スケジュール、役員の処遇、独占交渉権の付与期間などが盛り込まれます。
その後、デューデリジェンスが行われます。この企業監査は、譲受側が譲渡側のリスクや資産価値を把握するために、専門家が財務状況や営業状況、IT環境などを調査し評価する重要なプロセスです。
次に、デューデリジェンスを経て最終契約書が締結されます。この契約書には、全ての条件が明示されます。最後に、最終契約締結後にクロージングが実施され、株式などの引き渡しやその対価の支払いが行われることで、M&Aが実行されるのです。このように、M&Aによる事業承継は、専門的な手続きと慎重な調査を経て進められます。

日本M&Aセンターは、創業時から会計事務所・税理士事務所とのつながりが深く、会計事務所・税理士事務所を営む先生方とのM&Aの実務経験を豊富に持っています。会計事務所・税理士事務所のM&Aにおいて、特有の論点に対応できるメンバーが全力で支援してまいります。お気軽にご相談ください。

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株式会社日本M&Aセンター

業界別M&Aレポート編集部

株式会社日本M&Aセンター

業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。

税理士事務所・会計事務所業界の
M&A仲介実績

日本M&Aセンターが仲介・支援して成約した税理士事務所・会計事務所業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2025年9月までの実績を掲載しています。次回の更新(2025年10月~12月分)は2026年1月30日以降の予定です。

譲渡・売却企業 譲受け・買収企業
2025年9月 法人向けサービス(関東) 会計事務所(関東)
2025年6月 会計事務所(東海・北陸) 会計事務所(東海・北陸)
2025年3月 会計事務所(九州・沖縄) 会計事務所(関西)
2025年3月 会計事務所(関東) 会計事務所(関東)
2025年2月 会計事務所(関西) 会計事務所(関西)
2025年1月 会計事務所(関東) 会計事務所(関東)
2024年12月 士業事務所(関東) 会計事務所(関東)
2024年12月 会計事務所(東海・北陸) 会計事務所(東海・北陸)
2024年12月 会計事務所(中国・四国) 会計事務所(中国・四国)
2024年12月 会計事務所(関東) 会計事務所(関東)

税理士事務所・会計事務所業界のM&A仲介実績一覧

税理士事務所・会計事務所業界の
最新のM&A事例インタビュー

当社の仲介によりM&A・事業承継された税理士事務所・会計事務所業界の事例を、経営者様へのインタビュー形式でご紹介します。

税理士事務所・会計事務所業界のM&A事例インタビュー一覧

税理士事務所・会計事務所業界の
セミナー情報

当社では、M&Aや事業承継をはじめ、経営に役立つさまざまセミナーを開催しております。ぜひご参加ください。

税理士事務所・会計事務所業界向けセミナー一覧

業界別M&A・事業承継の動向

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