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M&A仲介とは?FAとの違い、メリット、選び方を解説

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M&A仲介とは
ここまでの「M&Aの流れを学ぶ」記事では、M&Aの具体的な検討を進める際に、相談先として複数の選択肢があることをご紹介してきました。
本記事では「M&A仲介会社」の概要、FAとの違い、活用するメリットなどをわかりやすく解説します。

日本M&Aセンターは1991年の創業以来、数多くのM&A・事業承継をご支援しています。中小企業のM&Aに精通した専任チームが、お客様のM&A成約まで伴走します。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。

M&A仲介とは

M&A仲介とは、企業の合併や買収に関与し、取引を円滑に進める専門家や会社のことを指します。
その中でも近年増加傾向にあるのが、法人、個人、様々な規模の会社や事業者が存在するM&A仲介会社です。

M&A仲介の仕組み

M&A仲介社は、譲渡企業(売り手)と譲受け企業(買い手)の間に立ち、中立的な立場で交渉の仲介・助言を行います。どちらか一方の会社の立場ではなく、両社の間に立ち、客観的かつ中立的な立場で交渉をサポートする点が特徴と言えます。

M&A仲介をとりまく環境


近年、M&A仲介をとりまく環境は大きく変化を遂げています。その中で、主な動きをご紹介します。

中小M&Aガイドラインの策定、改訂

中小企業経営者において、M&Aに対する知見がまだ十分でないのが現状を改善するべく、中小企業向け、そして中小企業のM&Aを支援する事業者(仲介者・FA)の手引書として「中小M&Aガイドライン」が2020年3月に策定されました。策定後も随時、状況に合わせてガイドラインの改訂が行われています。

M&A支援機関登録制度の開始

2021年9月、中小企業が安心してM&Aに取り組める基盤を構築するため「M&A支援機関登録制度」が設けられました。

中小企業庁によると2022年度の公募で「M&A支援機関登録制度」の登録ファイナンシャルアドバイザーと仲介業者の数が2,887件(12月公表分)となり、初年度公募の登録数(2823件)を上回りました。その内訳はM&A専門業者(FA・M&A仲介)が1,085件、税理士が598件、公認会計士が288件、地方銀行が77件、信用金庫・信用組合が61件と発表されています。

M&A仲介協会の設立

2021年10月、M&A業界の健全な発展と日本経済に貢献するため、一般社団法人「M&A仲介協会」が設立されました。

協会の理事は、M&A仲介会社の日本M&Aセンター、ストライク、M&Aキャピタルパートナーズ、オンデック5社で構成され、中小M&Aガイドラインをはじめとした法令・制度の啓発と遵守の呼び掛け、人材育成のための教育と研修機会の提供、事業承継とM&Aに関する相談窓口の運営を担っています。

M&A仲介とFA(ファイナンシャル・アドバイザー)の違い


M&AにおけるFA(ファイナンシャル・アドバイザー)は、「譲渡企業(売り手」」もしくは「譲受け企業(買い手)」のいずれか一方の会社と契約し、M&A実行を支援する専門家を指します。
M&A仲介会社と同様に、FAにおいてもM&Aの計画から交渉、スキーム立案・クロージングまでの幅広い範囲でアドバイスを行い、M&A実行の支援を行います。

いずれか一方の契約した顧客の利益を最大化するために動く、という点において、両者のメリットの最大化を念頭にM&A実行の支援を行うM&A仲介と大きく異なります。

一般的にFAは「大手上場企業同士のM&A」や「海外企業とのM&A(=クロスボーダーM&A)※」等の規模の大きい、専門性の高いM&A支援で利用されることが多く、証券会社の投資銀行部門・コンサル会社・大手会計事務所がFAの役割を担うケースが多く見られます。
※中小企業におけるクロスボーダーM&Aでは、国内同様にM&A仲介会社を介するケースが多く見られます。

M&A仲介を活用するメリット


M&Aの仲介会社を活用する主なメリットは、以下の通りです。

専門的なアドバイス、サポートを得られる

M&Aのプロセスにおいては法務、会計など専門的な知識が求められる局面が多々生じるため、M&Aの仲介会社から専門的なアドバイス、サポートを受けることが望ましいでしょう。

また、M&A仲介会社によっては、コンサルタントの他、弁護士や公認会計士、税理士など士業の専門家を社内に擁し、チームで対応する会社も存在します。そのような体制の場合、M&Aを進める中で問題や懸念が生じた際に、適切なアドバイスを受けることが可能になります。

提携先やネットワークを利用して、幅広い候補企業から探せる

M&A仲介会社は、顧客企業にとって適切な候補企業を、自社のネットワークや提携先の情報を活用し、見つけ出します。

単に相手を見つけるだけでなく、顧客企業の風土に合うか、シナジーを有効に発揮できるのか、冷静な視点で分析したうえで提案を行います。

複雑で難しい交渉も間に入って進めてもらえる

企業価値の算出、必要書類の作成、相手先企業との交渉など、当事者同士では難しい複雑なプロセスをワンストップで相談できることも、仲介会社を介するメリットの一つです。

M&Aの交渉では広範囲にわたる事項の取り決めが必要です。オーナーのための株価交渉、社員の処遇、引継ぎ方法など決めなければいけないことは多岐にわたり、また、会社法や各種税法など多くの法律が関係してきます。M&Aを安心して進めるためにも、契約書や覚書を多数作る必要があります。

直接交渉ではなく仲介者を介することで、お互い主張すべきことは主張し、冷静に客観的に感情のもつれなく妥協点を見出しやすくなることは大きなメリットとして挙げられます。仲介者が双方と直接コミュニケーションを行うため、情報の整理や伝達が早く、結果スムーズにM&A成約につながる確率が高まります。

M&A仲介を利用する際にかかる費用

一般的にM&A仲介会社に支払う費用として以下の項目が挙げられます。M&A会社によって価格や料金体系、項目の名称が異なるため、内容をふまえ慎重に検討することが必要です。

相談料

その名の通り、正式に契約をする前の相談時に支払う費用です。大手M&A仲介会社では相談料を無料に設定しているケースが多く見られます。

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中間報酬(中間金)

基本合意書が締結された時点で支払う費用が、中間報酬です。会社によって「無料」「一定額(100万円など)」「成功報酬の総額に対して10~20%」のように分かれています。

月額報酬(リテイナーフィー)

M&A仲介会社によっては、M&Aを検討するスタート段階から月額報酬を支払うケースもあれば、基本合意書締結後から支払うケースもあります。
M&Aは、場合によっては長期化するケースもあるため、自社の状況を十分に考えた上で慎重に判断しましょう。

M&A仲介会社を選ぶポイント


実際にM&Aの仲介会社を選ぶ際、気を付けておきたいポイントは以下の通りです。

情報量やマッチング実績を公開しているか

M&Aの成否が決まる大きな要素の1つは、相手企業を見つけ出すマッチングです。最適な相手と出会えなければ、当然ながらM&Aの目的を達成することができません。

しかし自社単独で多くの候補企業を見つけ出すことは困難であるため、企業情報を持つ金融機関などの情報ネットワークを保有するM&A仲介会社をパートナーに選定することが成功に近づく一歩になります。

提携先・外部ネットワークの数、成約件数を公開しているかどうかも、仲介会社選定時の目安になります。

日本M&Aセンターの提携先・ネットワーク

また情報量だけでなく、最適なマッチング、企業同士の引き合わせをどのように行っているのか、マッチングの仕組みなども見ておくと良いでしょう。

自社のニーズに対応したサポートが受けられるか

仲介会社によって得意、不得意の業界、エリアは存在します。経験や実績が豊富な大手仲介会社は、広範囲にわたるエリアで、あらゆる業界に対応している傾向にあります。

そのため、自社の業界、隣接業界、エリアでの実績の有無を事例インタビューなどから確認するのも、判断材料の1つになります。

日本M&AセンターM&A事例インタビュー

また、M&Aのプロセスにおいてサポートする範囲が異なるのも注意点です。大手仲介会社の多くは、案件の組成、相手先となる候補企業の抽出、交渉、デューデリジェンス、契約書類の作成、そしてM&A後の統合と一気通貫したサービスを提供しています。

選定する際に、自社のニーズにあったサポートを提供してくれるか、M&Aサービスの流れ、範囲の確認も外せないポイントです。

安心できる情報管理体制か

M&Aは「秘密保持に始まり、秘密保持に終わる」と言われるほど、情報の取り扱いに細心の注意が必要です。

M&Aの交渉中に、何らかの事情で情報が外部に漏れてしまうことになれば、M&Aが破談に終わるだけでなく、取引先への影響や、インサイダー取引など企業経営に深刻なダメージを及ぼすことも覚悟しておかなければなりません。

そのような事態を防ぐためには、情報管理が徹底されている会社かどうかを見極めるため、組織としてどのように情報管理を行っているのか、日ごろの取り組みを含めてM&A仲介会社にヒアリングを行うことも重要です。

終わりに

以上、M&A仲介の役割や、メリットなど概要をご紹介しました。
M&A仲介会社を選ぶ際は、手数料や知名度だけでなく、「情報量やマッチング実績を公開しているか」「自社のニーズに対応したサポートが受けられるか」「安心できる情報管理体制か」という視点で選定することがポイントです。

また、多岐にわたるM&A実行プロセスの中で、情報漏洩など予期せぬ出来事にも経験豊富な仲介会社が間に立っていれば、臨機応変に対応することができ安心して進められます。

日本M&Aセンターは1991年の創業以来、数多くのM&A・事業承継をご支援しています。中小企業のM&Aに精通した専任チームが、お客様のM&A成約まで伴走します。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。

著者

M&A マガジン編集部

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STEP1

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STEP2

M&Aの流れを学ぶ

STEP3

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