浦 伸嘉氏(株式会社広島ドラゴンフライズ 代表取締役社長)
1980年生まれ、広島県広島市出身。元プロバスケットボール選手。25歳で渡米しアメリカのバスケットボールチームに挑戦した経験を持つ。2013年設立の広島ドラゴンフライズに3年目から代表として参画。2018年のM&Aによるグループ入りを経て、2023-24シーズンにBリーグ初優勝、東アジアスーパーリーグも制覇。
2018年に親会社の資本を導入し、右肩上がりの成長を続ける広島ドラゴンフライズ。2023-24シーズンにはBリーグ初優勝、さらに東アジアスーパーリーグも制した。クラブを牽引する浦伸嘉社長は「会社の運営とチームを率いることは同じ」と語ります。M&Aがクラブにもたらしたもの、そして勝つ組織のつくり方を伺いました。
宮島にルーツを持つクラブ、「広島プライド」を理念に
私は1980年生まれ、広島県広島市出身です。広島県出身のバスケットボール選手でもあり、25歳のときにアメリカのバスケットボールチームに入る決断をしました。アメリカには全日本に選ばれていない選手でも日本代表より強い選手が普通にいて、そのレベルには驚かされました。同時に「この環境なら自分のマネジメントの力を発揮できるのでは」と考え、マネジメントに携わった時期もあります。
広島ドラゴンフライズは2013年10月2日に設立され、私は3年目に代表に就任しました。チームのルーツは宮島にあります。「ドラゴンフライズ」の名は宮島とミヤジマトンボに由来し、トンボは「勝ち虫」と呼ばれる縁起の良い存在です。その後、流行とテクノロジーとの融合に合わせてロゴを変更し、リブランディングも行いました。
5年ほど前には理念を再構築し、「広島プライド」と名付けました。広島は世界的に見ても復興の町。屈しない魂と歴史を学び、未来を切り開くことを胸に刻み、広島らしさを大切にする——プロ野球でも「広島」と地名で呼ばれるのはカープだけで、広島市民の広島愛は特別です。この広島プライドを根底に活動しています。
2023-24シーズンにはBリーグで初優勝し、東アジアスーパーリーグでも優勝。東アジアで最も強いチームになり、中国でも大々的に報道されました。現在は平均4,000人の集客ができており、さらなる集客を目指しています。広島駅近隣では新アリーナも検討中で、2030年の完成を目指しています。
M&Aでグループ入りし、売上は右肩上がりに
2018年にM&Aでグループ入りし、現在は右肩上がりで売上を伸ばしています。運営費の40%はスポンサーの方々に支えられています。私たちには合計20の「ビジネスフィロソフィー(勝負哲学)」がありますが、本日は特に大事にしている3つをご紹介します。
1つ目は「ナンバー1」に徹底的にこだわること。ナンバー1の影響力は非常に大きい。例えば会社の場合、2位は3位や4位を買収できますが、2位が1位を買収することはできません。広告効果も全く異なります。2つ目は、個人ではなく組織で闘うこと。大企業の組織力は非常に強力です。3つ目は、時代の流れを見極めて仕掛けること。ドラゴンフライズでは最新のテクノロジーと様々な要素を融合しています。
私たちのビジネスモデルは「感動体験の提供」。スポーツが感動を与えるのは、その瞬間にしか味わえないからです。
― 浦 伸嘉 氏
「1秒」を大切にする経営
バスケットボールの経営は時間と確率が重要です。1秒や0.5秒の違いが勝敗を分けます。アマチュアチームでも、集合が1秒でできるチームとできないチームでは、集まるチームが勝ちます。経営者も1秒を大切にすることで、経営がうまくいくのです。
スポーツクラブ経営における私たちの理念は「スポーツで地域を元気に、人々の活力になること」。対価以上の価値提供が求められます。価値以上の対価を感じた人はリピーターになります。スタッフには、クイックレスポンス・決断力・実行力を重視し、「人の時間を奪わないこと」を伝えています。メールの文章でも選択肢に番号を付けるなど、相手の返信時間を短縮する工夫をしています。また、圧倒的な量をこなすことで質が高まります。どのような人でも、質を高めるためには量が必要です。
組織力の構築には、明確な共通の目標が欠かせません。弊社では集客平均4,000人以上と定めています。日本一を目指すのであれば、世界一を目指す必要があります。組織への誇りや愛、忠誠心も非常に重要です。仕事とは与えられた役割を120%以上に超えて行うこと。自分のやりたいことは趣味です。
ネガティブな情報こそ共有する——人を動かすリーダーシップ
コミュニケーションでは、正確な情報の共有、特にネガティブな情報の共有が重要です。部下のミスでも上司が解決できることがあります。ミスを責めるだけでは、ネガティブな情報は上がってきません。トラブルやクレームの90%以上はミスコミュニケーションが原因です。コミュニケーションができない人の特徴は挨拶ができないこと。そのため、挨拶を非常に重要視しています。
最後に、人を動かすリーダーシップについて。人は「感情⇒行動⇒結果」という流れで動きます。感情に共感しないと人は行動しません。リーダーシップとは「信じる理由を伝える力」。なぜこの仕事をしているのか、なぜこれを行う必要があるのかを伝える力が求められるのです。
リーダーシップとは「信じる理由を伝える力」。人は感情に共感して初めて動きます。
― 浦 伸嘉 氏
- セミナー名
- 事業承継セミナー 日本創生2025
- テーマ
- バスケを通じた地方創生 - M&Aがクラブにもたらしたもの -
- 登壇者
- 株式会社広島ドラゴンフライズ 代表取締役社長 浦 伸嘉 氏
- 開催日
- 2025年11月5日(水)
- 会場
- オリエンタルホテル広島