コラム

【連載】「伸びる企業の買収戦略」買収成功のロードマップ 『100日プラン』

更新日:

⽬次

[表示]

日本M&Aセンターの新刊書籍『伸びる企業の買収戦略―実録 中堅・中小M&A成功事例の徹底解剖!』が発売されました(2023年9月13日ダイヤモンド社より発行)。
中堅・中小企業向けに買収戦略の考え方や成功パターン、デューデリジェンスやPMIなどのポイント、複数社買収の効果や海外M&Aなどについて、豊富な実例を交えて解説した「譲受企業(買い手)」向けの実践的な入門書です。

M&Aマガジンでは、全4回にわたって本書の内容の一部をご紹介していきます。前回までは、「M&Aの6類型」、「買収で失敗しないための3つのポイント」、「失敗するPMIの4つの落とし穴」を取り上げました。
最終回は、「買収成功のロードマップ 100日プラン」について見ていきます。

『伸びる企業の買収戦略―実録 中堅・中小M&A成功事例の徹底解剖!』を試し読み
今なら「お試し版」で第1章をまるごと試し読みしていただけます。
内容をとりあえず見てみたい方、M&Aに興味がある方、ぜひご利用ください。

PMIの道しるべ「100日プラン」とは

前回コラムでは、PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション、買収後の企業統合プロセス)ではいかに準備や心構え、そして行動計画が大切かということをお話ししてきました。

本コラムでは、PMI最初期の計画づくりの代表的なフォーマットと言われる「100日プラン」について紹介します。

「100日プラン」は、成約から約3か月間(=100日間)で行うPMIの実行スケジュールを指します。緊急性の高い課題への対応や、後述する「クイックヒット」のような短期的な施策とともに、体制づくりなどの長期的な対策をマッピングし、工程をまとめた、まさにPMI初期のロードマップとなるものです。

例えば、経営のビジョンやシナジー、会計やマネジメント全般の体制づくり、対外発信や従業員とのコミュニケーション、実務的な業務の引継ぎなど、統合後にやらなければならないことは多岐にわたります。

あらかじめ抽出しておいたPMIの諸課題について、「誰が、何を、いつまでに、いくらの費用をかけて」行うか等々を、具体的な数字とともにリスト化していきます。
本書では、「100日プラン」の概要と細目の書き方の参考例を紹介しています(下図参照)。

100日プランの作り方
(出典:『伸びる企業の買収戦略―実録 中堅・中小M&A成功事例の徹底解剖』152-153頁)

「100日プラン」をはじめとしたPMIの進め方について、M&Aマガジンのこちらの記事でも詳しく解説しています。より詳しく知りたい方はぜひ読んでみてください。

「クイックヒット」で従業員のハートをつかめ

PMIのできるだけ初期にやっておきたい施策の一つに、「クイックヒット」があります。

比較的コストをかけずに実施でき、すぐに効果を実感できる待遇の改善などを指します。前述の「100日プラン」の例の中でも、最初期のプロジェクトの一つに置かれています。

「クイックヒット」の施策の多くは、社員の日常的に触れる場所を改善することで、社員に喜ばれる、あるいはグループの一体感に繋がるといった効果を狙います。具体的には、トイレや食堂、オフィス設備をきれいに使いやすくするといったものから、新しいブランドの名刺や制服を提供するといった例があります。

より本質的な待遇改善や対策が必要な場合には、中長期的な改善の方針を社員に伝えていくことも忘れてはいけません。

大切なのは、クイックヒットを買収後の初期段階から数多く、かつ素早く行うことで、従業員とのコミュニケーションを活発にしていくことです。

PMIはプロの助けを借りてもいい

さて、ここまで「100日プラン」を中心にご紹介してきましたが、やるべきことが幅広いことがお分かりいただけたと思います。

そして、PMIは100日では終わりません

M&Aを初めて行う譲受(買い手)企業や、中堅・中小企業では、実務経験や知見のある人がいないため、PMIに不安を覚えているケースが多くあります。

そんなときは、PMIの「外注」を検討しましょう。
M&Aの実行フェーズと同様に、PMIでも外部の専門家の活用が可能です。依頼内容やM&Aの規模感などに応じて、いろいろな専門家がいますので、M&A仲介の担当コンサルタントなどにご相談いただくのがおすすめです。
日本M&Aセンターでも、PMI専門の子会社である株式会社日本PMIコンサルティングを設立し支援しております。

本書では、特に外部人材を活用した方がうまくいくケースなどについても分かりやすく解説しています。
詳しく知りたい方はぜひ本書を手に取ってじっくり読んでみてください。

『伸びる企業の買収戦略―実録 中堅・中小M&A成功事例の徹底解剖!』を無料で試し読みできます

書籍イメージ

このコラムでご紹介した日本M&Aセンターの新刊、 『伸びる企業の買収戦略―実録 中堅・中小M&A成功事例の徹底解剖!』 を、今なら 第1章まるごと無料で試し読み していただけます。

どんな内容か少し気になる、M&A・買収に興味がある、あるいはM&A・買収に関わっている、そんな方々はぜひご利用ください。
「お試し版」はこちらの専用ページよりダウンロードいただけます。

著者

M&A マガジン編集部

M&A マガジン編集部

日本M&Aセンター

M&Aマガジンは「M&A・事業承継に関する情報を、正しく・わかりやすく発信するメディア」です。中堅・中小企業経営者の課題に寄り添い、価値あるコンテンツをお届けしていきます。

この記事に関連するタグ

「買収・PMI・伸びる企業の買収戦略」に関連するコラム

【連載】「伸びる企業の買収戦略」失敗するPMIの4つの落とし穴

【連載】「伸びる企業の買収戦略」失敗するPMIの4つの落とし穴

日本M&Aセンターの新刊書籍『伸びる企業の買収戦略―実録中堅・中小M&A成功事例の徹底解剖!』が発売されました(2023年9月13日ダイヤモンド社より発行)。中堅・中小企業向けに買収戦略の考え方や成功パターン、デューデリジェンスやPMIなどのポイント、複数社買収の効果や海外M&Aなどについて、豊富な実例を交えて解説した「譲受企業(買い手)」向けの実践的な入門書です。M&Aマガジンでは、全4回にわた

【連載】「伸びる企業の買収戦略」買収交渉で失敗しないための3つのポイント

M&A全般
【連載】「伸びる企業の買収戦略」買収交渉で失敗しないための3つのポイント

日本M&Aセンターの新刊書籍『伸びる企業の買収戦略―実録中堅・中小M&A成功事例の徹底解剖!』が発売されました(2023年9月13日ダイヤモンド社より発行)。中堅・中小企業向けに買収戦略の考え方や成功パターン、デューデリジェンスやPMIなどのポイント、複数社買収の効果や海外M&Aなどについて、豊富な実例を交えて解説した「譲受企業(買い手)」向けの実践的な入門書です。M&Aマガジンでは、全4回にわた

【連載】「伸びる企業の買収戦略」中堅・中小企業の買収戦略、6つの「型」とは?

M&A全般
【連載】「伸びる企業の買収戦略」中堅・中小企業の買収戦略、6つの「型」とは?

日本M&Aセンターの新刊書籍『伸びる企業の買収戦略―実録中堅・中小M&A成功事例の徹底解剖!』が発売されました(2023年9月13日ダイヤモンド社より発行)。中堅・中小企業向けに買収戦略の考え方や成功パターン、デューデリジェンスやPMIなどのポイント、複数社買収の効果や海外M&Aなどについて、豊富な実例を交えて解説した「譲受企業(買い手)」向けの実践的な入門書です。M&Aマガジンでは、全4回にわた

買収されるとどうなる?会社の存続や社員にもたらす変化とは

M&A全般
買収されるとどうなる?会社の存続や社員にもたらす変化とは

もし自分の会社が買収される事態になったら、社員や取引先は「これまでと同じ環境や待遇で働くことができるのか」「継続して取引を続けることができるのか」と不安を覚えるでしょう。本記事では、会社が買収された場合に、どのような変化がもたらされるのか、また、スムーズな統合に向けてのポイントをご紹介します。日本M&Aセンターは1991年の創業以来、数多くのM&A・事業承継をご支援しています。中小企業のM&Aに精

PMIを検討するポイントとは?買い手企業目線の留意点を解説

M&A実務
PMIを検討するポイントとは?買い手企業目線の留意点を解説

国内外のM&Aの専門家であるDr.Mが、身近なM&A事例を用いて、独自の視点でポイントをわかりやすく解説する「Dr.MのM&Aワンポイント解説」。第4回となる今回はM&Aのその先に待ち構えるPMIについてです。M&Aが具体的検討フェーズに進んだら、はじめにPMIを考えよう!—ドクター本日のテーマをお願いします。Dr.M:今回のテーマは「PMI」です。「PMI」とは、「ポスト・マージャー・インテグレ

人気セミナー「買収の参観日」PMI編~成約を成功に導くPMIとは?~

広報室だより
人気セミナー「買収の参観日」PMI編~成約を成功に導くPMIとは?~

M&Aの買い手企業として知っておきたい考え方やテクニックを紹介する日本M&Aセンターの人気オンラインセミナー「買収の参観日~はじめてのM&Aを考えてみよう」が2021年10月11日に開催されました。5回目の今回は成約を成功に導くキーワード「PMI(PostMergerIntegration)」について、当社グループのPMI支援専門会社株式会社日本PMIコンサルティング代表取締役の竹林信幸が解説しま

「買収・PMI・伸びる企業の買収戦略」に関連する学ぶコンテンツ

PMIがM&Aにおいて重要な理由とは?PMIの専門家が解説

PMIがM&Aにおいて重要な理由とは?PMIの専門家が解説

M&Aは成約がゴールではありません。両社が思い描いていた成長を実現することこそがゴールであり、M&Aの成約はいわば成長に向けたスタートとも捉えられます。本記事では、M&Aの成否のカギを握るPMIについて、その概要やポイント、最後によくある質問と回答をご紹介します。日本M&Aセンターグループでは、お客様のM&Aをご支援するほか、M&A後のスムーズな統合に向けたPMIコンサルティングにも対応いたします

譲渡企業(買収先)の探し方。ロングリスト、ショートリストとは

譲渡企業(買収先)の探し方。ロングリスト、ショートリストとは

M&A仲介会社などパートナーを選定したら、次は買収先、つまり譲渡企業(売り手)を探すステップに移ります。お相手探しは主に2つの方法で行われます。それぞれについて詳しく見てまいりましょう。買収をご検討の方は、希望条件(地域、業種など)を登録することで、条件に合致した譲渡案件のご提案や新着案件情報を受け取ることができます。まずは登録から始めてみませんか?買収希望条件の登録(無料)はこちら譲渡企業の探し

譲受け企業(買い手)がM&Aで押さえておきたいポイントとは?

譲受け企業(買い手)がM&Aで押さえておきたいポイントとは?

一言でM&Aといっても、買収戦略を実行していく譲受企業(買い手)側には様々な目的があります。M&Aの成功に向けて、押さえておきたいポイントを確認していきましょう。【登録無料】買収をご検討の方は、希望条件(地域、業種など)を登録することで、条件に合致した譲渡案件のご提案や新着案件情報を受け取ることができます。まずは登録から始めてみませんか?買収希望条件の登録はこちらM&A実行の目的・メリット一般的に

「買収・PMI・伸びる企業の買収戦略」に関連するM&Aニュース

マイナビ、インドのHRスタートアップ企業Awign Enterprises Private Limitedを買収

株式会社マイナビ(東京都千代田区)は、ギグワーカーのリソースを活用して顧客へ成果物を提供するインド企業のAwignEnterprisesPrivateLimited(インドバンガロール、以下Awign)を2024年4月25日付けで買収し、子会社化した。マイナビは、社会や人々の有益となるようなサービス提供を目指した事業を展開している。Awignは、単発の仕事を請け負う労働者(ギグワーカー)が集うプラ

久原本家グループ、老舗蔵元の伊豆本店を買収

株式会社久原本家グループ(福岡県糟屋郡)は、創業300年以上の歴史を持つ日本酒の蔵元・株式会社伊豆本店(福岡県宗像市)の株式を取得し、子会社として久原本家グループへ迎えることとなった。久原本家グループは、久原本家グループ全体の経営管理業務、商品開発業務、品質保証業務等を行う。伊豆本店は、清酒製造・販売及び小売業、リキュール製造・販売及び小売業の老舗の蔵元である。背景・経緯伊豆本店は、久原本家グルー

ゼンリン、ITソリューションの開発・販売のローカスブルーを買収

株式会社ゼンリン(9474)は、2024年4月1日付で、ローカスブルー株式会社(東京都渋谷区)の株式を取得し、ローカスブルーを連結子会社化した。ゼンリンは、様々なIoT技術を融合することで、多様なニーズに対応した価値を提供する位置情報のデータベースビジネスを推進しており、建設・不動産などあらゆる業界の課題解決に貢献するサービスを展開している。ローカスブルーは、建設業界をはじめとした業界の業務効率化

M&Aで失敗したくないなら、まずは日本M&Aセンターへ無料相談

コラム内検索

人気コラム

注目のタグ

最新のM&Aニュース