著者インタビュー!『社長の決断から始まる 企業の最高戦略M&A』

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日本M&Aセンターは、書籍『社長の決断から始まる 企業の最高戦略M&A』を東洋経済新報社より発売しました。著者の柴田 彰さんに、発刊の経緯と本書に込めた想いを聞きました。

M&Aしかないとわかっていても、踏み出せない理由

――本書は、経営者が押さえておくべき経営戦略の一つとして、M&Aの特に「譲渡」に特化した書籍です。なぜこのテーマで本を出そうと思われたのですか。

日本には二つの大きな課題があります。
一つ目は、少子高齢化に人口減少と、日本を取り巻く環境の悪化です。GDPは現在世界4位ですが、一人あたりにすると非常に低い。今後、働く人も消費する人もますます減ってくるなかで、限られたリソースで効率よく経営しなければいけない時代がやってきます。

二つ目は、日本はイノベーションが起きづらい国だということです。日本は一人の経営者が長い期間経営をします。一方、アメリカでは会社を軌道に乗せるとM&Aで譲渡し、さらに会社を発展させていくという流れが一般的になっています。M&Aは会社をさらに成長させる出口戦略なのです。
日本でも会社をより活性化させていくための大きな起爆剤としてM&Aも考えてほしい、という思いで本書を書きました。

――日本ではまだM&Aに対してネガティブなイメージも残っていますね。

私はこれまで1,200社以上の譲渡面談に立ち会ってきました。その中で、「M&Aという選択肢しかない」とオーナー自身もご理解されているのに、どうして一歩を踏み出せないのだろう、と感じる場面を何度も経験しました。

その理由は、理屈ではなく「感情」だと思います。
「まだやれるはずだ」という後ろ髪を引かれる思いや、「M&Aをして上手くいかなかったら」という不安、会社を譲渡して社長でなくなることへの寂しさなどです。長く経営をしてこられたのですから、当然のことです。

加えて「誤解」が多いというのも感じます。いろいろと質問されるのですが、実際のM&Aはそうではなくてこうですよ、とお答えする機会が多いのです。
そこで、第2章ではM&Aに対して抱かれがちな誤解や勘違いをまとめました。M&Aを正しく知っていただくことで、”誤解”からM&Aをしないと決めているオーナーや、”感情・不安”によって最後の一歩を踏み出せないオーナーの役に立てたらと思っています。

――事例にも”誤解”や”感情・不安”によって葛藤しながらも、柴田さんとのやり取りを経て会社譲渡を決断された経営者の姿が生々しく描かれていますね。

掲載している20の事例は、どれも私が実際に経験した全国各地のM&A事案をもとに、ストーリー仕立てで作成しています。企業が特定できないように複数の事例を組み合わせるなどフィクションにはなっていますが、オーナーが譲渡を決断されるまでにはドラマがあり、そのリアルな葛藤を描いています。「事業承継」「成長戦略」「再生・危機回避」「EXIT(出口戦略)」とカテゴリー分けしていますので、きっと読者の方の状況に近い事例が見つかると思います。

「M&Aをしましょう!」ということではない

――M&Aを検討したほうがいいかどうかを計る「M&Aチェックリスト」がついていますね。

これも過去の面談から導き出した、私が考える経営課題のチェックリスト55項目です。
日本M&AセンターがM&A仲介業務をするのは当たり前のこと。なぜ仲介をするかというと、経営課題を解決するためです。私たちは経営者の抱える課題を「こういう方法で解決するのはどうですか」と提案するのがあるべき姿だと思っています。

――経営者の皆様へメッセージをお願いします。

M&Aは、いわばビジネスマッチングであり、他社と資本提携を行い新たな付加価値を生むための「企業の最高戦略」です。日本には約360万社の中小・小規模企業が存在しますが、M&Aで経営規模が大きな企業の資金や人材を活用することによって、自社の事業をさらに強く大きく発展させていくことも可能です。M&Aは、中小企業にとって究極の事業戦略とも言えるのです。

ただ、私が伝えたいのは「M&Aをしましょう!」ということではありません。M&Aは、検討すべき一つの選択肢だということです。そのためにはまず、イメージではなく、「M&Aを正しく理解すること」が何より一番大事だと思い、本書を執筆しました。1社でも多くの企業のお役に立てたら幸いです。

M&Aのチェックリスト【特別ダイジェスト版】本書に掲載されている55項目の一部を抜粋してご紹介します。10個以上当てはまる場合は、M&Aを検討すべき!

①ヒトにまつわる課題
□採用がうまくいかない、そもそも人が来ない
□やっと応募があっても能力や人間性がイマイチ合わない
□仕方なく採用しても長続きせず数年で辞めてしまう
②営業力にまつわる課題
□そもそも営業パーソンがいない(少ない)ので社長自身が仕事を取ってきている
□何とか社長の人脈で仕事はくるが、仮に自分がいなくなると新規の仕事はこない
□かろうじて営業パーソンはいるが既存顧客の仕事ばかりで、新規の開拓はできていない
③技術力にまつわる課題
□そもそも社長自身が一番の技術屋であり重要部分を担当しているので、自分がいなくなると新しいモノづくりができない
□そのうえ数人の従業員(個人)に技術が紐づいているので、退職されると大ダメージ
□つまり組織として技術やノウハウが定着しているわけではなく脆弱
④リソースにまつわる課題
□そもそも資本力が乏しい
□そのうえ知名度、ブランド、看板がない
□だから信用度、与信が低く、これ以上借入できない
⑤その他の経営課題
□特定の取引先1社に売上・仕入が30%以上集中している
□債務超過
□赤字体質、もしくは赤字基調
⑦会社、社長個人にまつわる課題
□年齢が60歳以上である
□親族にも従業員にも継がせられる後継者がいない
□自分が経営で苦労してきたので、子供に継がせたくない

書籍の詳細はこちら:
https://www.nihon-ma.co.jp/groups/publication/978-4492962060.html

著者

M&A マガジン編集部

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