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M&Aの「着手金」の役割とは?着手金をいただき続けていることへのこだわり

M&A全般

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日本M&Aセンターの「着手金」

M&Aの仲介会社を選ぶシーンで、その仲介会社の料金体系が「着手金あり」か「着手金なし」かというのは、M&Aを検討する企業にとってとても気になるところだと思います。 日本M&Aセンターは「着手金あり」の料金体系です。 今回はわれわれの「着手金の使い道」についてお話しさせていただきます。 日本M&Aセンターの着手金は「企業評価料」と「案件化料」から成ります。 企業評価とは譲渡企業様の会社の価値を中立的に算定することです。案件化とは、企業概要書を作成し、譲受候補企業様へご提案できる状態にすることです。 われわれ企業評価総合研究所は企業評価と企業概要書作成の専門会社として、日本M&Aセンターからこれらの業務の委託を受けて行っています。企業評価総合研究所のサービス範囲は、以下の通りです。

企業評価総合研究所のサービス

着手金をいただき行うこと

ではその着手金をいただき、われわれは日々何をしているのでしょう。

◆データ化 われわれの仕事はまずお預かりした決算書をデータ化するところから始まります。 いただいた決算書を3期分データ化します。 われわれは日本全国のお客様の決算書入力業務をスピーディに効率的に行えるように、専門のデータ化チームを大阪と沖縄2拠点に有しており、台風などの災害時のリスクを分散しながら、休まず対応できる体制を組んでいます。 決算書の数字を単純にパンチ入力するのではなく、簿記の資格を持ったスタッフが率いる専門チームがすべての勘定科目を分析しやすい状態で間違いなくデータ化を行います。 ◆不動産調査 データ化と同時進行で、不動産調査チームは不動産の調査を開始します。 オーナー様の会社が保有、ないしオーナー様から賃借している不動産の場所を地図上で特定し、固定資産課税明細と共に提携している不動産鑑定会社に調査依頼をします。 不動産の価値は株価の中でも影響がとても大きく、商談の進行上、非常に重要なファクターです。 不動産の相場、現況、法的要件、いずれもお相手が見つかって最終調整段階では精査される項目です。容積率違反だった、増築部分が違法だった、登記がされていなかった、市街化調整区域に建つ物件で再建築不可だった、間口が条例の要件を満たさなかった、など、不動産の価値評価は落とし穴がいっぱいです。事前にしっかり調査をしてオーナー様ご自身が認識されておくことが、M&Aの交渉進行上重要です。 ◆企業評価 その次に企業評価チームによる分析が始まります。 企業評価はいわば、「プレデューデリジェンス」です。勘定科目ごとに精査し、オーナー様には時価資料を揃えていただきます。金融機関や会計事務所で経験を積んだ専任のスタッフが、勘定科目一つ一つを精査し、時価評価や、退職給付引当金など各種引当金の計算、営業権の計算などを行います。高い専門性が必要でかつ細かいコツコツとした作業ですが、これにより株価目線を持っておくことはもとより、論点を洗い出しておくことでこの後の商談やデューデリジェンスでも慌てることなく対応ができます。 ◆概要書作成 概要書の作成はどのように進めているでしょう。 コンサルタントは譲渡企業様の魅力や強みを譲受候補企業様にお伝えするために、譲渡企業のオーナー様に対し「業界での優位性」「今後の伸びしろ」など重要なインタビューを丁寧に実施します。われわれはそのインタビュー結果をもとに、譲渡企業様のオーナー様のプロフィールや、会社の製品、事業フロー、強みなどをパワーポイントでビジュアル化していきます。 実は譲受候補企業様には、日々多くのM&A案件が持ち込まれます。譲受候補企業様が持ち込まれた譲渡案件の一つ一つにかけられる時間は限られています。そうした場合に、短時間で譲渡企業様の事業内容、魅力が的確に伝わる概要書が作れるかどうかは、われわれの腕の見せ所であり、お相手探しの成果を大きく左右します。

企業評価をやらないとどうなる?

企業評価も案件化も、譲渡企業様にとって決して楽なことではありません。ですが、これをやるとやらないとでは成約率が全然違うことをわれわれは長年の経験から知っているのです。このプロセスを省略すると、どうしても「デューデリジェンスに持ち越し」が多発します。

基本合意後のデューデリジェンスを経て、それまで聞いたことがなかったような論点が次から次に出てきたら、お相手はどう思うでしょう。 「こんなはずじゃなかった」「ほかにも隠し事があるのではないか」「このオーナーは信用できない」と疑心暗鬼になります。 M&Aは両想いになって初めて成約するものですから、最終段階で疑心暗鬼になっては、うまくいきません。きちんと事前準備をやっておくことで、譲受候補企業様からの質問にも落ち着いて的確に答えられ、デューデリジェンスも円滑に終えられます。 時に仲介会社から「まずはDDやりましょう」と求められたら、それは少し慎重に判断したほうが良いのではないかと私は思います。

また、途中で交渉がブレイクし、検討が長引くことや、デューデリジェンスを繰り返し行うことは、それだけ情報漏洩のリスクが高まることを意味します。 情報漏洩は、会社の存続を揺るがしかねない重要なリスクです。 事前にしっかり準備をして、短期間で決めること。それが安全なM&Aの大原則なのです。

着手金がないと事前準備にコストをかけられない分、後の工程で必ず影響が出ると考えられます。譲受を検討されている企業様から見ても、本気でない企業を精査している時間はありません。 事前に準備を終えている企業様と、まだよく精査されていない企業様とでは、どちらが譲受候補企業様に本気に映るのか明確ではないでしょうか。

大切な着手金をいただくことへの想い

われわれは、経験豊富なスタッフを揃え、丁寧な企業評価・案件化を行ったうえでお相手探しを行います。当然、これらのプロセスには人件費やシステム料、調査費用がかかりますから、そのために着手金をお支払いいただくことがどうしても必要になるのです。 企業評価・案件化はわれわれとオーナー様二人三脚の大変な作業です。正直なところ、この企業評価・案件化の手続きを省略しても、きちんと成約するのであれば、お客様のご負担も少なく、それに越したことはないと思っています。 しかしながら、われわれは長年の経験から、この手続きを経ることが、成約率を高め、結果お客様のためになると知っているのです。ですから、目先のことにとらわれることなく、着手金をご負担いただき、しっかりと事前準備する方法を30年間、今も頑なに守っているのです。 その結果として、成約実績を見ていただければこれが一番の早道だとおわかりいただけると思います。ひとえに、お客様にとって「安全で安心なM&A」を実現したいと想うからです。 誰しも保険をかけずに車に乗るような危険なことはしません。 これまで何十年もかけて大切に経営されてきた会社を、リスクなく、安全で安心のM&Aを行っていただきたい。 われわれ日本M&Aセンター、企業評価総合研究所、グループの社員も日々、そのような想いをもって邁進しているのです。

着手金について

企業評価について

企業評価総合研究所について

米澤恭子のインタビューはこちらにもあります

著者

米澤 恭子

米澤よねざわ 恭子きょうこ

企業評価総合研究所 代表取締役社長 税理士

株式会社企業評価総合研究所 代表取締役社長。中堅・中小企業のM&Aにおける取引事例法企業価値評価を研究。 2020年世界初の取引事例法評価システムVCOMPASSをリリース。 公正なM&A取引価格の算定・提示によって中堅・中小企業のM&Aマーケットの健全な成長を目指す。 同年株式会社スピアとのM&Aを実施。同社代表取締役社長を兼任。税理士。

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