プロの活用でM&Aを成功させる!~M&A仲介会社の選び方~

上夷 聡史

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上夷聡史

M&A全般
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近年、事業承継の解決や成長戦略の実現のためのM&A活用が増加してきたのはご存じのとおりです。当社は2006年にM&A仲介会社として初めて上場しましたが、上場しているM&A仲介会社は現在では当社含めて3社となっています(2017年3月現在)。各社とも業績を伸ばしており、M&Aの活発さがうかがえます。

なぜ専門の仲介会社が必要なのか

M&Aは、戦略面に加え、税務、会計、法務、労務、その他のあらゆる視点・角度での考察と検証が必要です。ところが、M&Aの専門の仲介会社に依頼せずに、当事者同士でM&Aを行ってトラブルになる事例は昔から多くあります。仲介会社は業界の常識として知っていることも、当事者同士だけでは知り得ない情報で、つまずいてしまうのです。 今回はそんなトラブルの典型的な事例をご紹介します。 なお、M&Aのプロフェッショナルが間に入っていれば当然このトラブルは全て未然に防げたものです。

トラブルは未然に防ぎ、成功するM&Aを

想定していなかった事態が契約後に発覚!?

印刷業・A社のK社長は、65歳になったタイミングで後継者問題の解決のために、同業仲間のD社のS社長にM&Aで会社を譲ることにしました。お互いの顧問税理士による決算書等のチェックなどもしっかりと行い、株式譲渡契約を締結して無事に成約したかに見えました。 しかし、契約から半年が経過した頃、A社に税務署の調査が入り、そこでM&Aの契約を行う以前の事項で過少申告していることが発覚し、結果的にA社は税金を負担することになってしまいました。譲り受けたS社長は「このことを知っていたならば、株式を譲り受ける際の対価から差し引いていた」ということで、売り手のK氏にこの負担分を持ってもらえるように話をしたが、K氏は「株式は譲渡した後だから無関係であるし、そもそも自分が経営をしていれば税務調査が入ったとしても、そんな指摘はされずに回避できていた。それに株式譲渡契約書にもそんなことは記載されていない」と契約書を盾に拒否しました。相対で協議を持つことができなくなり、結局譲り受け側S社長はK氏に対する債務存在確認訴訟を提起することとなってしまいました。

訴訟、M&Aの結果は?

訴訟は1年半ほどかかり、結果としては会社を譲り受けたS氏が敗訴しました。当然訴訟を行っている間も、S氏はA社の経営をしていたのですが、訴訟のことやK氏との関係悪化に悩まされ、さらに思っていたような事業上の相乗効果を発揮できずに売上・利益が低迷してしまいました。業績が下がると当然、従業員とのコミュニケーションにも悪影響が出るようになり、これでは何のためのM&Aだったのかわからないといった状況に陥ってしまいました。現在も再建に向けて立て直しを図っている最中です。

事前に回避することができたのか?

M&A仲介のプロフェッショナルは、このような事態も想定して事前調査を行い、さらに調査では判明しなかった事項については契約書の表明保証でカバーするということをします。これは買手のためだけではなく売手にとっても身を守る手段で、後々トラブルの種になりそうなことを事前に話し合って契約書に盛り込んでおくことで、M&A後も安心できるようにします。 いかがでしょうか。 今回の事例は、M&Aの際に専門家の意見を聞かなかったために社員も取引先も関係者全員がハッピーな形でM&Aができなかったというのは紛れもない事実です。

仲介会社の選び方

では、仲介会社はどのように選べばよいのでしょうか? 業界別のM&A価格トレンド、多様化するスキーム、チェンジオブコントロール問題、許認可問題、税務面でのサポートなど、M&Aの現場では日々最新の論点が出てきます。またどのような場合にトラブルになるのか等について最新情報を知り、対策を講じられるようにしておきたいのではないでしょうか。 このようなノウハウは、「M&A仲介会社である」というだけで持ち合わせているものではありません。仲介会社としての経験がものを言います。また仲介会社として件数をこなしていても、特定の顧客や特定の業界の案件ばかり手がけていると総合的なノウハウはたまりにくいといえます。 私たちは、成功するM&Aに必要な仲介企業の条件を以下のように考えています。

  • ベストマッチング実現とM&A成約率向上のための、経験とノウハウ・・・「質」。
  • 圧倒的な情報量、コンサルタント数、提携先数と成約実績・・・「量」。
  • 「質」と「量」に裏打ちされた「信頼」。

この3つが、中堅・中小企業の友好的M&A支援に必要な素地だと考えています。 詳しくはこちらをご覧ください。

M&Aを成功に導く4つの力

著者

上夷 聡史

上夷かみえびす聡史さとし

大学卒業後、法律事務所にて9年間勤務した後、2011年に日本M&Aセンター入社。これまで携わったM&Aの成約実績は100組以上、『事業承継問題は成長戦略を考えることである』という『戦略的事業承継』といった考え方をはじめ、数々のイノベーションを起こし、会計事務所ネットワークとともに多くの企業の事業承継に関わってきたトップクラスのコンサルタント。2025年4月より現職。

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