株式譲渡とは?M&Aにおける流れ、税金をわかりやすく解説

谷本 信之

監修

谷本信之

M&A全般
更新日:

株式譲渡は、代表的なM&A手法の1つであり、企業の成長戦略や資本政策において重要な役割を果たします。
本記事では、株式譲渡の概要やメリット、デメリット、実務上のポイントなどをわかりやすく解説します。

この記事のポイント

  • 売り手側のメリットには会社の存続、手続きの簡便さ、税金の優遇がある一方、全株主の同意が必要な点に注意。
  • 買い手側のメリットには包括的に許認可も引き継げる点などが挙げられるが、買収資金や簿外債務のリスクに注意が必要。
  • 株式譲渡には承認請求、取締役会での承認、契約締結、名義書き換えの手続きが必要。譲渡所得には20.315%の税金が課され、法人の場合は約34%の法人税が適用される。事業譲渡とは異なり、経営権は譲渡企業側に残る。

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⽬次

株式譲渡とは?

株式譲渡とは、企業の株式を他の個人や法人に売却し、経営権を引き継ぐM&A手法の1つです。

他の手法と比べて比較的簡便な手続きで、譲渡オーナーが対価を受け取ることができ、企業の法人格をそのまま残すことができます。

株式譲渡の仕組み

株主構成が変化する以外には、会社への影響が比較的少なく、独立性を維持しやすいため、中小企業のM&Aで多く用いられています。

株式譲渡で売却するメリット(売り手)

株式譲渡で売却する際の主なメリットは以下の通りです。

会社や事業をそのまま存続できる

株式譲渡後は、株式のオーナーが買い手に移動するだけで、原則として譲渡企業の従業員の雇用や待遇、業務内容、取引先との関係はそのまま引き継がれます。譲渡企業の法人格も存続し、企業の独立性を維持したまま運営することが可能です。また、買い手である親会社の経営資源やブランド力などを活用することで、既存事業の拡大や成長を実現することも期待できます。

手続きが比較的簡便かつ短期間で完了する

株式譲渡は、他の手法に比べて手続きが比較的簡便かつ短期間で行える点もメリットです。売り手である株主と買い手企業が合意した内容に基づき、株式譲渡契約を締結し、対価の支払いを受け、株式名簿の名義書換が完了します。

経営者が株式の売却利益を獲得できる

株式譲渡では、基本的に株式の対価を現金で受け取ることができます。この利益を受け取るのは株式を譲渡した株主個人です。経営者が株式を譲渡した場合、獲得した資金を第2の人生に活用するか、新たな事業を立ち上げるなど、選択肢が広がります。

株式売却益に対する税金を抑えられる

個人が株式譲渡を行った場合、株式譲渡所得に対して20.315%の税金が課されます。

一方、事業譲渡では譲渡益に対して約34%の法人税等が課税されます。また、株主個人へ譲渡対価を還流する際の課税(給与や配当など)も考慮すると、個人としての手取り額は株式譲渡の方が有利となるケースが多く見られます。

株式譲渡で買収する際のメリット(買い手)

株式譲渡で買収する際の主なメリットは以下の通りです。

対象会社の経営権を獲得できる

一般的に中小企業は発行済株式数が少ないため、買い手企業は株式の取得がしやすい傾向にあります。

許認可を引き継ぐことができる

株式を取得することで、事業に必要な許認可や権利等も包括的に買い手企業に引き継ぐことができます。

新規領域への事業展開を目指す場合、譲渡企業の知見・ノウハウを活用することで、自社単独で行うよりもコストや時間をおさえて実現できる可能性が高まります。

税制措置を活用できる

一定要件を満たした中小企業者等が譲渡企業の株式を取得した際に、株式等の取得価額として計上する金額(取得価額、手数料)の70%の金額を準備金として積み立てた時、同事業年度において課税所得から損金算入することができる制度が「中小企業事業再編投資損失準備金」です。

中小企業事業再編投資損失準備金のイメージ

この制度を活用することで、課税が繰り延べられるため、M&Aによる資金繰りへの影響を抑えることができます。

株式譲渡で売却する際のデメリット・注意点(売り手)

株式譲渡で売却する際の主なデメリット・注意点は以下の通りです。

株主全員の同意を得る必要がある

株主が分散しており、M&Aに反対する株主や所在が分からず連絡の取れない株主が存在する場合、株式を100%取得することは困難になります。これは買い手側にとってもデメリットとして挙げられます。
このような場合、スクイーズアウトという強制的に少数株主を排除する手法もありますが、弁護士主導となり手続きが煩雑であり、友好的なM&Aには不向きなケースが多いです。

不採算事業が理由で譲渡価額が下がる場合がある

株式譲渡は一部の事業だけを切り離すことができません。そのため、会社内に不採算事業があれば、その分マイナス評価をされて譲渡価額が減る可能性があります。
希望条件で譲渡を行いたい場合は、あらかじめ事業譲渡や会社分割で不採算事業を切り離し、マイナス要素を減らして譲渡を行うという選択肢もあります。

株式譲渡制限に注意する

株式譲渡制限とは、自社の株式を自由に売買できないように制限をかけることです。自社の株式に譲渡制限をかけている会社を株式譲渡制限会社、または非公開会社と呼びます。
望まない第三者が株式を取得したことで、会社に不利益やトラブルが起こることを避けるために多くの中小企業は、自社株式の譲渡に制限をかけています。譲渡制限がかけられた株式を譲渡する場合は、株主総会や取締役会などで会社の承認を得る必要があります。

株式譲渡で買収する際のデメリット・注意点(買い手)

株式譲渡で買収する際の主なデメリット・注意点は以下の通りです。

買収資金が多額になる場合がある

株式譲渡の場合、譲渡企業の資産・負債をすべて引き受けることになります。
例えば譲渡企業に現預金や売上債権などが多額にあり、純資産が多いほど、財務的には優良である一方で、買い手の投資額は増えることになります。そのため、実務上では役員退職金を活用して投資額を減額させるなどの対応も見られます。

全株式の取得が困難な場合がある

株主が分散している場合、全株式の取得が困難な場合があります。全株主との交渉には負担が大きくなるため、譲渡企業の全株式取得を目指す場合は、事前に譲渡企業の株主の人数やそれぞれの持分割合を確認することが必要です。

簿外債務を引き継ぐリスクがある

簿外債務とは、バランスシート(貸借対照表)上に記載がない債務のことで、未払い残業代や退職給付引当金などが該当します。中小企業においては、簿外債務は決して珍しいものではありません。株式譲渡では、売り手企業の簿外負債も引き継ぐことになります。

契約前にしっかり調査しなかったために、譲渡後になって簿外債務に気づいたというケースも少なくありません。バランスシート上は問題がなくとも、経営陣へのヒアリングやデューデリジェンスを通して、簿外債務の有無を確認しておく必要があります。

株式譲渡の取引方法

株式譲渡で取引を行うには、主に3つの方法があります。非上場の中小企業では、経営者が会社の株式の過半数を保有しているため、一般的には相対取引で行われます。

相対取引

相対(あいたい)取引とは、譲渡企業の株主が直接的に買い手と交渉し、株式を売却する方法です。通常、株主同士が直接交渉を行い、株式の価格や条件を合意します。この方法では、一般に公開された市場ではなく、非公開で行われます。

前述の通り、非上場企業の多い中小企業のM&Aでは相対取引で行われます。株主が分散している場合は個別に交渉する必要があるため、注意が必要です。

市場買付け

市場買付けとは、買い手が株式市場で譲渡企業の株式を購入する方法です。買い手は、株式市場で株式を購入するために必要な手続きを行い、一定数量の株式を取得します。市場買付けでは、株式市場の価格に基づいて取引が行われます。

買収対象企業が上場企業の場合、証券取引所を通して株式を買い集めることが可能ですが、過半数以上の取得を目指す買収において市場買い付けが行われるケースはほとんどありません。

市場に出回っている株式の株数が限定的であることや、買い集めによって株価が上昇し、最終的な買収金額が高額になる可能性があることなどが理由に挙げられます。

公開買付け(TOB)

公開買付け(TOB)は、上場企業の株式を不特定多数の株主から、市場外で大量に買い付ける場合に用いられます。買い手はあらかじめ買い付け期間・買取株数・価格など公開買付けの告知を行い、主に対して一定の価格で株式を売却するように求めます。

株主は自主的に売却することができますが、買い手は一定の最低保有割合を達成する必要があります。経営権を取得できる50%超の株式を買い集めるために、市場価格よりも高い「プレミアム価格」を提示することが一般的です。

これらの方法は、株式譲渡を行うための一般的な手法です。それぞれの方法には利点や注意点がありますので、具体的なケースに応じて最適な方法を選択する必要があります。

株式譲渡の主な手続き(株式譲渡制限会社の場合)

一般的に中小企業の多くは株式に譲渡制限が付けられています。株式に譲渡制限がついている場合、定款の定めに従って譲渡企業に承認を得る必要があります。
会社の承認機関などによって手続きは異なりますが、ここでは一般的な手続き、流れについてご紹介します。

①株式譲渡承認の請求手続き

第三者に対する株式を譲渡することについて、譲渡する株式の数、譲渡先企業の名称などを明記した「譲渡承認請求書」を提出して、会社に承認してもらうための手続きです。

買い手企業が譲渡承認請求を行うこともできますが、譲渡する株主または譲受人と共同で承認請求を行う必要があります。

②取締役会・株主総会での承認

譲渡承認請求を受けた会社は、取締役会設置会社では取締役会、取締役会非設置会社では株主総会において、株式譲渡承認の手続きを行います(定款で別段の定めがある場合を除く)。

ただし、多くの中小企業では、事前に株主と会社の経営陣との間で承認が得られていることが一般的です。そのため、株式譲渡承認請求書の提出および譲渡承認の決議は、あくまでも形式的なものと言えるでしょう。

③決定内容の通知

取締役会もしくは株主総会において、株式譲渡を承認するか否かを決議した場合は、譲渡承認請求をした株主に対して結果を通知する必要があります。

ただし、請求から2週間(定款で短縮可)以内に承認するか否かを通知しなかった場合には、自動で株式譲渡が承認されたものと見なされます。

手続きにより、株式譲渡の承認が行われると、株式売却を行うことができます。承認に至らなかった場合は株式譲渡が行えず、会社は会社自身、もしくは指定する買取人に株式を取得させるかを決定する必要があります。

④株式譲渡契約の締結

会社からの承認を得た後は売却価格などの条件に双方が合意することで株式譲渡契約書の締結手続きを行います。

この契約書は、株式の売買による株式と現金の交換を保証する目的で作成され、その内容は以下の項目です。

一般的には、会社から株式譲渡を承認する旨の通知を受けた後、当事者である株主や買い手企業はデューデリジェンス(買収監査)や最終交渉を経て、売却価格などの条件に合意した上で株式譲渡契約を締結します。なお、承認を実行条件とし、承認前に契約を締結する場合もあります。

株式譲渡契約書には、基本合意の内容や株式譲渡価格、対価の支払い方法、表明保証、 誓約事項(譲渡日までの義務・譲渡日後の義務)などが記載されます。

⑤代金決済・重要物品の交付

株式譲渡の決済は、契約締結時に決済することが一般的ですが。実務上は、株式譲渡の前提条件を定め、契約締結から一定期間後に決済するケースも多く見られます。

買い手は譲渡側から重要物品の引き渡しを受け、株式譲渡の前提条件を確認し、譲渡代金の支払いを行います。重要物品の例としては「株式譲渡承認請求書・通知書」「譲渡承認議事録」「株主名簿」「売り手押印済みの株主名簿書換請求書」「役員の辞任届」などが挙げられます。加えて、株券発行会社においては、譲渡側は買い手に対して株券を交付する必要があります。

⑥株主名簿の名義書き換え

株主帳簿に株主としての記載がない場合、対象企業の株式を保有していることを証明することができず、株主としての権利を行使することができません。そのため、株主名簿の書き換えは非常に重要な手続きとなります。

株券不発行会社の場合、譲渡人と買い手企業は共同で譲渡企業に対して、株主名簿の「名義書換請求」を行い、株主名簿を変更してもらいます。
一方、株券発行会社では、買い手企業は株券を提示することで、単独で株主名簿の「名義書換請求」を行うことができます。

⑦株主名簿の交付

買い手企業は、株主名簿の書き換え後に株主名簿の交付を受け、自身が新しい株主となったことを確認します。以上が、株式譲渡の一連の流れになります。

株式譲渡における企業価値評価方法

株式譲渡において、企業価値を評価する方法は大きく3つに分けられます。それぞれについて、詳しく解説していきます。

企業価値評価①コスト・アプローチ

コスト・アプローチとは、譲渡企業の貸借対照表における純資産に着目して、それをもとに企業価値を評価する考え方です。

簿価(帳簿に記載の評価額)で評価するか、時価で評価するかによって以下の方法に分けられます。

簿価純資産法

簿価純資産法は、帳簿上の数値に着目して企業価値を評価します。客観性に優れていますが、各資産の時価は簿価と乖離することが多いというデメリットがあります。

時価純資産法

一方の時価純資産法は、帳簿上の資産と負債を時価に修正した上で、企業価値を評価するため、現在の時価に基づく評価が可能です。ただし、将来の収益獲得能力などを考慮することができません。
そのため中小企業のM&Aでは、時価純資産に将来の収益力として「営業権」を加味して評価するケースが多くみられます。

企業価値評価②マーケット・アプローチ

マーケット・アプローチは上場企業のうち、譲渡企業の同業他社や類似する企業の市場株価をよりどころに、企業価値を評価する方法です。

市場株価をもとに評価するため客観性が高い一方、非上場が多い中小企業の企業価値評価においては、類似する企業の選定が困難であるため採用されるケースは多くはありません。

企業価値評価③インカム・アプローチ

インカム・アプローチは、上場企業の将来におけるキャッシュフローに基づいて企業価値を評価する方法です。

インカム・アプローチの具体的な評価方法として「DCF(ディスカウンテッド・キャッシュフロー)法」があります。DCF法は、譲渡企業が将来獲得するであろうと予測されるフリーキャッシュフローを、適切な割引率で現在価値に割り引いたものの合計をもって評価対象の価値とする方法であり、最も理論的な評価方法といわれています。

しかしながら、その評価のために将来の事業計画が必要であり、事業計画を作成しているケースが限られる中小企業の企業価値評価では、DCF方が採用されるケースは多くはありません。

参考:中小企業庁(参考資料2)中小M&Aの譲渡額の算定方法

株式譲渡に係る税務・留意点

株式譲渡による所得に対して税金が課されます。株式譲渡に係る譲渡所得は、他の所得の金額と区分して税金を計算する申告分離課税の対象です。

年間の譲渡所得の合計に対し、個人株主には譲渡所得税(復興特別所得税含む)と住民税の税金合わせて20.315%が分離課税されます。

税金の種類 譲渡所得等の税率
所得税 (復興特別所得税を含む) 15.315 %
住民税 5%
合計 20.315 %

なお、株主が法人の場合には、譲渡益に対して約34%の法人税等が課せられます。
買い手企業は、取得対価および取得に要した費用の合計を株式の取得価額とし、時価で取引する限り買収時に課税は発生しません。

参考:
国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税 (申告分離課税)」
国税庁「No.5759 法人税の税率 (申告分離課税)」

事業譲渡との違い(税金)

株式譲渡と異なり、事業譲渡では対象企業の一部の事業が売買されます。譲渡対象が特定の事業になるため、経営権は譲渡企業側に残ります。

また税金も以下のように異なります。

売却方法 かかる税金の種類 所得税・法人税の計算式
株式譲渡にかかる税金 ・個人株主:所得税・住民税
・法人株主:法人税・住民税・事業税
・個人株主:株式の譲渡所得×20.315%
・法人株主:株式の譲渡所得×30〜40%
事業譲渡にかかる税金 法人税・住民税・事業税・消費税 事業譲渡に係る譲渡所得×30〜40%

※ここでの株式の譲渡所得とは、株式の売却価格から購入費用や売却費用を差し引いた売却益を指す

また、合併・会社分割とは異なり、事業譲渡は消費税の課税関係を考慮する必要があります。資産・負債をすべて時価で移転するため、事業を譲渡した法人は、簿価との差額に原則として課税関係が生じます。

株式譲渡によるM&A事例

日本M&Aセンターで仲介支援するお客様の多くは株式譲渡の手法でM&Aを実行しています。ここではお客様のM&A事例をピックアップしてご紹介します。

事例①後継者候補の娘婿が辞退、社員承継も断念――。

後継者候補が居ながらも、「継がない」という決断になり、後継者問題を解決するための決断をした譲渡オーナー。成約から3年あまり、現在も会長(代表権はなし)として同社に携わる会長にM&Aについて話を伺いました。
事例の詳細はこちら

事例②後継者不在、制度不足、設備の老朽化…。従業員の幸せを願い決断したM&A

70歳を超えた譲渡オーナーは後継者不在や会社の課題を目の前にして、このままでは従業員や顧客を守れないとM&Aを決意し株式譲渡しました。M&Aからおよそ10ヵ月経った現状について話を伺いました。
事例の詳細はこちら

事例③譲渡企業の経営状況が厳しくても買い手が即決した同業種同士のM&A

再編が進む業界では、経営状況の厳しい譲渡企業も譲渡先が見つかりやすい傾向があります。トラック運送業の会社にM&Aを決意された経緯や心境、現在の様子について話を伺いました。
事例の詳細はこちら

中小企業の株式譲渡でよくある質問

以下のようなケースでどう対応すべきかについてご紹介します。

譲渡対象会社の株主が分散、もしくは行方不明の場合

株式譲渡で会社を売却するには、オーナー以外に株主がいる場合、他の株主の同意取得が必要になります。
一般的には大株主が他の株主から委任を受けて契約を締結するケースが一般的です。

株主の所在については株主名簿を確認し、該当する株主に対して公告を行い、一定期間内に連絡を求めます。
株主が行方不明の場合は、専門家(弁護士)に相談し、株主の権利を行使するための裁判など適切な手続きを検討します。

譲渡対象会社の株主が未成年や成年被後見人の場合

未成年者の場合は親権者、成年被後見人の場合は後見人が法定代理人となります。株式譲渡には法定代理人の同意が必要であるため、必要書類を準備し、同意を得る手続きを行います。

対象会社の株主が事故などで判断能力が不十分になってしまった場合

判断能力が不十分な株主については、成年後見の手続きが必要です。選任された後見人から株式譲渡の同意を得る必要があります。

対象会社の従業員持株会の株式がある場合

従業員持株会が有する株式は、従業員持株会の会員の共有物であるため、従業員持株会の株式譲渡には、会員の同意を得る、もしくは持株会を解散して清算手続きを行う必要があります。

これらの対応には法律的な側面が多く含まれるため、専門家(弁護士や公認会計士など)に相談することをお勧めします。

株式譲渡でM&Aを検討する場合は

株式譲渡は、M&Aの中でも比較的簡単かつ短期間でできる手法です。しかし、企業価値評価の方法や必要書類、手続きのプロセス、税金など、事前に押さえておくべき情報は多岐にわたります。

加えて中小企業の多くは、株式譲渡制限会社(非公開会社)でもあるため、株式譲渡の承認請求など注意点も少なくありません。

十分な準備を行ったうえで株式譲渡を滞りなく進めるためには、経験豊富なM&A仲介会社・税理士などの専門家に協力を求めることが大切です。

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監修

谷本 信之

谷本たにもと信之のぶゆき

KPMG税理士法人、掛川会計事務所を経て、日本M&Aセンターに入社。法人・個人を問わない幅広い税務の経験を活かし、事業譲渡や組織再編など様々なスキーム構築で成約に貢献している。M&A実務の研修活動を社内外でも実施。

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