会社売却とは?メリットや注意点、売却までの流れを解説
⽬次
- 1. 会社売却とは?
- 2. 会社売却のメリット
- 2-1. 会社を存続させることができる
- 2-2. 会社の成長を促進できる
- 2-3. 対価として売却利益を得ることができる
- 2-4. 経営者の個人保証が解除できる
- 3. 会社売却の注意点
- 3-1. 競業ビジネスを一定期間・範囲できなくなる
- 3-2. 一定の時間を要する
- 3-3. 思い通りの条件で売却できない可能性もある
- 4. 会社売却の方法
- 4-1. 株式譲渡
- 4-2. 事業譲渡
- 5. 会社売却を成功させるポイント
- 5-1. 売却の目的、条件を明確にする
- 5-2. 経営が軌道に乗っているうちに検討する
- 5-3. 秘密保持を厳守する
- 6. 会社売却における価格算出方法
- 7. 会社売却の流れをわかりやすく解説
- 7-1. 個別相談
- 7-2. M&A仲介会社との契約
- 7-3. 必要資料の提出
- 7-4. 株式評価額の算出・企業概要書の完成
- 7-5. ノンネーム資料の作成
- 7-6. 売却先の選定(マッチング)
- 7-7. トップ面談
- 7-8. 条件調整
- 7-9. 基本合意書の締結
- 7-10. デューデリジェンス(買収監査)
- 7-11. 最終契約の締結とクロージング
- 7-12. ディスクロージャー(社員や取引先への情報開示)
- 7-13. PMI
- 8. 会社売却の事例
- 8-1. コンピューター周辺機器の仕入・販売をするフォースメディアが、エレコムに売却
- 8-2. 医療・介護分野の人材紹介業などを展開するプロトメディカルケアが、ベネッセホールディングスに売却
- 8-3. アドベンチャー傘下でファッションレンタルサイトを運営するEDISTが、ダスキンに売却
- 8-4. デジタルピッキングシステムで国内大手のアイオイ・システムが、凸版印刷に売却
- 9. 終わりに
- 9-1. 著者
会社売却を行うにあたって押さえておきたいポイントは複数存在します。本記事では会社売却のメリットや注意点、売却額の算出方法、会社売却を進める流れについてご紹介します。
会社売却とは?
会社売却とは、会社の事業や資産を第三者に売却して対価を受け取るプロセスを指します。
会社売却が検討されるケースとしては、経営を引き継ぐ人材がいない「後継者不在」、業界の再編などで事業の先行きに対する不安、あるいは大手傘下に入り成長を目指といったケースが考えられます。
会社売却のメリット
会社売却がもたらす主なメリットは、以下の通りです。
会社を存続させることができる
新しい経営者に会社を引き継ぐことで、会社自体を存続させることができます。中小企業における会社売却の場合、多くは友好的なM&Aであるため、従業員の雇用や取引先との関係継続を守ることができます。
また、事前の取り決めによって元オーナー経営者は、譲渡した後も社長や会長などの立場で引き続き会社に関わることができます。
会社売却後どうなる?会社、社長、社員への影響を解説
中小企業のオーナー経営者が会社売却を検討する際「売却した後、関係者に与える影響が一番気がかり」と考える人は少なくありません。本記事では、中小企業が会社売却をおこなう際、会社関係者、取引先などそれぞれのステークホルダーに与える影響、メリット、注意点についてご紹介します。日本M&Aセンターは1991年の創業以来、数多くのM&A・事業承継をご支援しています。中小企業のM&Aに精通した専任チームが、お客様
会社の成長を促進できる
譲渡先企業の資産や人材、ノウハウなどを活用して、事業をさらに発展させることも可能です。譲渡先が上場企業であれば、その傘下に入ることで経営基盤の強化も期待できます。
対価として売却利益を得ることができる
株式譲渡で会社を売却した場合、株主は株の売却利益を得ることになります。譲渡後、売却利益をもとに新たな事業を立ち上げ、第二の人生をスタートする経営者も近年増えています。
経営者の個人保証が解除できる
会社を売却した経営者は、一般的には連帯保証や担保提供から外れます。ただし自動的に消滅するわけではないため、譲渡先や金融機関と交渉し、解除する手続きを行う必要があります。
譲渡企業(売り手)がM&Aで押さえておきたいポイントとは?
譲渡を検討するオーナーにとって、M&Aは、一生に一度の選択です。大切に育ててきた会社を譲るという事実に加え、一度譲渡した後にやり直しはできません。失敗したくない、後悔したくない、最大の結果を得たいと思うのは当然のことです。満足度の高いM&Aの実行で最大の結果を得るために、実行前に押さえておきたいポイントについて確認していきましょう。日本M&Aセンターは1991年の創業以来、数多くのM&A・事業承継
会社売却の注意点
会社売却を行うの主な注意点は、以下の通りです。
競業ビジネスを一定期間・範囲できなくなる
会社売却を行った場合、競業ビジネスを一定期間・また隣接する地域などで行えない「競業避止義務」が課せられることが一般的です。事業譲渡の場合は、会社法上でも明記されており、他のスキームにおいても多くのケースで、競業避止義務が定められます。
同じビジネスが一定期間・また地域にて、できないことを見越しておく必要があります。
一定の時間を要する
会社を売却しようとしても理想の売却先がすぐに見つかるとは限りません。相手ありきの交渉であるため、あらかじめ一定の時間を要することを想定して臨む必要があります。
思い通りの条件で売却できない可能性もある
会社売却では、必ずしも希望通りの価格や条件になるとは限りません。妥協点をあらかじめ決めておいて交渉に臨むほうがスムーズに進む場合もあります。
希望通り、それ以上の評価額を望む場合は前述の通り、業績が良好な状況のうちに売却先を探すと交渉が有利になる可能性が高まります。
会社売却の方法
会社売却の代表的な手法として「株式譲渡」と「事業譲渡」があります。他にも様々なスキームが存在しますが、ここでは上記2つの手法について、ご説明します。
株式譲渡
株式譲渡は、譲渡対象会社の株主が所有する株式を売却先に譲渡する手法です。譲渡対象会社の株主は株式を譲渡する対価として現預金を受け取り、売却先の企業は対象企業の経営権を取得します。
株式の譲渡によってM&Aを完了させるスムーズで簡易な手続きであり、譲渡対価を株主(譲渡オーナー)が受け取れることから中堅・中小企業のM&Aでは株式譲渡が多く選択されます。
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事業譲渡
事業譲渡とは、会社の一部または全部の「事業」を譲渡することをいいます。この「事業」とは、その事業を営むために必要な資産のみならず、事業の運営に必要な負債、契約なども含まれます。この契約関係には、得意先・仕入先などの外部契約だけでなく従業員との雇用契約なども含まれます。
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会社売却を成功させるポイント
会社売却を成功させるポイントは、以下の通りです。
売却の目的、条件を明確にする
売却の目的、条件が不明瞭なままだと売却先探しが難航し、長期化する恐れがあります。仮に売却先が見つかったとしても、条件が曖昧なままだと後からトラブルに発展しかねません。
「会社を大きく成長させたい」「従業員が働きやすい環境を守りたい」など優先すべき項目を洗い出し、どのくらいのスパンで相手探しを進めるか計画立てて行うことが重要です。
経営が軌道に乗っているうちに検討する
経営が軌道に乗っている状況で検討をした方が、売却先候補が見つけやすく、希望の評価額に届く可能性が高まります。売却交渉も有利に進められるでしょう。一方、赤字や債務超過の場合は、相手探しが難航し、納得のいく評価額に至らない傾向にあります。
秘密保持を厳守する
秘密保持はM&Aにおける全ての関係者にとって最重要事項です。M&Aが実施されると、関係者(株主、経営者、従業員、取引先、銀行など)に大きな影響を与えます。交渉中に情報が漏れるようなことがあると、現在の取引にも影響を及ぼす可能性があります。また、売却先が上場企業の場合は、秘密情報を知った上で株の売買などをしてしまうと、インサイダー取引となり大変な信用失墜にもなりかねません。秘密情報の保持は、M&Aにおいて最重要概念です。
会社売却における価格算出方法
会社を売却価格の算出には「コストアプローチ」「マーケットアプローチ」「インカムアプローチ」の3つの主な評価アプローチがあります。
アプローチ | 概要 | メリット | 注意点 |
---|---|---|---|
コストアプローチ | 現在の正味財産に着目 | ・シンプルで客観的 ・実態BSの把握が可能 |
・収益性を加味しにくい ・相場を反映できない |
マーケットアプローチ | 類似会社の株式市場での相場に着目 | ・取引相場に近いトレンドを反映できる | ・類似会社選択が困難 ・中小企業の大半は、上場企業との違いが大きい |
インカムアプローチ | 将来の収益性に着目 | ・投資判断という意味で最も理論的 | ・将来利益予想や割引率の決定が困難で恣意性が入りやすい ・評価理論が難解 |
価値評価の算出について詳細は関連記事をご覧ください。
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M&Aの企業価値評価(バリュエーション)とは?M&Aにおける『企業価値評価』とは、文字通り企業全体の価値を評価することを意味します。企業全体の価値とは、企業が保有する資産の価値のみならず、企業が今後創出するであろう収益力及びその源泉となる無形資産をも含めた価値となります。これを言い換えると、『事業価値』(企業の事業から創出される経済的価値)に非事業用資産(事業を営むうえで必要不可欠でない余剰資産な
会社売却の流れをわかりやすく解説
M&A仲介会社のサポートを受けて、会社を売却する際の一般的な流れについて見ていきます。
個別相談
会社の売却を検討される場合、まずはM&A仲介会社などM&Aの専門家への相談をお勧めします。
他にも税理士や公認会計士、地方銀行や信用金庫、事業引継ぎ支援センターなどがありますが、多くが無料で相談を受け付けています。
M&A仲介会社との契約
ここからはM&A仲介会社と話を進めていく前提でお伝えしていきます。まずパートナーとなる仲介会社と提携仲介契約を締結します。
提携仲介契約を締結することにより、本格的なM&A仲介のサポートがスタートし、具体的なお相手探しが始まります。
必要資料の提出
企業評価や貴社の魅力を伝える資料づくりを行うための必要資料を準備します。決算資料、契約関係、従業員データなど必要な資料は多岐に渡ります。
資料収集は時間を要することがあるため、M&Aコンサルタントと相談しながら、早い段階で準備を進める必要があります。
株式評価額の算出・企業概要書の完成
提供した資料に基づき、M&Aにおいて譲渡価額交渉のもとになる株式価値評価(譲渡価額の目安)が算出されます。算出には前述のアプローチ方法などが用いられます。
また、売却先候補を探すために企業概要やその他会社の情報をまとめたものが「企業概要書」です。売却先候補への提案資料として用いられます。自社の魅力や事実がしっかり伝わっているか、しっかり確認しましょう。
IM(企業概要書)とは?M&Aでの重要性、記載内容など解説
IM(企業概要書)は譲受け企業が譲渡企業を評価し、M&Aの検討を進めるか判断する重要な書類の1つです。本記事では、IM(企業概要書)の概要、記載する内容や作成時の注意点などについて解説します。IM(企業概要書)とはIM(企業概要書)はInformationMemorundomの略であり、譲渡企業の詳細情報が記載された資料を指します。IM(企業概要書)の作成は譲渡企業を支援するM&A仲介会社やFAな
ノンネーム資料の作成
売却先候補にM&Aの関心の有無を幅広く確認するために「ノンネーム」という匿名の資料を利用します。譲渡企業を特定できないような形で、売却先候補に広くM&Aを提案することに用いられます。
売却先候補が貴社についてM&Aの対象になると判断した場合、秘密保持契約を締結した後、より詳細な情報が開示されます。
ノンネームシートとは?企業概要書との違い、取扱いにあたっての注意点を詳しく解説
ノンネームシートは、M&A交渉の際に用いられる資料です。M&A仲介会社が、譲受企業(買い手)に譲渡企業(売り手)を紹介するために作成します。本記事では、ノンネームシートの概要、記載される主な項目、ノンネームシートを取り扱う際の注意点などについて解説します。ノンネームシートとは?ノンネームシートとは、譲受企業(買い手)が候補企業を選定する際に活用する、譲渡企業(売り手)に関する概要資料です。秘密保持
売却先の選定(マッチング)
仲介会社と協力して、売却先を絞り込んでいきます。仲介会社は自社のネットワークなど活用して、候補先と考えらえるマッチング名簿を作りあげます。これを「ロングリスト」と呼びます。
このロングリストをベースに実際にどこへ提案していくのか絞り込んでいきます。絞り込みを終えたマッチングリストのことを「ショートリスト」と呼びます。仲介会社はこのショートリストをベースに打診を始めていきます。
ロングリストとは?M&Aにおける活用方法、ショートリストとの違いを解説
M&Aの重要なプロセスの一つが、M&Aの対象候補となる企業の選定と絞り込みです。このプロセスにおいて、大切な役割を果たすのが今回紹介するロングリストです。本記事ではロングリストの概要や重要なポイントを解説します。ロングリストとは?ロングリストとは、M&Aの初期段階においてターゲット候補となる企業を一定の条件で絞り込みを行い、作成された候補企業リストです。M&Aの提案候補をなるべく広く検討するため、
トップ面談
企業概要書の内容から売却先候補が買収の意思を示した場合、トップ同士の会談が行われます。企業概要書では見えなかったお互いの経営者としての人間性や、経営理念等を把握し、相互理解を深める場です。
候補企業とトップ面談を行った場合、面談後に売却先候補企業より意向表明書が提出されますので、それらをもとに1社に絞り込んでいきます。
M&A成功のカギを握るトップ面談とは。押さえておきたいポイント
トップ面談とはM&A実行プロセスにおける「トップ面談」とは、譲渡企業(売り手)と譲受け候補企業(買い手)両社の経営者同士が直接顔を合わせることです。結婚でいう「お見合い」に相当するもので、互いの事業に関する疑問を解消するとともに、決算書などの文字や数字では見えない相手(経営者)の人間性や経営理念等を把握し、相互理解を深める場となります。トップ面談の目的トップ面談は譲渡企業と譲受け候補側の意思決定権
条件調整
譲渡価額や社員の処遇、契約の時期など大まかな条件を調整します。売却先候補に直接伝えにくいことがあっても、M&A仲介会社が間に立って調整します。譲渡企業と売却先候補企業両社の利益が最大となるように調整を行っていきます。
基本合意書の締結
両者間で大枠の条件が固まったら、当事者間で「基本合意契約」を締結します。基本合意はM&Aにおける山場の一つです。ここまでは2~3社と話を進めることができますが、ここからは独占交渉権が発生し、1対1で交渉を進めることとなります。
売却価格やスケジュールなどの大まかな条件、M&A契約予定日、デューデリジェンス(買収監査)に関する内容などについて、取り決めます。基本合意契約は最終契約書の叩き台ともなるので、ここでできるだけ具体的な内容で取り決めを行う必要があります。
基本合意書(MOU)とは?M&Aで締結する目的・留意点を解説
M&Aにおいて基本合意書は、主に交渉内容やスケジュールなどの認識を明確にし、スムーズに交渉を進めることを目的として締結されます。本記事では、基本合意書の概要や作成するにあたり注意すべき点などについてご紹介します。なお、本文では中小企業M&Aにおいて全体の8割程度を占める、100%株式譲渡スキームを想定した基本合意書の解説とさせていただきます。日本M&AセンターではM&Aに精通した弁護士・司法書士・
デューデリジェンス(買収監査)
会社の価値やリスクについてデューデリジェンス(DD、買収監査)が行われます。デューデリジェンスとは、M&Aに際して譲渡企業の財務内容等を確認するための、売却先企業による調査のことです。
売却する会社の事業リスクや、財務状況の調査が行われ、事前の情報と照合します。通常、外部の弁護士や税理士などの専門家が調査を行います。デューデリジェンスの対応においても様々な資料が求められるので、仲介会社と協力して収集していきます。
デューデリジェンス(DD)とは?目的や種類をわかりやすく解説
M&A成功の鍵は、取引前に行うデューデリジェンス(DueDiligence)、つまり、事前調査にあります。本記事ではデューデリジェンスの目的、種類、進め方についてわかりやすく解説します。日本M&AセンターではM&Aに精通した公認会計士・税理士・弁護士など専門家を含めた盤石の体制で安全・安心のM&Aをサポート致します。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。無料相談はこちらデューデリジェンスとは
最終契約の締結とクロージング
デューデリジェンスが終わると、最終契約の締結です。デューデリジェンスの内容を踏まえて、契約内容を最終調整します。最終契約書に調印し、株券や重要物品の授受、決済などを行います。
契約締結前の最終条件調整。押さえておきたいポイント
M&Aの最終契約に盛り込まれる事項は多岐に渡ります。ここでは、最終条件の交渉を行う上で、主要な事項及び細目事項をご紹介します。日本M&AセンターではM&Aに精通した公認会計士・税理士・弁護士など専門家を含めた盤石の体制で安全・安心のM&Aをサポート致します。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。無料相談はこちら最終条件の交渉とは最終契約書が締結されて、M&Aは実行フェーズにうつります。株式譲
ディスクロージャー(社員や取引先への情報開示)
会社の売却が成立してほっと一息つきたいところですが、重要な仕事があります。それはディスクロージャー、開示です。譲渡企業と売却先企業両社の関係者等に対し、発表を行います。
幹部社員への事前開示方法、インサイダー取引防止のための注意点、従業員への発表のタイミングと話し方など、いつ・誰と・どのように行うかを決める必要があります。コンサルタントに相談し、効果的な発表を行うようにしましょう。
M&Aのディスクロージャー(情報開示)はいつ行う?従業員への伝え方などポイントを解説
M&Aは「秘密保持に始まり、秘密保持に終わる」と言われるほど、秘密保持を重視しています。一般的には最終契約書にサインされるまで、たとえ身近な自社の従業員であってもその事実は公表されることはありません。情報漏洩により、M&Aの予定を第三者に知られては会社の存続に関わる問題となりうるからです。本記事では関係者へのディスクロージャー(情報開示)にあたって、あらかじめ押さえておきたいポイントをご紹介します
PMI
買収後の統合を、PMI(Post Merger Integration)と呼びます。M&Aは成約して終わりではありません。その後の統合がうまくいってこそ「成功」と言えるM&Aになります。PMIを円滑に進めるためには、基本合意の段階など早い段階からどのようにPMIを行うのか検討を始めることがおすすめです。
PMIがM&Aにおいて重要な理由とは?PMIの専門家が解説
M&Aは成約がゴールではありません。両社が思い描いていた成長を実現することこそがゴールであり、M&Aの成約はいわば成長に向けたスタートとも捉えられます。本記事では、M&Aの成否のカギを握るPMIについて、その概要やポイント、最後によくある質問と回答をご紹介します。日本M&Aセンターグループでは、お客様のM&Aをご支援するほか、M&A後のスムーズな統合に向けたPMIコンサルティングにも対応いたします
会社売却の事例
最後に、会社売却の事例をいくつかご紹介します。
コンピューター周辺機器の仕入・販売をするフォースメディアが、エレコムに売却
2021年5月20日にフォースメディアは全株式をエレコムに売却し、エレコムの完全子会社になりました。
エレコムはマウスやUSBなどのパソコン周辺機器を扱い、多くの分野で高いシェアを誇る大手企業です。BtoCからBtoBに経営方針を変え、アジア方面への海外展開もさかんに行っています。一方、フォースメディアは海外製品の輸入・販売を手がける商社です。ネットワーク製品やパソコンの周辺機器などを主に扱っています。さらに、輸入した高品質な海外製品のサポート体制も充実しています。
エレコムはBtoBビジネスをさらに加速させるため、フォースメディアの販売網や海外製品に関する専門性の取り込みを狙って買収しました。フォースメディアの海外製品の製品ノウハウやサポート体制を引き継ぐことで、売上の拡大を見込んでいます。
医療・介護分野の人材紹介業などを展開するプロトメディカルケアが、ベネッセホールディングスに売却
2021年5月10日、ベネッセホールディングスは、医療・介護分野の人材紹介業などを展開するプロトメディカルケア※を買収しました。
プロトメディカルケアは、中古車や生活情報サービスを手がけるプロトコーポレーションの子会社で、介護サービスのガイドブック「ハートページ」を発行している会社です。また、介護・医療系の求人サイト「介護求人ナビ」も運営しています。そのほかにも、福祉用具の貸与や販売事業も手がけ、売上を伸ばしています。このように、介護事業に大きな強みをもつ会社です。
一方ベネッセホールディングスは、介護業界大手のベネッセスタイルケアを傘下にしています。プロトメディカルケアを買収することで、介護業界により大きな強みをもちました。今後も拡大していくと予想される介護業界で、シェアを拡大していくことが期待できます。
※プロトメディカルケアは、2021年12月にハートメディカルケアに社名変更
アドベンチャー傘下でファッションレンタルサイトを運営するEDISTが、ダスキンに売却
2021年5月31日、アドベンチャー傘下でファッションレンタルサイトを運営するEDISTがダスキンに売却されました。
EDISTは衣料品のレンタル業を手がける企業で、仕事・育児・家事に忙しい女性向けにファッションレンタルサイト「EDIST.CLOSET」を運営しています。
一方ダスキンは、生活衛生関連用具のマットやモップなどのレンタルサービス、掃除・家事代行サービスなどを手がける大手企業です。また、ドーナツ専門店の「ミスタードーナツ」も全国展開しています。
EDISTを買収するダスキンの狙いは、生活衛生関連サービスの事業拡大です。ダスキンが扱っている生活支援のためのレンタル事業と、ファッションレンタル事業を融合させることで、家事や育児と仕事を両立させるためのサービスを強化できると判断しました。
デジタルピッキングシステムで国内大手のアイオイ・システムが、凸版印刷に売却
2021年6月、デジタルピッキングシステム大手のアイオイ・システムが凸版印刷に売却されました。
アイオイ・システムは、国内と海外72ヵ国にEC倉庫や配送センターを保有し、組み立て工場などにデジタルピッキングシステムを納入しています。物流業界や製造業界の効率化に役立つ、システム構築に関する技術力やノウハウに強みがある企業です。
凸版印刷は、印刷テクノロジーをベースに情報コミュニケーション事業分野、生活・産業事業分野およびエレクトロニクス事業分野の事業を展開しています。
新型コロナの影響もあり、物流へのニーズは急拡大しています。しかしその一方で、深刻な人手不足も加速しており、需要に対して供給が追いついていないのが実情です。
凸版印刷は、これを新たなビジネスの機会と捉え、両社の持つ技術・ノウハウを組み合わせ、物流業界におけるDX市場に参入しました。
終わりに
以上、会社売却についてメリットや注意点、流れなどの概要をご紹介しました。会社売却をスムーズに進めるためには、自社単独ではなく、外部の専門家の協力を得ながら進めることをお勧めします。