医薬品卸業界のM&Aと事業承継の動向・案件情報2025年最新版

医薬品卸業界のM&A

医薬品卸業界は人の生命や健康に深く関わる医薬品の安定した供給とリスク管理を担う重要な役割を果たしています。本記事では、厳しい規制環境や複雑な供給網に向き合う医薬品卸業界のM&A動向、事例などをご紹介します。なお、製薬会社のM&Aはバイオ・医薬品製造業界、医薬品小売に関しては調剤薬局業界ドラッグストア業界をご覧ください。

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医薬品卸業界の概要とM&A動向

医薬品卸業界は、製薬メーカーや製造業者から仕入れ、病院・クリニック、調剤薬局などの医療機関に医薬品や衛生材料の卸を行う事業者から構成されています。
医薬品卸は、私たちの生命に関わる医薬品を安全かつ安定的に供給するという重要な役割を担っています。一方で、製品の差別化が困難であること、価格転嫁が容易でないことから、業界は薄利体質になってしまう傾向があります。
価格交渉代行などによる一括購入や価格競争の激化等の厳しい経営環境、薬価引下げなどの制度的な要因により、医薬品卸売業界では1999年以降、急速に業界再編が進みました。スケールメリットや販管費削減を期待してM&Aや業務提携が行われ、1990年には381社の卸が存在していましたが、その数は2000年には217社、2022年3月時点で70社まで統合されました。そのうち全国流通している4社は「4大卸」「4メガ卸」と呼ばれ、それぞれが年商1兆円を超える大企業です。全国をカバーする4大卸と特定の地域でシェアの高い地域卸に集約された医薬品卸は、業界内のM&Aはほぼ終息し、均衡状態が続いています。近年では、事業の多角化や経営効率化のための異業種間M&Aが見受けられます。

医薬品卸業界の市場環境

医薬品は多品種少量生産であり、人の健康・生命に直接関わるため、安定供給が求められます。医薬品卸はその医薬品の流通の主要部分を担っています。とくに医療用医薬品では、製薬メーカーから出荷された9割以上の製品が医薬品卸を通じて、日本全国の病院・診療所、保険薬局などの医療機関等へ販売されています。
医薬品はその性質上、製造から仕入、保管、配送、販売、使用に至るまで、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」をはじめとする各種の法的規制の対象となっています。そのため、薬価基準、病院における仕入制度の改正など、政府規制の影響を強く受ける業界です。
本業界の市場規模は、高齢化に伴う医療費拡大を背景に増加傾向にありましたが、近年は概ね横ばいで推移しています。2023年に公表された厚生労働省「医薬品・医療機器産業実態調査」によると、2021年度の医薬品卸売業(93社)の医薬品売上高合計は約13.6兆円となっています。このうち、同年度の売上高集中度では上位5社が全体の約71.7%を占めています。

政府の価格圧力と市場競争などによって医薬品卸の利益率は年々低下し、医薬品卸売業の経営は厳しい状況にあります。日本医薬品卸売業連合会調査によると医薬品卸業の経営状況は、売上総利益率(粗利率)は1993年度の12.2%から2022年度には5.96%と、約半分の6%を割る水準で推移しています。粗利率の低下に合わせて、販売費及び一般管理費率も半減しておりコストの抑制に努めていることが見受けられますが、営業利益率は1%程度で推移しています。特に、2020年度は新型コロナウイルス感染症による影響等もあり、極めて厳しい経営状況となりました。2022年度は回復傾向にありますが、売上高増はコロナ関連の影響で、営業利益も改善しているものの1%には届いていないことから、引き続き厳しい状況にあることが推測されます。

図:医薬品卸業の経営状況
医薬品卸業の経営状況

データ出典:日本医薬品卸売業連合会

医療費の推移

厚生労働省「国民医療費の概況」によれば、2021年度の国民医療費は前年度比4.8%増の45兆 359億円となりました。国民一人当たりの国民医療費は約35.9万円で、これは国民医療費の国内総生産(GDP)の8.18%にあたります。また、厚生労働省が2023年9月に発表した「医療費の動向」によると、2022年度の概算医療費は前年度比4.0%増加の46兆円で、2024年秋に公表見込みの「2022年度国民医療費」は、恐らく47兆円弱程度と予想されます。2020年度は受診控え等により一時的に医療費が減少したものの、2021年度以降は引き続き増加傾向にあります。
日本では高齢化による医療需要の拡大と、それを支える生産年齢人口の減少が同時に進んでいる状況です。国全体の医療費削減は重要な課題ですが、医薬品卸や医療機関、製薬会社にとっては、収益の減少や管理コストの増加、新薬開発のモチベーション低下などの課題も存在しています。

医薬品卸業界をとりまく環境

医薬品卸業界は、医療機関や薬局、介護施設などに医薬品を安定的に供給することで、日本の医療提供体制を支える中核インフラの一つです。高齢化の進展や医療需要の増加、後発医薬品やバイオ医薬品の普及、薬価制度や流通改善策などの制度変更、さらには物流2024年問題に象徴されるサプライチェーン制約など、多様なマクロ環境要因が複雑に絡み合う局面にあります。

本セクションでは、医薬品卸業界をとりまく環境を市場や需要・制度、サプライチェーンなどから整理し、それぞれの論点をM&A戦略と接続しながら概要を解説します。

市場・販売/生産・取引動向

厚生労働省「医薬品・医療機器産業実態調査」に基づく集計によると、医薬品卸売業における医薬品売上高は直近年次で約13.6兆円規模とされています(対象は医薬品卸売業に分類される企業群)。ここ5年程度は緩やかな増加傾向が続いており、人口減少下にあっても高齢化や医療の高度化を背景に市場規模は大きく縮小していない状況です。

同調査をもとにした分析では、2022年度時点で医薬品卸売業の対象企業数は約70社、医薬品売上高合計が約13.6兆円と報告されており、売上高集中度として上位4社(メディパル、アルフレッサ、スズケン、東邦)で7割以上を占めるなど寡占化が進んでいることが示されています。こうした高い集中度は、スケールメリットを活かした仕入・物流・IT投資が収益構造に与える影響が大きい業界構造であることを示しています。

医療用医薬品と一般用医薬品(OTC)の区分でみると、卸段階で取り扱う売上の大半は医療用医薬品が占めており、一般用医薬品や衛生材料等は相対的に比率が小さいとされています(日本医薬品卸売業連合会「データ集」を基にした各種レポートより)。一方で、セルフメディケーションやドラッグストア・チャネルの拡大により、一般用医薬品やヘルスケア関連商材のウェイトを高める動きも一部の卸で見られます。

後発医薬品の使用促進政策により、数量ベースのシェアは高水準で推移しています。厚生労働省の資料によれば、2023年の薬価調査時点で後発医薬品の数量シェアは約80%超、金額シェアは5割台後半とされています。さらに、最新の薬価調査速報では数量シェアが9割近くに達しているとの報告もあり、医薬品卸にとっては高単価な先発品と後発品のポートフォリオ管理や在庫マネジメントが一段と重要になっています。

国民医療費の動向も医薬品需要に直接影響します。厚生労働省「令和5(2023)年度 国民医療費の概況」によると、2023年度の国民医療費は48兆915億円で、前年度比3.0%増と増加を続けています。1人当たり医療費は38万6,700円、対GDP比は8.08%とされています。2019年度の国民医療費約44.4兆円と比べると、コロナ禍で一時的に減少した2020年度を経て、再び増加基調に戻っていることが読み取れます。

取引面では、病院・診療所・保険薬局などの医療機関向け販売が中心であり、特に医療用医薬品では製薬企業から出荷される製品の大半が医薬品卸を通じて供給されているとされています。このため、医薬品卸は価格交渉・在庫調整・情報提供といった機能を通じて、製薬企業と医療機関の間に立つインターフェースとしての役割を担っており、薬価改定や流通改善策の影響を強く受けるポジションにあります。

新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年度は外来受診控え等に伴い国民医療費が前年度比3%超の減少となりましたが、その後2021年度以降は回復し、2022年度・2023年度と増加が続いています。ワクチン・抗ウイルス薬など特定品目の需要変動に加え、慢性疾患の受診戻りも進んでおり、医薬品卸は需要変動と在庫リスクの双方に対応する必要に迫られました。

M&A観点
医薬品卸市場は売上高13兆円規模と一定のボリュームを維持しつつ、上位卸に売上が集約される寡占市場となっています。このような環境では、地域卸や専門領域に強みを持つ中堅卸にとって、大手グループとの提携や再編を通じてスケールメリットを獲得し、仕入条件や物流効率を改善するM&Aの意義が大きいと考えられます。また、高付加価値領域やサービス機能を持つ企業を取り込むことで、単純な販売量拡大に依存しない収益ポートフォリオを構築する動きも重要になります。

事業者・設備・拠点動向

医薬品卸売業の企業数は、業界再編を背景に中長期的には減少傾向にあります。厚生労働省「医薬品・医療機器産業実態調査」をもとにした分析では、医薬品卸売業に分類される企業は100社弱で推移しており、そのうち大手4社と数社の準大手・地域卸が国内市場の大部分を占めているとされています。

売上規模の観点では、売上高が2兆円を超える卸企業が複数存在し、1兆円超の企業も含めた上位群が市場の中核を構成しています。一方で、地域密着型の中小卸・専門卸も一定数存在し、特定エリアや特定診療科向けにきめ細かなサービスを提供することで差別化を図っています。

事業所・拠点の観点では、広域物流センターと地域倉庫を組み合わせたネットワークが一般的です。大手卸では、自動倉庫やピッキングシステムを導入した大型物流センターを整備し、夜間配送・緊急配送など多様なサービス水準を確保しながら、拠点統廃合や共同配送による効率化を進めています。一方で、僻地・離島などでは、一定の在庫を持つ小規模拠点の維持が医療提供体制の観点から求められるケースも多く、効率化とカバレッジ確保のバランスが課題になります。

生産性指標としては、1人当たり売上高や1拠点当たり売上高、在庫回転日数などが重視されています。日本医薬品卸売業連合会が公表する会員社業績集計では、会員各社合計の売上高が10兆円超の規模に対して営業利益率は1%前後、売上総利益率は6%前後、販管費率は5%前後とされており、わずかな効率性の差が利益水準に大きな影響を与える構造であることがわかります。

また、医薬品卸が自ら調剤薬局やヘルスケア専門店を展開したり、医療機器・衛生材料・在宅関連サービスなどをワンストップで提供するビジネスモデルも拡大しています。こうした垂直・水平的な事業展開は、物流・情報システム・人材を共通基盤として活用できるため、グループ全体でのシナジー創出が期待されます。

M&A観点
企業数が減少し、上位企業への集約が進む中で、今後も規模別・地域別・機能別の再編余地が残されています。大型の統合では広域物流センターの統合やITプラットフォームの一本化により効率化余地が大きく、一方で中堅・地域卸の承継型M&Aでは、既存ネットワークの維持とグループ全体のカバレッジ拡大が主要な価値ドライバーになります。PMIでは、拠点配置の見直しや共同配送スキームの設計、在庫マスタの統合など、物流・IT両面での統合作業が重要なテーマになります。

需要側ファクター

日本は世界でも類を見ないスピードで高齢化が進行している国です。総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者」によると、2024年時点で65歳以上人口は約3,625万人、総人口に占める割合(高齢化率)は29.3%とされています。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計では、高齢化率は2040年に約35%、2045年に約36%へ上昇すると見込まれており、高齢者を中心とした医療・介護需要は中長期的に高水準で推移する可能性が高いと考えられます。

こうした人口構造の変化を背景に、国民医療費は長期的に増加傾向にあります。前述のとおり、国民医療費は2023年度に48兆915億円まで拡大しており、2019年度の約44.4兆円から約4兆円増加しています。一人当たり医療費も増加しており、高度な診断・治療技術や高額な医薬品の普及が医療費構造を変化させつつあります。これらは医薬品卸にとって、需要のボリュームだけでなく、高単価・高機能製品の取り扱いが増えることを意味します。

医療提供体制の面では、急性期病床の再編や地域包括ケアシステムの構築、在宅医療・在宅看取りの推進などにより、医薬品の使用場所が病院から在宅・介護施設へシフトする動きがみられます。これに伴い、在宅療養向け小口配送、服薬支援機器や在宅医療機器との一体提供など、従来の病院中心モデルとは異なるロジスティクス・サービスが求められています。

また、後発医薬品の使用促進ロードマップやセルフメディケーション推進政策により、ジェネリック医薬品やOTC医薬品の役割も拡大しています。厚生労働省の資料では、2023年薬価調査時点で後発医薬品の数量シェアが80%超に達しているとされており、医薬品卸は先発・後発・バイオシミラーのバランスを踏まえた在庫・価格戦略を求められています。

ESGやサステナビリティへの関心の高まりも、需要構造に影響を与えつつあります。環境配慮型包装やグリーン物流、カーボンフットプリント開示といった取り組みだけでなく、医療機関側でもサステナビリティを意識したサプライヤー選定を行うケースが増えつつあります。この結果、医薬品卸に対しても、単なる価格・納期だけでなく、環境負荷やコンプライアンス対応力が評価される局面が増える可能性があります。

M&A観点
需要側の変化は、単に市場ボリュームの拡大・縮小にとどまらず、「どのような場所に」「どのような医薬品・サービスを」「どのような付加価値とともに」届けるかというビジネスモデルの変革を促しています。在宅医療や介護施設向けに強みを持つ卸・調剤薬局グループ、在宅医療機器・ヘルスケアサービス企業などとのM&A・提携は、需要構造の変化に対応したポートフォリオ転換を加速させる手段となります。

制度・規制・DX

医薬品卸業界は、薬機法(正式名称:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)をはじめとする各種法令・ガイドラインのもとで事業運営が行われています。薬機法は製造販売から流通、広告・情報提供に至るまで幅広い事項を規定しており、特に医薬品の品質・安全性確保や適正使用の観点から、卸売販売業者にも高い水準の管理が求められています。

流通実務に直結する制度としては、「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン(流通改善ガイドライン)」や、薬価改定の運用方針などがあります。近年の「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」では、流通コストの上昇や逆ザヤの状況、単品単価交渉の実施状況などが議題となっており、医薬品卸にとっては取引条件や値引き慣行の見直しが重要なテーマとなっています。

品質・トレーサビリティ面では、「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」が2018年に公表されており、卸売販売業者や製造販売業者に対して、保管・輸送・品質管理・リスクマネジメントに関する具体的な要件を示しています。GDPガイドラインは、偽造医薬品の混入防止や温度管理、輸送経路の管理などを通じて、医薬品の完全性を維持することを目的としており、医薬品卸の設備投資や運用コストに直接影響を与えています。

情報提供活動については、「医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン」により、医薬品製造販売業者や卸売販売業者が行う情報提供のあり方が詳細に定められています。科学的根拠に基づく正確な情報提供や、副作用情報を含むバランスの取れた説明、資料の引用元明示などが求められており、営業・MS活動の在り方にも大きな影響を与えています。

DXの観点では、電子帳簿保存法改正、インボイス制度、電子取引データの保存義務化など、取引関連のデジタル化が加速しています。また、電子処方箋やマイナンバーカードを用いたオンライン資格確認の普及により、処方情報や患者情報のデジタル化が進み、医薬品卸が提供するデータ連携サービスや需要予測の高度化など、新たな付加価値創出の余地が広がっています。

個人情報保護法や医療情報ガイドラインにより、医療・医薬品関連データの取り扱いには厳格な管理が求められています。特に、処方情報や患者属性情報などセンシティブなデータを用いた分析・マーケティングには慎重な対応が必要であり、匿名加工や仮名加工の手法や、利用目的の明確化、第三者提供の管理など、法令・ガイドラインに準拠した運用が前提となります。

M&A観点
制度・規制およびDX対応の高度化は、一定規模以上の投資や専門人材を必要とする領域であり、規模の小さい事業者にとっては負担が相対的に大きくなります。そのため、システム基盤やコンプライアンス体制を共有できるグループへの参加、もしくはIT・デジタル領域に強みを持つ企業の買収・提携による機能補完は、M&Aの主要なテーマとなります。PMIでは、マスタデータや販売管理・在庫管理・与信管理システムの統合、GDP対応手順書や販売情報提供ルールの標準化が重要な統合論点になります。

供給・ロジスティクス/サプライチェーン

医薬品サプライチェーンは、原薬・資材調達、製造、卸売、医療機関・薬局への配送まで多段階にわたるため、各段階におけるコスト上昇や制約が業界全体に波及しやすい構造です。近年はエネルギー価格や原材料価格の変動、国際物流の混乱、円安の進行などが製造段階のコストに影響を与えており、その一部は卸売段階にも波及しています。

国内物流面では、トラックドライバーの時間外労働規制強化に伴う「物流の2024年問題」を背景に、輸送能力不足や運賃上昇への対応が重要になっています。医療用医薬品は緊急性が高く配送頻度も多いため、共同配送や配送ルートの見直し、積載効率の向上など、業界横断的な取り組みが求められています。2025年に開催された「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」資料でも、流通コスト上昇や逆ザヤの問題が議論されており、サプライチェーン全体でのコスト・サービス水準の最適化が大きなテーマとなっています。

品質・安全確保の観点からは、GDPガイドラインに基づく温度管理、トレーサビリティ、偽造医薬品対策などが重視されています。特にバイオ医薬品や高額注射剤などのコールドチェーン対象品は、温度逸脱が品質や安全性に直結するため、専用保冷設備や温度ロガー、監視システムなどへの投資が必要になります。卸売サイドでの対応力は、製薬企業・医療機関双方からの評価項目としても重要性が高まっています。

近年の後発医薬品供給不安の経験から、特定メーカー・特定製品への依存度を下げるための調達先多様化や、安定確保医薬品の指定・在庫確保といった政策的対応も進められています。医薬品卸にとっては、在庫水準を高めることで安定供給責任を果たす必要がある一方で、在庫リスク・期限管理コストの増加というトレードオフが存在し、サプライチェーン全体でのリスク・コスト・サービスのバランス設計が重要な経営課題になっています。

M&A観点
物流・サプライチェーン領域では、拠点ネットワークの統合や共同配送スキームの構築、コールドチェーン機能を持つ事業者との統合・提携などがM&Aの主なテーマとなります。幹線輸送を専門とする物流企業や、温度管理・トレーサビリティ技術に強みを持つ企業との資本提携により、医薬品卸グループとしての物流競争力を高める動きが想定されます。また、PMIでは配送条件・リードタイム・在庫水準の標準化や、物流KPI(欠品率・納品遵守率など)の統一がシナジー創出の鍵となります。

人材

医薬品卸業界では、MS(Marketing Specialist:医療機関向け営業担当)、ロジスティクス要員、品質保証・薬事担当、情報システム要員など、多様な専門人材が必要とされます。MSは医療機関・薬局との関係構築や価格・条件交渉、情報提供などを担い、物流部門では24時間体制に近いオペレーションを維持するための人員が必要となります。品質保証部門ではGDPや各種GxPへの準拠を担保し、情報システム部門は販売管理・在庫管理・データ連携基盤の運用・開発を担当します。

日本医薬品卸売業連合会の調査結果を紹介する外部記事によれば、同連合会会員会社のMS数は約1万3,000人規模であり、近年は減少傾向にあるとされています。高齢化や若年層の採用難、働き方改革への対応などを背景に、従来型の対面営業スタイルのみで医療機関をきめ細かくカバーすることが難しくなりつつあります。一方で、リモート面談やデジタル資料の活用、データに基づく提案など、新たなスキルセットが求められています。

賃金水準や人件費率の観点では、前述のとおり医薬品卸は売上総利益率が6%前後、販管費率が5%前後、営業利益率が1%前後という薄利構造にあり、人件費の上昇は利益水準に直結します。物流センターの自動化や需要予測に基づくシフト最適化など、人材不足とコスト上昇の双方に対応する取り組みが不可欠です。

DX・データ活用の進展により、データ分析やシステム開発に携わる人材、AI・機械学習を用いて需要予測や在庫最適化に取り組む人材など、新たな専門職種のニーズも拡大しています。こうした人材は他業界からも需要が高く、採用・定着のためには、報酬水準だけでなく、柔軟な働き方やキャリアパスの整備も重要になります。

M&A観点
人材面の課題に対しては、グループ内での人材プールを拡大し、教育・研修機能を集約することで、専門人材の育成・共有を進めるM&Aが有効です。特に、データサイエンスやシステム開発、人事・教育の専門機能を持つ企業との統合は、人材戦略を強化する手段となります。PMIでは、評価制度や報酬制度の統合、研修カリキュラムの共通化、ナレッジマネジメントの仕組みづくりが重要な論点となります。

ガバナンス・広告・品質・コンプライアンス

医薬品卸は、薬機法や医薬品等適正広告基準、景品表示法、独占禁止法、下請法など、複数の法令・ガイドラインにまたがるコンプライアンス対応が求められる業種です。特に、医療用医薬品の販売情報提供活動については、前述のガイドラインにより科学的根拠に基づく適正な情報提供や、虚偽・誇大表示の禁止、医療従事者への不適切な提供行為の禁止などが明確化されており、営業活動の在り方に直接影響しています。

品質保証・回収対応の観点では、GDPガイドラインに沿った品質マネジメントシステムの構築、自己点検・内部監査の実施、逸脱・苦情対応・回収プロセスの整備などが求められています。偽造医薬品や不適正製造に起因する品質問題が社会的関心を集める中、卸売段階でのトレーサビリティ確保や異常検知の仕組みは、ガバナンス上も重要性を増しています。

サイバーセキュリティや情報セキュリティも、ガバナンス上の重要テーマです。医療機関や製薬企業との間で基幹システムを接続し、医薬品発注・在庫・請求データなどを交換するケースが一般的であるため、不正アクセスやランサムウェアなどのサイバー攻撃に対する備えが不可欠です。また、個人情報保護法や医療情報ガイドラインへの対応として、アクセス権限管理やログ管理、クラウドサービス利用時のリスク評価なども求められます。

M&A観点
ガバナンスやコンプライアンス領域では、グループとしての最小水準(グループスタンダード)を定め、PMIを通じて各社のルール・運用レベルを平準化することが重要です。M&Aによりグループ入りする企業にとっては、コンプライアンス・品質保証・情報セキュリティに関する統合プロジェクトを早期に立ち上げ、リスクの見える化と改善計画の策定を行うことが、シナジー実現とリスク低減の両面で重要なテーマとなります。

M&Aリレーション

医薬品卸業界では、過去数十年にわたり大手卸同士の再編や地域卸の統合が進み、現在の4大卸体制へと集約が進んできました。今後は、国内市場の成長率鈍化や物流・DX投資負担の増加を背景に、大手同士の統合というよりは、地域卸・専門卸・周辺領域企業を巻き込んだ「エコシステム型」のM&Aが中心になる可能性があります。

近年の動向としては、医薬品に限らずヘルスケア関連商品や在宅医療機器、健康食品・日用品などを含めたワンストップ供給を志向する動きや、調剤薬局チェーン・ドラッグストアとの垂直統合、物流会社・IT企業との連携など、多様な方向性のM&Aが見られます。また、後発品供給不安を経験したことから、安定供給力の強化や在庫機能の補完を目的とした提携・投資も重要なテーマとなっています。

中小規模の地域卸や専門卸では、オーナー経営者の高齢化や後継者難が課題となるケースも多く、事業承継ニーズに応えるM&Aの余地が残されています。地域医療を支えるインフラとしての役割を維持しつつ、仕入条件や物流効率、IT投資余力を高めるために、大手グループとの提携や、同規模同士の共同持株会社方式など、さまざまな再編の形態が検討され得ます。

M&A観点
医薬品卸業界のM&Aは、単なる規模拡大だけでなく、「安定供給」「物流効率」「DX対応力」「人材・ノウハウ」「ヘルスケア全体でのポジション強化」といった複数の目的を併せ持つことが一般的です。今後も、薬価制度・流通改善策・物流制約・後継者問題といった環境変化が続く中で、目的に応じた統合スキームの設計と、PMIにおける価格・在庫・与信・IT・ガバナンス統合の巧拙が、M&Aの成否を左右する重要な要素になると考えられます。

医薬品卸業界の今後の課題と展望

医薬品卸業界は、高齢化に伴う医療需要の増加という追い風と、薬価改定・流通改善策・人件費・物流費の上昇などによる利益率圧迫要因という逆風の両方にさらされています。今後3〜5年程度を見通すと、売上高自体は緩やかな増加もしくは横ばい圏で推移する一方、コスト構造の変化や規制対応の高度化により、収益性や投資余力には差が開いていく可能性があります。

簡易的なシナリオを置くと、ベースシナリオでは国民医療費が年率1〜2%程度で増加しつつ、薬価改定は現行ペースで継続、物流コストの上昇は一部価格転嫁や業務効率化で吸収され、業界全体の営業利益率は概ね1%前後で推移する姿が想定されます。上振れシナリオでは、高付加価値品比率の上昇や物流DX・共同配送の進展により、売上総利益率の改善と販管費率の低下が進み、営業利益率が1.5〜2%程度まで改善する可能性があります。一方、下振れシナリオでは、物流コスト上昇と人件費増加が続く一方で、価格転嫁が進まず利益率が一段と圧迫されるケースも想定されます(いずれも定性的なイメージであり、将来値を断定するものではありません)。
以下では、業界の今後の展望について主要な課題を整理します。

利益率圧迫と収益構造の再設計

課題
日本医薬品卸売業連合会会員社の業績集計によれば、直近年度の売上高合計が10兆円超に達する一方で、売上総利益率は6%前後、販管費率は5%前後、営業利益率は1%強と報告されています。薬価改定や流通改善ガイドラインに基づく取引ルールの見直し、後発医薬品の価格下落、物流・人件費・エネルギーコストの上昇などを背景に、今後も利益率が圧迫される可能性があります。特に、ロジスティクスと人件費は削減余地が限定的で、価格交渉だけでは対応が難しい構造的な課題になりつつあります。
対応策
収益構造の再設計に向けては、単純な仕切価や値引き条件に依存しない収益源の多様化が重要です。具体的には、在庫管理や需要予測、情報提供、データ分析、医薬品安全性情報の提供などを含む「サービス収入」の拡大、高付加価値製品やスペシャリティ領域の強化、物流受託や共同配送スキームへの参画などが考えられます。また、得意先別・品目別の収益性を可視化し、収益性の低い取引条件の見直しや、ロングテール品目の在庫戦略の再構築も重要です。
M&A観点
利益率改善を目的としたM&Aとしては、①スペシャリティ医薬品や在宅・希少疾病領域に強みを持つ卸・サービス企業の買収による高付加価値ポートフォリオの獲得、②物流・IT・データ分析に強みを持つ企業との統合によるコスト構造の改善、③地域卸や小規模卸のグループ化によるスケールメリットの獲得などが挙げられます。PMIでは、価格マスタ・割戻条件・与信ポリシーの統合を通じて、グループとしての調達力と収益性を高める設計が重要になります。

ロジスティクス再編と供給安定

課題
物流2024年問題に代表されるドライバー不足や労働時間規制の強化により、医療用医薬品の配送にも影響が及ぶ可能性があります。加えて、エネルギー価格や輸送費の上昇、後発医薬品供給不安に伴う安定確保在庫の増加などにより、物流コスト・在庫コストは構造的に上昇しやすい環境にあります。一方で、医薬品は緊急性が高く、配送リードタイムや欠品許容度に制約があるため、単純な配送頻度削減が難しいという制約もあります。
対応策
幹線輸送と地域配送の役割分担や、共同配送・共同保管スキームの構築、需要予測精度向上による在庫適正化、倉庫自動化やマテハン機器への投資などを通じて、物流効率を高める取り組みが重要です。特に、データに基づく需要予測と在庫配置の最適化、自動仕分け・ピッキングシステムの導入、コールドチェーン対象品における温度管理の自動監視などは、サービスレベルを維持しつつコスト・リスクを抑制するうえで有効と考えられます。
M&A観点
ロジスティクス領域では、広域物流センターを有する卸同士の統合や、幹線輸送・共同配送を担う物流専業企業との資本業務提携、コールドチェーンやGDP対応に強みを持つ事業者の買収などが有力な選択肢になります。PMIでは、配送条件・リードタイム・配送頻度の整理、物流KPIの統合、WMS・TMSなど基幹物流システムの統一が重要な統合テーマとなり、統合効果を測るためのモニタリング体制構築も求められます。

人材確保・育成と働き方改革

課題
MSや物流現場スタッフ、品質保証・情報システム担当者など、医薬品卸業界で必要とされる専門人材の採用・定着は年々難しくなっています。MS数は減少傾向にあり、医療機関との面談機会も対面中心からリモート・ハイブリッドへと変化しているため、従来の営業スタイルだけでは医師・薬剤師との関係構築が難しくなりつつあります。物流現場ではシフト勤務や夜間勤務が避けられないケースも多く、若年層の採用・定着に課題を抱える企業も少なくありません。
対応策
人材面の課題に対しては、①採用チャネルの多様化(中途採用、他業界からの転職、地域採用など)、②デジタルツールを活用した営業スタイル・オペレーションの変革、③キャリアパスと教育プログラムの整備、④働き方改革を踏まえたシフト設計・業務分担の見直しなどが求められます。特に、データに基づく提案活動が可能なMSや、需要予測・在庫最適化に携わるデータ人材の育成は、今後の競争力に直結する領域です。
M&A観点
人材確保・育成の観点では、教育・研修機能を持つ企業や、DXに強みを持つIT企業とのM&Aによって、人材育成インフラやノウハウを獲得することが一つの選択肢になります。また、M&Aにより地域ごとに分散していた組織をグループ化することで、MSや専門職の配置最適化やキャリアパスの多様化を図ることが可能になります。PMIでは、評価制度・職位体系・研修制度の統合を通じて、グループとしての人材ポートフォリオを再設計することが重要です。

デジタル/データ活用とビジネスモデル変革

課題
医薬品卸におけるデジタル・データ活用のポテンシャルは大きい一方で、現場オペレーションが複雑かつ多拠点に分散していることや、医療情報の機微性からデータ活用に慎重さが求められることもあり、全社的なデジタル変革が道半ばという企業も少なくありません。需要予測や在庫最適化、価格・割戻条件管理、与信管理など、多くの業務プロセスでデータ活用余地が残されています。
対応策
具体的な対応策としては、①販売・在庫データと医療機関別の特性を組み合わせた需要予測モデルの構築、②品目別・得意先別の収益性分析と価格・条件ポリシーの高度化、③電子帳票・電子請求・電子契約の導入による事務効率化、④製薬企業・医療機関と連携したデータ利活用サービスの開発などが挙げられます。AI・機械学習を用いた需要予測や異常検知、チャーン抑止といった応用も、段階的に導入が進むと見込まれます。
M&A観点
デジタル・データ活用強化に向けては、データ分析やクラウドインフラ、SaaS型業務ソリューションなどに強みを持つ企業とのM&A・資本業務提携が有効です。医療情報プラットフォームやレセコン・電子カルテベンダーとの連携も含め、ヘルスケアデータエコシステムの一角を担うポジションを狙う動きも想定されます。PMIでは、データガバナンスとセキュリティポリシーの統一、DWHやBIツールの共通化、マスタデータ統合などが重要なテーマとなり、統合プロジェクトの設計・運営力が成果を左右します。

ガバナンス/コンプライアンスとESG

課題
薬機法、独占禁止法・下請法、個人情報保護法、GxP/GDP等への対応は、医薬品卸にとって不可欠な前提条件です。一方で、M&Aやグループ再編を経て組織・文化・ルールが異なる企業が一つのグループに同居するケースも多く、現場レベルでの運用にばらつきが生じやすい状況があります。ESGの観点からも、サプライチェーン全体での人権・環境・コンプライアンス対応が問われるようになってきています。
対応策
ガバナンス強化に向けては、グループ全体でのコンプライアンス・品質・情報セキュリティに関する統一ポリシーの策定と、内部監査・自己点検の仕組みづくりが重要です。例えば、販売情報提供活動に関する研修・eラーニングの義務化、GDP対応の標準手順書の整備、サイバーセキュリティに関する共通基準の設定とモニタリングなどが挙げられます。また、ESG指標(CO₂排出量、廃棄医薬品量、従業員エンゲージメント指標など)をKPIとして設定し、可視化することも求められます。
M&A観点
M&Aにおいては、デューデリジェンスの段階でターゲット企業のコンプライアンス・品質・ガバナンス体制を精査し、統合後に必要となる改善・投資の規模を見積もることが重要です。PMIでは、コンプライアンス部門・品質保証部門・情報システム部門が連携し、ルール・体制・IT基盤の統合を推進する必要があります。ガバナンス統合を通じてリスクを低減しつつ、ESGを意識したサステナブルなサプライチェーンを構築することが、投資家や金融機関からの評価にもつながります。

拠点・フォーマット戦略と地域エコシステム

課題
人口減少や医療提供体制の再編に伴い、地域ごとの需要構造が変化する中で、物流拠点や営業拠点の配置をどのように見直すかが重要な課題となっています。都市部では大型物流センターの集約化・自動化投資の必要性が高まる一方で、地方や離島では一定の在庫と配送頻度を維持しなければ医療提供体制に影響が及ぶ可能性があります。また、在宅医療・介護施設・ドラッグストアなど、医薬品の最終到達地点が多様化していることも、拠点戦略の複雑性を高めています。
対応策
拠点・フォーマット戦略の見直しにあたっては、①地域ごとの需要・医療提供体制・地理的条件に応じた拠点の役割定義、②大型拠点と小規模サテライト拠点の組み合わせ設計、③他社との共同配送・共同倉庫の検討、④海外拠点や越境ECを含めたグローバルな物流ネットワークの構築などが考えられます。自治体や地域医師会・薬剤師会、介護事業者との連携を通じて、地域包括ケアを支える医薬品供給網を設計することも重要です。
M&A観点
拠点・フォーマット戦略の観点では、特定地域で強いプレゼンスを持つ卸企業や、ドラッグストア・調剤薬局チェーン、在宅医療・介護サービス事業者とのM&A・提携が有効です。こうした取引を通じて、地域ごとのエコシステムに深く関与し、医薬品に限らないヘルスケアサービスを包括的に提供する体制を構築することが可能になります。PMIでは、拠点統廃合の計画立案だけでなく、地域医療関係者との信頼関係を損なわないよう、移行プロセスを丁寧に設計することが重要です。

倒産・再編の地合いとリスク管理

課題
医薬品卸業界全体としては比較的安定した需要が見込まれるものの、薄利構造や投資負担の増加、後発品供給不安への対応などを背景に、財務基盤の弱い事業者が資金繰りに課題を抱えるリスクも存在します。金利環境や金融機関の与信姿勢によっては、地域卸や小規模卸の事業継続に影響が出る可能性もあり、再編圧力が高まる局面も想定されます。
対応策
個社レベルでは、キャッシュフローと投資計画のバランス管理、在庫・与信管理の高度化、資産圧縮やノンコア事業の整理などにより、財務の健全性を確保する必要があります。また、サプライチェーン全体のリスク管理として、特定メーカーや特定製品への依存度を下げる調達戦略や、BCP(事業継続計画)の整備・訓練、災害・感染症・地政学リスクを想定したシミュレーションなどが重要です。
M&A観点
倒産・再編の地合いにおいては、経営難に陥った事業者を救済しつつ、地域の医療提供体制への影響を最小化するM&Aが求められます。譲渡側にとっては、早期にM&Aを検討することで、従業員の雇用や取引先との関係を維持しながら事業承継を実現できる可能性が高まります。譲受側にとっては、財務デューデリジェンスに加えて、在庫・与信・コンプライアンス・品質リスクなどを丁寧に評価し、PMIでのリスク低減策を具体化することが重要です。
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ジョブメドレー|MS(医薬品卸販売担当者)とは?
日本医薬品卸売業連合会|データ集
厚生労働省|分担研究報告書 医薬品流通環境に関する研究
政府統計の総合窓口|経済センサス‐活動調査
政府統計の総合窓口|医薬品・医療機器産業実態調査
政府統計の総合窓口|国民医療費
日本の将来推計人口(令和5年推計)結果の概要
m3.com|2025年度薬価調査の速報公表、平均乖離率は約4.8%
厚生労働省|医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドラインについて
厚生労働省|医薬品業界の概況について(資料)
厚生労働省|医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン
厚生労働省|後発医薬品に係る新目標について
厚生労働省|医療用医薬品の流通改善に関する懇談会(第40回)
厚生労働省|医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会
厚生労働省|令和5(2023)年度 国民医療費の概況
ミクスOnline|卸連・会員社24年度業績 営業利益率は1.11%
PALTAC|2025 統合報告書
福島県企画調整部統計課|平成28年 経済センサス-活動調査(卸売業,小売業)結果報告書
商工組合中央金庫|第三者意見書
総務省統計局|統計トピックスNo.142 統計からみた我が国の高齢者
内閣府|令和7年版 高齢社会白書(概要版)

医薬品卸業界における
M&A活用のメリット

医薬品卸業界におけるM&A活用のメリットをご紹介します。

譲渡側のメリット
  • 後継者問題を解決できる
  • 事業意欲旺盛な会社との協業により、相互に発展することが可能
  • 適切な会社に譲渡すれば、社員の雇用は保証され、成長機会も増える
  • オーナー社長は個人保証や担保提供から解放され、ハッピーリタイアができる
  • 個人保証や担保提供から解放されたうえで役員等として継続してかかわることも可能
譲受け側のメリット
  • 売上規模・シェアの拡大・地域補完が見込める
  • 事業多角化・新規事業への参入
  • 人材の獲得・技術力の向上
  • シナジーの創出
  • バリューチェーンの補完・関連事業領域の拡大
  • リスク分散ができる
  • コストの削減・財務力強化(仕入れコスト、管理部門コスト、物流コストなど)
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医薬品卸業界で
M&Aを実行する際のポイント

医薬品卸業界でM&Aを実行する際に注意すべきポイントには、下記のようなものがあります。

  • メーカー、医療施設などとの関係
  • 有資格者の状況(人数・年齢・給与・継続雇用の可否)
  • 在庫管理・評価(過剰在庫を抱えていないか)
  • 財務問題
  • 労務問題
  • コンプライアンス
  • ガバナンス・管理体制

ここでは一般的なポイントをご紹介させていただいておりますが、実際には、個別事情を勘案すると大きく変わります。また、業界によっては独自の規制や商習慣が存在するため、M&Aの仲介を行ううえで、それぞれの業種・業界の特性を正しく理解していることが非常に大切です。日本M&Aセンターでは各業界に精通したコンサルタントが所属しているため、専門性の高いサービスを提供させていただくことが可能です。
当社では秘密保持を厳守のうえ、個別相談を無料でお受けしています。当社は全国に拠点を展開しております。気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

医薬品卸業界における
M&Aの価格相場

医薬品卸業界のM&Aにおける価格や相場感について説明いたします。まず、中小企業のM&Aには明確な相場が存在せず、最終的な価格は売り手と買い手の交渉によって決まることが特徴です。M&Aの価格は、業種や企業の規模、人材の質、財務状況、ブランド力、将来性、市場環境など、多岐にわたる要素によって変動します。そのため、個別の状況を考慮しながら価格が算出されることになります。
M&Aの価格算定にはいくつかの評価方法がありますが、その中の一つに「取引事例法」があります。取引事例法は、過去のM&A事例の中から、事業内容や地域、財務指標が似ている企業の売買実績を基に価値を評価する方法です。取引事例法において重要なのは、類似の取引事例を参考にすることですが、類似条件を見つけるためには、相当数の事例を蓄積する必要があります。非上場企業のM&Aの多くが非公開情報であることから、他社の実績を参考にすることはハードルが高い方法でもあります。その点、日本M&Aセンターでは、M&Aにおいて成約実績10,000件超、M&A成約件数で世界No.1*のギネス世界記録™に5年連続で認定されるなど、豊富な実績があります。事業内容や地域、財務指標に基づく似た会社の売買事例を選定し、一定のルールに従って公正な価値評価を行うことが可能です。こちらから当社の株価算定シミュレーションを体験することができます。

※ギネス世界記録™:M&Aフィナンシャルアドバイザリー業務の最多取扱い企業 2020~2023年に続き、5年連続でギネス世界記録™に認定

あなたの会社の評価額はいくら?

無料で診断(かんたん60秒

あなたの会社が現在どう評価をされるか、ぜひ見てみませんか?

次に、より高い評価を得て会社を高く譲渡売却するためには、よりシナジーのある買い手を見つけることが重要です。M&Aの最終価格は、売り手企業と買い手企業の交渉によって決まるため、買い手が「この会社が欲しい」と思う要素を増やしていく必要があります。例えば、現在、医薬品卸業界の市場では人材不足が全体的な問題となっており、若くて優秀な人材を採用できる利点がある場合、買い手企業にとってM&Aの魅力が増します。
さらに、コンプライアンスやガバナンスに関する問題も重要な要素です。具体的には、顧客とのトラブルが存在しないか、社会保険への適切な加入状況が確認されることが求められます。これらの問題があると、潜在的な費用や負債として見なされ、価格交渉において不利な要因となり得ます。これらの要素が事前にクリアである場合、買い手企業も安心してM&Aを進めることができ、価格交渉もスムーズに進行しやすくなる傾向があります。
最後に、M&Aを成功させるためには、総合的に企業の魅力を高める努力が欠かせません。これは、価格評価への影響だけでなく、交渉の流れにも深く関わる要素であるといえるでしょう。

なお、実際には個別の業種や取引環境等によって価格相場は変動しますし、場所や経営状態によっても大きく左右されます。初期的なご相談や、簡易的な株価診断は無料にておこなっておりますので、よりくわしく評価や課題について聞きたい方は、弊社コンサルタントから詳細をご説明いたしますので、お気軽にご相談ください。

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株式会社日本M&Aセンター

業界別M&Aレポート編集部

株式会社日本M&Aセンター

業界別M&Aレポート編集部は、日本M&Aセンターの社員によって執筆・運営されています。各業界・業種のM&Aや事業承継に関する情報、トピックをお届けします。

医薬品卸業界の
最新M&A事例を解説

医薬品卸業界は1990年代後半から多数のM&A(買収・売却)、経営統合が行われ、業界構造の再編が進みました。近年では、大手卸を中心に、海外案件や隣接業種とのM&A事例が見受けられます。近年に公開された医薬品卸の代表的なM&A、事業提携の事例をご紹介します。

食品素材製造・販売×医薬品卸
メディパルHD、住友ファーマフード&ケミカルを完全子会社化

譲渡企業
住友ファーマフード&ケミカル株式会社(大阪府)
※住友ファーマ株式会社(証券コード:4506)の完全子会社
譲受企業
株式会社メディパルホールディングス(証券コード:7459)

スキーム:株式譲渡 2023年3月31日

M&Aの概要

2022年11月、メディパルホールディングス(HD)は、住友ファーマから同社の完全子会社である住友ファーマフード&ケミカルを譲り受けることを発表。2023年3月31日付で住友ファーマフード&ケミカルの全株式を取得し、メディパルHDの完全子会社としました。また、同年4月1日付で社名(商号)を「MP五協フード&ケミカル株式会社」に変更しました。

M&Aの背景と目的

住友ファーマフード&ケミカルは、住友ファーマの子会社で、食品素材・食品添加物・化学製品材料の製造・販売まで幅広い領域で事業活動を展開する企業です。1947年に輸入商社である五協産業として発足し、2010年に親会社の大日本住友製薬(現:住友ファーマ)の食品・化成品事業を継承・統合しました。50年以上にわたる多糖類製造・販売の歴史を持ち、食品素材事業において、自社で研究開発した天然由来の多糖類や機能性素材などを国内外に幅広く提供しています。

住友ファーマは、新薬の研究開発などの医薬品事業を中核事業とする製薬企業です。同社は、事業基盤の強化のために『事業の選択と集中』を進める方針を掲げ、様々な施策を検討していました。その一環として、非医薬品事業子会社である住友ファーマフード&ケミカルの全株式をメディパルHDへ譲渡することを決断しました。

メディパルホールディングス(HD)は、医療用医薬品等の卸売事業、化粧品・日用品、一般用医薬品卸売事業ならびに動物用医薬品・食品加工原材料等卸売などを行う専門卸グループの持株会社です。メディパルグループは中期ビジョンにおいて、健康寿命の延伸ニーズや、予防・未病への関心の高まりに対する取組みの強化・充実を掲げており、医食同源を体現する住友ファーマフード&ケミカルがグループに加わることは、中期ビジョンの実現に資すると判断しました。このM&Aにより、住友ファーマフード&ケミカルの高い研究開発力から創出された競争力のある製品とメディパルグループが持つ流通ネットワークを掛け合わせることによるシナジー効果が期待されます。

医薬品卸×医薬品卸
アルフレッサHD、中国の医薬卸大手と包括的な戦略的業務提携へ

スキーム:業務提携 2023年11月7日

業務提携の背景と目的

2023年11月20日、アルフレッサホールディングスは、中国の医薬品卸大手である華潤医薬商業集団有限公司(北京市、以下「華潤医薬商業」)と包括的な戦略的業務提携に関する合意書を締結し、両社による合意書の調印式が11月7日に実施されたことを発表しました。この提携は、日本の医薬品や医療機器などを中国市場に導入するための支援を目的としており、今後は両社で流通に関する事業開発の協議を進める予定です。

アルフレッサHDは、医薬品をメインに扱う専門商社です。同社の2022~2024年度の中期経営計画では「アジア市場における事業の拡充」を掲げており、海外企業との提携を通じた事業の拡大を進めていました。

華潤医薬商業は中国の複合企業グループである「華潤集団有限公司」の医薬部門に所属する医薬品卸で、中国28省に430社を超える子会社を展開しています。2022年度12月期の売上高が日本円換算で約3.8兆円。2022年度時点で、中国の医薬品卸売企業としては第3位の地位にあります。華潤医薬商業は、8,000軒以上の大病院を中心に医薬品の卸売販売、物流配送、およびサプライチェーン関連のサービスを提供しています。

両社は2019年3月にも提携契約を締結し、中国市場において共同事業を行うことを模索してきました。今回の戦略的業務提携により、両社はお互いのブランド力や医療機関との販売・物流ネットワーク、ノウハウなどの経営資源を活用し、中国市場における日本の医薬品や医療機器の輸出および流通に関する事業開発の協議を進める方針です。

医薬品卸業界の
M&Aニュース

医薬品卸業界のM&Aニュースを表示します。

医薬品卸業界のM&Aニュース一覧

医薬品卸業界の
M&A仲介実績

日本M&Aセンターが仲介・支援して成約した医薬品卸業界のM&A案件をご紹介します。
※現在、2025年9月までの実績を掲載しています。次回の更新(2025年10月~12月分)は2026年1月30日以降の予定です。

譲渡・売却企業 譲受け・買収企業
2025年9月 調剤薬局・ドラッグストア(関東) 調剤薬局・ドラッグストア(関東)
2025年9月 調剤薬局・ドラッグストア(北海道・東北) 調剤薬局・ドラッグストア(北海道・東北)
2025年6月 調剤薬局・ドラッグストア(関西) 調剤薬局・ドラッグストア(関東)
2025年6月 調剤薬局・ドラッグストア(関東) 調剤薬局・ドラッグストア(関東)
2025年6月 調剤薬局・ドラッグストア(関東) 調剤薬局・ドラッグストア(関東)
2025年6月 EC販売(関東) 医薬品卸売(関東)
2025年6月 介護・福祉(東海・北陸) 調剤薬局・ドラッグストア(関東)
2025年3月 調剤薬局・ドラッグストア(東海・北陸) 介護・福祉(東海・北陸)
2025年3月 調剤薬局・ドラッグストア(北海道・東北) 調剤薬局・ドラッグストア(九州・沖縄)
2025年3月 調剤薬局・ドラッグストア(関東) 調剤薬局・ドラッグストア(中国・四国)

医薬品卸業界を含む医薬品卸・小売業界のM&A仲介実績一覧

医薬品卸業界の
最新のM&A事例インタビュー

当社の仲介によりM&A・事業承継された医薬品卸業界の事例を、経営者様へのインタビュー形式でご紹介します。

医薬品卸業界のM&A事例インタビュー一覧

医薬品卸業界の
セミナー情報

当社では、M&Aや事業承継をはじめ、経営に役立つさまざまセミナーを開催しております。ぜひご参加ください。

医薬品卸業界向けセミナー一覧

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