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広島のM&A・事業承継事情とは?中国地方の産業・経営者の特徴を紹介

久力 創

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日本M&Aセンター 上席執行役員 金融提携事業部長 

山内 翔太

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日本M&Aセンター 法人事業部 広島支店 チーフ(2023年11月時点)

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広島・中国地方のM&A事情とは
企業の買収を検討されている経営者の方、ご関係者に向けてお届けするYouTube「買収の参観日チャンネル」。全国津々浦々、各地域に精通したコンサルタントによる「ご当地M&A解説」第3弾は広島をはじめとする中国地方編です。どうぞ前編からご覧ください。
※本記事では動画の内容を抜粋・編集してお届けします。

広島・中国地方の産業の特徴


久力: ご当地M&A特集ということで、北海道や九州を取り上げてきましたが、第3弾は広島及び中国地方についてお届けしていきたいと思います。ということで、広島支店からゲストが来てくれています。

山内: 山内です。よろしくお願いします。普段は広島を中心としながら中国地方5県の、主に買収を検討されているお客様のお手伝いをしています。前職の銀行時代を含め、広島には10年以上住んでいますので、広島には都道府県の中で特に思い入れがありますね。

久力: 山内さんには、今日は広島及び中国地方について色々聞いていきたいなというふうに思います。早速ですが、広島・中国地方について基本情報を教えていただけますか。

山内: はい。まず産業構造で言うと、山陽エリアと山陰エリアで分けられます。
山陽・瀬戸内海の方は瀬戸内工業地帯に代表されるように、全国的に見ても製造業が非常に多い地域です。

広島で言うと皆さんご存知の自動車メーカー、マツダさんと、戦艦大和で有名な呉市ですね、関連する製造業の会社さんが非常に多い印象です。

山口県や岡山県になると石油化学コンビナートなど、化学工業系の業種が多く見られます。
逆に山側の山陰エリアについて言うと、農業が非常にさかんです。

久力: そうなんですね。

山内:製造業は、大手企業が進出している地域もあるんですけど、あまり多くないですね。

久力: ちなみに最近、大手企業さんがプラント業とか全国的に事業の撤退傾向にあると思うんですけど、そうした影響はあるんでしょうか。

山内:まさに今、日本製鉄さんが呉エリアからの撤退を決められて、来年には完全撤退になるので、私が普段お伺いする企業さんたちは非常にそのあたりを危惧されています。

久力:そうなると、その地域での取引が無くなってしまうという感じになるのでしょうか。

山内:実際に高炉を止めてから解体作業が始まるまでに数年間あったので、他の企業に従業員さんが転職をしているというところで、かなり大きく産業構造が変わるんじゃないかなと思っています。

久力:業種によっては、転換期にある地域なんですね。

山内:そうですね

広島・中国地方のM&Aの傾向

久力:一方で、産業構造もそうですし、コロナ禍、世界的な変化がある中で、経営者の方々のマインドの部分ですね。「成長する事業を新たに展開していこう」とか「より今の事業を強化していこう」とか、経営者の方々は、どんなことを今考えらっしゃるんですかね

山内:コロナがまさに始まったばかりの、緊急事態宣言の1回目が出た時は、広島県の県民性として保守的な面があるので、「様子を見る」という形でM&Aもやや消極的な傾向にありました。

一方、withコロナのような現在では、県内だけではなく、大阪や東京など「市場として魅力のあるところにエリア展開していきたい」と考える経営者さんが増えてきていると感じています。

山内:広島に限った話でいうと、広島って結構マーケットが大きいんですよ。中国地方に占めるGDPの割合がだいたい40%ぐらいです。

広島県の経営者さんってどちらかというと、市場規模があるからこそ「広島でどう戦っていくか」という傾向が非常に強かったんですけど、それが最近は「広島で戦っててもなかなか規模が拡大できない」というところに直面しています。

主に建設業の会社さんだったり、運送業界の会社さんは大阪だったり、中京エリアとかですね、そういったところに目を向ける会社さんが増えてきてる印象です。

久力:最近も、中国地方の建設業の会社さんが、新規事業の一環で名古屋のIT企業を譲り受けられたという事例がありましたね。

山内:今までなかった動きですよね。

広島・中国地方の後継者・事業承継事情

久力:一方で中国地方は事業承継とかM&Aがもともと多いエリアだと思うんですけど、事業承継後継者不在率や、経営者の方々が事業承継についてどう捉えているのか、そのあたり教えていただけますか。

山内:帝国データバンクの昨年の後継者不在率調査によると、中国地方は5県とも全国平均(61.5%)を上回るような後継者不在率でした。特に鳥取県と島根県では70%を超える不在率になっています。

潜在的には非常にM&Aのニーズが高いエリアと言えるので、今後ますますM&Aの動きが活発になる可能性があるのかな、と見ています。

久力:確かに最近、広島も当然のことながら、鳥取のお客様の案件が増えてますよね。

山内:はい。最近増えてきています。

久力:特徴的だなぁと思うんですけど、今まで少し市場規模からしてもあまり多くなかったと思うんですけれども、市場規模に関係なく後継者不在率もあってM&Aのお話がすごく増えていると。これがもっと広がっていく可能性が十分あるんではないかと、そういうところですかね。

山内:そうですね。

広島・中国地方の県民性にみる経営者の特徴

久力:産業の話とか、経営者の方がどんなこと考えてるか、事業承継などについて聞きましたけれども、人柄って言うんですかね。広島の人、また地域、県によって違うと思うんですが、県民性っていうんですかね。このあたりについても、教えていただけますか。

山内:広島の方について先ほど保守的って言ったんですけど、仲良くなるまで時間がかかる。ただ一旦身内って判断されると、仲良くしていただけるという所が特徴ですね。

岡山は、広島に結構ライバル意識がある傾向にあるかなと個人的には思っています。
M&Aの事例見ていても、隣接県と比べて例えば、広島に岡山の会社さんが出て行ってる事例はあまり見られないです。

岡山って立地が本当に良いので、関西にもすぐ行けますし、本当に中国地方の交通の要塞っていうところがあるので「広島にわざわざ進出するんだったら、もう関西に行くよ」っていうような経営者の方が多いかもしれないですね

鳥取や島根に関しては、マーケットが広島とかと比べる小さいというのもあるのですが、広島や岡山ではなくて、東京や関西を見てる経営者が多い印象です。

これも多分交通の便だと思うんですけど、山陰エリアに行こうとすると、例えば鳥取市だったら3時間ぐらいどうしてもかかるんですよ。

同じ3時間で、実は鳥取から大阪まで行けてしまうので、そういう意味で「広島に出るぐらいだったら大阪に行く」っていう傾向が見られます。結構アクティブな鳥取・島根の経営者さんは東京・大阪を見てるという印象が強いです。

久力:なるほどですね。(続きは後編に続きます)

※本編の動画はこちらからご覧いただけます。

広島・中国地方のM&A事情 前編

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久力 創

久力くりき はじめ

日本M&Aセンター 上席執行役員 金融提携事業部長 

大手証券会社を経て2008年日本M&Aセンター入社。主に譲受企業担当として数多くのM&A支援実績を有する。2023年4月より現職。

山内 翔太

山内やまうち 翔太しょうた

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