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M&Aの本格検討を進めるために。詳細情報の開示について

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M&Aの本格検討を進めるために。詳細情報の開示について
譲渡側(売り手)、譲受側(買い手候補)のトップ同士が対面する「トップ面談」を前に、互いにより具体的な検討を進め、理解を深めるために詳細情報の開示が行われます。本記事ではそのプロセスを中心にご紹介します。

詳細情報の開示にいたるまで

順を追ってプロセスを見ていきましょう。

候補先を選定する

譲渡先(買い手)候補企業の選定には、大きく二つの方法があります。一つは、企業概要書(ノンネーム)を見て、更なる詳細情報を希望する企業を募る方法です。他方で、仲介者が譲渡企業(売り手)のビジネスモデルや財務状況、事前に聴取したM&Aニーズ等を分析し、シナジー(相乗)効果が見込める候補先を推薦することもあります。候補先が数十から数百社にのぼることもあります。
ノンネームとは(M&A用語集)

提案を許可する

次に、仲介者は譲渡先(買い手)候補企業のリストを作成し、ネームクリアを取得します。
企業概要書などの詳細情報の提案にあたり、譲渡企業(売り手)が、譲渡先(買い手)候補企業への社名開示を許可することです。
ネームクリアとは(M&A用語集)

情報開示で留意すべきポイント

詳細情報開示の場に譲渡側(売り手)の関係者が立ち会うことはありません。競合他社など取引上M&Aの検討を知られたくない相手、情報漏洩リスクのある相手は、事前に仲介者に伝えておきましょう。情報開示のステージに進むと、譲渡側(売り手)には大きな不安やストレスがかかります。当然、M&A仲介会社は情報開示先と秘密保持契約書を締結していますが、不安がある場合は細かに相談しましょう。信頼できる相手に託すことが情報開示で重要なポイントです。

提案結果を確認する

ネームクリア(提案許可)したからといって、すぐに提案結果が分かるとは限りません。面談を調整する、担当者に提案する、上席に報告する、社内で真剣に検討が始まる等、特に相手企業の規模が大きいほどプロセスは増え、時間を要することが一般的です。また、相手先企業が平行して何件かのM&Aを進めている場合、検討自体に時間がかかることもあります。仲介会社の担当者と定期的に連絡をとり、状況や傾向を確認しましょう。

情報開示後の展開

企業概要書を確認し、さらに本格的に検討する場合、すぐにトップ面談が行われることは稀です。多くの場合、企業概要書からは把握できない、個別論点の確認や、追加資料の要求があります。M&A仲介会社によっては、これを「Q&A対応」といいます。質問があるのは、裏を返せば関心があるということ。何を、どこまで、どのように伝えるのか、仲介会社の担当者と連携し、論点を整理していきます。この段階になれば、トップ面談は近づいています。

トップ面談はある意味で「お見合い」に似ているかもしれません。その際、詳細情報は「釣書(つりがき)」「プロフィール」にあたります。お互いに初期的な関心を抱く相手と実際に対面するには、信頼のできる「仲人」に詳細情報を託し、候補者が現れるのを待ちましょう。大手仲介会社では、「仲人型」「ネットマッチング型」などサービスを分けて提供しています。自社の特徴や想定される相手先に合わせ、最適な方法でお相手探しを行いましょう。

終わりに

以上、本格検討を始めるにあたっての詳細情報開示について、その前後のプロセスをご紹介しました。センシティブな情報を扱うため、厳重な文書管理体制が敷かれていること、譲渡側(買い手)の事情も把握しており質疑応答がスムーズであること、意図せず情報漏洩などが起きた際、最小限に留めるリスク管理体制が整っていることなども、M&A仲介会社を選ぶ際の判断材料の一つになります。
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M&A マガジン編集部

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