全国金融機関初!沖縄銀行が企業評価システム「V COMPASS」を導入

企業評価
更新日:

⽬次

[非表示]

企業の後継者不在問題が深刻な沖縄県。帝国データバンクの調査によると、沖縄県の後継者不在率の高さは2011年から2020年まで全国1位、2021年は全国2位となり、2011年の調査開始から一貫して後継者不在率が70%を超えています。

こうした状況を受け、同県を拠点とする沖縄銀行ではM&Aや事業承継のサポート体制の強化を進めています。その一環としてこのたび、日本M&Aセンターホールディングス グループ会社・企業評価総合研究所の提供する企業評価システム「V COMPASS」が全国の金融機関で初めて導入されました。

「V COMPASS」とは、「自社がいくらで売却できるか」を算出するサービスで、業界で唯一、「取引事例法」という手法を用いた客観的で精度の高い企業評価システムです。本記事では沖縄銀行でM&A業務の推進に携わる担当者の声をご紹介します。

積極的にM&Aを推進する沖縄銀行

日本M&Aセンターと提携している沖縄銀行は、2021年には顕著なM&A実績・事例、地域貢献を達成された地方銀行を顕彰する「M&Aバンクオブザイヤー」にて「特別賞」を受賞されました。また、行員のスキルアップとして、中小企業M&A実務に関する「M&Aシニアエキスパート」資格取得に積極的に取り組まれており、同行内の有資格者は全国の金融機関で最多の193名にのぼります。(2021年4月時点)。

沖縄銀行M&A担当者「選択肢を提供し、きっかけづくりに活用」

そして、全国の金融機関で初となる「V COMPASS」導入。
その背景や営業現場での活用について沖縄銀行 法人事業部 地域活性化グループ 事業承継・M&Aチーム所属の新垣雄之さん、東恩納寛亮さんにお話を伺いました。過去にはお二人とも日本M&Aセンターにご出向いただいており、持ち帰った知見を銀行でのM&A推進に活用されています。

—「V COMPASS」導入の経緯を教えてください。

東恩納さん)2021年11月に日本M&Aセンターと共同開催した「SDGs事業承継・M&Aカンファレンス」のフォロー施策として、日本M&Aセンターの担当者から企業評価システム「V COMPASS」導入のご提案をいただきました。

ご存じの通り、沖縄県は後継者不在率が非常に高いため、当行としてもM&Aや事業承継のサポート体制の強化が喫緊の課題でした。その打ち手のひとつとして「V COMPASS」を活用することで、ニーズの発掘ができればという思いで導入することを決めました。

新垣さん)とはいえ、金融機関へのシステム導入は容易ではなく、社内のシステム担当をはじめ部署をまたいだ連携が必要で苦労も多かったんです。具体的に動き始めてから実際に形になるまでは、5か月近くかかりましたね。

3日かかったレポートが5分で可能に

—実際に使ってみた感想を教えてください。

東恩納さん)「V COMPASS」自体はシンプルに構築されているので、使用するうえで特別なスキルは要らず、5分程度でレポートを作成することができます。これまで当行ではエクセルにデータを打ち込んで人力で作業を行っており、レポート作成までは3日程度要していました。「V COMPASS」の導入によって、事務的には飛躍的に効率化が進みました。

そして営業現場では、お客様にパンフレットを用いて紹介したり、「V COMPASS」で算出したM&A評価額と相続税評価額の差異を提示したりして、自社の市場価値の把握と将来への備えを考えるきっかけにしていただいています。「V COMPASS」をもっと営業活動に活用することで、お客様の選択肢が広がればうれしいですね。行内でのさらなる定着に向けて、勉強会を開催する予定です。

—日本M&Aセンターとの提携も含め、今後期待することを教えてください。

新垣さん)昨年の「SDGs事業承継・M&Aカンファレンス」をきっかけに、銀行全体としてもM&A推進の機運が高まったように感じています。お客様への周知も広がり、M&Aや事業承継に関する問い合わせをいただくことも増えています。実際にカンファレンスを入り口に、早くもM&Aで譲渡をしたいという案件も受けております。
今後も様々な施策やサービスを掛け合わせながら、1社でも多くの後継者不在の企業を救い、県内の経済を盛り上げていければと思っております。
当行としても尽力してまいります!

「V COMPASS」は「自社をいくらで売却できるか」を算出するサービス

「V COMPASS」はM&Aを実施する際の株価を試算するための企業評価システム。
業界で唯一、過去数千件の売買実績のデータベースから、業種・地域・財務が類似した企業の実際の売買価格をもとに株式価値を算定する「取引事例法」という手法を用いています。

実際の売買価格をもとにした「取引事例法」は、取引事例の多い不動産や自動車の売買ではすでに一般的ですが、秘匿性の高いM&Aマーケットでの応用は難しいとされていました。

「V COMPASS」では、企業評価総合研究所の有する年間1,000件超、累計13,000件(ごく簡易的な企業評価を除く)の圧倒的な企業評価算定実績と、日本最大規模の成約実績を誇る日本M&Aセンターグループの豊富なデータによって、この「取引事例法」を用いた算定を実現。客観的で精度の高い評価を提供することができるようになりました。

「V COMPASS」についての詳細はこちら

著者

M&A マガジン編集部

M&A マガジン編集部

M&Aマガジンは「M&A・事業承継に関する情報を、正しく・わかりやすく発信するメディア」です。中堅・中小企業経営者の課題に寄り添い、価値あるコンテンツをお届けしていきます。

この記事に関連するタグ

「株式譲渡・事業譲渡・M&A・M&Aアドバイザー・企業評価・日本M&Aセンター」に関連するコラム

買収とは?合併やM&Aとの違い、種類、プロセスを解説

M&A全般
買収とは?合併やM&Aとの違い、種類、プロセスを解説

買収は、企業の成長や事業承継の手法として広く活用されています。売り手側にも買い手側にもメリットがある一方で、リスクもあるため注意が必要です。本記事では、買収と合併、M&Aの違いをはじめ、買収の種類やプロセスをわかりやすく解説します。この記事のポイント買収とは、対象企業の事業や経営権を取得することで、「事業買収」と「企業買収」に分けられる。買収には「友好的買収」と「同意なき買収」があり、一般的に中小

会社売却後どうなる?会社、社長、社員への影響を解説

M&A全般
会社売却後どうなる?会社、社長、社員への影響を解説

中小企業のオーナー経営者が会社売却を検討する際「売却した後、関係者に与える影響が一番気がかり」と考える人は少なくありません。本記事では、中小企業が会社売却をおこなう際、会社関係者、取引先などそれぞれのステークホルダーに与える影響、メリット、注意点についてご紹介します。M&Aのプロに、まずは相談してみませんか?日本M&Aセンターは、ご相談からM&Aの成約まで、経験豊富なM&Aのプロが丁寧にサポートい

【M&A成約式】 上場企業とのM&Aで生産力向上、メイドインジャパンの製品力で成長促進へ

広報室だより
【M&A成約式】 上場企業とのM&Aで生産力向上、メイドインジャパンの製品力で成長促進へ

「メイドインジャパンの製品を世界に発信したい」という思いが合致したM&Aとなりました。野菜調理器製造事業を行う株式会社ベンリナー(以下、ベンリナー、山口県岩国市)は、印刷品製造業を営む三光産業株式会社(以下、三光産業、東京都)と資本提携を結びました。両社は、2022年12月22日、広島県内のホテルにてM&A成約式を執り行いました。握手を交わす三光産業株式会社代表取締役社長執行役員石井正和氏(左)と

【M&A成約式】将来的な後継者不在を解決し、社長と従業員の夢を実現するM&A

広報室だより
【M&A成約式】将来的な後継者不在を解決し、社長と従業員の夢を実現するM&A

「自分たちが設計したものを、見て触って動かしたい」という譲渡企業の社長と従業員の夢を実現するM&Aが成立しました。機械設計事業・制御設計事業を行うアイドラス株式会社(以下、アイドラス、山梨県中央市)は、省人化設備・自動化設備などの製造業を営む株式会社鳥取メカシステム(以下、鳥取メカシステム、鳥取県鳥取市)と資本提携を結びました。両社の所在地である山梨県と鳥取県は直線距離で実に約400キロ離れていま

M&Aが失敗する要因とは?対処法や事例も紹介

M&A全般
M&Aが失敗する要因とは?対処法や事例も紹介

M&Aの失敗には、投資対効果の未達、のれんの減損損失、デューデリジェンスの不備、人材流出などがあります。原因や失敗事例を通して、対策法を解説します。M&Aは企業成長を加速させる成長戦略の一つですが、必ずしも期待どおりの効果が得られるとは限りません。当初の目標を下回り、失敗とみなされるケースもあります。M&Aを成功に導くには、失敗事例を知って対策を講じることが不可欠です。本記事では、M&Aが失敗とみ

事業売却とは?会社売却との違いやメリット・デメリット、税金について解説

M&A全般
事業売却とは?会社売却との違いやメリット・デメリット、税金について解説

事業売却は、企業が特定の事業部門や資産を他の企業に譲渡するプロセスであり、戦略的な再編成や資金調達の手段として広く利用されています。この手法は、企業が不採算部門を整理し、主力事業へ経営資源を集中するなど、事業戦略の見直しを行う場面で活用されます。本記事では、事業売却のメリットやデメリット、手続きについてご紹介します。この記事のポイント事業売却の目的は資金調達、事業ポートフォリオの見直し、事業承継な

「株式譲渡・事業譲渡・M&A・M&Aアドバイザー・企業評価・日本M&Aセンター」に関連する学ぶコンテンツ

企業価値評価(バリュエーション)とは?M&Aで用いられる手法、算定方法を解説

企業価値評価(バリュエーション)とは?M&Aで用いられる手法、算定方法を解説

M&Aにおける「企業価値評価」とは、文字通り企業全体の価値を評価することを意味します。本記事では企業価値評価の枠組みにおいて、特に「株式価値」の算定に着目してご紹介しますが、まずは「企業価値」「事業価値」「株式価値」の意味するところの違いを、しっかり区別しておきましょう。この記事のポイントM&Aにおける企業価値評価は、企業全体の価値を算定するプロセスで、株式価値を求めることが特に重要である。評価手

M&Aの事前準備。売り手が押さえておくべきポイント

M&Aの事前準備。売り手が押さえておくべきポイント

自社の売却を考える譲渡オーナーの多くにとってM&Aは未知の体験であり、不安はつきません。本記事では、相手探しを始める前に何を準備しておけばいいのか?どのような状態にしておけばいいのか?売り手が押さえておきたいM&Aの事前準備として資料収集・株式の集約についてご紹介します。M&Aのプロに、まずは相談してみませんか?日本M&Aセンターは、ご相談からM&Aの成約まで、経験豊富なM&Aのプロが丁寧にサポー

M&A仲介会社とは?FAとの違いや主なM&A仲介会社一覧、活用するメリット、選び方を解説

M&A仲介会社とは?FAとの違いや主なM&A仲介会社一覧、活用するメリット、選び方を解説

M&A(企業の合併・買収)は、企業の成長戦略や市場競争力を高めるための重要な手段です。しかし、複雑なプロセスや多様な利害関係者が絡む中で、成功させるためには専門的な知識や経験が不可欠です。そこで、M&A仲介会社の役割が浮かび上がります。M&A仲介会社は、企業のニーズに応じた最適なパートナーを見つけ出し、取引の円滑な進行をサポートします。本記事では、M&A仲介会社の役割や活用するメリット、選び方など

M&Aにおける会計とは?

M&Aにおける会計とは?

M&Aにおける会計とは?M&Aにおいて会計は、特に企業価値評価や財務分析の場面で非常に大きな役割を果たします。また、M&Aによる会計上のインパクトを理解することも大切です。貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)に与えるインパクトを考慮した結果、当初検討していたM&Aのスキームを変更する可能性も十分にあります。そのため会計を理解できれば、M&Aをより深く、広く理解することができるようになると言え

譲渡・売却先の探し方、選び方のポイント

譲渡・売却先の探し方、選び方のポイント

会社の譲渡・売却を通じてどういう会社になりたいか、そのためにどんな相手に会社を売却したいか、イメージし明確化することは非常に大切です。本記事では、売却する相手を探す時、そして具体的に検討する時のポイントについてご紹介します。M&Aのプロに、まずは相談してみませんか?日本M&Aセンターは、ご相談からM&Aの成約まで、経験豊富なM&Aのプロが丁寧にサポートいたします。会社の売却をご検討の方は、まずは無

M&Aの関係者とは?M&A仲介会社、士業の専門家、金融機関など

M&Aの関係者とは?M&A仲介会社、士業の専門家、金融機関など

M&Aの実行には売り手、買い手の当事者のほか、彼らを支援する支援機関など様々な関係者の存在が不可欠です。本記事ではM&Aにはどのような関係者がいるのか、その役割について紹介します。この記事のポイントM&A専門会社には、M&A仲介会社があり、両者の間に立って交渉を仲介する。FA(ファイナンシャル・アドバイザー)は一方の利益を最大化する役割を担う。士業の専門家(公認会計士・弁護士)や金融機関も関与し、

「株式譲渡・事業譲渡・M&A・M&Aアドバイザー・企業評価・日本M&Aセンター」に関連するM&Aニュース

デンソー、カーエアコン用ホース・配管事業の譲渡に向けマルヤス工業と基本合意

株式会社デンソー(6902)は、マルヤス工業株式会社(愛知県岡崎市)との間で、デンソーのカーエアコン用ホース・配管事業の譲渡に関する検討を開始することで基本合意した。デンソーは、グローバルな自動車部品メーカーで、先進的な自動車技術、システム・製品を提供している。マルヤス工業は、自動車部品を中心に、熱交換技術や成型・加工技術を核とした幅広い事業を展開している。背景・目的本事業譲渡の対象となる、カーエ

イノベーション、グループ再編を発表

株式会社イノベーション(3970)は、グループの組織再編を発表した。イノベーショングループは、オンラインメディア事業、ITソリューション事業、資産運用コンサルティング事業、M&Aコンサルティング事業、VCファンド事業を展開している。内容株式会社シャノン(3976)の事業の一部を、イノベーションの連結子会社である株式会社Innovation&Co.(東京都渋谷区)へ譲渡・譲受する。イノベーションの連

ユニチカ、紡糸ノズル製造販売の子会社をセーレンに売却へ

ユニチカ株式会社(3103)は、連結子会社である株式会社上條精機(京都府宇治市)と同社が営む事業について、セーレン株式会社(3569)との間で株式譲渡契約を締結することを決定した。ユニチカは、2024年11月28日付で「株式会社地域経済活性化支援機構による再生支援決定、第三者割当によるC種種類株式の発行、定款の一部変更、自己株式の取得及び自己株式の消却、資本金及び資本準備金の額の減少、並びに親会社

コラム内検索

人気コラム

注目のタグ

最新のM&Aニュース