日本M&Aセンター
広報室だより 2021年6月30日

解説コラム「事業承継・引継ぎ補助金」

中小企業の事業承継を支援する国の「事業承継・引継ぎ補助金」の交付申請受付が6月11日に始まりました。従来の「事業承継補助金」と「経営資源引継ぎ補助金」が統合され、補助率や補助上限額なども拡充されました。補助金の制度運用を担う中小企業庁財務課の高橋正樹課長補佐に新しい補助金を解説してもらいました。

事業承継の動向

我が国において、経営者の高齢化が年々進んでいます。こうした中、事業承継の取組も盛んに行われており、後継者不在率は改善傾向にありますが、依然として高い水準にあります。国は2018年度以降、事業承継を後押しするため事業承継時における相続税と贈与税負担を実質ゼロとする税制措置を講じてきました。ただ新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、2020年には税制の優遇措置を活用する件数が前年に比べて月平均で2割以上減り、中小企業が継承時期を後ろ倒しする傾向がみられます。

 

中小M&Aの重要性高まる

後継者不在の中小企業はたとえ黒字経営であっても、休廃業を選択せざる得ない状況があります。2020年の廃業等は過去最多の約5万件を記録し、また廃業事業者のうち黒字廃業の比率は6割以上で推移しており、これまで中小企業が蓄積してきた貴重な経営資源が失われている状況です。そのため中小企業の経営資源散逸を回避する手段の一つとしてM&Aの重要性が高まっています。また、例えばM&Aを実施した企業は実施していない企業に比べて、労働生産性や業績が高いという調査結果もあり、M&Aは中小企業の生産性向上のための重要な手段の一つにもなっているといえます。これまで中小企業のM&Aは右肩上がりで増加してきており、足下では年間3~4千件程度実施されていると認識しています。しかしながら、中小M&Aの潜在的な譲渡側は約60万社との試算もあり、中小企業が円滑にM&Aを行える環境を整備することが求められています

中小企業庁

大きなフレームは専門家活用と経営革新

今回の「事業承継・引継ぎ補助金」は幅広い費用に対応し、廃業を伴うケースにおいても廃業費を補助対象とするものとなっています。M&Aをする前段階で、民間の仲介事業者などの支援を受ける専門家活用費用を補助する「専門家活用」の類型と、M&A後に経営革新のため新事業の展開や生産性向上を図るための費用を補助する「経営革新」の類型があり、「専門家活用」の補助上限額は最大400万円となり、「経営革新」のうちM&A型の補助上限額は最大800万円となっています。

気になる電子申請とスケジュール

交付申請は6月11日から受け付け、1次公募の期限は7月12日となっており、交付決定は8月中旬を予定しています。1次公募終了後、2次公募を実施する予定です。また、補助事業期間は本年12月31日までとなっており、補助事業期間終了後の流れは、報告書等を提出いただき、補助金額の確定を経て、来年3月頃に補助金が交付される予定となっています。交付申請に当たっては電子申請システム「jGrants(Jグランツ)」を利用することとなっているため、申請者はgBizID(ジービズアイディー)のアカウントを作成する必要があります。アカウント作成には、申請書や印鑑(登録)証明書が必要となり、これらの確認・審査を経ることから混雑時には数週間を要するため、まずはアカウント作成をはじめてください。

申請を検討する方々へ

交付申請の受付開始から問い合わせも多く寄せられており、世の中の関心が高いと感じています。本補助金は、事業統合や事業再編などM&Aに取り組む際、あるいはM&A後の新事業に取り組む際の設備投資や人件費等が対象となります。多くの中小企業や経営者の方々に是非ご検討いただき、本補助金を最大限に活用してほしいです。

令和2年度第3次補正予算「事業承継・引継ぎ補助金」事務局

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