コラム

M&Aウーマンの働き方

米澤 恭子

株式会社企業評価総合研究所(日本M&Aセンターグループ) 代表取締役社長

経営・ビジネス
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M&Aを通じた社会貢献

中小企業庁の「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」によると、今後日本は2025年までに127万社(日本企業全体の1/3)の中小企業が後継者未定になるとしています。これを放置するとこれらの企業は廃業を余儀なくされ、その結果2025年までの累計で約650万人の雇用が失われ、約22兆円のGDPが消失する可能性があると言われています。M&Aは、中小企業が廃業という選択をせずに事業を承継し、日本経済が破綻しないシナリオへ導く極めて重要なファクターです。
このような大きな社会問題に直面し、「M&Aを通じて社会に貢献したい」 そう想うのは、男性に限ったことではありません。

女性社員の仕事を通じた社会貢献に対する想い

我々企業評価総合研究所の社員は9割が女性です。日々、M&A株価算定を行い、正確で精緻な企業概要書を作成しています。
設立5年目を目前に、先日当社の社員に対して我々の使命は何かを問うアンケートを実施しました。
当社のサービスである企業評価書、企業概要書を通じて「安全なM&Aが行われること」ひいては「社会に貢献すること」という回答が多数を占めました。
仕事を通じて個人が成長し、社会に貢献をしたいという想いは性別問わず同じなのではないでしょうか。

アンケート結果から、改めて当社には

誰もが安心してM&Aができるように中堅・中小企業M&Aマーケットの健全な成長に寄与する

というミッションに共感してくれる人が集まってくれていて、社員に根付いているのだと確信しました。

“世界一の働きやすさ”で“世界一の品質”を目指す

私は経営者として、「“世界一の働きやすさ”で“世界一の品質”を目指す」ことを掲げています。

これは、私自身も会社のサポートを受けながら子育てをし、キャリアを形成してきた経験から生まれた想いを経営理念にしたものです。人生には出産、育児、介護、様々な変化があります。一人ひとりの人生において、今この時がどのようなステージであっても輝きを失わず働き続けられる環境を用意することが、経営者の責務だと感じています。

私は働きやすさを次のように考えています。

1. 組織が成長していて、社員が次のチャレンジをできる環境であること
2. 成果に対して正当な評価ができるマネジメントが行われていること
3. ライフステージの変化を支える柔軟な働き方と仕事の成果を両立できる、環境・制度があること

これらを実現するため、会社設立時より、在宅勤務制度や子供のための休暇制度を整備してきました。2019年度は新たに、KPIの設定などマネジメント体制も構築することで社員の中長期的な成長を支援する体制を整えました。さらに来年度には、フレックスタイム勤務制度も導入します。
また、企業評価総合研究所は多様な働き方に対応しより働きやすいオフィス環境を整えるため、新オフィスに移転しました。新しいオフィスでは全席フリーアドレス導入し、カフェをイメージしたコミュニケーションエリアを配し、より自由で主体的な働き方を実現できる環境を整えました。
今後も社員が柔軟な働き方と仕事の成果を両立できる、環境・制度構築に積極的に取り組んでいきます。

企業評価総合研究所 新本社オフィス

経営者・M&Aウーマンとしての想い

昨今叫ばれているSDGsは、2015年に「誰ひとり取り残さない」ことを目指して決定されました。この17の目標のうち、「5.ジェンダー平等を実現しよう」「8.働きがいも経済成長も」「9.産業と技術革新の基盤をつくろう」などが、まずは第一段階の私たちの行動目標となってきます。 日本は少子化による急速な人口減少により、将来の労働力不足が予測されており、それはM&A業界においても他人事ではありません。M&A業界は多くの企業の存続を支援するとともに、自分たち自身も存続をかけて人材確保に取り組まなければならないのです。 私は、現在300万人存在すると言われている潜在的な女性労働人口に対し就業の環境を整え、より長い期間にわたって成長し活躍できる場を少しでも多く提供していきたいと考えています。 私の小学生の娘は、「日本が大好き」と言います。われわれ大人が日本の将来を憂うことがあっても、子供にはお構いなしです。 私は経営者として、M&Aウーマンとして、また一人の親として子供らのためにも、日本が素晴らしい国であり続けられるよう、これからも企業の承継に貢献し続けていきたいと思っているのです。

企業評価について

企業評価総合研究所について

米澤恭子のインタビューはこちらにもあります

著者

米澤 恭子

米澤よねざわ 恭子きょうこ

株式会社企業評価総合研究所(日本M&Aセンターグループ) 代表取締役社長

中堅・中小企業のM&Aにおける取引事例法企業価値評価を研究。 2020年に取引事例法評価システムV-Compassをリリース。 M&A取引の参考となる中立的な企業評価の提示により、中堅・中小企業のM&Aマーケットの健全な成長を目指す。 同年株式会社スピアとのM&Aを実施。同社代表取締役社長を兼任。税理士。

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