タクシー業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2025年最新版
タクシー業界に関する最新のM&A動向をご紹介します。 近年の市場推移やトピックス、業界再編にまつわる情報、タクシー業界の周辺業界を含めたM&A・事業承継の事例をわかりやすく解説しています。 また、日本M&Aセンターが取り扱う最新のM&A案件、当社仲介によりM&Aを実行された経営者様の事例、 各業界の動向やM&A(第三者承継)への理解を深めるセミナー情報などもご紹介します。
更新:
タクシー業界の
M&A案件(売却・事業承継案件)
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⽬次
タクシー業界の概要とM&A動向
タクシー業界とは、利用者を目的地まで運ぶためにタクシーを提供するサービスを行う業種です。この業界には、一般のタクシーの運行を行うタクシー会社や、ハイヤー、特定のサービスを提供する運転手付きの車両などが含まれます。タクシーは、主に都市部で利用され、運転手が乗客を乗せて移動する形態をとります。
タクシー業界の特徴の一つは、利用者のニーズに応じた柔軟なサービス提供です。例えば、急に移動が必要になったときに、道路の脇に止まっているタクシーをすぐに利用することができます。また、電話やアプリを使って呼ぶこともでき、便利さが増しています。このように、タクシーは人々の移動を助ける重要な役割を果たしています。
近年、タクシー業界ではM&Aが活発になっています。この動きは、業界の競争が激化していることや、技術革新が進んでいるためです。
タクシー業界のM&Aは企業の成長や競争力の強化を目的として行われています。同業のタクシー会社同士の統合や、周辺企業の買収、さらにはライドシェア企業との提携を通じて、業界全体が変化に対応しながら進化していることが見て取れます。これらの動きは、タクシー業界のサービスの質を向上させるだけでなく、利用者にとっても利便性を高める結果につながるのです。
例えば、今までタクシー会社がそれぞれ独立して運営されていた時代から、大手企業が小さなタクシー会社を買収することで規模を大きくし、より多くのサービスを提供するようになっています。これにより、利用者はより多様なサービスを受けられるようになります。タクシー業界におけるM&Aは、企業が生き残るための戦略の一環として行われています。
また、近年はライドシェア(配車サービス)の普及が進んでいます。これは、スマートフォンのアプリを使って自分の近くにいる車を呼ぶサービスで、ウーバーなどが代表的な例です。ライドシェアが流行することで、従来のタクシー業界は競争が激しくなり、タクシー会社もこれに対抗するためにM&Aを進めています。例えば、複数のタクシー会社が連携してライドシェアに対応するシステムを作ることで、効率よく運営を行おうとしています。
このような背景から、タクシー業界は単なる移動手段の提供から、デジタル化や新しいビジネスモデルへの適応が求められています。M&Aはその一つの手段であり、タクシー会社が競争力を維持し、成長するために重要な役割を果たしています。最近のM&Aの動向は、競争が激化する中で企業が生き残り、サービスを向上させるための戦略として注目されています。技術革新やライドシェアの普及に伴い、タクシー業界も変化を求められているため、今後の展開に注目することが大切です。
タクシー業界における
M&A活用のメリット
タクシー業界におけるM&A活用のメリットをご紹介します。
- 譲渡側のメリット
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- 取引シナジーにより人員の稼動の改善
- 採用、社員への教育体制の強化
- 適切な会社に譲渡すれば、社員の雇用は保証され、成長機会も増える
- 事業意欲旺盛な会社との協業により、相互に発展することが可能
- 後継者問題を解決できる
- オーナー社長は個人保証や担保提供から解放され、ハッピーリタイアができる
- 個人保証や担保提供から解放されたうえで役員等として継続してかかわることも可能
- 譲受け側のメリット
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- 新たな商圏への進出
- ブランドの引き継ぎ
- 人的リソースの獲得
- 売上規模・シェアの拡大が見込める
- 事業多角化・新規事業への参入
- バリューチェーンの補完・関連事業領域の拡大
- リスク分散ができる
- 財務力強化・コストの削減(仕入れコスト、管理部門コスト、物流コスト等)
タクシー業界で
M&Aを実行する際のポイント
タクシー業界でM&Aを実行する際に注意すべきポイントには、下記のようなものがあります。
- 加入組合
- 労働環境
- 車両、設備の充実度
- 人的リソース管理
- 財務問題
- 労働問題
- コンプライアンス
- ガバナンス・管理体制
ここでは一般的なポイントをご紹介させていただいておりますが、実際には、個別事情を勘案すると大きく変わります。また、業界によっては独自の規制や商習慣が存在するため、M&Aの仲介を行ううえで、それぞれの業種・業界の特性を正しく理解していることが非常に大切です。日本M&Aセンターでは各業界に精通したコンサルタントが所属しているため、専門性の高いサービスを提供させていただくことが可能です。
当社では秘密保持を厳守のうえ、個別相談を無料でお受けしています。当社は全国に拠点を展開しております。気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
タクシー業界における
M&Aの価格相場
タクシー業界のM&Aにおける価格や相場感について説明いたします。まず、中小企業のM&Aには明確な相場が存在せず、最終的な価格は売り手と買い手の交渉によって決まることが特徴です。M&Aの価格は、業種や企業の規模、人材の質、財務状況、ブランド力、将来性、市場環境など、多岐にわたる要素によって変動します。そのため、個別の状況を考慮しながら価格が算出されることになります。
M&Aの価格算定にはいくつかの評価方法がありますが、その中の一つに「取引事例法」があります。取引事例法は、過去のM&A事例の中から、事業内容や地域、財務指標が似ている企業の売買実績を基に価値を評価する方法です。取引事例法において重要なのは、類似の取引事例を参考にすることですが、類似条件を見つけるためには、相当数の事例を蓄積する必要があります。非上場企業のM&Aの多くが非公開情報であることから、他社の実績を参考にすることはハードルが高い方法でもあります。その点、日本M&Aセンターでは、M&Aにおいて成約実績10,000件超、M&A成約件数で世界No.1*のギネス世界記録™に5年連続で認定されるなど、豊富な実績があります。事業内容や地域、財務指標に基づく似た会社の売買事例を選定し、一定のルールに従って公正な価値評価を行うことが可能です。こちらから当社の株価算定シミュレーションを体験することができます。
※ギネス世界記録™:M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の最多取扱い企業 2020~2023年に続き、5年連続でギネス世界記録™に認定
次に、より高い評価を得て会社を高く譲渡売却するためには、よりシナジーのある買い手を見つけることが重要です。M&Aの最終価格は、売り手企業と買い手企業の交渉によって決まるため、買い手が「この会社が欲しい」と思う要素を増やしていく必要があります。例えば、現在、タクシー業界の市場では人材不足が全体的な問題となっており、若くて優秀な人材を採用できる利点がある場合、買い手企業にとってM&Aの魅力が増します。
さらに、コンプライアンスやガバナンスに関する問題も重要な要素です。具体的には、顧客とのトラブルが存在しないか、社会保険への適切な加入状況が確認されることが求められます。これらの問題があると、潜在的な費用や負債として見なされ、価格交渉において不利な要因となり得ます。これらの要素が事前にクリアである場合、買い手企業も安心してM&Aを進めることができ、価格交渉もスムーズに進行しやすくなる傾向があります。
最後に、M&Aを成功させるためには、総合的に企業の魅力を高める努力が欠かせません。これは、価格評価への影響だけでなく、交渉の流れにも深く関わる要素であるといえるでしょう。
なお、実際には個別の業種や取引環境等によって価格相場は変動しますし、場所や経営状態によっても大きく左右されます。初期的なご相談や、簡易的な株価診断は無料にておこなっておりますので、よりくわしく評価や課題について聞きたい方は、弊社コンサルタントから詳細をご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。
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株式会社日本M&Aセンター
業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。
タクシー業界の
最新M&A事例を解説
タクシー業×タクシー業
日本交通、大阪バスグループとのM&Aでサービス向上へ
- 譲渡企業
- 大バス太平タクシー株式会社(大阪府守口市)、大バス米運タクシー株式会社(大阪府守口市)
- 譲受け企業
- 日本交通グループ関西(大阪府大阪市)、日本交通株式会社(東京都千代田区)
スキーム:株式譲渡 実行時期:2025年3月31日
M&Aの概要
日本交通株式会社は、2025年3月31日付で、大阪バスグループの大バス太平タクシー株式会社と大バス米運タクシー株式会社の全株式を取得し、日本交通の関西エリア子会社である日本交通グループ関西として運営を引き継ぐことを発表しました。このM&Aにより、日本交通グループ関西は、1,679台のタクシーを持つ体制を整え、お客様へのサービス向上を目指します。
まず、日本交通は、東京都に本社を構え、97年の歴史を持つ企業です。「桜にN」マークで知られ、質の高いタクシーサービスを提供しています。
大バス太平タクシーと大バス米運タクシーは、1962年に設立した、一般乗用旅客自動車運送事業を営む企業です。車両台数は、それぞれタクシー96台、タクシー50台を所有しています。両社は、大阪で地域の移動手段として長年信頼を築き、とくに「お客様の安全とサービス向上」を重視しています。
今回のM&Aの目的は、地域の移動に対する社会的なニーズに応えるためです。大阪府や兵庫県では、タクシーの需要が高まっており、これに対応するために日本交通は、両社を傘下に置くことを決定しました。この結果、タクシーの供給力を強化し、より多くのお客様にサービスを提供できるようになります。今後、大バス太平タクシーは「東京・日本交通株式会社(守口第一)」として、大バス米運タクシーは「東京・日本交通株式会社(守口第二)」として運営されます。
これにより、両社の車両は順次、日本交通グループの仕様に切り替えられます。新たに仕様変更されるタクシーは、無線配車センターやタクシーアプリ『GO』を通じて配車されるようになるため、お客様はより便利にサービスを利用できるようになります。
このような変化は、業界全体の効率化やお客様満足度の向上につながります。タクシー業界は競争が激しく、お客様の期待に応えるためには常に進化が求められます。日本交通は「Japan Hospitality」というテーマのもと、お客様のニーズに応じたサービスを提供し続ける意向を示しています。
さらに、各社の企業文化が融合することで、より良いサービスを提供できる環境が整います。これは、例えば異なる地域の特色やお客様のニーズを融合させ、地域に密着したサービスを創出することに似ています。異なる料理を組み合わせて新たな料理を生み出すように、タクシー業界でも新しいサービスの提供が期待されています。
このM&Aは、日本交通にとっても大きな一歩であり、今後の事業展開においても重要な位置を占めることでしょう。地域社会の発展に寄与し、安全で安心な移動手段を提供することが、今後の目標です。日本交通は、この合併を通じて、より多くのお客様に愛されるサービスを目指して邁進していく姿勢を示しています
タクシー業×ライドシェア事業者
ライドシェアのnewmo、大阪の老舗タクシー会社 未来都を買収
- 譲渡企業
- 株式会社未来都(大阪府守口市)
- 譲受け企業
- newmo株式会社(東京都港区)
スキーム:株式譲渡 実行時期:2024年7月4日
M&Aの概要
newmo株式会社は、2024年7月4日に、大阪市を中心にタクシー事業を展開する株式会社未来都(みらいと)を買収したことを発表しました。この買収により、newmoはタクシー業界でのさらなる成長を目指します。
まず、newmoはライドシェア事業を運営しており、今後の計画として2025年度中に「全国主要地域での展開」「タクシー車両数3,000台」「ドライバー数1万人」を目指しています。ライドシェアとは、個人が自分の車を使って他の人を運ぶサービスであり、利用者にとっては便利で、また運営側にとっては効率的なビジネスモデルです。
一方、未来都は60年以上の歴史を持つ、大阪に根ざしたタクシー会社です。地域のニーズに応えながら、信頼されるサービスを提供してきました。
近年は働き手不足や移動難民といった問題が深刻化していました。このような背景から、タクシー業界全体でデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や経営基盤の強化が求められています。
newmoが未来都の経営権を取得することで、これらの課題を共に解決し、より良いサービスを提供することを目指しています。具体的には、タクシー業界にIT技術を活用し、効率的な経営を実現するための取り組みが期待されます。
今回の買収によって、newmoグループは合計646台のタクシー車両を保有することになり、これは大阪府内のタクシー事業者の中で5位の規模となります。これにより、地域におけるサービス提供能力が向上し、より多くのお客様に対応できるようになります。
今後、newmoは大阪エリアだけでなく、全国のタクシー会社との資本提携を進め、IT技術を駆使してタクシー業界全体の効率化や人材採用への投資を行う方針です。このような取り組みは、業界全体の発展に寄与すると同時に、利用者にとっても利便性の高い移動手段を提供することにつながるでしょう。
タクシー業界の
M&Aニュース
タクシー業界のM&Aニュースを表示します。
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2024.11.13
大和自動車交通、旅客自動車運送事業などの十全交通を買収
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2022.7.5
第一交通産業の子会社第一交通サービス、苫小牧観光ハイヤーの株式取得、子会社化
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2022.5.13
大和自動車交通、ガソリンスタンドを運営する宮園砿油を株式交換により完全子会社化へ
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2020.10.14
大和自動車交通の子会社、総合メンテナンス事業を展開するトータルメンテナンスジャパンの全株式取得、子会社化へ
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2020.3.23
大和自動車交通(9082)、新設分割により丸井自動車の事業を承継
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2020.3.3
第一交通産業(9035)の子会社第一交通サービス、三重県のタカモリタクシーの全株式取得、子会社化
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2020.2.12
第一交通産業(9035)、連結子会社である第一交通サービスが玖珂駅構内タクシーの全株式取得
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2019.8.1
第一交通産業(9035)グループの戸畑第一交通、戸畑タクシーより事業譲り受け
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2019.7.19
第一交通産業(9035)、子会社を通じてはとタクシーの全株式を取得
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2018.9.3
第一交通産業(9035)、小倉商工会館の発行済株式約80%を取得
タクシー業界の
M&A仲介実績
日本M&Aセンターが仲介・支援して成約したタクシー業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2025年9月までの実績を掲載しています。次回の更新(2025年10月~12月分)は2026年1月30日以降の予定です。
| 譲渡・売却企業 | 譲受け・買収企業 | |
|---|---|---|
| 2025年9月 | トラック運送(中国・四国) | 日用雑貨製造(関東) |
| 2025年9月 | トラック運送(東海・北陸) | トラック運送(東海・北陸) |
| 2025年9月 | タクシー(関東) | タクシー(東海・北陸) |
| 2025年9月 | 倉庫(海外) | 倉庫(関西) |
| 2025年9月 | 運送関連サービス(東海・北陸) | 自動車小売(関西) |
| 2025年8月 | トラック運送(中国・四国) | トラック運送(中国・四国) |
| 2025年7月 | トラック運送(九州・沖縄) | 漁業(九州・沖縄) |
| 2025年7月 | トラック運送(関東) | ファンド(関東) |
| 2025年6月 | トラック運送(関東) | トラック運送(東海・北陸) |
| 2025年6月 | 運送関連サービス(関東) | エネルギー(関東) |
タクシー業界の
最新のM&A事例インタビュー
当社の仲介によりM&A・事業承継されたタクシー業界の事例を、経営者様へのインタビュー形式でご紹介します。
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