資金調達とは?経営者がおさえておきたい調達方法、メリット・デメリットを解説
⽬次
- 1. 資金調達とは?
- 1-1. 成長と拡大
- 1-2. 経営の安定
- 1-3. 投資とイノベーション
- 1-4. リスク管理
- 1-5. 業績向上と株主価値の向上
- 2. 資金調達の主な方法
- 2-1. 金融機関からの融資
- 2-2. 株式の発行
- 2-3. 資産の現金化(アセットファイナンス)
- 2-4. 補助金や助成金の活用
- 2-5. 他の資金調達手段
- 3. 資金調達を成功させるためのポイント
- 3-1. 調達の目的・プランの明確化
- 3-2. 適切なタイミングの把握
- 3-3. 信頼の獲得
- 3-4. 適切なアドバイザーの選択
- 4. 資金調達のリスクと対処法
- 4-1. リスク①:キャッシュフローへの影響
- 4-2. リスク②:業績不振による返済困難
- 4-3. リスク③:株式の希薄化
- 5. 資金調達とM&A
- 5-1. 資金を調達してM&Aに乗り出すケース
- 5-2. M&Aを通じて資金を調達するケース
- 6. 終わりに
- 6-1. 著者
資金調達とは?
資金調達の意義と役割は以下のように説明できます。
成長と拡大
資金調達は、企業の成長と事業の拡大を実現するための重要な手段です。新しいプロジェクトの開始や新規市場への進出、設備投資など、成長に必要な資金を調達することで、企業は事業の規模や市場シェアを拡大することができます。
経営の安定
資金調達は、企業の経営の安定性を確保するためにも重要です。適切な資金を調達することで、経営に必要な運転資金や経費を賄うことができます。また、予期せぬ出費や困難な経済状況に対しても備えることができます。
投資とイノベーション
資金調達は、企業が新たな投資やイノベーションを行うための基盤となります。研究開発や新技術の導入、新製品やサービスの開発などに必要な資金を調達することで、企業は競争力を維持し、市場の変化に対応することができます。
リスク管理
資金調達は、企業がリスクを管理するための手段でもあります。適切な資金を調達することで、予期せぬリスクや経済の変動に対しても柔軟に対応することができます。また、資金調達によって借入金を返済することで、負債のリスクを管理することも可能です。
業績向上と株主価値の向上
資金調達によって企業の業績が向上し、株主価値が向上することが期待されます。資金調達によって新たな事業機会を追求したり、競争力を高めたりすることで、企業の収益性や成長性が向上し、株主にとっての投資価値が高まります。
資金調達は、企業の成長や拡大、経営の安定、投資とイノベーションの促進、リスク管理、業績向上と株主価値の向上など、企業にとって重要な役割を果たします。
資金調達の主な方法
金融機関からの融資
銀行など金融機関からの借り入れです。銀行は利子を受け取りながら、一定期間内に借りたお金を返済することを求めます。融資は、企業が迅速に資金を調達するための手段であり、銀行の信頼性や企業の財務状況によって融資の条件が決まります。
具体例 | メリット | デメリット |
---|---|---|
・金融機関から融資を受ける。 ・金融機関やノンバンクのビジネス ローンを利用する。 |
・借入先候補の選択肢が多い。 ・返済計画が明確である。 |
・返済の義務がある。 ・企業の信用力が問われる。 |
株式の発行
株式の発行は、企業が株主に対して株式を売り出し、その代わりに出資金を受け取る方法(増資)です。株主は企業の所有者として権利を持ち、将来の利益の一部を分配されることがあります。株式市場との関係性も重要であり、企業の株価や業績によって株主の評価や投資意欲が影響を受けます。
株式の発行や債券の発行は、企業の所有権や負債を増やすことになるため、株主や債権者との関係や財務状況を考慮する必要があります。
具体例 | メリット | デメリット |
---|---|---|
・投資家から出資を受ける。 ・ベンチャーキャピタルから出資を受ける。 ・第三者割当増資を行う。 |
・返済の必要がない。 ・ファンドなど出資者から経営の 専門的なアドバイス、リソースの提供を期待できる。 |
・出資者が経営に 干渉する可能性がある。 |
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第三者割当増資とは?目的やメリットをわかりやすく解説
第三者割当増資は、企業が新たな株式を発行し、外部の投資家や他の企業に割り当てる資金調達方法の1つです。本記事では、第三者割当増資の概要、メリットや注意点などについてご紹介します。日本M&Aセンターでは、M&Aをはじめ様々な経営課題の解決に向けて専門チームを組成し、ご支援を行っています。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。無料相談はこちら第三者割当増資とは第三者割当増資は、企業が新たな株式を
資産の現金化(アセットファイナンス)
不動産や売掛債権など、企業が保有する有形・無形資産を売却し、資金調達する方法です。
具体例 | メリット | デメリット |
---|---|---|
・不動産を売却する。 ・商標権を売却する。 ・債権をファクタリング業者に 買い取ってもらう。 |
・買い手が見つかれば、 迅速に資金調達ができる。 |
・売却可能な資産が必要。 ・周囲に売却が知られることで企業 イメージ低下の懸念がある。 ・売却時に手数料がかかる。 |
補助金や助成金の活用
国や一部の地方自治体は、事業者向けの補助金・助成金によって、中小企業の資金調達を応援しています。企業の規模や事業内容、資金の利用目的などに細かな条件があるものの、補助金・助成金は原則的に返済の必要がありません。
具体例 | メリット | デメリット |
---|---|---|
・ものづくり補助金、小規模事業者 持続化補助金などの補助金制度を活用する。 ・創業助成事業などの 助成金制度を活用する。 |
・返済の必要がない。 | ・補助金は採択されない可能性 もある。 ・入金までに時間を 要する場合が多い。 ・入金タイミングが不明瞭な場合が多い。 |
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事業再構築補助金とは?最新情報、ポイントを解説
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他の資金調達手段
資金調達には他にも様々な手段があります。 ベンチャーキャピタルは、新興企業や成長企業に対して投資を行い、資金調達を支援します。ベンチャーキャピタルは、経験豊富な投資家からの資金やアドバイスを受けることができます。
クラウドファンディングは、インターネット上で多くの人々から小額の資金を集める方法です。これにより、資金調達の幅が広がり、多くの人々が企業の成長に参加することができます。
これらの資金調達手段では、投資家や資金提供者との関係性やプラットフォームの信頼性を考慮する必要があります。
具体例 | メリット | デメリット |
---|---|---|
・ビジネス・起業系の クラウドファンディングを活用する。 |
・初期コストをおさえ、多様な資金調達が可能になる。 | ・目標額に達しないリスクがある。 ・入金のタイミングを見込みづらい。 |
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資金調達を成功させるためのポイント
資金調達の成功には、明確で実現可能なビジネスプランの策定、市場と自社の状態を見極めたタイミングの把握、そして投資家たちとの長期的な関係の構築などのポイントが不可欠です。
調達の目的・プランの明確化
投資家や金融機関は、明瞭で現実的なビジネスプランを重視します。 そのためビジネスプランは、目標の設定、市場分析、財務計画など、包括的で詳細な内容が求められます。 「なぜいま資金調達が必要なのか」「必要な金額はいくらか」「調達の結果どのくらいのリターンが期待できるのか」を明確にする必要あります。
適切なタイミングの把握
資金調達の成功は、適切なタイミングに大いに依存します。市場の状況が良く、自社のビジネスが成長軌道にある場合、資金調達の条件も有利になる傾向があります。 一方、市場環境が厳しい時期や企業の業績が低迷している時に資金調達を試みると、厳しい条件が提示される場合があります。つまり、企業の状態と市場状況を同時に見極め、ベストなタイミングを捉えることが重要です。
信頼の獲得
資金調達では企業の信頼性と成長性が重要になります、投資家や債権者は、資金を提供する企業の信頼性や将来の成長性を評価します。 過去の実績や将来のビジョン、競争力などを明確に伝えると同時に、適切な情報開示と透明性も重要です。
企業は適切な情報開示を行い、透明性を確保することで、投資家や債権者の信頼を獲得し、資金調達の成功につなげることができます。
適切なアドバイザーの選択
資金調達に関わるプロフェッショナルなアドバイザーの選択も重要です。資金調達のプロセスや手続きは複雑であり、専門知識や経験が求められます。 適切なアドバイザーを選ぶことで、効果的な戦略や計画を立てることができ、資金調達の成功をサポートしてもらうことができます。
資金調達のリスクと対処法
リスク①:キャッシュフローへの影響
資金調達は、企業のキャッシュフローに影響を及ぼす可能性があります。資金調達によって借入金や利息負担が増える場合、将来のキャッシュフローへの影響を懸念する必要があります。このリスクに対処するためには以下の対策が考えられます。
資金調達を行う前に、将来のキャッシュフローを評価し、返済負担や利息支払いに対する影響を予測することが重要です。資金調達計画を立てる際には、キャッシュフロー予測を考慮し、返済負担を適切に見積もることが必要です。
資金調達で得た資金を効果的に活用することで、キャッシュフローへの影響を最小限に抑えることができます。資金の使途を慎重に計画し、収益性の高い投資や事業拡大に資金を割り当てることで、キャッシュフローを改善することができます。
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キャッシュフローとは?計算書の読み方・作成方法をわかりやすく解説
健全な経営を目指す上で、キャッシュフローをしっかり把握することは重要です。本記事では、キャッシュフローの概要やキャッシュフロー計算書の作成方法、その見方などについて解説していきます。キャッシュフローとはキャッシュフロー(CashFlow)は、企業や個人が一定期間において受け取る現金と支払う現金の流れを表します。言い換えれば「現金がどれだけ入ってきて、どれだけ出ていくのか」を把握するための指標です。
リスク②:業績不振による返済困難
業績が思うように伸びず、資金調達で借り入れた資金の返済が困難になる場合があります。
対処法としては、利益の安定源を複数確保する多角化戦略を検討し、リスクヘッジを図ること、 業績不振になった場合の返済計画の見直しを、前もって検討しておくことが挙げられます。
資金調達によって借入金を抱える場合、業績不振や予想外の経済状況の変化により返済が困難になるリスクがあります。このリスクに対処するためには以下の対策が考えられます。
資金調達前にリスク評価を行い、業績不振や経済の変動に対する耐性を評価することが重要です。また、ストレステストを実施し、業績の悪化や予想外の状況に対する返済能力を検証することが有効です。
返済計画を柔軟に設定することで、業績の変動に対応する余裕を持つことができます。返済スケジュールの見直しや返済条件の交渉など、返済計画の柔軟性を確保することが重要です。
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資金ショートとは?原因と6つの対策を紹介
会社は赤字になったとしても、運転資金があれば、ただちに倒産することはありません。しかし資金ショートが起きてしまうと、黒字の場合でも倒産しかねません。経営者にとって、資金ショートを起こさないための管理は、極めて重要な仕事のひとつと言えます。本記事では、資金ショートの概要、赤字や債務超過との違い、資金ショートが起こる原因について明らかにしたうえで、その対策について解説します。日本M&Aセンターでは、M
リスク③:株式の希薄化
株式の発行による資金調達では、新たな株式を発行することで株主の持ち分が希薄化するリスクがあります。これにより、既存の株主の株価や株主価値が低下する可能性があります。このリスクに対処するためには以下の対策が考えられます。
株主との適切なコミュニケーションを図り、資金調達の目的や計画を説明することが重要です。株主への情報開示や企業の成長戦略の共有を通じて、株主の理解と信頼を獲得することができます。
株式の希薄化による株主価値の低下を防ぐために、株式の価値向上策を実施することが有効です。企業の成長戦略や業績改善策を実施し、株価や株主価値の向上を図ることで、株主の利益を最大化することができます。
これらの対策を講じることで、資金調達に伴うリスクを最小限に抑えることができます。適切なリスク評価や計画の策定、柔軟性の確保、株主とのコミュニケーションなどが重要な要素です。企業はリスク管理を適切に行いながら、資金調達を行うことで成長と安定性を実現することができます。
資金調達とM&A
資金調達とM&Aは、それぞれ単独で行うだけでなく、戦略的に組み合わせることで、企業の成長をより一層効果的に促進する強力な手段となることがあります。適切なパートナーとタイミングを見極め、両者を巧みに活用することが、成功への鍵となります。
資金を調達してM&Aに乗り出すケース
企業が拡大戦略を実行する際、M&A(合併・買収)は一つの重要な手段です。これを実現するためには、一定の資金が必要になるケースが一般的です。 資金調達を行い、他社を買収または合併することで、市場シェアの拡大、新規市場への進出、技術や人材の獲得など、成長を加速することが可能になります。
M&Aを通じて資金を調達するケース
一方で、M&A自体が資金調達の一形態にある場合もあります。例えば、資本が豊富な大企業が、技術やブランド力がありつつ伸び悩む中小企業を買収することで、中小企業は新たな資金源を確保できます。M&Aによって両社はシナジー効果の創出、事業展開のスピードアップが期待できます。
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会社売却とは?メリットや成功させるポイント、流れを解説
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資金調達とM&Aは、企業の成長や戦略的な目標を達成するために密接に関連しています。資金調達によってM&Aに必要な資金を調達し、M&Aによる企業統合によって資金調達の条件を改善することができます。
終わりに
資金調達は、企業が持続可能な成長を遂げる基盤を築く上で欠かせない要素です。成功するためには、事前の計画が重要ですが、状況が変われば計画も修正する柔軟な思考が求められます。
そのため明確で実行可能なビジネスプランを早期に準備し、様々な資金調達方法について検討を進めておくことが大切です。これからの時代は、変化に適応しながら最適な資金調達を行う知識と戦略が企業の競争力を高める鍵となります。自社の状況に適した資金調達を通じて、自社の発展につなげていきましょう。