TSAとは?M&Aで行われる意味や内容、TSA開始に至る流れを詳しく解説
⽬次
- 1. M&Aで行われるTSA(Transition Service Agreement)とは?
- 2. TSAを締結する場面・タイミング
- 3. M&AにおけるTSAの重要性
- 4. TSAの対象となる領域
- 4-1. バックオフィス業務
- 4-2. ロジスティクス
- 4-3. サプライチェーン・マネジメント
- 4-4. 経営に関する重要事項・機密情報
- 5. TSAでの契約内容
- 6. TSAとの関連性が強い契約
- 6-1. 業務委託契約・業務受託契約
- 6-2. 最終契約
- 6-3. 基本合意契約書
- 6-4. 最終譲渡契約書
- 7. M&AにおけるTSA開始までの流れ
- 7-1. ①準備段階
- 7-2. 秘密保持契約
- 7-3. アドバイザリー契約
- 7-4. 企業価値評価の実施・企業概要書の作成
- 7-5. ② 交渉・合意段階
- 7-6. 秘密保持契約
- 7-7. 企業概要書の確認
- 7-8. アドバイザリー契約
- 7-9. トップ面談(経営者会談)
- 7-10. デューデリジェンス (事前調査)
- 7-11. ③最終契約段階
- 7-12. 基本合意
- 7-13. 最終譲渡
- 7-14. 最終契約の締結・クロージング
- 7-15. ④最終契約締結後の処理
- 7-16. ディスクロージャー
- 7-17. 株式の譲渡→対価の支払い
- 8. 終わりに
- 8-1. 著者
本記事ではTSAの対象業務、契約内容、TSA契約締結までの流れなどについて詳細に解説します。
M&Aで行われるTSA(Transition Service Agreement)とは?
TSAは「Transition Service Agreement」の頭文字をとったものです。Transitionは遷移や変遷、Service Agreement はサービス契約であり、直訳すると「遷移中のサービスに関する契約」という意味になります。
M&Aにおいては契約締結後すぐに全事業・全サービスを移行できるわけではなく、実際には移行中に顧客へのサービス提供が引き続き行われる場合が多くあります。その移行期間中に提供しているサービスに関してトラブルが生じてしまう事態も想定しておかなければなりません。そのためあらかじめ「あるべき責任の所在」を決定しておく必要があります。こうした「あるべき責任の所在」を決めておく契約がTSAになります。 譲渡企業がこれまでに実施してきた業務サービスを継続して利用する場合の一時的な契約 、をイメージしていただくのがよいでしょう。
M&Aが成立した後に買収によるシナジー効果をスピーディーに実現するためには、譲受企業によるPMI(Post Merger Integration)と呼ばれている経営の統合作業が必要です。
PMIの初期段階における一定期間内にTSA契約を締結して、譲渡企業のサービス提供を引き続き受けることについて、譲渡企業と譲受企業の両社の間で取り決めを交わすことが必要です。TSA契約を締結することでサービスの提供を受けている期間内に、譲受企業は統合の効果を最大限に高めるように統合作業を推進することが可能になります。
TSAを締結する場面・タイミング
一般的にはM&Aの一連の契約交渉の後にTSAを実施します。M&Aの流れにおいては最終契約の後から経営統合を実行するまでに「引継ぎのための期間」があります。この期間に資産の承継、権利等の移転、などの手続きを実施しつつ、企業は普段と変わらずに営業していく必要があります。当然ながら、これまで譲渡企業で機能していた経理・人事などの間接部門(バックオフィス)が最終契約を締結した直後に機能しなくなることはあってはなりません。そうした事態が生じることを避けるために、譲渡企業がどこまでサービス提供を行うのか、譲受企業がどこまでサービスを受けるのか、を契約書として定める必要があります。この契約がTSAなのです。
一般的にTSAはM&Aの最終フェーズで行われます 。最終フェーズを細分化すると、デューデリジェンス・最終合意、最終契約の締結、クロージング、ディスクロージャーというステップになります。 TSAは最終契約で締結される契約のうちのひとつとなります。 デューデリジェンスの期間中にTSAの準備も並行してスタートできれば、その後の契約なども円滑に進めることが可能になります。
M&AにおけるTSAの重要性
TSAはM&Aにおけるクロージングの段階で締結される契約ですが、譲受企業によるデューデリジェンスでM&Aの対象になるビジネスや企業にどのくらいの価値があるのか、あるいはM&Aを推進するうえでどのようなリスクがあるのか、などを総合的に調査することになります。TSAの対象はデューデリジェンスの結果、移行の難易度が高いと思われる業務などがメインになるのでTSAにはM&A実施後におけるサービスの提供・管理の方法を明確にして移行手続きをスムーズにするという重要な意味や目的があります。
TSAの対象となる領域
TSAの対象となる主な領域は、 バックオフィス業務、ロジスティクス、サプライチェーン・マネジメント、経営に関する重要事項などの機密情報 になります。それぞれの具体的な内容とTSA対象になった場合の注意点について解説します。
バックオフィス業務
人事・総務・財務などの間接部門をバックオフィスと呼びますが、バックオフィスの業務には様々な取引先が存在していることに加えて、業務が日常的に継続して行われているとても重要な部門でもあります。M&Aで譲受企業への譲渡作業中(移行作業の最中、移行期間内)であっても業務を止めてしまうことは極めて難しいと考えられます。
最近ではバックオフィスの業務をシェアードサービス化(専門子会社の設立など)している企業も増えていますが、専門性の高いサービスは属人的になりやすい傾向があるので、シェアードサービスセンターが親会社から切り離されるような場合にはシームレスに業務を継続するためにもTSAの締結が必要不可欠になる可能性があります。
ロジスティクス
ロジスティクス部門とは顧客の要望に応えつつコストも削減するように計画・実行・管理を実施する部門のことで、TSAの対象として挙げられる代表的な部門のひとつです。サプライチェーン・マネジメント部門と類似している部門ですが、ロジスティクス部門のほうがより経営に近い立場にあると言えます。
ロジスティック部門に関しては、顧客の都合や要望に合わせて商品を搬送している場合などのようにロジスティック管理の担当人材がいなくなってしまうと、これまでのような運用をすることが不可能になってしまいます。そうした問題が発生しないようにロジスティクス部門業務の取扱もTSAで決めておく必要があります。
サプライチェーン・マネジメント
サプライチェーン・マネジメントとは、グループ企業全体で、一貫して仕入れ・調達・物流を実施することを言います。一括して仕入れを行うことによって仕入れ原価を抑制して、調達部門の統一的なアクションを通じてコストを減らします。
サプライチェーン・マネジメントも機能が停止してしまうと、元に戻すことは極めて困難になります。M&Aが完了した時点は、どのように仕入れを行って、どのように運搬するのか、といったことはあらかじめ譲受企業は考えているはずですが、移行期間中にはどのように対応するのかを明確にしたうえで対応する必要があります。つまり、TSAを締結してからもこうした部分をカバーすることになるのです。
経営に関する重要事項・機密情報
また経営に関する重要事項などの機密情報も引き渡すこともあります。企業の種類によってそれは様々ですが、例えば研究や開発を行う先進的な企業の場合、それらに関する重要事項は経営の核心となる機密情報と言えるでしょう。極めてセンシティブな情報である為、最終譲渡までは進んで伝えることは避けるのがベターない方がいいでしょう。しかし場合によっては、秘密保持契約をあらかじめ結んでおくことで漏洩リスクに伴う損害賠償請求ができますので、このような事前対策も有効です。
TSAでの契約内容
TSAの主な契約内容は、サービスの提供者・受給者、サービスの範囲、サービスの対価・支払い条件、契約の有効日・終了日、になりますが、それぞれの内容やポイントについて解説します。
ポイント | |
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サービスの提供者・受給者 | 最初に、TSA契約はサービスの提供者(譲渡企業)と受給者(譲受企業)が存在する契約になるので、それぞれを明確に定めることが必要です。 |
サービスの範囲 | 次にTSAの対象となるサービスの範囲を明確に定義することが必要です。今後のトラブル発生を回避・防止するためにも、できる限り詳細にサービスの内容を記載して曖昧な表現は避けるべきです。 |
サービスの対価・支払い条件 | TSAに基づいてサービスの提供を受ける場合には対価が必要になります。サービス提供の対価をどのようにして支払うのか(月払い、半期払い、年払いなど)、いくら支払う必要があるのか、といった支払いに関する条件もTSA契約には記載されます |
契約の有効日・終了日 | TSA契約も契約なので、契約の有効日や終了日も決めておく必要があります。契約の有効日と終了日を明確にしたうえで、事前通知によって契約の解除が可能なのか、あるいは契約延長することが可能なのか、なども定めておくことが一般的です。 |
TSAとの関連性が強い契約
TSAとの関連性が強い契約としては、業務委託契約・業務受託契約と最終契約を挙げることができます。それぞれどのような契約なのか解説します。
業務委託契約・業務受託契約
譲受企業がM&A実施直後には自社内だけで完結することが難しい業務については業務委託契約を締結して譲渡企業に任せることになります。持ち株会社や事業部制の採用企業などでは、M&Aを実行したことで本体から分離してしまう部門生じる可能性が高いでしょう。
M&A実施後に、全く別の企業に外注するケースも考えられますが、以前から当該業務を担当していた企業・部門に継続してお願いする方が効率的かつ安心なので、その場合にも業務委託契約を締結することになります。
最終契約
最終契約は最もTSA契約と関連性が強い契約と言えます。デューデリジェンスによって譲渡企業の経営状態などを認識・把握した後に締結される契約です。最終契約は、DA(Definitive Agreement)、SPA(Stock Purchase Agreement)、などの略語がよく使用されます。
基本合意契約書
基本合意書は最終契約に先立って売り手側企業と買い手側企業の双方の間で取り交わされる合意書のことです。譲渡価額・譲渡日・スケジュールなどついて基本的な事項を定めています。これまでの交渉において合意された内容を整理してM&Aの成立に向けた双方の認識を合わせることが目的になります。
基本合意書はこれから実施されるM&Aにおける取引をスムーズに行うために必要となる、トップ会談後の両社が合意した事項に関して専門家の意見も踏まえて整理したうえで、書面上において合意を形成します。
最終譲渡契約書
最終譲渡契約書はM&Aを進めて行く中で譲渡企業と譲受企業の最終的な合意内容を明確にした契約書のことです。一般的にはDA(Definitive Agreement )と呼ばれています。実際には株式譲渡のスキームを実行する場合には株式譲渡契約書(SPA、Stock Purchase Agreement)という契約書になります。
また、基本合意書には法的な拘束力はないとされていますが、最終譲渡契約書には法的拘束力がある点には注意が必要です。つまり、最終譲渡契約書を締結してから自社の都合だけで契約を破棄するような場合には何らかのペナルティ(損害賠償金の支払い義務など)が課せられるおそれがあります。
M&AにおけるTSA開始までの流れ
M&AにおけるTSA開始までの流れは大きく3つにわかれます。
- 準備段階(秘密保持契約、アドバイザリー契約、企業価値評価の実施・企業概要書の作成)
- 交渉・合意段階(秘密保持契約、企業概要書の確認、アドバイザリー契約、経営者会談、基本合意、デューデリジェンス)
- 最終契約段階(最終合意、最終契約の締結・クロージング、ディスクロージャー、クロージング監査や譲渡価格の修正、株式の譲渡→対価の支払い、TSAの実施)
それぞれの内容について解説します。
①準備段階
準備段階における主なタスクには、秘密保持契約の締結、アドバイザリー契約の締結、企業価値評価の実施・企業概要書の作成などを挙げることができます。それぞれの内容について解説します。
秘密保持契約
秘密保持契約とは自社が保有している秘密情報を他企業に対して提供することになった場合に、その企業が別の企業に秘密情報を漏らしたり、不正に利用されたりしないようにする目的で締結される契約です。NDA(Non-Disclosure Agreement)と呼ばれることもあります。
M&Aなどのビジネス・シーンでは、商談・取引などの前段階、もしくはその最中に、自社の秘密情報を相互に、あるいは一方だけが開示するパターンがあります。つまり、秘密保持契約にも双方が情報開示をする双務契約と一方のみが開示する片務契約とがあるのです。秘密保持契約の締結は情報漏洩によってディールがブレイク(破談)してしまうリスクを抑制するためにとても重要な契約なのです。
NDA(秘密保持契約)とは?概要のメリット・注意点を解説
他の企業と業務提携を開始する時、取引を開始する時など、自社の機密情報を開示する必要に迫られる場面は少なくありません。このような場合、情報漏洩のリスクを回避するため、開示前に取引相手とNDA(秘密保持契約)を締結することが一般的です。本記事ではNDA(秘密保持契約)の概要や締結時に確認すべきポイントなどをご紹介します。日本M&AセンターではM&Aに精通した公認会計士・税理士・弁護士など専門家を含めた
アドバイザリー契約
アドバイザリー契約とは、外部のM&Aアドバイザリー会社からM&Aに関する助言を得る目的で締結する一種の業務委託契約です。譲渡会社か譲受会社のどちらか一方と締結します。FA(Financial Advisory)契約と呼ばれることもあります。
また類似している契約として仲介契約が挙げられます。仲介契約とは譲渡企業と譲受企業の双方の間で中立的かつ公平な立場から助言を行うためのものです。M&A業務(例えば、デューデイジェンス)は専門性が高く難易度が高いものが多いため、詳しくない人が案件を進めようとしてもすぐにスタックしてしまい、業務が停滞してしまうでしょう。
そこでM&Aに関する経験や実績が豊富な専門家にアドバイスをもらってスムーズに案件を進行させることが必要になります。ただし、アドバイザリー会社は成果報酬となっているケースが多いので、特にアドバイザリー会社に有利な契約内容になっていないかどうかをしっかりと確認することが重要です。
M&Aにおけるアドバイザリー契約とは?契約形態、交渉形式について解説
本記事ではアドバイザリー契約の概要、他の契約との違いについて紹介していきます。日本M&Aセンターは1991年の創業以来、数多くのM&A・事業承継をご支援しています。中小企業のM&Aに精通した専任チームが、お客様のM&A成約まで伴走します。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。M&A・事業承継のお問合せはこちらM&Aアドバイザリー契約とは?アドバイザリー契約とは一般的に、外部の専門家や事業者か
企業価値評価の実施・企業概要書の作成
M&Aにおける企業価値評価とはバリュエーション(Valuation)とも呼ばれており、企業買収の際に買収対象企業にどのくらいの価値があるのかを算定することです。企業価値算定評価の結果に基づいて売却希望価格と買収可能価格を検討することになります。また、企業概要書とはIM(Information Memorandum)とも呼ばれている資料で、譲渡企業(あるいはM&A仲介会社)が作成するもので譲渡企業の概要・事業内容・財務諸表などが細部にわたり記載されている書類です。
譲受企業は企業価値評価の結果や企業概要書などを踏まえて実際に買収するかどうかを検討することになるので、企業価値評価の実施・企業概要書の作成はM&Aのディールにおいて極めて重要なタスクであると言えます。
M&Aの企業価値評価(バリュエーション)とは?種類・メリット・デメリットを分かりやすく解説
M&Aの企業価値評価(バリュエーション)とは?M&Aにおける『企業価値評価』とは、文字通り企業全体の価値を評価することを意味します。企業全体の価値とは、企業が保有する資産の価値のみならず、企業が今後創出するであろう収益力及びその源泉となる無形資産をも含めた価値となります。これを言い換えると、『事業価値』(企業の事業から創出される経済的価値)に非事業用資産(事業を営むうえで必要不可欠でない余剰資産な
② 交渉・合意段階
交渉・合意段階の主なタスクは、秘密保持契約、企業概要書の確認、アドバイザリー契約、経営者会談、基本合意、デューデリジェンス、になります。それぞれのタスクについて解説します。
秘密保持契約
上述したように秘密保持契約は自社(譲渡企業)の情報を他企業(譲受企業やアドバイザリー会社など)に提供する場合に許可なく漏洩することを禁止する契約のことです。秘密保持契約を結ぶことで安心してM&Aを進めることが可能になります。
企業概要書の確認
企業概要書(IM)には譲渡企業に関する詳しいデータと買い手側の候補企業が買収した場合のメリットなどが記載されています。通常は関心や興味を示した買い手側の候補企業と秘密保持契約を結んだ後に企業概要書を提示します。買い手側の候補企業は企業概要書の内容を確認して本格的なM&Aの検討を実施するので、企業概要書はM&Aにおける極めて重要な資料となります。
アドバイザリー契約
アドバイザリー契約も上述したように、外部のM&Aアドバイザリー会社からM&Aに関する助言を得る目的で締結する契約のことです。アドバイザリー契約を締結することで豊富な経験と実績を有している専門家からディールをスムーズに進めるために必要なアドバイスを受けることが可能になります。
トップ面談(経営者会談)
経営者会談とはM&Aにおける譲渡企業と譲受企業の両社の経営者同士が相互理解を深めるために実施される面談のことです。トップ面談とも呼ばれます。経営者会談は具体的に条件交渉を行う場ではありませんが、企業の情報など書面のみでは把握できないような相手企業の価値観・課題、理念・ビジョンなど両者が共に理解し合うという目的がありますで、M&Aを事項する上では欠くことができない重要なステップとされています。
M&A成功のカギを握るトップ面談とは。押さえておきたいポイント
トップ面談とはM&A実行プロセスにおける「トップ面談」とは、譲渡企業(売り手)と譲受け候補企業(買い手)両社の経営者同士が直接顔を合わせることです。結婚でいう「お見合い」に相当するもので、互いの事業に関する疑問を解消するとともに、決算書などの文字や数字では見えない相手(経営者)の人間性や経営理念等を把握し、相互理解を深める場となります。トップ面談の目的トップ面談は譲渡企業と譲受け候補側の意思決定権
デューデリジェンス (事前調査)
デューデリジェンスとはM&Aを実行する際に譲受企業が譲渡企業(あるい譲渡対象の事業など)の実態を事前に把握して、買収価格や買収取引に関して適切な判断を行うための調査のことです。デューデリジェンスには、組織・財務活動などを調査対象とするビジネス・デューデリジェンス・財務内容などからリスクを把握・分析するファイナンス・デューデリジェンス・定款や登記事項などの法的な事項を調査・確認するリーガル・デューデリジェンスなど様々なものがあります。
デューデリジェンス(DD)とは?目的や種類をわかりやすく解説
M&A成功の鍵は、取引前に行うデューデリジェンス(DueDiligence)、つまり、事前調査にあります。本記事ではデューデリジェンスの目的、種類、進め方についてわかりやすく解説します。日本M&AセンターではM&Aに精通した公認会計士・税理士・弁護士など専門家を含めた盤石の体制で安全・安心のM&Aをサポート致します。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。無料相談はこちらデューデリジェンスとは
③最終契約段階
ここまでの準備が完了しましたら、いよいよ契約段階に入ります。TSAを行う際の契約フェーズを詳細にお伝えします。
基本合意
まず他のM&Aと同じく、譲渡価格や取引形態について確認します。この時点で、基本合意が締結されると、譲受企業が他企業を排外して譲渡企業と独占に交渉できる権利が生じます。厳密には企業の買収は確定していませんが、譲受企業はほぼ買収するつもりだと考えてよいでしょう。
またここで基本合意書が締結されます。基本合意書は、最終契約に先立って譲受企業と譲渡企業の間で取り交わされる合意書のことです。その内容には、譲渡価額・譲渡日・スケジュールなどついて基本的な事項を定めています。これまでの交渉において合意された内容を整理してM&Aの成立に向けた双方の認識を合わせることが目的になります。基本合意書は、これから実施されるM&Aにおける取引をスムーズに行うために必要となる経営者会談の両社が合意した事項に関して、専門家の意見も踏まえて整理した上で書面上において合意を形成します。
基本合意書(MOU)とは?M&Aで締結する目的・留意点を解説
M&Aにおいて基本合意書は、主に交渉内容やスケジュールなどの認識を明確にし、スムーズに交渉を進めることを目的として締結されます。本記事では、基本合意書の概要や作成するにあたり注意すべき点などについてご紹介します。なお、本文では中小企業M&Aにおいて全体の8割程度を占める、100%株式譲渡スキームを想定した基本合意書の解説とさせていただきます。日本M&AセンターではM&Aに精通した弁護士・司法書士・
最終譲渡
いよいよ双方でM&Aが実行されることを最終譲渡と言います。ここでは、最終譲渡契約書という法的拘束力のある契約書が交わされます。先ほどの基本合意書には法的拘束力はないとされていますが、最終譲渡契約書には法的な意味が生じますので、これに違反した場合は損害賠償金の支払い義務などが生じるリスクがあることに注意しましょう。
最終譲渡契約書の内容についてですが、譲渡企業と譲受企業の最終的な合意内容を明確にしたものが記載されています。また株式譲渡のスキームを実行する場合には、株式譲渡契約書(SPA、Stock Purchase Agreement)という契約書になります。
契約締結前の最終条件調整。押さえておきたいポイント
M&Aの最終契約に盛り込まれる事項は多岐に渡ります。ここでは、最終条件の交渉を行う上で、主要な事項及び細目事項をご紹介します。日本M&AセンターではM&Aに精通した公認会計士・税理士・弁護士など専門家を含めた盤石の体制で安全・安心のM&Aをサポート致します。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。無料相談はこちら最終条件の交渉とは最終契約書が締結されて、M&Aは実行フェーズにうつります。株式譲
最終契約の締結・クロージング
最終契約書の内容に双方が合意したら最終合意契約書を締結します。ただしM&Aのスキームによって契約書の名称は変わりますので、株式譲渡のスキームの場合は株式譲渡契約書を締結することになります。最終契約を結んでから、譲受企業は買収価額を譲渡企業に支払い、経営権が譲渡企業から移転し、クロージングが終了します。
M&Aの最終契約書とは?ポイントを専門家が解説!
本記事ではM&Aの最終段階において締結される最終契約書のポイントについて、M&Aの専門家がわかりやすく解説します。日本M&AセンターではM&Aに精通した公認会計士・税理士・弁護士など専門家を含めた盤石の体制で安全・安心のM&Aをサポート致します。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。無料相談はこちらM&Aの最終契約書とはM&Aにおける最終契約書(DefinitiveAgreement、通称「
④最終契約締結後の処理
ここまで契約が進んだら、あとは双方の業務を連携させるための手続きに入ります。どのようなものがあるのか見ていきましょう。
ディスクロージャー
M&Aにおけるディスクロージャーとは、従業員、取引先、メインバンクなどの取引金融機関などに対して情報開示を実行することです。場合によっては、重要な取引先や幹部社員に対する事前開示がクロージングの条件になるケースもあります。
M&Aのディスクロージャー(情報開示)はいつ行う?従業員への伝え方などポイントを解説
M&Aは「秘密保持に始まり、秘密保持に終わる」と言われるほど、秘密保持を重視しています。一般的には最終契約書にサインされるまで、たとえ身近な自社の従業員であってもその事実は公表されることはありません。情報漏洩により、M&Aの予定を第三者に知られては会社の存続に関わる問題となりうるからです。本記事では関係者へのディスクロージャー(情報開示)にあたって、あらかじめ押さえておきたいポイントをご紹介します
株式の譲渡→対価の支払い
株式譲渡スキームによるM&Aの場合には、最終契約書に沿って株式の譲渡、対価の支払いが実行されます。
M&Aにおけるデリバリーとは?具体的な流れ・手順を解説
最終契約に盛り込まれる事項は多岐に渡ります。ここでは、最終条件の交渉を行う上で、主要な事項及び細目事項をご紹介します。デリバリーとはM&Aプロセスにおけるデリバリーとは、最終契約書(本契約)に基づく最終的な手続きを行い、M&Aを実行することです。デリバリーの目的は、最終契約書に基づき対価の決済を行い、譲渡側(売り手)から譲受側(買い手)へ経営権を移転することにあります。タイミングとしては、最終契約
終わりに
M&Aの様々な手続きの中でも最終段階TSAに関してはあまり詳しくない人がいるかもしれません。M&Aはクロージングでて全ての手続きが完了するわけではなく、クロージングから譲渡企業と譲受企業の経営統合後のプロセス(PMI)を経過してようやく完了になります。したがって、移行期間中にやるべきことを明確に文書化しておいて、最終契約書や業務委託契約書という形式で委任することが円滑な経営統合にとって必要なポイントの一つになるでしょう。
M&Aは複雑なプロセスや契約書など、検討段階で不安を抱える方も多くいらっしゃいます。
ご不明点がありましたらお気軽に専任のコンサルタントまでお問合せください。