理美容業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2025年最新版
理美容業界に関する最新のM&A動向をご紹介します。 近年の市場推移やトピックス、業界再編にまつわる情報、理美容業界の周辺業界を含めたM&A・事業承継の事例をわかりやすく解説しています。 また、日本M&Aセンターが取り扱う最新のM&A案件、当社仲介によりM&Aを実行された経営者様の事例、 各業界の動向やM&A(第三者承継)への理解を深めるセミナー情報などもご紹介します。
更新:
理美容業界の
M&A案件(売却・事業承継案件)
一覧を見る
売却の無料相談
買収の無料相談
⽬次
理美容業界の概要とM&A動向
理美容業界には、理容店(理髪店)や美容室(美容院)、エステティックサロンを運営する事業が含まれます。エステティックサロンでは、脱毛、痩身、リラクゼーション、マッサージなどを目的とした美容サービスを提供しています。その他、ネイルサロンやまつげサロン、眉毛サロンなど、さまざまなサービスを提供しています。
経営者の高齢化による事業承継や、投資ファンドによる買収、美容室がアイサロンを買収して業容を広げることで、グループとしての付加価値を高める M&A などがあります。
理美容業界は参入障壁が低いため、ある程度の資金があれば個人からでも開業しやすいのがメリットで、小規模の事業者から複数店舗を展開する事業者まで多数存在しています。そのため、立地によっては顧客の争奪競争が激しく、価格競争になるケースもあります。また、顧客がお店でなくスタイリストにつく傾向があります。人材流動性も高く、経験豊富なスタッフをどれだけ確保できるかがポイントとなります。
理容店(理髪店)と美容室(美容院)
理容業と美容業の違いは、主に法律で定められた業務内容と、提供するサービス内容にあります。理容師は頭髪の刈込み、顔剃りなどの施術を行い、美容師はパーマ、ヘアセット、化粧などにより容姿を美しくすることと、法律より定義されています。理容師法、美容師法では、「理容・美容の業を行うために設けられた施設」を「理容所」「美容所」と規定しています。そして、構造設備の基準を満たした美容所・理容所として届け出て、検査・確認を受けることが必要です。また、理容師は理容所、美容師は美容所でのみ働くこととされていましたが、2016年からは、理容師と美容師免許の双方の資格を有す者からなる事業所には、重複開設が認められるようになりました。立地や顧客層によって、理髪店と美容室を使い分けるケースもあります。
エステティックサロン・その他
エステティックサロンでは、脱毛、痩身、リラクゼーション、マッサージなどを目的とした美容サービスを提供しています。エステサロンには、美容機器(エステ機器)の導入を含め、特定商取引法、薬機法、景品表示法、医師法、美容師法、公衆浴場法など、様々な法律が適用されるため情報収集は欠かせません。
近年は、女性をターゲットにした事業者だけでなく、男性をターゲットにした事業者数も増加傾向にあります。また、脱毛や痩身エステだけでなく、まつげサロン、眉毛サロンなどの種類も多様化しています。
業界全体の課題として、就業者数の減少傾向が見られます。M&Aの検討では、スタッフや有資格者の確保、継続勤務がポイントとなっています。
理美容業界における
M&A活用のメリット
理美容業界におけるM&A活用のメリットをご紹介します。
- 譲渡側のメリット
-
- ブランドを残せる
- 後継者問題を解決できる
- オーナー社長は個人保証や担保提供から解放され、ハッピーリタイアができる
- 個人保証や担保提供から解放されたうえで役員等として継続してかかわることも可能
- 事業意欲旺盛な会社との協業により、相互に発展することが可能
- 適切な会社に譲渡すれば、社員の雇用は保証され、成長機会も増える
- 譲受け側のメリット
-
- 売上規模・シェアの拡大が見込める
- 事業多角化・新規事業への参入
- 人的リソースを獲得できる
- バリューチェーンの補完・関連事業領域の拡大
- リスク分散ができる
- 財務力強化・コストの削減(仕入れコスト、管理部門コスト、物流コスト等)
理美容業界で
M&Aを実行する際のポイント
理美容業界でM&Aを実行する際に注意すべきポイントには、下記のようなものがあります。
- 取引先等との関係性
- 人的リソース管理
- 財務問題
- 労働問題
- コンプライアンス
- ガバナンス・管理体制
ここでは一般的なポイントをご紹介させていただいておりますが、実際には、個別事情を勘案すると大きく変わります。また、業界によっては独自の規制や商習慣が存在するため、M&Aの仲介を行ううえで、それぞれの業種・業界の特性を正しく理解していることが非常に大切です。日本M&Aセンターでは各業界に精通したコンサルタントが所属しているため、専門性の高いサービスを提供させていただくことが可能です。
当社では秘密保持を厳守のうえ、個別相談を無料でお受けしています。当社は全国に拠点を展開しております。気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
理美容業界における
M&Aの価格相場
理美容業界のM&Aにおける価格や相場感について説明いたします。まず、中小企業のM&Aには明確な相場が存在せず、最終的な価格は売り手と買い手の交渉によって決まることが特徴です。M&Aの価格は、業種や企業の規模、人材の質、財務状況、ブランド力、将来性、市場環境など、多岐にわたる要素によって変動します。そのため、個別の状況を考慮しながら価格が算出されることになります。
M&Aの価格算定にはいくつかの評価方法がありますが、その中の一つに「取引事例法」があります。取引事例法は、過去のM&A事例の中から、事業内容や地域、財務指標が似ている企業の売買実績を基に価値を評価する方法です。取引事例法において重要なのは、類似の取引事例を参考にすることですが、類似条件を見つけるためには、相当数の事例を蓄積する必要があります。非上場企業のM&Aの多くが非公開情報であることから、他社の実績を参考にすることはハードルが高い方法でもあります。その点、日本M&Aセンターでは、M&Aにおいて成約実績10,000件超、M&A成約件数で世界No.1*のギネス世界記録™に5年連続で認定されるなど、豊富な実績があります。事業内容や地域、財務指標に基づく似た会社の売買事例を選定し、一定のルールに従って公正な価値評価を行うことが可能です。こちらから当社の株価算定シミュレーションを体験することができます。
※ギネス世界記録™:M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の最多取扱い企業 2020~2023年に続き、5年連続でギネス世界記録™に認定
次に、より高い評価を得て会社を高く譲渡売却するためには、よりシナジーのある買い手を見つけることが重要です。M&Aの最終価格は、売り手企業と買い手企業の交渉によって決まるため、買い手が「この会社が欲しい」と思う要素を増やしていく必要があります。例えば、現在、理美容業界の市場では人材不足が全体的な問題となっており、若くて優秀な人材を採用できる利点がある場合、買い手企業にとってM&Aの魅力が増します。
さらに、コンプライアンスやガバナンスに関する問題も重要な要素です。具体的には、顧客とのトラブルが存在しないか、社会保険への適切な加入状況が確認されることが求められます。これらの問題があると、潜在的な費用や負債として見なされ、価格交渉において不利な要因となり得ます。これらの要素が事前にクリアである場合、買い手企業も安心してM&Aを進めることができ、価格交渉もスムーズに進行しやすくなる傾向があります。
最後に、M&Aを成功させるためには、総合的に企業の魅力を高める努力が欠かせません。これは、価格評価への影響だけでなく、交渉の流れにも深く関わる要素であるといえるでしょう。
なお、実際には個別の業種や取引環境等によって価格相場は変動しますし、場所や経営状態によっても大きく左右されます。初期的なご相談や、簡易的な株価診断は無料にておこなっておりますので、よりくわしく評価や課題について聞きたい方は、弊社コンサルタントから詳細をご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。
売却の無料相談
買収の無料相談
株式会社日本M&Aセンター
業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。
理美容業界の
最新M&A事例を解説
近年に実施されたM&Aから理美容業界に関する事例をご紹介します。理美容業界におけるM&Aは、後継者不足や規模の拡大、サービスの多様化などを目的として活発化しています。
理容業×美容業
美容室チェーンのアルテジェネシス、グランド理美容の理容事業を買収
- 譲渡企業
- グランド理美容株式会社(大阪府大阪市)
- 譲受け企業
- 株式会社ニューヨーク・ニューヨーク(京都市伏見区)、株式会社アルテジェネシス(神奈川県横浜市)
M&Aの概要
スキーム:事業譲渡 実行時期:2024年12月21日
2024年12月21日、株式会社アルテジェネシスのグループ会社である株式会社ニューヨーク・ニューヨークは、グランド理美容株式会社より、理容事業を事業譲り受けしました。今後は、GRANDブランドの宝塚南口店、学園都市店、ラクザ大阪店、京都店の4店舗のリブランディング、運営・管理をアルテグループが行っていくことになります。
アルテグループは、4つのブランド別事業会社と、経営全般・人材育成・プロダクト開発・店舗開発支援などを行うホールディングスの組織で、約350店舗の美容室チェーン等を展開しています。
株式会社ニューヨーク・ニューヨークはアルテグループの子会社で、数年前よりダブルライセンスとして「理容師」免許取得を推進していました。
グランド理美容は、大阪・京都・神戸で展開している理容室・美容室の老舗ブランド「GRANDブランド」を展開しています。
M&Aの目的
フリーランスや業務委託など働き方の選択肢も広がり、デザイン系やメンテナンス系、特化型など様々な美容室の形態がある中、アルテグループでは、単一業態に偏らず、まつげ&眉毛サロンなども含めた複数のブランドサロンを展開する『全方位戦略』をとっています。
それによりグループ全体としての事業の安定と「生涯美容師」で働き続けられる環境の構築が実現できると考えており、目まぐるしく変わるトレンド・世代や考え方で移り変わる顧客ニーズに柔軟に対応しながら、ライフスタイルに変化がある美容師が働き続けられる組織であること、その多様性を追求した全方位型こそがアルテグループの唯一無二の特徴としています。その一環として、理容事業、特にクラシカルメンズ市場にはかねてから注目しており、本事業譲受により、理容事業に参入することになりました。
今回譲受した4店舗については順次、人材・プロダクト・資金等を投資し、GRANDブランドの再興と、事業成長を図っていきます。
美容業×システム開発
エム・エイチ・グループ、SCAT社との資本業務提携を強化
- 資本提携
- SCAT株式会社(3974)、株式会社エム・エイチ・グループ(9439)
M&Aの概要
スキーム:資本提携、第三者割当増資 実行時期:2024年6月6日
株式会社エム・エイチ・グループは、SCAT株式会社との間で資本業務提携の強化によるSCAT株式の追加取得、及び割当予定先に対する第三者割当による新株式の発行を、2024年5月13日に決議しました。
エム・エイチ・グループは、ヘアサロン「モッズ・ヘア」の運営管理、ヘアメイクアップアーティストのマネジメント業務、「モッズ・ヘア」プライベートブランド商品の開発を行う企業です。
SCATは、理美容業界向けにPOSレジ顧客管理システムの販売、美容予約システムなどの各種WEBコンテンツサービスの提供により、美容サロンの経営のサポートを行っています。
資本業務提携を強化する目的と理由
エム・エイチ・グループでは、美容室支援事業の新たな取り組みとして理美容業界向けBtoBクレジット決済サービスに注力していました。日本国内においてもキャッシュレス決済の普及はより加速し、企業間のBtoBクレジット決済においてもそのニーズは高まっています。
SCATの有するソリューション技術、ネットワークと相互協力を図ることで、BtoBクレジット決済サービスの促進に加え、理美容業界の環境経営推進、DX推進等、課題解決のコンテンツ開発及びサービス領域の拡大を狙います。
業務提携の内容(拡充)
① 両社のサービスを連携することによる事業拡大の検討等
② 両社の保有する各種アセットを活用した新規事業の検討・開発等
③ 理美容サロンと美容ディーラーとのBtoBクレジット決済事業の拡大とシステム連携
④ 理美容業界への持続可能な環境経営支援(SDGs)への取り組み
資本提携の内容
① エム・エイチ・グループは、第三者割当増資の方法により新株式を150,000株発行し、SCATがこれを取得する予定。(新株式発行後のSCATの発行済株式総数に対する所有割合は2.66%となる予定)
② SCATは、自己株式処分により、SCATの普通株式65,000株をエム・エイチ・グループに割り当て、エム・エイチ・グループがこれを取得する予定。(本自己株式処分後のエム・エイチ・グループの発行済株式総数に対する所有割合2.81%となる予定)
理美容業界の
M&Aニュース
理美容業界のM&Aニュースを表示します。
-
2025.8.7
コンヴァノ、医療事務支援などのTKBCを売却
-
2025.7.23
AB&Company、レベニューシェア型ヘアサロン運営のSENSEを子会社化へ
-
2025.7.4
コンヴァノ、美容クリニック運営サポート会社を保有するアセットクリエイトを子会社化
-
2025.3.3
美容室チェーンのアルテジェネシス、グランド理美容の理容事業を買収
-
2024.5.13
エム・エイチ・グループ、SCAT株式の追加取得及びSCATを割当先とした第三者割当による新株式発行を発表
-
2023.8.18
エム・エイチ・グループ、会社分割により一部事業を子会社へ承継
-
2023.5.26
極楽湯ホールディングス、香港子会社の株式譲渡へ
-
2023.4.26
白洋舍がグループ内再編を実施へ
-
2023.3.28
アルテサロンホールディングス、グループ会社のスタイルデザイナーを吸収合併へ
-
2022.12.16
極楽湯ホールディングス、子会社間で吸収合併実施へ
理美容業界の
M&A仲介実績
日本M&Aセンターが仲介・支援して成約した理美容業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2025年9月までの実績を掲載しています。次回の更新(2025年10月~12月分)は2026年1月30日以降の予定です。
| 譲渡・売却企業 | 譲受け・買収企業 | |
|---|---|---|
| 2025年9月 | 理美容(北海道・東北) | セールスプロモーション(関東) |
| 2025年9月 | 測量・地質調査(中国・四国) | 建築工事(中国・四国) |
| 2025年9月 | 測量・地質調査(中国・四国) | 舗装工事(九州・沖縄) |
| 2025年9月 | 産業廃棄物処理(東海・北陸) | 産業廃棄物処理(関東) |
| 2025年9月 | 産業廃棄物処理(関東) | 産業廃棄物処理(関東) |
| 2025年9月 | 法人向けサービス(関東) | 会計事務所(関東) |
| 2025年9月 | エンターテインメント(中国・四国) | エンターテインメント(中国・四国) |
| 2025年9月 | 法人向けサービス(関東) | 自動車小売(関西) |
| 2025年9月 | 理美容(九州・沖縄) | 理美容(関東) |
| 2025年9月 | 法人向けサービス(関東) | 理美容(関東) |
サービス業界の
最新のM&A事例インタビュー
当社の仲介によりM&A・事業承継された事例を、経営者様へのインタビュー形式でご紹介します。
-

【TOB事例インタビュー】ウェディング事業と貸会議室事業の意外なシナジー
譲渡:東京都中央区 ブライダル事業 (婚礼プロデュース部門・婚礼衣裳部門・レストラン部門)
譲受け:ウェディング関連事業を運営するノバレーゼは、2024年11月ティーケーピーによるTOBに賛同する意思決定を発表。TOB成立までの経緯を聞きました。
-

「事務所をより大きくしていきたい」。あえて変えることを宣言し、PMIにも注力
譲渡:静岡県浜松市 社会保険・労働保険手続き等
譲受け:静岡県のM&パートナーズは、関東エリアの顧客増加を受け、東京の社会保険労務士事務所との吸収合併を行いました。代表にM&Aを通じた成長戦略について伺いました。
-

「この先の人生をどう過ごしたいか」。60歳を前に決断した会社の進む道
譲渡:東京都荒川区 社会保険・労働保険手続き等
譲受け:11人のスタッフが在籍する社労士事務所の代表は、60歳を目前に、事務所の存続のためM&Aを選択しました。現在も代表として円滑な引き継ぎに注力する中、話を伺いました
理美容業界の
セミナー情報
当社では、M&Aや事業承継をはじめ、経営に役立つさまざまセミナーを開催しております。ぜひご参加ください。