放送・出版・コンテンツ制作業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2025年最新版

放送・出版・コンテンツ制作業界のM&A

放送・出版・コンテンツ制作業界に関する最新のM&A動向をご紹介します。 近年の市場推移やトピックス、業界再編にまつわる情報、放送・出版・コンテンツ制作業界の周辺業界を含めたM&A・事業承継の事例をわかりやすく解説しています。 また、日本M&Aセンターが取り扱う最新のM&A案件、当社仲介によりM&Aを実行された経営者様の事例、 各業界の動向やM&A(第三者承継)への理解を深めるセミナー情報などもご紹介します。

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⽬次

放送・出版・コンテンツ制作業界の概要とM&A動向

放送・出版・コンテンツ制作業界には、地上波放送・CATV・衛星放送・ラジオ放送などの放送業務や、新聞・書籍・雑誌・地図・フリーペーパーなどの出版、アニメ・音楽・映画・ゲーム・モバイルコンテンツなどの企画・制作が含まれています。
大手企業の中で例を挙げると、フジ・メディア・ホールディングス、TBSホールディングス、任天堂、東映、日本コロムビア、KADOKAWAなどを本サイトではこの業界に分類しています。

放送・出版・コンテンツ制作業界をとりまく環境

市場・収益構造

放送・出版・コンテンツ制作業界は、広告(放送・新聞・雑誌等)、購読・課金(紙・電子の販売、サブスク)、配信(動画・音声のストリーミング)、権利・ライセンス(IPの二次利用、海外販売、商品化)、制作受託(番組・映像・記事・広告制作)といった複数の収益源で構成され、近年は「広告費の媒体シフト」と「デジタル課金・配信の伸長」が同時進行しています。
日本の広告市場は、2024年の総広告費が7兆6,730億円(前年比104.9%)で、2019年(6兆9,381億円)比で10.6%増です。
内訳では、2024年のインターネット広告費が3兆6,517億円(前年比109.6%)で構成比47.6%まで拡大しており、2019年の2兆1,048億円から73.5%増となっています。
一方で、マスコミ四媒体広告費は2024年2兆3,363億円(前年比100.9%)で構成比30.4%です。
媒体別にみると、2024年のテレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連)は1兆7,605億円(前年比101.5%)、新聞広告費は3,417億円(前年比97.3%)、雑誌広告費は1,179億円(前年比101.4%)、ラジオ広告費は1,162億円(前年比102.0%)です。

放送事業者サイドの収益(事業収入)に目を向けると、民放連の集計では会員社(衛星系2社除く計205社)の2024年度決算において、地上波の売上高総額は2兆1,833億円(前年同期比1.9%増)、経常利益は1,265億円(前年同期比11.7%増)で、売上高経常利益率は5.8%です。

同資料では、地上波の売上高内訳として、テレビ放送事業収入が1兆7,518億円(前年同期比1.4%増)、ラジオ放送事業収入が1,013億円(前年同期比0.5%減)とされ、その他事業収入も増加しています。

出版については、2024年の出版市場(紙+電子)の推定販売金額が1兆5,716億円(前年比1.5%減)で、内訳は紙の出版が1兆56億円(前年比5.2%減)、電子出版が5,660億円(前年比5.8%増)です。

電子出版の内訳では、2024年の電子コミックが5,122億円、電子書籍が452億円、電子雑誌が86億円とされ、電子コミック単体で5,000億円を突破し「2019年から5年間で倍増」と整理されています。

コンテンツ制作(映像・アニメ等)のうち映画(興行)では、2024年の興行収入が206,983百万円、入場者数が144,441千人、スクリーン数が3,675本です。

同資料の映像ソフト市場推計では、有料動画配信の市場売上が2019年2,404億円から2023年5,991億円へ増加し、ビデオソフト(パッケージ等)の市場売上は2019年3,235億円から2023年2,132億円へ減少しています。

アニメについては、2023年のアニメ産業市場(広義)が3兆3,465億円(前年比114.3%)で、2019年(2兆5,145億円)比で33.1%増です。

ジャンル別では、配信が2019年685億円から2023年2,501億円へ大きく伸長し、海外市場も2019年1兆2,009億円から2023年1兆7,222億円へ拡大しています。

音楽(録音・配信)では、2023年の音楽ソフト(オーディオレコード+音楽ビデオ)総生産金額が2,207億円、音楽配信売上が1,165億円で、音楽配信の内訳はストリーミング1,056億円、ダウンロード102億円とされています。

これらの統計は、広告(媒体別)・課金(紙→電子、配信→ストリーミング)・権利(海外、商品化)という複線で収益源が組み替わっていることを示しており、単一の「広告依存」や「紙依存」を前提にした事業設計は難易度が上がっています。

※電通「日本の広告費」は推定範囲の改定が複数回あり、特に2014年に「テレビ」区分を「テレビメディア(地上波テレビ+衛星メディア関連)」へ変更し2012年に遡及集計しています。また2019年より「物販系ECプラットフォーム広告費」「イベント」領域を追加推定しており、前後比較では定義差に留意が必要です。

M&A観点
収益源の分散(広告依存の低減、サブスク/権利収入の獲得)を目的に、IP保有・配信・広告技術・データを補完する統合が合理化しやすいです。

需要側ファクター

需要側では、広告主の予算配分が「マス→デジタル」へ移行していることが最も大きな変化です。2024年はインターネット広告費が3兆6,517億円(構成比47.6%)まで拡大し、マスコミ四媒体広告費は2兆3,363億円(構成比30.4%)です。

この媒体シフトは、放送・新聞・雑誌の広告収益に下押し圧力として働く一方で、コネクテッドTV(CTV)など「テレビ受像機上のデジタル広告」や、出版社・放送局が保有するコンテンツ制作力を活かしたデジタル施策(タイアップ、SNS二次展開等)を通じて再配分を取り込む機会にもなります。

閲読行動では、紙媒体のボリューム減少が継続しています。新聞の発行部数(10月時点、合計)は2019年37,811,248部から2024年26,616,578部へ減少しており、5年間で29.6%減です。

出版市場も紙の出版物(書籍・雑誌)が2024年1兆56億円(前年比5.2%減)と縮小する一方、電子出版は2024年5,660億円(前年比5.8%増)と成長しており、課金行動が「紙の購読・購入」から「電子・ストア・サブスク型」へ移っていることが確認できます。

動画・音声では、ストリーミング課金の拡大が明確です。映像ソフト市場推計では有料動画配信の市場売上が2019年2,404億円から2023年5,991億円へ増加しています。

音楽配信でも、2023年の配信売上1,165億円のうちストリーミングが1,056億円(売上金額区分別シェアが9割超)とされ、広告型・サブスク型の比重が高まっています。

IP消費(アニメ等)では、海外需要の寄与が拡大しています。アニメ産業市場の海外は2019年1兆2,009億円から2023年1兆7,222億円へ拡大しており、国内の人口動態に左右されにくい外需の重要性が増しています。

人口動態は、若年層の減少と高齢化が進むなかで、媒体接触の分散(TV・SNS・動画配信・音声・ゲーム等)を通じて「リーチの希少性」と「ファンの深さ」の両面で影響する可能性がありますが、定量の把握は総務省統計局等の公表資料で確認が必要です(総務省統計局「人口推計」)。

※日本新聞協会の世帯数は住民基本台帳を用い、2014年から基準日が「1月1日現在」に変更されています。

M&A観点
リーチの低下や媒体分散に対応するため、番組/記事の二次利用、ID/CRM、コネクテッドTV等のデータ資産を獲得する買収が検討されやすいです。

事業者・拠点・設備動向

事業者構造は、放送(免許・系列・ネットワーク)、出版(取次・書店・返品)、制作(委託・外注・スタジオ/ポスプロ)という異なる制約条件の上に成立しています。

放送では、民放連が会員社(衛星系2社除く計205社)の決算を集計しており、地上波の売上高総額は2024年度2兆1,833億円です。

制作領域では、番組・映像制作の外注比率が高く、ドラマ、CG/VFX、アニメ制作等の特定ジャンルでは工程別の専門事業者が分業しているため、需給逼迫局面で制作費が上昇しやすい構造です。

出版では、書店の閉店が続く旨が指摘されており、販売チャネルの縮小は紙の販売金額(2024年1兆0,056億円)の下押し要因になり得ます。

映画館は拠点型ビジネスの代表例で、2024年のスクリーン数は全国合計3,675本です。拠点の維持には固定費が伴う一方、配信は可変費(CDN/クラウド等)と権利処理を前提にスケールするため、同じ「映像」でも最適な投資・KPIが異なります。

寡占度(上位シェア、HHI等)を評価する際は、単一市場としての集中度ではなく、地域(ローカル局)、ジャンル(アニメ/音楽/報道等)、流通(紙/電子/配信)、収益源(広告/課金/ライセンス)ごとに切り分けて把握することが実務上重要です。

M&A観点
固定費(制作・送出・印刷/物流)の吸収や、共同調達・共同制作・設備共用によるスケールメリットが狙いになります。

制度・規制・DX

放送は、周波数という希少資源を用いるため、制度面では放送法・電波法を前提に免許・技術基準・送出体制が設計されます。このためM&Aの論点も、単なる株式取得だけでなく、免許主体の変更可否、グループ内の送出・設備共用、番組供給契約、系列ネットワーク上の権利関係など、取引スキームと運用設計が密接に結びつきます。

出版・コンテンツ制作では、著作権(原著作物、二次的著作物、実演、原盤、出版権等)をどう管理し、二次利用(配信、海外販売、商品化、イベント等)へ接続するかが収益化の中心になります。

特に配信では、権利処理の粒度(地域、期間、媒体、言語、同時配信/見逃し等)と、素材管理(MAM/DAM)・DRM(Digital Rights Management:デジタル著作権管理)・監査ログの整備が、収益最大化と事故防止の両面で重要です。

広告・データの領域では、個人情報保護法やクッキー等の取り扱いが広告計測・推薦・ターゲティングに影響し、ファーストパーティデータ(自社で取得したID/会員データ)と同意管理の整備が、媒体社・出版社・配信事業者の競争力に直結しやすいです。

M&A観点
権利処理体制(契約雛形、原盤/出版権、海外配信権)やデータ/広告計測の統合はPMI難度が高く、買収前DDでの可視化が価値になります。

供給・サプライチェーン

供給面では、制作工程の分業(企画、プリプロ、撮影/収録、編集、MA、CG/VFX、字幕/吹替、納品、権利管理)と外注構造が一般的で、案件量の変動が人員と外注費に波及しやすいです。

またデジタル配信の比率が上がるほど、CDN/クラウド費用、トランスコード、DRM、配信品質(QoE:Quality of Experience)監視、24/7運用といった「放送設備とは別系統の運用固定費」が増える傾向があります。

出版のサプライチェーンでは、紙・印刷・物流・返品が連動し、販売見通しの不確実性が高いほど在庫と返品コストが膨らみやすい構造です。2024年の紙の出版物市場は1兆56億円まで縮小しており、固定費を吸収しにくくなる局面では、小ロット化やオンデマンド、共同配送、返品条件の見直しが論点になりやすいです。

映像については、映画館興行(2024年興行収入213,111百万円)と、配信(有料動画配信市場売上は2019年2,404億円→2023年5,991億円)が並立しており、同一IPでも「劇場→配信→二次利用」のウィンドウ設計次第でサプライチェーン(素材、納品物、権利)の要件が変わります。

M&A観点
制作機能の内製化/垂直統合(スタジオ、ポストプロ、ローカライズ、配信運用)や、共同配送・在庫最適化のための統合が検討余地になります。

人材・労務・スキルミックス

人材面では、放送・出版・制作のいずれも「クリエイティブ人材(企画、編集、演出、制作、作家等)」と「テクノロジー人材(配信、データ、セキュリティ、制作IT、AI等)」のスキルミックスが重要になっています。

放送は番組制作・送出運用の安定性が重視され、出版は編集・校閲・販売企画に加えて電子配信の運用能力が求められ、制作はプロジェクト型で繁閑差が大きいため、労務管理と外注管理の難易度が上がりやすいです。

AI/自動化は、字幕生成・翻訳、編集支援、メタデータ付与、レコメンド、広告配信最適化、権利照合などで導入余地がありますが、学習データの権利、出力物の品質保証、説明責任(誤字幕・誤訳・誤情報等)の設計が必要です。

音楽配信や動画配信の比重が高まるほど、データ分析・グロース(解約率低下、ARPU改善)を担う人材が重要になります。例えば音楽配信では2023年のストリーミング売上が1,056億円と大きく、運用改善が業績に与える影響が無視できません。

M&A観点
人材獲得型(キーマン・チーム獲得)M&Aは、処遇・評価制度・制作文化の統合設計が成否を左右します。

ガバナンス・品質・コンプライアンス

放送・出版・制作は、ブランド信用が価値の源泉になりやすく、編集・報道・制作のガバナンスと、広告/タイアップの適正表示が重要です。

取引面では、独占禁止法や下請代金支払遅延等防止法(下請法)への対応が求められます。大手メーカーと中小サプライヤーの取引関係が多い業界であることから、価格転嫁や支払条件、仕様変更時の負担配分などについて、公正取引委員会や所管省庁によるガイドラインへの配慮が必要です。また、輸出管理では外為法や各国の輸出管理規制・経済制裁への遵守、贈収賄防止や腐敗防止などのコンプライアンスも、海外案件を扱ううえで重要なテーマです。

炎上・誤報・権利侵害は、直接的な損害(賠償、配信停止、回収等)だけでなく、広告主の出稿抑制やサブスク解約など、収益面にも波及する可能性があります。

デジタル比率が上がるほど、ID/会員基盤や決済情報を扱う範囲が広がり、個人情報保護法対応(同意、目的外利用防止、委託先監督等)の重要性も高まります。

M&A観点
グループ化でブランド毀損リスクが連鎖するため、買収前に“放送・出版・制作特有”のセキュリティ/権利/表現リスクをDD項目に組み込むことが重要です。

放送・出版・コンテンツ制作業界の今後の課題と展望

今後3〜5年のシナリオの整理

課題
市場が複数セグメント(放送広告、デジタル広告、サブスク、出版販売、権利収入)に分散し、単一KPIでは経営判断が難しくなります。
対応策
ベース/上振れ/下振れのシナリオを、社内KPIと外部統計で接続して設計することが重要です。以下は外部統計を起点にしたシナリオ設計例です。
  • ベースシナリオ:総広告費は2024年7兆6,730億円を起点に緩やかな成長を想定し、インターネット広告費(2024年3兆6,517億円)とマスコミ四媒体(2024年2兆3,363億円)のミックス変化をKPI化します。
  • 上振れシナリオ:IPの海外収益が牽引する前提を置き、例えばアニメ海外市場(2023年1兆7,222億円)や配信(2023年2,501億円)の成長が継続する前提で、海外売上比率と作品LTVをKPI化します。
  • 下振れシナリオ:広告景況の悪化や制作費高騰で利益率が圧迫される前提を置き、売上高経常利益率(民放連の地上波全体で2024年度5.8%)の防衛をKPI化します。
KPIの最低限の定義例は次の通りです。
  • 広告:テレビメディア広告費(2024年1兆7,605億円)、インターネット広告費(2024年3兆6,517億円)、マスコミ四媒体広告費(2024年2兆3,363億円)を外部KPIとして参照し、自社では広告在庫(枠)あたりの売上単価、案件別粗利、デジタル動画広告RPM等を併用します。
  • 課金:サブスク会員数、ARPU(1ユーザー当たり平均売上)、解約率(チャーン)、視聴時間(時間/人)、MAU等を社内計測し、映画・音楽などは外部指標として有料動画配信市場売上(2023年5,991億円)や音楽配信売上(2023年1,165億円)を参照します。
  • 出版:紙/電子の販売金額(2024年:紙1兆56億円、電子5,660億円)を外部KPIとして参照し、自社では返品率(可能なら取次/チャネル別)、新刊点数、既刊回転、デジタルの継続率を追います。
  • IP:ライセンス収入、海外売上比率、作品あたりLTV(例えば「初回公開→配信→商品化→イベント」までの累計粗利)を推計し、アニメ海外市場(2023年1兆7,222億円)等の外部指標と整合させます。
  • コスト:制作費比率、人件費率、外注費率、クラウド/配信費、物流費を分解し、案件別PL(作品別・番組別・媒体別)に落として、改善の打ち手と紐づけます。
M&A観点
放送・出版・コンテンツ制作業界では、広告・課金・出版・IP・コスト構造など複数領域のKPIが同時に動くため、「どんな企業をM&AすればKPIが改善するのか」を明確にしないと、M&Aの狙いがぼやけてしまいます。そのため、企業を“買う対象”から考えるのではなく、「自社のどのKPIを改善したいのか」→「そのKPIを改善できるレバーは何か」→「そのレバーを持っている会社はどこか」という順番で対象を定義するのが合理的です。
※レバー:KPIを動かす直接的な起点・手段
例えば、
  • 広告単価を上げたい → 広告計測技術・CTVデータ
  • ARPUを伸ばしたい → CRM・データ人材
  • 制作費率を下げたい → VFX・ポスプロ内製化
このように、レバー(改善の起点)ごとに買収対象を分類することで、M&Aの目的と統合後の成果(シナジー)を結びつけやすくなります。

収益性の圧迫

課題
広告費の媒体シフトや制作費高騰、人件費上昇により、放送・出版・制作の利益率が圧迫されやすいです。特に広告収益は、インターネット広告費が拡大する一方でマス媒体の構成比が低下しており、従来型の枠売りモデルは単価と稼働率の両面で再設計が必要になります。
対応策
価格(広告単価/サブスク価格)と原価(制作工程/外注/クラウド)を分けて管理し、どこを標準化・共通化できるかを明確にすることが重要です。具体策の例は次の通りです。
  • 番組/記事/映像の再利用:二次利用前提で素材・権利・メタデータを整備し、初回制作費の回収源を「広告」だけに置かない設計にします。
  • テンプレ化/バーチャル制作:ニュース、情報番組、企業PR等でテンプレやバーチャル制作を導入し、工程のばらつきを減らします。
  • 配信運用のコスト最適化:配信品質(QoE)を落とさずにCDN/クラウド費用を最適化するため、視聴ピークに応じたキャパシティ計画と監視を標準化します。
M&A観点
制作会社・ポストプロ・CG/VFX・翻訳/字幕等の“工程買い”や、広告運用・データ計測の獲得により、粗利構造の改善が狙えます。

ロジスティクス・流通再編

課題
出版の流通(返品、物流制約、紙コスト)と、デジタル配信の品質/権利管理(DRM、素材管理、海賊版)の両面で最適化が必要です。紙の出版物市場は2024年に1兆56億円まで縮小しており、返品・在庫の非効率が利益を圧迫しやすい局面です。
対応策
出版は需給予測・小ロット・オンデマンド・共同配送等、配信は素材管理/アクセス制御/監査ログ等の整備を進めることが重要です。具体策の例は次の通りです。
  • 出版:チャネル別の需要予測精度をKPI化し、初版部数・補充・返品条件(引取/精算)を運用で改善します。電子コミック等の伸長領域(2024年電子コミック5,122億円)へ編集・制作リソースを再配分します。
  • 配信:MAM/DAM(Media/Digital Asset Management)で素材と権利情報を紐づけ、DRMと監査ログで不正利用を抑止します。
M&A観点
出版流通・EC・オンデマンド印刷、あるいはDRM/素材管理(MAM/DAM)等の補完資産を取り込む統合が、運転資本と事故リスクの両面で効きます。

人材確保と制作体制

課題
制作現場は属人化しやすく、労務リスク(長時間労働等)やキーマン依存が顕在化しやすいです。外注比率が高いほど、委託先の品質・納期・セキュリティを含む管理負担も増えます。
対応策
ID/CRM、コンテンツメタデータ整備、権利DB、ゼロトラスト、委託先含むセキュリティ基準を整備することが重要です。具体策の例は次の通りです。
  • ID/CRM:会員基盤で取得した同意情報に基づき、広告・課金・コンテンツ推薦を一貫して運用します。
  • メタデータ:作品/記事/音源の属性・権利範囲・利用期間を標準化し、レコメンドと権利照合の自動化を可能にします。
  • セキュリティ:制作素材、未公開情報、個人情報を「重要情報」として区分し、アクセス制御・暗号化・監査ログを実装します。
M&A観点
AdTech/MarTech、データ基盤、セキュリティ、権利管理を“買って時間短縮”する発想が有効で、統合KPI(計測精度、広告RPM、解約率低下等)を置くべきです。

ガバナンス/ブランド(編集・表現、広告審査、炎上、コンプラ)

課題
炎上・誤報・権利侵害はブランドを毀損し、グループ化で影響が連鎖します。広告収益と課金収益の両方に波及し得るため、スピードよりも再現性のある統制が求められます。
対応策
広告審査、編集プロセス、権利処理、危機対応、再発防止、内部通報等の仕組みを運用目線で整備することが重要です。具体策の例は次の通りです。
  • 広告審査:媒体特性(放送、紙、デジタル)ごとの審査基準と承認フローを統一し、ログを残します。
  • 編集/制作:事実確認、出典管理、訂正対応、第三者からの申し立て対応のSOPを整備します。
  • 権利:出演契約、原盤/出版権、二次利用、海外配信を含む契約雛形を標準化します。
M&A観点
買収後に統一すべき“最低基準”(広告審査、権利処理、セキュリティ、編集ガイドライン)を事前に定義し、DD/PMIの共通テンプレを持つことが重要です。

M&A後・PMIのポイント

  • マスタ統合:取引先/作品/権利/素材/顧客IDの統合方針を最初に定義することが重要です。
  • 価格:広告単価、二次利用料、配信/サブスク価格の整合を取り、値引・ポイント・バンドルのルールを統一することが重要です。
  • 在庫/運転資本:出版の返品・在庫、制作の仕掛、前受/前払の管理単位を揃え、資金繰りKPI(回転日数等)を可視化することが重要です。
  • 与信/契約:権利許諾、出演契約、二次利用、海外配信、委託契約を棚卸しし、契約雛形と例外管理を統一することが重要です。
  • IT/データ:MAM/DAM、配信基盤、ID/CRM、セキュリティの統合ロードマップを作り、移行中のリスク(停止・漏えい)を管理することが重要です。
  • 人事/文化:制作文化、評価、クレジット、働き方の違いを前提に、キーマンのリテンションプランを設計することが重要です。
  • コンプラ:広告・表現、個人情報、著作権の最低基準をグループで統一し、教育と監査で定着させることが重要です。

M&A観点
PMI項目を“権利・素材・データ”中心に設計できるかが、放送・出版・コンテンツ制作の統合で最も差が出ます。
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一般社団法人 日本動画協会「アニメ産業レポート2024 サマリー版」
一般社団法人 日本民間放送連盟「2024年度民放決算の概要について」
電波法(e-Gov法令検索)
電波法(e-Gov法令検索)
著作権法(e-Gov法令検索)
個人情報の保護に関する法律(e-Gov法令検索)
出版科学研究所「2024 年出版市場」
電通「2024年 日本の広告費」
一般社団法人 日本映画製作者連盟「2024年(令和6年)全国映画概況」
日本新聞協会「新聞の発行部数と世帯数の推移」
一般社団法人 日本レコード協会「日本のレコード産業2024」

放送・出版・コンテンツ制作業界における
M&A活用のメリット

放送・出版・コンテンツ制作業界におけるM&A活用のメリットをご紹介します。

譲渡側のメリット
  • 後継者問題を解決できる
  • オーナー社長は個人保証や担保提供から解放され、ハッピーリタイアができる
  • 個人保証や担保提供から解放されたうえで役員等として継続してかかわることも可能
  • 優秀な技術者の獲得
  • 新しい技術の習得
  • 事業意欲旺盛な会社との協業により、相互に発展することが可能
  • 適切な会社に譲渡すれば、社員の雇用は保証され、成長機会も増える
譲受け側のメリット
  • 売上規模・シェアの拡大が見込める
  • 事業多角化・新規事業への参入
  • 人材の獲得・技術力の向上
  • シナジーの創出
  • バリューチェーンの補完・関連事業領域の拡大
  • リスク分散ができる
  • コストの削減・財務力強化(管理部門コストなど)
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放送・出版・コンテンツ制作業界で
M&Aを実行する際のポイント

放送・出版・コンテンツ制作業界でM&Aを実行する際に注意すべきポイントには、下記のようなものがあります。

  • 優秀な人材の継続雇用
  • 労務問題
  • 財務問題
  • コンプライアンス
  • ガバナンス・管理体制

ここでは一般的なポイントをご紹介させていただいておりますが、実際には、個別事情を勘案すると大きく変わります。また、業界によっては独自の規制や商習慣が存在するため、M&Aの仲介を行ううえで、それぞれの業種・業界の特性を正しく理解していることが非常に大切です。日本M&Aセンターでは各業界に精通したコンサルタントが所属しているため、専門性の高いサービスを提供させていただくことが可能です。
当社では秘密保持を厳守のうえ、個別相談を無料でお受けしています。当社は全国に拠点を展開しております。気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

放送・出版・コンテンツ制作業界における
M&Aの価格相場

放送・出版・コンテンツ制作業界のM&Aにおける価格や相場感について説明いたします。まず、中小企業のM&Aには明確な相場が存在せず、最終的な価格は売り手と買い手の交渉によって決まることが特徴です。M&Aの価格は、業種や企業の規模、人材の質、財務状況、ブランド力、将来性、市場環境など、多岐にわたる要素によって変動します。そのため、個別の状況を考慮しながら価格が算出されることになります。
M&Aの価格算定にはいくつかの評価方法がありますが、その中の一つに「取引事例法」があります。取引事例法は、過去のM&A事例の中から、事業内容や地域、財務指標が似ている企業の売買実績を基に価値を評価する方法です。取引事例法において重要なのは、類似の取引事例を参考にすることですが、類似条件を見つけるためには、相当数の事例を蓄積する必要があります。非上場企業のM&Aの多くが非公開情報であることから、他社の実績を参考にすることはハードルが高い方法でもあります。その点、日本M&Aセンターでは、M&Aにおいて成約実績10,000件超、M&A成約件数で世界No.1*のギネス世界記録™に5年連続で認定されるなど、豊富な実績があります。事業内容や地域、財務指標に基づく似た会社の売買事例を選定し、一定のルールに従って公正な価値評価を行うことが可能です。こちらから当社の株価算定シミュレーションを体験することができます。

※ギネス世界記録™:M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の最多取扱い企業 2020~2023年に続き、5年連続でギネス世界記録™に認定

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次に、より高い評価を得て会社を高く譲渡売却するためには、よりシナジーのある買い手を見つけることが重要です。M&Aの最終価格は、売り手企業と買い手企業の交渉によって決まるため、買い手が「この会社が欲しい」と思う要素を増やしていく必要があります。例えば、現在、放送・出版・コンテンツ制作業界の市場では人材不足が全体的な問題となっており、若くて優秀な人材を採用できる利点がある場合、買い手企業にとってM&Aの魅力が増します。
さらに、コンプライアンスやガバナンスに関する問題も重要な要素です。具体的には、顧客とのトラブルが存在しないか、社会保険への適切な加入状況が確認されることが求められます。これらの問題があると、潜在的な費用や負債として見なされ、価格交渉において不利な要因となり得ます。これらの要素が事前にクリアである場合、買い手企業も安心してM&Aを進めることができ、価格交渉もスムーズに進行しやすくなる傾向があります。
最後に、M&Aを成功させるためには、総合的に企業の魅力を高める努力が欠かせません。これは、価格評価への影響だけでなく、交渉の流れにも深く関わる要素であるといえるでしょう。

なお、実際には個別の業種や取引環境等によって価格相場は変動しますし、場所や経営状態によっても大きく左右されます。初期的なご相談や、簡易的な株価診断は無料にておこなっておりますので、よりくわしく評価や課題について聞きたい方は、弊社コンサルタントから詳細をご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。

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業界別M&Aレポート編集部

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業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。

放送・出版・コンテンツ制作業界の
最新M&A事例を解説

放送・出版・コンテンツ制作業界の動向を見るために、近年に実施されたM&A事例をご紹介します。コンテンツが多様化する中で、単独メディアでの発信ではなく、複数のメディアを組み合わせることで相乗効果を生み、接触機会を最大化するメディアミックスの取り組みが広がっています。

放送・出版・コンテンツ制作×放送・出版・コンテンツ制作
ユークス、ゲームソフト開発のアクアプラスを子会社化

譲渡企業
株式会社アクアプラス(東京都新宿区)
ポールトゥウィンホールディングス株式会社(3657)
譲受け企業
株式会社ユークス(4334)

スキーム:株式譲渡 実行時期:2025年8月29日

M&Aの概要

2025年8月4日、株式会社ユークスは、ポールトゥウィンホールディングス株式会社から、株式会社アクアプラスの株式を取得し子会社化することを公表しました。
株式譲渡実行日は2025年8月29日で、ユークスにより、株式全ての取得が完了し、アクアプラスを子会社化したことが公表されました。なお、本件に伴い、アクアプラスの子会社である株式会社フィックスレコード(大阪府大阪市)もユークスの子会社になります。

ユークスは、 家庭用ゲーム機、業務用ゲーム機およびモバイル等向けにコンテンツの開発・制作・販売、パチンコ・パチスロの画像開発、コンサート・イベントの企画・制作・運営等を行っています。

アクアプラスは、ゲームソフトの企画・開発・販売、音楽・映像コンテンツの原盤の企画・制作・販売及び音楽スタジオの運営を行っています。

M&Aの背景・目的

ユークスは、パブリッシング事業モデルの自立的な展開を中長期の成長戦略の一環として推進しています。なかでも、グループ内でのパブリッシャー機能の構築とIP創出力の向上は、持続的な企業価値向上に不可欠な施策と位置づけています。
『うたわれるもの』『ToHeart』など長年にわたり高い支持を受けるIPを有するアクアプラスの株式取得は、ユークスの既存事業との高い親和性を有し、戦略的な意義を持つ取り組みです。本件により、ユークスグループに不足していたパブリッシング機能を補完し、IPを起点とした事業モデルの高度化を図る体制を整える狙いがあります。
両社の融合で、新たなジャンルや切り口によるタイトル開発等により、顧客基盤の拡大や販売戦略上のクロスセル機会の創出を見込んでいます。

放送・出版・コンテンツ制作
IMAGICA GROUP、MBO成立で上場廃止へ

譲渡企業
株式会社IMAGICA GROUP(6879)
譲受け企業
三日月株式会社(東京都品川区)

スキーム:MBO 実行時期:2025年6月20日

概要

映像制作や出版などを手がける株式会社IMAGICA GROUPのMBO(経営陣が参加する買収)が6月20日に成立し、同社の上場廃止が決まりました。

MBO(マネジメント・バイアウト)とは、企業の経営陣が自社の株式や事業を買収し、経営権を取得するM&Aの手法の一つです。経営陣のみで実行するのは資金調達の観点から難しいことが多く、借入金や投資ファンドと組むなどの方法で資金調達が行われることがあります。今回のMBOは外部の投資ファンドではなく、代表取締役社長を務める長瀬俊二郎氏の資産管理会社、三日月株式会社を通して行われました。
三日月は、IMAGICA GROUPを非公開化し、最終的に三日月及び不応募合意株主(株式会社クレアート、株式会社クレアートホールディングス)のみが、IMAGICA GROUPの株主となることを目的として、MBOを実施しました。

IMAGICAは映像制作の大手で、映像の企画・制作・編集・配信・流通を、グローバルにワンストップで展開しています。1935年に極東現像所として設立し、社名変更や上場などを経て、現在は映像制作だけでなく、新たなビジネスモデル構築や非映像領域でのM&A展開を通じて、企業価値の向上を図っています。

MBOの背景・目的

上場企業のMBOは株式の非公開化(上場廃止)を目的とされることが一般的です。
動画配信の普及で映像業界が急激に変化し、映像制作を主軸としたビジネスに転換点が訪れていることや、組織の構造改革が必要なことから、迅速な意思決定を行うためにMBOでの株式の非公開化を決めました。

急速に変化していく事業環境において競争に勝ち抜くために、三日月が、IMAGICA GROUPの所有と経営を一体化させた上で、迅速な意思決定を行う組織体制を構築するためにMBOでの株式の非公開化を決めました。
また、非映像領域における大型のM&Aや開発投資を通じたビジネスの拡大、制作請負業務に加えた新たなビジネスモデルの構築、既存事業の売却や統合を通じた大規模な構造改革などの施策を実行する方針を示しています。

放送・出版・コンテンツ制作業界の
M&Aニュース

放送・出版・コンテンツ制作業界のM&Aニュースを表示します。

放送・出版・コンテンツ制作業界のM&Aニュース一覧

放送・出版・コンテンツ制作業界の
M&A仲介実績

日本M&Aセンターが仲介・支援して成約した放送・出版・コンテンツ制作業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2025年9月までの実績を掲載しています。次回の更新(2025年10月~12月分)は2026年1月30日以降の予定です。

譲渡・売却企業 譲受け・買収企業
2025年9月 webメディア(関東) 金属部品卸売(関東)
2025年9月 受託開発ソフトウェア(東海・北陸) 受託開発ソフトウェア(甲信越)
2025年9月 受託開発ソフトウェア(関東) 自社ソフトウェア開発(関東)
2025年9月 受託開発ソフトウェア(関東) その他IT関連(関東)
2025年9月 その他IT関連(関西) ファンド(関東)
2025年9月 労働者派遣(九州・沖縄) 受託開発ソフトウェア(九州・沖縄)
2025年9月 セールスプロモーション(関東) 受託開発ソフトウェア(関東)
2025年9月 セールスプロモーション(関東) 自社ソフトウェア開発(北海道・東北)
2025年7月 受託開発ソフトウェア(東海・北陸) 受託開発ソフトウェア(関東)
2025年6月 webメディア(関東) 事務機器製造(関東)

放送・出版・コンテンツ制作業界を含むIT・情報通信業界のM&A仲介実績一覧

IT業界の
最新のM&A事例インタビュー

当社の仲介によりM&A・事業承継された事例を、経営者様へのインタビュー形式でご紹介します。

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