建築工事・ゼネコン業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2025年最新版

建築工事・ゼネコン業界のM&A

建築工事・ゼネコン業界に関する最新のM&A動向をご紹介します。 近年の市場推移やトピックス、業界再編にまつわる情報、建築工事・ゼネコン業界の周辺業界を含めたM&A・事業承継の事例をわかりやすく解説しています。 また、日本M&Aセンターが取り扱う最新のM&A案件、当社仲介によりM&Aを実行された経営者様の事例、 各業界の動向やM&A(第三者承継)への理解を深めるセミナー情報などもご紹介します。

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建築工事・ゼネコン業界の概要とM&A動向

建築工事・ゼネコン業界は、住宅、オフィス、商業施設などの建設に加え、都市再開発やインフラ整備等の大型プロジェクトにも関わる業界です。国内の人口減少や労働力不足といった構造的な課題がある一方で、災害復旧や老朽インフラの更新、省エネ化・脱炭素への対応といった分野で、一定の需要が見込まれています。

M&Aを活用することで、営業エリアや顧客基盤を広げる「横展開」、施工・設計・設備・内装・保守までバリューチェーンを取り込む「縦展開」を進める動きが強まっています。地域ゼネコンと専門工事会社の補完、設計事務所や設備会社との一体運営など、事業ポートフォリオの組み替えや生産性向上を目的とした再編が増加しています。

建築工事・ゼネコン業界をとりまく環境

本稿では、日本国内の統計・公的資料を中心に、建築工事・ゼネコン業界をとりまく市場環境を整理します。需要・供給・制度・価格・信用といった複数の側面から現状を把握し、M&Aを検討する方々の意思決定に資する視点を提示します。

総論
2025年時点で、建築工事・ゼネコン業界は、概ね次のような環境下にあります。
・需要面:住宅・非住宅の建築着工、官民のPPP/PFI、災害復旧・インフラ更新投資が継続
・供給面:人材・資材・物流などの制約が長期化
・制度面:建築物省エネ法の改正、建設業への時間外労働上限規制(2024年4月適用)、BIM/CIM原則適用やi-Construction 2.0の推進
・価格面:工事費デフレーターや資材価格が高止まり
・信用面:M&Aの観点では、「受注」「出来高」「着工」「価格」という四つの指標を組み合わせてサイクル位置を把握し、需要が底堅い用途・工種や、コスト転嫁耐性の強い領域にポートフォリオをシフトしていくことが重要になります。

※建設工事費デフレーターは2015年度=100に改定されています。系列比較を行う際には、基準改定の影響に留意する必要があります。
※建設工事受注動態統計は、2021年度4月分から新推計が導入されています。導入前後を比較する際には系列断絶に注意が必要です。

市場・生産・受注・出来高(建設総合統計)

  • 2024年(暦年)の新設住宅着工戸数は792,098戸で、前年比▲3.4%となりました。2019年比では約▲12%と、戸建・分譲ともにコスト高の影響が続く一方、賃貸住宅や都市型住宅の需要は、地域選別を伴いながら推移しています。
  • 2024年度(事業年度)ベースの新設住宅着工戸数は816,018戸であり、暦年ベースと年度ベースで水準が異なります。需要期の偏りや発注タイミングの違いを踏まえた計画策定が求められます。
  • 2024年度の全建築物の着工床面積は10,445万m²で、前年比▲3.6%となりました。非住宅分野では、物流・工場・データセンターといった大型案件が進む一方、オフィス・商業施設では入れ替えが同時進行しており、用途別・地域別の偏りが大きくなっています。

このような環境下では、受注ポートフォリオを用途・地域の双方で分散させることが、収益の安定化に直結します。

M&Aの観点では、物流施設・データセンター・再生可能エネルギー関連・医療福祉施設など、需要が底堅い用途に強みを持つ企業の取り込みや、地域ドミナントの補完、設計・積算・監理機能の内製化による一貫対応力の強化が有効です。

受注ベース(建設工事受注動態統計)

  • 2024年度の大手50社における受注高は総額18兆9,558億円で、そのうち民間工事が13兆6,457億円、公共工事が4兆1,130億円、国内受注が18兆3,169億円となっています。発注者別・業種別の受注動向を踏まえながら、手持工事高と現場要員・協力会社の稼働計画を連動させる重要性が高まっています。

なお、建設工事受注動態統計は2021年度4月分から新推計が導入されており、それ以前との比較には注意が必要です。

M&Aの観点では、手持工事の偏りをならすこと、特命工事やJV実績の補完、民間開発に強い地域ゼネコンと専門工事会社(サブコン)を組み合わせることで、パイプラインを安定化させることが狙いとなります。

価格・コスト環境

建設工事費デフレーター(2015年度=100)は、直近まで高水準で推移しており、名目ベースの受注高の増加に対して、実質ベースの伸びが抑えられやすい環境が続いています。経営管理上は、名目と実質の両方をKPIとして用いることが重要です。

資材面では、建設資材物価指数(総合)が2024年12月時点で139.4(2015=100)、前年比+2.5%となっています。鉄骨・木材・住宅設備機器などの価格は一部で落ち着きが見られるものの、為替や物流制約の影響もあり、全体としては高止まりが続いています。

原価管理の実務としては、BIM/CIMを活用した設計最適化、購買の集中化、価格スライド条項の明確化と運用徹底などがカギとなります。

M&Aの観点では、購買・積算に強みを持つ企業や、生コンクリート・骨材・仮設リースなど地域サプライヤーの取り込みにより、原価吸収力と価格交渉力を強化する戦略が考えられます。

事業者・設備・拠点構造

建設業許可業者数は2024年度末時点で483,700業者とされています。前年から4,317業者増加(+0.9%)しており、中小・地域事業者が多数を占める構造は継続しています。一方、工事規模の大きい案件では上位企業への集中度が高く、協力会社ネットワークやJVの組成力が収益性に直結する傾向があります。

M&Aの観点では、地域ドミナントの地場ゼネコンと専門工事会社を水平・垂直に統合し、購買・積算・安全品質・原価管理を共通プラットフォームとして統合することが重要です。

需要側ファクター

PPP/PFIでは、2024年度の実施方針公表件数が94件、累計では1,154件に達しています。公共施設等運営権(コンセッション)も拡大しており、官民連携の枠組みは今後も一定規模で継続すると見込まれます。

住宅・非住宅の着工構成比は、人口動態や地域別の産業投資動向の影響を強く受けます。再開発や産業DX、観光需要、医療・福祉施設の更新、インバウンド回復なども、地域ごとに影響度が異なります。

M&Aの観点では、PFI・コンセッションの参入実績を持つ企業の取り込みや、物流・工場・医療・教育・宿泊・データセンターといった用途ポートフォリオの分散により、景気変動への耐性を高めることがポイントとなります。

制度・規制・DX

建築物省エネ法の改正により、2025年4月以降、原則としてすべての新築住宅・新築非住宅建築物について、省エネ基準への適合が義務化されます。これに伴い、設計・審査プロセスの厳格化や、仕様変更に伴うコスト増への対応が求められます。

また、建設業への時間外労働の上限規制は2024年4月から本格適用されています。原則として月45時間・年360時間、特別条項を締結した場合でも年720時間、複数月平均80時間以内、単月100時間未満などの制約があり、災害復旧等を除き、工期設計と要員計画の見直しが不可欠です。

BIM/CIMについては、国土交通省直轄の業務・工事において2023年度から原則適用とされており、生産性向上や品質確保に向けた取り組みが加速しています。i-Construction 2.0では、2040年度までに省人化3割、生産性1.5倍を目標として掲げています。

CCUS(建設キャリアアップシステム)では、2025年10月末時点で技能者登録が約174.9万人、事業者登録が約30.4万社、就業履歴の蓄積が約2.3億件(約23,000万件)となっており、現場での活用が拡大しています。

M&Aの観点では、省エネ・リサイクル・入札契約・労務管理などの法令遵守体制や、BIM/CIM・CCUSの運用に強みを持つ企業をグループ化し、そのノウハウを横展開する合理性が高いといえます。

供給・ロジスティクス/サプライチェーン

資材価格の変動、輸送・倉庫の逼迫、モーダルシフト対応は引き続き重要な課題です。共同購買・共同配送のスキーム構築や、在庫状況の可視化、現場への搬入時間帯の最適化などが求められます。建材メーカーや生コン工場、仮設資材リース会社など、地域サプライヤーとの連携強化が、安定供給とコスト抑制の双方に寄与します。

M&Aの観点では、購買機能の一元化や共同購買の仕組みを構築しつつ、地域生コン・骨材・レンタル企業をグループに取り込むことで、原価圧力を吸収する戦略が有効です。

人材

建設業の就業者は高齢化が進行しており、55歳以上の比率が高い一方で、若年層は1割程度にとどまっています。賃金水準は近年引き上げ傾向にあるものの、慢性的な人手不足は続いています。とりわけ、監理技術者・施工管理技士・建築士などの有資格者の偏在が、受注余力や工期対応力を制約する要因となっています。

CCUSの活用により、技能等級と賃金テーブルの整備が進みつつあり、配置計画や教育投資の可視化が進んでいます。

M&Aの観点では、資格者を多く抱える企業の取得や、教育機能(研修・OJT・BIM/CIM訓練など)を備えた企業の取り込みを通じて、グループ全体で人材を最適配置し、評価・報酬制度を統合することが、採用ブランド向上と離職防止につながります。

ガバナンス/広告・品質/コンプライアンス

建設業法、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入契法)、建築物省エネ法、建設リサイクル法に加え、独占禁止法、下請代金支払遅延等防止法、景品表示法など、遵守すべき法令は多岐にわたります。

公共工事における適正な入札・契約の実施、下請取引の適正化、表示内容の適正性、情報セキュリティ・サイバー対策など、統制範囲は広く、内部統制やリスク管理の重要性は年々高まっています。

M&Aの観点では、入札・契約・下請監査、標準約款、価格スライド条項、品質・安全・情報管理に関する規程やオペレーションをPMIの中で統合し、グループ共通のガバナンス水準を確立することが求められます。

信用・倒産・再編の地合い

2024年度の企業倒産は全産業で1万70件(前年比+13.4%)となりました。このうち建設業の倒産件数は1,932件(+10.5%)と高水準で、2025年上半期だけでも986件と増加しており、年間では2,000件台に達する可能性が指摘されています。資材高、人手不足、金利負担、価格転嫁の遅れなどが背景にあります。

M&Aの観点では、与信・資金繰り・保証力を備えたスポンサー企業が、早期のデューデリジェンスと条件提示、短期クロージング体制を整えることで、再編局面における競争優位を確保しやすくなります。

建築工事・ゼネコン業界の今後の課題と展望

本節では、今後3〜5年(2026〜2030年)を基本スパンとして、建築工事・ゼネコン業界が直面する主な課題と、その対応策、さらにM&Aの観点からの示唆を整理します。

想定する主要KPIは、受注高、完成工事高、手持工事高、原価率(材料・労務・外注)、建設工事費デフレーター・資材指数、労働生産性、資格者数(監理技術者・施工管理技士・建築士など)、公共工事の落札率、安全度数率などです。前提の不確実性を踏まえ、ベースシナリオ、上振れシナリオ、下振れシナリオの3パターンを設定し、レンジでの管理を行うことが望まれます。

想定シナリオ
・ベースシナリオ:住宅は横ばい〜微減、非住宅は物流・工場・データセンター・医療施設更新を中心に堅調、公共投資は維持更新・防災関連を中心に継続。建設工事費デフレーターは高止まりから緩やかに安定し、CCUS普及やBIM/CIM実装の進展により生産性が徐々に改善。
・上振れシナリオ:円安の一服と原材料価格の安定、PFI・コンセッション案件の広域展開、デジタル投資の加速により、労働生産性が想定以上に改善。
・下振れシナリオ:金利・資材価格の再上昇、価格転嫁の遅れ、人材制約や時間外労働規制による工期長期化、倒産増による協力会社ネットワークの毀損などにより、収益性が圧迫されるケース。

近年の主要課題とその対応策

課題1.利益率圧迫(人件費・資材・エネルギー・物流費・賃料・為替)

対応策としては、標準原価の定期的な更新、VE(価値工学)やBIM/CIMを活用した設計最適化、共同購買や長期包括契約の活用、価格スライド条項の明文化と徹底運用、契約・与信・検収プロセスの標準化などが挙げられます。建設工事費デフレーターや資材指数をKPIとして組み込み、見積り・発注・工期の各ゲートで自動的に反映する仕組みづくりが重要です。

M&Aの観点では、購買・積算に強みを持つ企業や、鉄骨・躯体・内装・設備・電気といった専門工事会社、さらには生コンクリートや骨材などの材料サプライヤーをグループ化し、原価率を構造的に改善していく戦略が有効です。

課題2.ロジスティクス再編(幹線輸送/地域共同配送、在庫適正化、仮設・レンタル)

対応策として、資材・仮設機材などの在庫をID・ロット・現場別所要量の単位で可視化し、共同配送の時間帯指定や、仮設・レンタル資機材の稼働率向上を図ることが挙げられます。

M&Aの観点では、地域リース・仮設会社、物流BPO、生コン・骨材供給企業の取り込みにより、「現場直送+共同配送」の枠組みを構築し、物流効率とコスト削減を同時に実現することが目標となります。

課題3.人材確保・定着(採用・教育・資格者配置、時間外労働上限規制対応)

対応策として、CCUSを活用した技能等級と賃金テーブルの整備、夜間工事や災害復旧における特例を踏まえた工期設計、遠隔臨場や電子承認の導入による現場滞留時間の削減などが挙げられます。若年層・女性・シニアの活用や、施工管理職の多能工化も重要なテーマです。

M&Aの観点では、監理技術者・施工管理技士・建築士などの有資格者を多く抱える企業や、研修・OJT・BIM/CIM訓練などの教育機能を持つ企業を優先的に取得し、グループ全体で人材を最適配置していくことが有効です。

課題4.デジタル/データ(BIM/CIM・AI・自動化・電子帳票・セキュリティ)

対応策として、BIM/CIM基盤の整備、3D点群データを用いた干渉チェックや工程・進捗のデジタルツイン、需要予測・積算・工程最適化へのAI活用、ISMSやゼロトラスト型セキュリティの導入などが挙げられます。i-Construction 2.0の枠組みの下、遠隔施工や自動施工に向けた投資を段階的に進めていくことも重要です。

M&Aの観点では、BIM/CIMや積算SaaS、施工管理SaaSを提供するIT企業や、測量・スキャニング会社を取り込むことで、「設計—施工—維持管理」をデータで一気通貫させる運営体制の構築が期待されます。

課題5.ガバナンス/コンプライアンス(入札・下請・表示・個人情報・環境)

対応策として、入契法・建設業法の遵守を前提に、下請法への対応(契約書の整備、支払期限・遅延利息・減額の禁止など)、景品表示法に基づく表示の適正化、建設リサイクル法に基づく分別解体・再資源化の徹底、個人情報保護・サイバーセキュリティ対策の強化が必要です。内部監査・現場監査・リスクベースのアラート運用を組み合わせることで、統制の実効性を高めます。

M&Aの観点では、内部統制や品質マネジメントシステム(QMS)が整ったターゲット企業を優先し、PMIにおいて規程・教育・監査をグループ標準に統合していくことが重要です。

課題6.出店/拠点/フォーマット(大型・小型、都心・郊外、直営・FC、JV)

対応策として、商圏・業種・入札土俵(参加可能な発注者や工種)の観点から地域ドミナント戦略を再設計し、JVや特命案件の「勝ち筋」(設計VE・工程短縮・原価低減)を明確化することが挙げられます。

M&Aの観点では、空白エリアを埋める地域補完と、設備・内装・土木など工種の補完を同時に進めることで、受注網と生産キャパシティの両方を強化することが狙いとなります。

課題7.外需/越境・観光(為替・規制・決済・多言語)

対応策として、海外案件では為替・政治リスクの管理やローカルパートナー戦略、仕様のローカライズ、入念なコスト見積りが不可欠です。また、観光・インバウンド需要を取り込む施設では、多言語対応や決済手段の多様化も求められます。

M&Aの観点では、海外調達や海外施工管理の経験を持つ企業の取り込みにより、国内外の調達多様化と知見の内部化を図ることができます。

課題8.倒産・再編の地合い(信用・金利・倒産件数/休廃業)

対応策として、早期の債務者モニタリング、金融機関との連携によるワークアウト、スポンサー型再編の活用が挙げられます。建設業の倒産は2024年度に1,932件、2025年も増勢にあり、案件においては「時間価値」、すなわち可及的早期の現金確保が重視される傾向にあります。

M&Aの観点では、短期間でのデューデリジェンスやクロージングを可能にする体制整備とともに、運転資金・保証枠の確保により、再編案件への対応力を高めることが重要です。

課題9.リスク管理(制度変更・品質/偽装・セキュリティ・BCP:災害/感染症/地政学)

対応策として、重要資材の多重調達・安全在庫の方針策定、BCP訓練の継続実施、監査・アラートの自動化、第三者検査や遠隔臨場の活用などが挙げられます。品質不良や偽装、情報流出がグループ全体に与える影響を最小化するため、リスク管理の仕組みを平時から組み込んでおくことが不可欠です。

M&Aの観点では、品質・安全・情報といった監査機能を、PMI初期の段階でグループ全体に横展開し、ヒヤリハット・是正事例を共有することで、学習スピードを高めることができます。

PMIのチェックリスト

建築工事・ゼネコン業界のM&Aにおいて、PMI(M&A後の統合作業)では、次のような観点を必ず織り込む必要があります。

  • 取引先・積算・購買マスタの統合
  • 価格・在庫・与信・調達条件の一元管理
  • IT/データ統合(BIM/CIM・積算・工程管理)
  • 評価・報酬・等級制度(CCUSとの連動を含む)の統一
  • 労務管理(時間外労働上限規制への対応)の標準化
  • 入札・契約・下請・表示・環境に関する法令遵守を、グループ標準として定義・運用すること
国土交通省「建築着工統計調査」:住宅・非住宅の戸数・床面積・工事費予定額(2015〜2025年、参照年次2025年)
国土交通省「建設総合統計」:出来高(発注者別・工事種類別・地域別)の月次・年次データ(2015〜2025年、参照年次2025年)
国土交通省「建設工事受注動態統計調査」:受注高(公民別・業種別・地域別)、令和3年度から新推計導入(2015〜2025年、参照年次2025年)
国土交通省「建設工事費デフレーター」:2015年度基準の工事費デフレーター(2015〜2025年、参照年次2025年)
建設物価調査会「建設資材物価指数/市況」:主要資材価格・工事費指数(2019〜2025年、参照年次2025年)
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」:産業別賃金水準(建設業を含む)(2019〜2025年、参照年次2025年)
総務省統計局「労働力調査」:産業別就業者数(2019〜2025年、参照年次2025年)
内閣府 PPP/PFI推進室「PFI事業の実施状況(令和6年度)」:年度別実施方針・累計件数(参照年次2025年)
国土交通省「令和6年度末 建設業許可業者数調査」:許可業者数(483,700業者、前年比+0.9%)(参照年次2025年)
厚生労働省「建設業の時間外労働の上限規制」:建設業向け適用(2024年4月〜)・特例の解説(参照年次2025年)
国土交通省「i-Construction 2.0」関連資料:生産性向上(省人化3割、2040年度目標)に関する資料(参照年次2025年)
国土交通省/建設業振興基金「建設キャリアアップシステム(CCUS)運営状況」:技能者・事業者登録数、就業履歴件数(参照年次2025年)
e-Gov「建設業法」「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」「建築物省エネ法」「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」:関連法令条文(参照年次2025年)
公正取引委員会・消費者庁関連法令(e-Gov)「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」「下請代金支払遅延等防止法」「不当景品類及び不当表示防止法」:関連法令条文(参照年次2025年)
帝国データバンク「倒産集計」:2024年度・2025年上半期の建設業の倒産動向(参照年次2025年)

建築工事・ゼネコン業界における
M&A活用のメリット

建築工事・ゼネコン業界におけるM&A活用のメリットをご紹介します。

譲渡側のメリット
  • 後継者問題を解決できる
  • 事業意欲旺盛な会社との協業により、相互に発展することが可能
  • 適切な会社に譲渡すれば、社員の雇用は保証され、成長機会も増える
  • オーナー社長は個人保証や担保提供から解放され、ハッピーリタイアができる
  • 個人保証や担保提供から解放されたうえで役員等として継続してかかわることも可能
譲受け側のメリット
  • 売上規模・シェアの拡大・地域補完が見込める
  • 事業多角化・新規事業への参入
  • 人材の獲得・技術力の向上
  • シナジーの創出
  • バリューチェーンの補完・関連事業領域の拡大
  • リスク分散ができる
  • コストの削減・財務力強化(仕入れコスト、管理部門コスト、物流コストなど)

建築工事・ゼネコン業界で
M&Aを実行する際のポイント

建築工事・ゼネコン業界でM&Aを実行する際に注意すべきポイントには、下記のようなものがあります。

  • 労務問題
  • 人材の流出を防ぐ取り組み
  • 過去の受注調整
  • 二重帳簿の存在有無
    など

ここでは一般的なポイントをご紹介させていただいておりますが、実際には、個別事情を勘案すると大きく変わります。また、業界によっては独自の規制や商習慣が存在するため、M&Aの仲介を行ううえで、それぞれの業種・業界の特性を正しく理解していることが非常に大切です。日本M&Aセンターでは各業界に精通したコンサルタントが所属しているため、専門性の高いサービスを提供させていただくことが可能です。
当社では秘密保持を厳守のうえ、個別相談を無料でお受けしています。当社は全国に拠点を展開しております。気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

建築工事・ゼネコン業界における
M&Aの価格相場

建築工事・ゼネコン業界のM&Aにおける価格や相場感について説明いたします。まず、中小企業のM&Aには明確な相場が存在せず、最終的な価格は売り手と買い手の交渉によって決まることが特徴です。M&Aの価格は、業種や企業の規模、人材の質、財務状況、ブランド力、将来性、市場環境など、多岐にわたる要素によって変動します。そのため、個別の状況を考慮しながら価格が算出されることになります。
M&Aの価格算定にはいくつかの評価方法がありますが、その中の一つに「取引事例法」があります。取引事例法は、過去のM&A事例の中から、事業内容や地域、財務指標が似ている企業の売買実績を基に価値を評価する方法です。取引事例法において重要なのは、類似の取引事例を参考にすることですが、類似条件を見つけるためには、相当数の事例を蓄積する必要があります。非上場企業のM&Aの多くが非公開情報であることから、他社の実績を参考にすることはハードルが高い方法でもあります。その点、日本M&Aセンターでは、M&Aにおいて成約実績10,000件超、M&A成約件数で世界No.1*のギネス世界記録™に5年連続で認定されるなど、豊富な実績があります。事業内容や地域、財務指標に基づく似た会社の売買事例を選定し、一定のルールに従って公正な価値評価を行うことが可能です。こちらから当社の株価算定シミュレーションを体験することができます。

※ギネス世界記録™:M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の最多取扱い企業 2020~2023年に続き、5年連続でギネス世界記録™に認定

あなたの会社の評価額はいくら?

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あなたの会社が現在どう評価をされるか、ぜひ見てみませんか?

次に、より高い評価を得て会社を高く譲渡売却するためには、よりシナジーのある買い手を見つけることが重要です。M&Aの最終価格は、売り手企業と買い手企業の交渉によって決まるため、買い手が「この会社が欲しい」と思う要素を増やしていく必要があります。例えば、現在、建築工事・ゼネコン業界の市場では人材不足が全体的な問題となっており、若くて優秀な人材を採用できる利点がある場合、買い手企業にとってM&Aの魅力が増します。
さらに、コンプライアンスやガバナンスに関する問題も重要な要素です。具体的には、顧客とのトラブルが存在しないか、社会保険への適切な加入状況が確認されることが求められます。これらの問題があると、潜在的な費用や負債として見なされ、価格交渉において不利な要因となり得ます。これらの要素が事前にクリアである場合、買い手企業も安心してM&Aを進めることができ、価格交渉もスムーズに進行しやすくなる傾向があります。
最後に、M&Aを成功させるためには、総合的に企業の魅力を高める努力が欠かせません。これは、価格評価への影響だけでなく、交渉の流れにも深く関わる要素であるといえるでしょう。

なお、実際には個別の業種や取引環境等によって価格相場は変動しますし、場所や経営状態によっても大きく左右されます。初期的なご相談や、簡易的な株価診断は無料にておこなっておりますので、よりくわしく評価や課題について聞きたい方は、弊社コンサルタントから詳細をご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。

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業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。

建築工事・ゼネコン業界の
最新M&A事例を解説

近年に実施されたM&Aから建築工事・ゼネコン業界の事例をご紹介します。建設業は、GDP、就労人口、国内生産額において、いずれもその割合が高い重要な基幹産業です。事業者数も多いため、M&Aが積極的に行われています。

道路舗装工事×建築工事・ゼネコン
清水建設、日本道路の完全子会社化に向けTOBを実施

譲渡企業
日本道路株式会社(1884)
譲受け企業
清水建設株式会社(1803)

M&Aの概要

スキーム:TOB 実行時期:2025年6月頃

2025年5月14日、清水建設株式会社は、連結子会社である日本道路株式会社の普通株式を、公開買付け(TOB)により取得し、完全子会社化することを発表しました。日本道路は、TOBに対して賛同を表明しており、TOBが成立すれば、日本道路は上場廃止となる見通しです。買い付け期間は15日から6月25日まで。

清水建設は、建設事業、開発事業及び各事業に附帯関連する事業を行っています。
日本道路グループは、建設事業、製造・販売事業、共創事業を展開しています。

国内の建設業界は労働人口の減少で人手不足が深刻になっているほか、建築資材の高騰なども問題となっています。清水建設が、日本道路を完全子会社とすることで、両社の連携を強化する目的があります。また、一体運営を行うことで、両社間におけるノウハウの共有と、両社の市場・技術・顧客等の経営資源の相互活用を推進して、成長戦略の実現を目指す方針です。

戸建住宅建設×建築工事・ゼネコン
長谷工コーポレーション、ウッドフレンズをTOBで買収

譲渡企業
株式会社ウッドフレンズ(8886)
譲受け企業
株式会社長谷工コーポレーション(1808)

M&Aの概要

スキーム:TOB 実行時期:2025年6月頃

2025年4月10日、株式会社長谷工コーポレーションは、株式会社ウッドフレンズの普通株式を公開買付け(TOB)により取得することを発表しました。ウッドフレンズは、TOBに対して賛同を表明しています。TOBが成立すれば、ウッドフレンズは上場廃止となり、長谷工コーポレーションの傘下に入る見通しです。

長谷工コーポレーションは、建設関連事業、不動産関連事業、サービス関連事業、海外関連事業など多岐にわたる事業を展開する大手総合建設企業です。
ウッドフレンズグループは、住宅事業を中核事業として、余暇事業、都市事業、広告サービス等のその他事業を営んでいます。

ウッドフレンズは、長谷工コーポレーションの完全子会社化となることで、長谷工グループからのグループファイナンスを活用することが可能となり、ウッドフレンズグループにおける財政状態の改善を見込むことができます。また、ウッドフレンズグループの中核事業である住宅事業について中長期的な販売戦略の実現が可能となり、グループの収益性を改善することができると見込まれると判断しました。

その他、本件M&Aにより、以下のようなシナジー効果を狙っています。

  • 商品ラインナップの拡充
  • 用地情報の共有による取引の活性化
  • 東海圏での事業拡大
  • 戸建住宅以外の建築物へ国産木質材の応用

建築工事・ゼネコン業界の
M&Aニュース

建築工事・ゼネコン業界のM&Aニュースを表示します。

建築工事・ゼネコン業界のM&Aニュース一覧

建築工事・ゼネコン業界の
M&A仲介実績

日本M&Aセンターが仲介・支援して成約した建築工事・ゼネコン業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2025年9月までの実績を掲載しています。次回の更新(2025年10月~12月分)は2026年1月30日以降の予定です。

譲渡・売却企業 譲受け・買収企業
2025年9月 土木工事(北海道・東北) 建築工事(九州・沖縄)
2025年9月 土木工事(東海・北陸) 建築工事(東海・北陸)
2025年9月 土木工事(東海・北陸) 土木工事(関西)
2025年9月 電気通信工事(東海・北陸) 電気通信工事(関西)
2025年9月 管工事(北海道・東北) 電気通信工事(関東)
2025年9月 プラント関連(九州・沖縄) プラント関連(九州・沖縄)
2025年9月 建築工事(関東) 内装工事(東海・北陸)
2025年9月 内装工事(関東) 内装工事(関東)
2025年9月 外装工事(関東) 外装工事(関東)
2025年9月 建設設計(関東) 建設設計(九州・沖縄)

建築工事・ゼネコン業界を含む建設・土木・工事業界のM&A仲介実績一覧

建築工事・ゼネコン業界の
最新のM&A事例インタビュー

当社の仲介によりM&A・事業承継された建築工事・ゼネコン業界の事例を、経営者様へのインタビュー形式でご紹介します。

建築工事・ゼネコン業界のM&A事例インタビュー一覧

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セミナー情報

当社では、M&Aや事業承継をはじめ、経営に役立つさまざまセミナーを開催しております。ぜひご参加ください。

建築工事・ゼネコン業界向けセミナー一覧

業界別M&A・事業承継の動向

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