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M&Aスキーム(手法)とは?種類・メリット・デメリットを譲渡側(売り手)・譲受側(買い手)の立場でそれぞれ分かりやすく解説!

M&Aの専門知識を学ぶ

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M&Aスキーム(手法)とは

M&Aにおけるスキーム(手法)とは

M&Aにおけるスキーム(手法)とは、当事者である譲渡側(売り手)と譲受側(買い手)がM&Aを実行するための手法のことをいいます。スキームによってそれぞれメリット・デメリットがありますが、中堅中小企業のM&Aにおいては、最もシンプルな「株式譲渡」が多く使われます。こちらの記事では各スキームについて詳細に解説していきます。

※以降こちらの記事では、読みやすさを重視して、M&Aの譲渡対象である企業を「対象会社」、対象会社の株主を「譲渡側(売り手)」、M&Aの譲受側(買い手)を「譲受側(買い手)」と表現しております。

M&Aスキームの手法・形態の全体像

M&Aにおいて使用されるスキームの一覧をまとめています。(表1)

実務上よく使われる手法として、「株式譲渡」「事業譲渡」「会社分割」があります。
「合併」や「株式移転」などの手法もありますが、デメリットが多いこともあり、実務においてはほとんど使われません。「株式交換」は上場会社が譲受側(買い手)のときに稀に使われることがあります。また新しく創設された「株式交付」についても、譲受側(買い手)が上場会社の場合に今後活用機会が増えてくるものと思われます。

表1:M&Aスキームの全体像
M&Aスキームの全体像

なお、中堅中小企業のM&Aにおいては、そのほとんどが株式譲渡で行われていると言われています。
そこで実際に当社の過去の成約案件を1,000件分調べてみました(表2)。

表2:当社の過去の成約案件1,000件分のスキーム内訳
弊社の過去の成約案件を1,000件分

すると、当社事例においては9割の案件において株式譲渡が使用されていました。残り1割は事業譲渡と会社分割です。なお、その他としては株式交換や第三者割当増資などがありました。そのため、こちらの記事では「株式譲渡」と「事業譲渡」および「会社分割」を中心に解説していきます。

なお、最近のトレンドとして、会社分割の活用事例が増えています。平成29年の税制改正で会社分割が使いやすくなったことがきっかけです。具体的には、非事業用資産を会社分割で別会社に切り離してから対象会社を株式譲渡することで、譲渡側(売り手)サイドは税負担の抑制、譲受側(買い手)サイドは投資額の抑制につながります。

また、近年はM&Aプラットフォーマーの台頭に伴い小規模M&Aが急激に広がっています。小規模M&Aにおいては、主にリスク遮断の観点から、半数以上は事業譲渡で行われていると言われています。
そのため将来的には、会社分割や事業譲渡の割合が増えていくものと想定されます。

M&Aスキームの選び方

このようにM&Aのスキームには様々なものがありますが、実際にはどのように決められているのでしょうか。

一般的には、対象会社のビジネスへの影響や、各当事者の税負担等を考慮しながら、最も適切と思われるスキームを選択することとなります。また、M&Aの対価をもって次に何をしたいのか、その目的によっても変わってきます。

結果として、統計的には株式譲渡が選択されることが多い状況です。なお、税負担の観点では、個人株主の場合には、株価がどんなに高額でも約20%の税負担で済みます。例えば給料や配当の税負担は最大で約50%にもなるので、比較するといかに負担が少ないかよくわかります。

一方で、会社をそのまま譲渡することができないケースもあります。例えば一部事業のみを譲渡したい場合や、対象会社に何かしらの重大なリスクがあり、譲受側(買い手)からすると会社ごと引き受けることはリスクが高いといった場合です。

そのような場合には事業譲渡や会社分割など、他のスキームを検討していきます。ただし、次のように対価の入り方や税負担などが株式譲渡とは大きく異なりますので、事前にしっかりとシミュレーションする必要があります。

注意ポイント1:誰が対価を受け取るか、誰が課税されるのか、について

対価の入り方と税負担の観点で、株式譲渡と事業譲渡・会社分割は大きく異なります。

株式譲渡の場合

譲渡側(売り手)の契約当事者は株主となります。そのため譲受側(買い手)からの対価は株主に直接入ります。また個人株主の場合には、譲渡所得に対して一律20.315%の税負担となります。これは給与所得などの累進課税(最大55%の税負担)と比べると、かなり少ない税負担といえます。

表3:
株式譲渡

事業譲渡・会社分割の場合

譲渡側(売り手)の契約当事者は対象会社自身となります。そのため譲受側(買い手)からの対価は対象会社に入ります。また法人の行為となるため、事業譲渡・会社分割で生じた利益に対して法人税等(実効税率約34%)が課税されます。なお、そこから例えば個人株主へ対価を還元する際には、さらに役員報酬や配当などの税負担が追加で生じます。(表4は事業譲渡のイメージ図です)

表4:
事業譲渡

そのため、対象会社の株主が個人株主で、M&Aの対価を個人で受け取りたい場合には、税負担の観点から株式譲渡が有利になります。なお、M&Aスキームには様々なものがありますが、対価を譲渡側(売り手)個人が直接受け取れる手法は基本的に株式譲渡だけです。

注意ポイント2:手続き・スケジュールの違い

手続面においても、株式譲渡と事業譲渡・会社分割は大きく異なります。詳細は後段で解説しますので、ここではざっくりとした全体像について比較します。

株式譲渡の場合

株主が変わるだけで、対象会社には特段の変更は生じません。そのため、最終契約締結からクロージング(代金の決済)まで、比較的短期間で実行できます。場合によっては最終契約とクロージングを同時に実行することもあります。

事業譲渡・会社分割の場合

最終契約締結からクロージングまで時間を要します。事業譲渡の場合には、対象会社と外部との契約の引継ぎや、従業員への説明および転籍承諾書の取得などが必要です。これらの引継ぎに数週間~1か月程度の時間がかかります。また、会社分割で一定の場合には会社法上「債権者保護手続」が求められ、最短でも約1か月半の期間を要します。
そのため、株式譲渡の方が事務的な負担は少ないと言えます。

譲渡側(売り手)が意識しておくべきポイント

スキームの選択において譲渡側(売り手)が意識しておくべきポイントは、主に税負担と事業の継続性です。

税負担

税負担の観点からは、前述のとおり個人株主が対価を受け取りたいときには株式譲渡が適しています。

逆に、個人ではなく法人に対価を入れたいときには、事業譲渡・会社分割が適しています。例えばM&Aの対価を対象会社で別事業への投資に回したい場合や、M&A後の対象会社を資産管理会社として運用していきたい場合です。

なお、税負担が法人税等の約34%になるので不利なようにも思えますが、実はそこまで税金が生じないケースもあります。例えば対象会社に多額の繰越欠損金があって事業譲渡等の利益と相殺できる場合や、譲渡企業で進行期に赤字が出る場合、そもそも事業譲渡でそこまで利益が出ない場合などです。

そのため、「M&Aの対価をもって次に何をしたいのか何をしたいか」および「税負担がどの程度になるか」によって相応しいスキームは変わってきます。シンプルにM&Aの目的が事業承継で、対価は株主個人で受け取りたい、というケースにおいては、株式譲渡が選択されます。

事業の継続性

もう1つ意識しておくべきポイントとして、事業の継続性が挙げられます。これは譲受側(買い手)も最も気にする事項になりますが、譲渡側(売り手)からするとM&Aで引き継いだ会社がしっかり事業継続していけるかどうかは気になるポイントです。

株式譲渡の場合、対象会社は株主が変更するだけですので、事業に与える影響は最も小さいといえます。一方で事業譲渡や会社分割の場合、事業が別会社に移ることから、許認可や従業員、外部との契約の引継ぎが発生します。場合によっては事業に与える影響は大きくなります。

そのため、株式譲渡は最も事業に影響を与えずにM&Aをすることができる手法といえます。事業譲渡や会社分割を採用する場合には、譲渡側(売り手)と譲受側(買い手)が協力しあって事業の引継ぎを行うことが重要となります。

譲受側(買い手)が意識しておくべきポイント

スキームの選択において、譲受側(買い手)が意識しておくべきポイントは、主に事業の継続性と投資額、税務上のメリットです。

事業の継続性

事業の継続性に関しては、譲渡側(売り手)が意識しておくべきポイントでご紹介した通りです。譲受側(買い手)としてはM&Aがスタートとなるため、できるだけスムーズに事業を引き継ぐことがポイントになります。

投資額

実務において意外とネックになるのが、投資額の観点です。

株式譲渡の場合、対象会社の資産・負債をすべて引き受けることになります。そのため対象会社に現預金や売上債権など実質的なネットキャッシュが多額であればあるほど、財務的には優良である一方で、株価、即ち譲受側(買い手)サイドの投資額は増えることになります。そのため、実務上は役員退職金を活用して投資額を減額するなどの工夫をすることもあります。

一方で事業譲渡や会社分割の場合には、事業で必要な資産・負債のみを引き受けます。一般的には事業に直接必要なものを精査した結果、在庫や固定資産だけを引き継ぐことが多く、譲受側(買い手)の投資額は少なくなります。

投資額が少なくなる分M&Aを検討しやすくなり、また譲受側(買い手)の社内決済も取りやすくなります。また譲渡側(売り手)からしても、より幅広いお相手とのマッチングにつながるメリットがあります。ただし、前述のように譲渡側(売り手)の税負担が一般的には大きくなりますので、事前にシミュレーションすることが大切です。

税務上のメリット

スキームによっては税務上のメリットが得られる場合もあります。

詳細は各スキームの説明で触れますが、事業譲渡や非適格の会社分割においては、譲渡対価と時価純資産の差額を「営業権」として計上することができ、5年間で税務上の損金に算入することができます。

この目的のためだけにスキームを決定することはなかなかありませんが、事業譲渡や非適格の会社分割が実行される場合には結果的に譲受側(買い手)のメリットとなります。

株式譲渡について

中堅中小企業におけるM&Aの9割で採用されている、株式譲渡というスキームについて解説します。

株式譲渡の概要

株式譲渡は、対象会社の株主が所有する株式を譲受側(買い手)に譲渡する手法です。

株券を発行している場合には株券の現物を譲渡しますが、不発行会社の場合には現物は譲渡する必要はありません。なお中堅中小企業のM&Aにおいて、譲受側(買い手)は基本的には一部の株式ではなく100%全ての株式取得を求めます。

特に後継者が不在の事業承継型のM&Aにおいてはその傾向が強いです。弊社がご支援させていただく際にも、ほぼ全てのケースにおいて100%の株式譲渡が採用されています。

表5:
株式譲渡

株式譲渡のメリット・デメリット

株式譲渡のメリット・デメリットについて、譲渡側(売り手)・譲受側(買い手)の立場からそれぞれ解説します。

譲渡側(売り手)のメリット

譲渡側(売り手)のメリットは、前述の通り手続きが簡便な点、対象会社の事業に与える影響が少ない点、(個人株主の場合は)税負担が約20%と少ない点です。事業承継を実施するうえで最も安定感のあるスキームといえます。

譲渡側(売り手)のデメリット

譲渡側(売り手)のデメリットは特にありませんが、強いていえば株主全員の同意が無いと100%の株式譲渡はできない点です。

例えばM&Aに反対している株主がいたり、そもそも連絡が取れない株主がいたりするような場合は、100%の株式譲渡が難しくなります。スクイーズアウトという強制的に少数株主を排除する手法もありますが、弁護士主導となりやや大事になるので、友好的な中堅中小企業のM&Aには不向きです。もしくは「一部株式を取得できなくてもいいよ」というお相手が現れればいいですが、筆者の経験上レアケースかと思います。

譲受側(買い手)のメリット

譲受側(買い手)の主なメリットは、前述の通り手続が簡便な点と、対象会社の事業に与える影響が少ない点です。会社をそのまま引き継ぐので、M&A後の事業運営もスムーズに進めることができます

さらに、株式譲渡を活用する譲受側(買い手)にとって画期的な制度が2021年8月から始まりました。「中小企業事業再編投資損失準備金」という制度です。こちらの制度が使える点も、今後は譲受側(買い手)のメリットになると考えられます。

ざっくりとした制度のイメージは、表6の通りです。例えば10億円で株式を取得したときに、その期に70%相当の7億円を一括で税務上の損金に算入することが可能となります。

ただし、その損金に算入した70%相当額の金額は、その後、5年間の据え置き期間を経て、6年後から1/5ずつ取り崩す必要があります。この例では1.4億円ずつ税務上の益金(つまり利益)に算入されることとなります。

譲受側(買い手)としては足元の利益と相殺することで一時的な節税となりますが、6年目から取り崩しがなされるため、単なる課税の繰り延べと言えます。
しかしながら、長期的なタックスプランニングのもと制度の利用ができれば、有効な制度としてM&Aの促進に資すると思われます。

表6:
「中小企業事業再編投資損失準備金」制度イメージ

※中小企業庁HPを参考に筆者作成

この制度を使うためには、株式の取得価額が10億円以下(付随費用を含む)、譲受側(買い手)が一定の中小企業(資本金1億円以下。大企業の子会社等は除く)、事前に経営力向上計画の認定が必要、などいくつかの要件があります。詳細については、中小企業庁のHPに手引きの記載がありますので、そちらをご参照ください。

中小企業庁:経営資源集約化税制(中小企業事業再編投資損失準備金)の活用について

譲受側(買い手)のデメリット

譲受側(買い手)のデメリットは主に2点あります。

1点目は前述の通りで事業譲渡・会社分割と比べると譲受側(買い手)の投資額が多くなりがちである点です。もう1点は、対象会社をそのまま引き継ぐため、対象会社にまつわる潜在的なリスクもそのまま引き継ぐことになる点です。例えばM&A後に何かしらの簿外債務が見つかったり、税務調査が入って追徴課税を受けた場合には、対象会社、ひいては譲受側(買い手)が損害を被ります。

そのため、まずは譲受側(買い手)としては事前に企業調査(いわゆるDD)でそういったリスクが無いか、ある場合にはその内容とリスクの度合いをしっかり検証することが大切です。その上で最終契約書において、「将来において現在識別できていないリスクが顕在化した場合には、譲渡側(売り手)が負担する」ことを定めることも重要です。

なお、通常は株式譲渡契約書のひな型に、このような表明保証の文言が入っています。

株式譲渡の手続・スケジュール

株式譲渡の手続は、非常にシンプルです。

譲渡側(売り手)と譲受側(買い手)で株式譲渡契約書を締結後、事前に定めた一定のクロージング条件を満たしたことを双方が確認した上で決済(代金支払)となります。クロージング条件を契約締結時点で満たしていれば、同日決済も可能です。

表7:
株式譲渡の手続・スケジュール

なお株式の譲渡に関しては、株券発行会社の場合には株券の現物を渡すことが必要です。もし発行していない会社の場合には、実際に発行して現物を譲渡するか、もしくは不発行会社に変更する必要があります。

株券不発行会社の場合は、現物が存在しないので最終契約書に定めた代金の決済によって効力が発生します。ちなみに、どちらの場合でも決済日において株主名簿の名義を譲渡側(売り手)から譲受側(買い手)に書き換えます。

また実務的には、譲受側(買い手)の従業員から何名か対象会社の役員に就任させることがほとんどで、譲渡日に役員の変更も行います。対象会社のオーナーが役員を退任する場合には、オーナーの退任登記と新役員の就任登記を同時に行うことが多いです。

事業譲渡について

続いて事業譲渡について解説します。小規模M&Aは半数以上が事業譲渡で行われていると言われていますが、それは主に譲受側(買い手)に株式譲渡とは違ったメリットがあるためです。

事業譲渡の概要

事業譲渡とはその名の通り、対象会社の事業だけを譲受側(買い手)に譲渡する手法です。(表4再掲)

表4:
事業譲渡

そのためM&Aの最終当事者は対象会社自身となり、対象会社が事業を譲渡した代わりに対価を受け取ります。一方で譲受側(買い手)は事業を譲り受け、M&A後は譲受側(買い手)がその事業を運営していくこととなります。

事業譲渡のメリット・デメリット

事業譲渡のメリット・デメリットについて譲渡側(売り手)・譲受側(買い手)に分けて解説します。

譲渡側(売り手)のメリット

1つ目は、事業譲渡後も今の会社を引き続き運営できる点です。
例えば代々受け継いできた法人に思い入れがある場合や、今の会社で既に相続税対策をしており個人ではなく会社に対価を入れて、今後も相続税対策を継続していきたい場合などです。

このように、「今の会社を継続して所有したい」「対価を株主ではなく対象会社に入れたい」というニーズがある場合には譲渡側(売り手)のメリットとなります。

表8:
事業譲渡後も今の会社を引き続き運営できる

2つ目は、株主に何かしらの問題があっても、事業譲渡ならM&Aができる点です。通常の株式譲渡の場合、すべての株式を譲渡するには原則株主全員の同意が必要となります。

ただし会社によっては一部の株主と関係性が悪化していたり、M&Aに反対されることが予想されたり、そもそも連絡すらつかなかったりと、全株主から同意を得るのが難しい場合があります。

このような場合においても、事業譲渡であれば、株主総会の特別決議(総議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の2/3以上の賛成)により実行できます。さらに簡易の事業譲渡に該当した場合には、株主総会ではなく取締役会の決議(取締役会非設置会社は取締役の過半数の決定)で実行できます。

この簡易の要件は、「事業譲渡で譲渡する資産の簿価合計が、会社の簿価総資産の1/5以下であること」です。実務上、事業譲渡をする場合には事業に最低限必要な在庫や不動産だけを譲渡することが多く、簡易の要件を満たせることも少なくありません。

譲渡側(売り手)のデメリット

一方でデメリットの1つ目としては、まず税負担が挙げられます。

事業譲渡は法人の行為なので、事業譲渡によって発生した利益に法人税等(約34%)がかかります。例えば譲渡する資産の簿価が100、対価が500の場合、事業譲渡益400×34%=136の法人税等がかかります。個人株主の株式譲渡(税率約20%)と比べると、やや税負担が大きくなります。また、その後個人へ対価を還流したいときには、例えば株主であれば配当、役員であれば役員報酬など、追加の税負担がかかります。

ただし、例えば譲渡する資産の簿価が100、対価も100のような場合は、事業譲渡で税金はかかりません。一方で株式譲渡は一律で約20%の税負担が生じます。そのため、一般的には事業譲渡は税負担的に不利と言われていますが、事業譲渡益が発生しない場合においては必ずしもそうではありません。

2つ目としては、場合によっては手続負担が重くなる点です。事業譲渡は事業を譲受側(買い手)に個別承継する手法なので、譲渡対象事業で外部と締結している契約は、全て譲受側(買い手)と巻き直しになります。取引先との基本契約や賃貸借契約、雇用契約など、あらゆる契約を譲受側(買い手)に引き継ぐ必要があります。その過程で譲渡側(売り手)が取引先へ説明に行ったり、従業員から転籍の承諾を得たりと、一定の負担が生じます。

譲受側(買い手)のメリット

事業譲渡は主に譲受側(買い手)にメリットの多い手法です。

メリットの1つ目は、営業権(いわゆる税務上ののれん)を計上できる場合には損金算入できる点です。(表8参照)

例えば引き受ける資産の時価が100、支払対価が500の場合、譲受側(買い手)のBSにおいて営業権が400計上されます。この営業権は、60か月で均等償却されて税務上の損金となります。そのため税金計算をする上で毎年80の費用が生じることになり、その期の利益と相殺することができるのです。

なお、株式譲渡の場合は譲受側(買い手)のBSにおいて子会社株式が500計上されるのみで、特に損金算入される要素は生じません

表9:
事業譲渡と株式譲渡における譲受側(買い手)のBSの比較

2つ目は、リスクを遮断できる点です。

株式譲渡とは異なり、事業譲渡は事業だけを譲り受けることから、元の対象会社に紐づくリスクは引き継ぎません(対象会社に残ります)。

例えば過去の税務処理に関する税務リスクや、過去の違法行為についての潜在的なリスクなどが挙げられます。もちろん、引き受けた資産にそのリスクが紐づいている場合(例えば不動産に法令違反があるのにその不動産を引き受ける場合)には遮断できません。対象会社に紐づく潜在リスクを遮断するという観点で、事業譲渡は優れた手法といえます。

3つ目は、事業譲渡は欲しいものだけ引き継ぐことができる点です。事業に最低限必要な資産・負債、契約のみを引き受けることから、投資額も少額に抑えることができます。また、株式譲渡と比べるとDDの費用も少額で済みます。そのため、そもそもの取引金額が少額な小規模M&Aにおいては、事業譲渡が好まれて使われています。

譲受側(買い手)のデメリット

一方で譲受側(買い手)のデメリットも少なからずあります。

1つ目は、譲渡側(売り手)のデメリットにもありますが、手続負担が重い場合があることです。
外部との契約や従業員の雇用契約などは、全て譲受側(買い手)とまき直しが必要です。そのため契約が多数の場合や、従業員から転籍承諾が得られるか不安なときは、あまり向いていない手法となります。

2つ目は、消費税が生じる点です。
事業譲渡は個別の資産の取得と同じく、消費税がかかります。土地や有価証券などの非課税資産を除いて、事業譲渡の対象となる資産の取得に対して消費税(10%)を払います。なお、負債には消費税はかかりません。また資産と負債の差額に消費税がかかるのではなく、資産の金額に対して課税されます。そして、営業権も課税資産となり消費税がかかる点には注意が必要です。そのため譲受側(買い手)は消費税分も加味して資金調達する必要があります

表10:

コラム:消費税がかかると本当に損か?

消費税は、年度の最後には仮受消費税と仮払消費税を相殺して差額を納付しますので、実質的な負担にはならない会社も多くあります。例えば仮受消費税が100、仮払消費税が60のときに、事業譲渡で消費税を追加で10払ったとしたら、仮払消費税は70となり、その年に最終的に納める消費税は30となります(事業譲渡で払った10を合わせると40になります)。

もし事業譲渡をしていなければ、納める消費税は100-60=40となり、結局変わりません。

ただし、必ずしも上記のロジックが成り立たないような会社もあります。例えば調剤薬局のように売上の全額が非課税売上の場合には、そもそも仮受消費税がありません。そのため事業譲渡で払う消費税は特に相殺されずに直接譲受側(買い手)の負担になります。同様に、課税売上割合が低くて仕入税額控除が十分に取れない会社も、実質的な負担(デメリット)になるでしょう。

3つ目は、譲渡対象資産に不動産が含まれている場合には、不動産取得税と登録免許税が生じる点です。事業譲渡により不動産の所有者が対象会社から譲受側(買い手)に変わるため、これらの税金を譲受側(買い手)が支払います。それぞれの税率は次のとおりです(表11)。

表11:
不動産・登録免許税・不動産取得税

その他にも、対象会社が譲渡対象事業に関する許認可を取得している場合には、譲受側(買い手)において改めて許認可を取り直す必要がある点は注意が必要です。ビジネスに空白期間が生じないよう、事前にスケジュールを工夫しましょう。また、対象会社が事業譲渡後に債務超過になるような場合にも注意が必要です。詐害的な事業譲渡だった場合、対象会社に残った債務の債権者は、事業譲渡の譲受側(買い手)に対して自身の債権の支払を請求することができます。

このあたりの専門的な論点については、各分野の専門家にしっかりアドバイスをもらいながら進めることをお勧めします。

事業譲渡の手続・スケジュール

実務上よく採用される事業譲渡の手続とスケジュールは以下の通りです。

対象会社

対象会社の手続イメージは以下の通りです(表12)。

表12:
事業譲渡の手続イメージ

まずは取締役会決議により事業譲渡契約書を締結します。

同時に株主に対して株主総会の招集通知を発送します。法定期限は効力発生日の20日前までです。その後、効力発生日までに株主総会の特別決議を経て、事業譲渡の効力が発生し、決済となります。なお実務上は、効力発生日までに従業員へ説明を行い、転籍承諾書を取得します。場合によっては取引先に対して、取引継続に関する意向を確認することもあります。

なお、極めてレアケースですが、事業譲渡に反対する株主が株式買取請求をしてきた場合には、対象会社がその株主の株式を一定の金額で買い取る必要があります。

簡易の事業譲渡に該当する場合には、株主総会の特別決議は不要となります。なお、その場合でも株主に対して事業譲渡をする旨の通知は必要です。もし通知から2週間以内に1/6超の反対があった場合には、株主総会の特別決議が必要となります。ただし、実務上は極めてレアケースです。
所要期間としては、上記の株主に対する通知の観点から、原則として20日はかかることになります。

譲受側(買い手)

譲受側(買い手)の手続は以下の通りです。

  1. 取締役会決議により事業譲渡契約書を締結
  2. 同時に株主に株主総会の招集通知を発送(効力発生日の20日前まで)
  3. 株主総会の特別決議により事業譲渡の効力発生(決済)

簡易の事業譲渡に該当する場合は、③株主総会の特別決議は不要になります。また、その場合でも株主に対して事業譲渡をする旨の通知は必要です。

もし通知日から2週間以内に1/6超の反対があった場合には、株主総会の特別決議が必要となります。ただし実務上は極めてレアケースです。なお、譲受側(買い手)の簡易の要件は、「事業譲渡で支払う対価が譲受側(買い手)の純資産の1/5以下であること」です。例えば譲受側(買い手)の純資産が2,000、支払う事業譲渡の対価が300のときは、簡易の事業譲渡となり取締役会の決議で実行できます。

会社分割について

続いて会社分割について解説します。会社分割には事業譲渡のデメリットを補うメリットがある一方で、手続に時間やコストを要します。また、近年は非事業用資産を会社分割により新会社に承継させてから対象会社を譲渡する手法がよく使われています。これにより譲渡側(売り手)サイドは税金の節約、譲受側(買い手)サイドは投資額の抑制をすることができます。

会社分割の概要

会社分割とは、その名の通り会社の中身を分ける組織再編のことで、一部の事業を別会社に承継させることを言います。ここでは事業を切り出す元の会社を「分割会社」、切り出した事業を受け入れる会社を「承継会社」と呼びます。

なお、会社分割はその内容によって「新設分割」と「吸収分割」、また「分割型分割」と「吸収分割」に区別されます。そのため全部で2×2=4パターンが存在します。

  • 事業を承継させるために新しく会社を設立する「新設分割」
  • 事業を既存の会社に承継させる「吸収分割」
  • 分割会社が承継会社から得た会社分割の対価を、分割会社の株主に配当する「分割型分割」
  • 分割会社が承継会社から得た会社分割の対価を、分割会社の株主に配当しない「分社型分割」

表13:
会社分割の概要

他にも有対価か無対価かといった分類や、税務上「適格」と「非適格」に分かれたりもしますが、より専門的な内容になるのでここでは割愛します。

会社分割のメリット・デメリット

会社分割のメリット・デメリットについて、譲渡側(売り手)と譲受側(買い手)に分けて説明します。

なお、会社分割は上記のように4つものタイプがあり、メリット・デメリットも各種各様です。そのため、こちらの記事では中堅中小企業のM&A実務においてよく使われるケースにフォーカスして解説していきます。

譲渡側(売り手)のメリット

1つ目は、事業譲渡と同じく今の会社を引き続きオーナーが継続保有できる点です。会社分割も一部の事業だけを別の会社に承継できる手法です。そのため、譲渡対象事業を新会社に承継させて新会社を譲受側(買い手)に譲渡したり(分社型新設分割+株式譲渡)、直接譲受側(買い手)に譲渡対象事業を譲渡する(吸収分割)ことで、譲渡側(売り手)には今の対象会社を残すことができます。

2つ目は、こちらも事業譲渡と同じく、簡易の要件を満たせば取締役会の決議(取締役会非設置会社では取締役の過半数の決定)で実行できる点です。株主に何かしらの問題があって100%の株式譲渡が難しい場合に、会社分割による事業だけの譲渡を選択肢として取ることができます。ただし株主間の問題そのものを解決できるわけではない点に注意が必要です

3つ目は、ややテクニカルですが、最近活用事例が増えてきたものです。「対象会社の資産の中に譲渡側(売り手)が引き取りたいものがあるときに、会社分割で新会社に承継させることで株式譲渡の税金の節約になる」という点です。具体的な事例を見ていきましょう。

例)対象会社が所有している不動産を譲渡側(売り手)が引き取るケース
対象会社の株価:200不動産の簿価:50(時価も50とします)
※議論を簡単にするために税金は概算計算としています。

1:通常の株式譲渡をした後に、譲渡側(売り手)個人が買い取るケース(表14)

  • 株式譲渡の税金200×20%=40(40のキャッシュアウト)
  • 不動産の買い取り:50のキャッシュアウト
  • 最終的な手残り:200-40-50=110

表14:
株式譲渡後に不動産買取

2:会社分割で不動産を新会社に承継させたあとに、株式譲渡するケース(表15)

このときはM&Aする前に対象会社から不動産は無くなるので、その分株価も落ちます。

  • 即ち株価は200-50=150となります。
  • 株式譲渡の税金:150×20%=30(30のキャッシュアウト)
  • 最終的な手残り:150-30=120

表15:
会社分割後に株式譲渡

このように、最終的な手残りとしては会社分割を活用した②の方が多くなります。①では不動産の価値(50)も株式譲渡の対価として一度現金で受け取ることから、その際に課税されて(50×20%=10)、手取りが減ってしまうのです。

なお、専門的になるので詳細は割愛しますが、税務上「非適格」の会社分割に該当すると思わぬ課税が生じる可能性があるので、実行する際には必ず専門家にご相談ください。

譲渡側(売り手)のデメリット

譲渡側(売り手)のデメリットとしては、手続に時間とコストがかかるという点です。

会社分割の手続自体は譲受側(買い手)と最終契約書を締結した後から進めていきます。債権者保護手続を実施する関係で、少なくとも1か月半の時間がかかります。また、司法書士へ書類作成や債権者保護手続などを依頼しますので、その費用として数十万~100万円程度かかることが多いです。(分割対象資産に不動産が含まれる場合は、規模に応じて金額が増加します。また登録免許税などの流通税も発生します。)。

譲受側(買い手)のメリット

譲受側(買い手)のメリットは3つあります。

1つ目はリスクを限定できるという点で、2つ目は営業権を計上できて償却費を損金に算入できるという点です。これらは事業譲渡と同じ内容です。

実務上よくあるケースとして、「分社型新設分割+株式譲渡」という手法があります(表16)。引き受けたい事業だけを会社分割で新会社に移し、その新会社の株式を取得するというスキームです。この場合、営業権は新会社で計上され、5年間かけて償却していきます。

表16:
分社型新設分割+株式譲渡

3つ目は、会社分割で一部事業を引き受ける際には、譲渡対象事業に関する契約関係を包括的に承継できる点です。事業譲渡の場合は、外部との契約や従業員との雇用契約をすべて巻き直す必要がありました。会社分割の場合は、対象事業に関連する契約を法的にすべて包括的に承継できるので、その手間がかかりません。また、対象事業に従事する従業員も包括的に承継会社へ移転することになりますので、従業員が引き継げないリスクを大幅に減らすことができます。このように、譲渡対象事業とそれにまつわる契約関係をスムーズに引き継ぐことができる点で、事業譲渡よりも優れています。

譲受側(買い手)のデメリット

譲受側(買い手)のデメリットの1つ目は、事業譲渡と同様に、移転対象事業に不動産が含まれている場合に、不動産取得税と登録免許税が発生することです。ただし、不動産取得税に関しては次の一定要件を満たすことで非課税となります。

表17:

不動産取得税が非課税となる要件
(地方税法73の7二、地方税施行令37の14)
(1)会社分割の対価として株式以外の資産が交付されない
(株式が交付される分割型分割の場合は分割法人の株主の持株割合に応じて株式が交付されるものに限る)
(2)分割事業の主要な資産と負債が承継会社に承継
(3)分割事業が承継法人で引き続き継続見込み
(4)分割事業の従業者の概ね80%以上が承継法人において従事見込み

デメリットの2つ目は、あえて言えば、譲受側(買い手)が承継会社となるような吸収分割(表18)の際には、譲受側(買い手)でも債権者保護手続が必要になることです。債権者保護手続として、決算公告や官報へ分割公告の掲載、債権者への各別の催告(個別の通知)が必要になります。

表18:
九州分割

会社分割の手続・スケジュール

こちらでは会社分割の手続・スケジュールについて、実務上頻度の多い、「分社型新設分割+株式譲渡」のケースで説明していきます。こちらは対象会社が会社分割で新たな子会社を作り、その子会社に譲渡対象の事業を承継させるタイプの会社分割です。(表16再掲)

表16:
分社型新設分割+株式譲渡

対象会社(=分割会社)の手続のイメージは以下の通りです。

表19:
対象会社(=分割会社)の手続のイメージ

こう見るとたくさんありますが、実務的には必要な書類は依頼した司法書士がすべて作成するので、譲渡側(売り手)は必要な書類への押印や意思決定を進めていくことがメインの手続となります。つまり効力発生日をいつにするかは売り買い双方で決めますが、手続自体は専門家に進めてもらいます。

ここでは専門的になるので各手続の詳細説明は割愛しますが、実務上の大まかな流れは以下の通りです。

  1. 取締役会決議を経て株式譲渡契約書を締結(この中で会社分割を実行することを譲渡企業の義務とします)
  2. 債権者保護手続として、効力発生日の1か月前までに、官報へ分割公告の掲載および債権者に対する各別の催告(個別の通知)を実施
  3. 株主総会の特別決議を経て、分割計画書で定めた効力発生日に、会社分割の登記申請をすることで効力が発生。新会社(対象会社の子会社)が設立。
  4. 同日にその子会社の株式を譲受側(買い手)に譲渡して決済。

なお、実務上は効力発生日までに、従業員に対して労働承継法に定められた一定の手続を実施する必要があります。なお、極めてレアケースですが、会社分割に反対する株主が株式買取請求をしてきた場合には、対象会社がその株主の株式を一定の金額で買い取る必要があります。

もし簡易分割に該当する場合には、③の株主総会の特別決議は不要となります。簡易分割の要件は、「承継対象資産の簿価が、分割会社の総資産簿価の1/5以下であること」です。

なお、その場合でも株主に対して会社分割をする旨の通知は必要です。もし通知から2週間以内に1/6超の反対があった場合には、株主総会の特別決議が必要となります。ただし、実務上は極めてレアケースです。

所要期間としては、上記の債権者保護手続の観点から、少なくとも1か月半はかかることになります(官報への分割公告の申込に約2週間+掲載期間として1か月)。

まとめ

中堅中小企業のM&Aにおいては、様々な観点からスキームが選択されます。結果としては株式譲渡が選択されることがほとんどで、実際に弊社の案件においては9割が株式譲渡で実行されています。
残り1割は事業譲渡や会社分割が使用されており、様々なメリット・デメリットを考慮する中でスキームが選択されています。

また、他にも合併、株式交換、株式交付、MBO、TOB、ジョイントベンチャーなど様々なスキームがありますが、中堅中小企業のM&Aの実務においてはほとんど使用されることはありません。
最終的には会計・税務・法務の専門家も交えてスキームを決定していき、当事者にとって最適なスキームを選択していくことが、M&Aの成功につながると考えられます。

弊社には各分野の専門家が揃っており、スキームだけのご相談も受けております。M&A関連でお悩みのことがございましたら、何でもお気軽にお問合せください。

著者

岩木 保樹

岩木いわき 保樹やすき

日本M&Aセンターコーポレートアドバイザー統括部/コーポレートアドバイザー1部 課長/公認会計士

監査法人トーマツを経て2016年に日本M&Aセンターに入社。事業譲渡、会社分割、株式交換、合併など様々なスキーム構築で成約に貢献。近年では小規模M&Aに特化したサポートや組織再編に関する顧問税理士へのアドバイス、M&Aに関する各種研修なども実施している。

監修

雙木 達也

雙木なみき 達也たつや

日本M&Aセンターコーポレートアドバイザー統括部/コーポレートアドバイザー1部 副部長/税理士、米国公認会計士、中小企業診断士

大手印刷会社、大手広告代理店、会社経営、デロイトトーマツ税理士法人での税務コンプライアンス ・ 組織再編コンサルティング・クロスボーダー税務業務従事経験を経て、2012年に株式会社日本M&Aセンター入社。 国内案件からASEANのクロスボーダーin-out案件まで多数の成約実績を有する。 著書「中小企業M&A実務必携 M&A手法選択の実務」きんざい(共著)

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