事業承継・M&A補助金(11次公募)の概要とは?2025年最新情報
2025年4月18日に「事業承継・M&A補助金 専門家活用枠(11次公募)」の公募要領(確定版)が公開され、申請受付が5月9日から開始されます(6月6日受付締切)。11次は専門家活用枠のみの公募となり、10次と異なる点もあります。本記事では11次公募の概要をご紹介します。
※本補助金に関する詳細情報については事業承継・M&A補助金ウェブサイト(https://jsh.go.jp/r6h/)や、「事業承継・M&A補助金 専門家活用枠 【公募要領】11次公募」をご確認ください。
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事業承継・M&A補助金の目的
事業承継・M&A補助金(旧:事業承継・引継ぎ補助金)は、事業承継や事業再編、事業統合を促進し、日本経済の活性化を図ることを目的とした補助金です。
具体的には、事業承継やM&Aで行う設備投資等や、事業承継・事業再編及び事業統合に伴う経営資源の引継ぎ、廃業・再チャレンジを目指す中小企業・小規模事業者等に対し経費の一部補助を行います。
補助の対象となる取組内容や経費の種類に応じて、「事業承継促進枠」、「専門家活用枠」、「廃業・再チャレンジ枠」、「PMI推進枠」で補助が行われてきましたが、今回の11次公募は「専門家活用枠(買い手支援類型、売り手支援類型)」のみの公募です。
事業承継・M&A補助金のスケジュール・申請方法
スケジュール
申請受付期間:2025年5月9日(金)~2025年6月6日(金)17:00 ※厳守
補助事業期間:2025年7月(上旬予定)から約12ヶ月間を想定 ※詳細は、採択後の交付申請時の手引書等で要確認
申請方法
原則、jGrantsを用いた電子申請により、申請を行います。 そのため申請する際にはgBizIDプライムのアカウントを取得する必要があります。
gBizIDプライムの申請・発行には、確認や審査に1~3週間時間を要する場合があるため、余裕をもったスケジュールで手続きされることをお勧めします。
事業承継・M&A補助金の対象となる中小企業者等
本補助金における中小企業者等は以下のように定義されています。
業種分類 | 定義 |
---|---|
製造業 その他 ※1 | 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社 又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主 |
卸売業 | 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社 又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主 |
小売業 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社 又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人事業主 |
サービス業 ※2 | 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社 又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主 |
(※1) ゴム製品製造業(一部を除く)は資本金3億円以下又は従業員900人以下
(※2) ソフトウエア業・情報処理サービス業は資本金3億円以下又は従業員300人以下、旅館業は資本金5千万円以下又は従業員200人以下
ただし、対象外になるケースも
ただし、次のいずれかに該当する中小企業者等は対象外とされるため注意が必要です。
① 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%の株式を保有される法人。
② 申請時において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者等。
※資本金(出資金)又は従業員の基準を満たせば、医者(個人開業医)、農家(会社法上の会社又は有限会社である農業法人)、農家(個人農家)は中小企業者等に含むものとする。
※社会福祉法人、医療法人、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人、学校法人、農事組合法人、組合(農業協同組合、生活協同組合、中小企業等協同組合法に基づく組合等)は中小企業者等に含まないものとする。
また、小規模事業者の定義は以下の通りです。
業種分類 | 定義 |
---|---|
製造業 その他 | 従業員の数が 20 人以下の会社及び個人事業主 |
商業(※3 )・サービス業 | 従業員の数が 5 人以下の会社及び個人事業主 |
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 | 従業員の数が 20人以下の会社及び個人事業主 |
(※3)「商業」とは、卸売業・小売業を指す。
補助上限額、補助率等について
補助対象者に交付する補助額は、補助対象経費の3分の2以内です。補助金の交付は、 補助対象事業完了後 の清算後の支払い(実費弁済)となります。
※出典:事業承継・M&A補助金 専門家活用枠 【公募要領】より抜粋
(注1)申請時の補助額が補助下限額を下回る申請(補助対象経費に2/3又は1/2をかけた金額が50万円を下回る申請)は受け付けない。
(注2)売り手支援類型において、 以下の要件①②のいずれかに該当する場合は補助率を2/3以内、該当しない場合は補助率1/2以内 とする。
(1)直近の事業年度(申告済み)と2期前の事業年度(通年)
(2)直近の事業年度(申告済み)及び申請時点で進行中の事業年度のうち、それぞれ任意の連続する3か月(当該期間の前年度同時期)の平均
② 直近決算期の営業利益または経常利益が赤字の者
(注3)補助事業期間内に経営資源の引継ぎが実現しなかった場合(補助対象事業において、クロージングしなかった場合)、補助上限額(300万円以内)の変更を行う。
(注4)デュー・ディリジェンスを実施する場合の補助上限額は、200万円を補助上限額に加算する。
(注5)廃業費の補助上限額は150万円とする。ただし、廃業費に関しては、関連する経営資源の引継ぎが補助事業期間内に実現しなかった場合は補助対象外とする。
補助対象となる経費について
補助対象経費となる各経費費目について、ご紹介するのは例示になりますが、最終的には補助事業期間終了後の実績報告で提出される書類を確定検査した結果、対象か対象外かを判断します。
注意事項など詳細については、「事業承継・M&A補助金 専門家活用枠 【公募要領】(別紙)補助対象経費」をご確認ください。
謝金
補助対象事業を実施するために必要な謝金として、専門家等(謝金における専門家は士業及び大学博士・教授等に限る)に支払われる経費が対象となります。対象外となるケースや注意事項については公募要領をご参照ください。
旅費
補助対象事業を実施するために必要な国内出張及び海外出張に係る経費(交通費、宿泊費)の実費、が対象となります。対象外となるケースや注意事項については公募要領をご参照ください。
外注費
外注費とは業務の完遂が義務であり、その結果に対する報酬が発生する契約形態の場合を指します。外注先の選定に当たっては、原則2者以上から相見積の取得が必須である点等に注意が必要です。
対象外となるケースや注意事項については公募要領をご参照ください。
委託費
補助対象事業の実施に必要な業務の一部を第三者に委託(委任)するために支払われる経費が対象となります。具体的には以下の費用が対象となります。
費用形態 | 支払相手(例) | 概要 |
---|---|---|
着手金 | FA・仲介 | FA・仲介とのアドバイザリー契約に基づき支払う着手金、情報提供に係る費用(情報提供料) |
マーケティング費用 | FA・仲介 | 承継候補先、被承継候補先の選定及びアプローチに係る費用 |
リテーナー費用 | FA・仲介 | FA・仲介とのアドバイザリー契約に基づき支払う月額報酬 |
基本合意時報酬 | FA・仲介 | FA・仲介とのアドバイザリー契約に基づき支払う基本合意時報酬 |
成功報酬 | FA・仲介 | FA・仲介とのアドバイザリー契約に基づき支払う成功報酬 |
価値算定費用 | FA・仲介・各専門家 | 企業価値・事業価値・株式価値等の価値算定に係る費用 |
デュー・ディリジェンス費用(プレPMI費用を含む) | 各専門家 | デュー・ディリジェンス実施に係る費用(ただし、仲介者がおこなうものを除く) 環境調査・信用調査等に係る費用 プレPMIに係る費用※ ※クロージング前に実施したものに限る |
契約書等の作成・レビュー | 弁護士 | 最終契約書]等の作成・レビューを弁護士に委任した場合に生じる費用 |
クロージングに向けた手続き費用 | 弁護士 | クロージング手続き等に関する弁護士への依頼費用 |
クロージングに向けたアドバイス費用 | コンサルティング会社等 | カーブアウト財務諸表の作成等の専門家への依頼費用 |
不動産鑑定評価書の取得費用 | 不動産鑑定士 | 不動産の時価評価に係る費用 |
不動産売買の登記費用 | 司法書士 | 最終契約書に基づき不動産売買する際の登記に係る事務費用 |
定款変更等の登記費用 | 司法書士 | 最終契約書に基づき定款変更等をする際の登記に係る事務費用 |
根抵当権等の登記変更費用 | 司法書士 | 最終契約書に基づき根抵当権を解除する際の登記に係る事務費用 |
許認可等申請費用 | 行政書士 | 最終契約書に基づき取得するべき許認可等の取得に係る費用 |
社会保険労務士への費用 | 社会労務士 | 最終契約に基づき労務関連手続きをする際に係る費用 |
セカンドオピニオンの費用 | M&A支援機関 | 選任専門家以外のM&A支援機関から意見を求めるセカンドオピニオン費用 |
※出典:事業承継・M&A補助金 専門家活用枠 【公募要領】(別紙)補助対象経費
委託費のうち、FA 業務又は仲介業務に係る、相談料、着手金、成功報酬、価値算定費用等の中小 M&A の手続進行に関する手数料については、「M&A 支援機関登録制度」に登録された登録FA・仲介業者が支援したものに限り対象となります。
対象外となるケースや注意事項については公募要領をご参照ください。
システム利用料
システム利用料とは、事業再編・事業統合等に伴う承継先又は被承継先候補とのマッチングのためのプラットフォーム等への登録料及び利用料を指します。対象外となるケースや注意事項については公募要領をご参照ください。
保険料
保険料とは、M&A当事者間で交わされる最終合意契約に規定される表明保証条項に関して、事後的に「当該表明保証条項違反が判明することに起因して発生する損害等」を補償目的とする保険契約等に係る保険料を指します。 対象外となるケースや注意事項については公募要領をご参照ください。
廃業支援費
事業の廃業に関する登記申請手続きに伴う司法書士・行政書士に支払う申請資料作成経費が対象となります。対象外となるケースや注意事項については公募要領をご参照ください。
在庫廃棄費 (自己所有物)
事業所や既存事業の廃止・集約を伴う場合に、既存の事業所や事業における商品在庫について、専門業者等を利用して処分するために支払われる経費が対象となります。補助事業期間中の契約締結が必要である点や、処分及び支払いが補助事業期間中に完了しているものに限る点に注意が必要です。対象外となるケースや注意事項については公募要領をご参照ください。
解体費 (自己所有物)
事業所や既存事業の廃止・集約を伴う場合に、既存の事業所や事業において所有していた建物・設備機器等を解体する際に支払われる経費が対象となります。補助事業期間中の契約締結が必要である点や、解体及び支払いが補助事業期間中に完了しているものに限る点に注意が必要です。 対象外となるケースや注意事項については公募要領をご参照ください。
原状回復費 (借用物)
事業所や既存事業の廃止・集約を伴う場合に、既存の事業所や事業において借りていた土地や建物、設備機器等を返却する際に、修理して原状回復する為に支払われる経費が対象となります。補助事業期間中の契約締結が必要である点や、 原状回復及び支払いが補助事業期間中に完了しているものに限る点に注意が必要です。 対象外となるケースや注意事項については公募要領をご参照ください。
申請にあたっての注意点
専門家契約の時期に注意
10次と異なり、「専門家契約」が補助事業期間開始前(下の図表ケース②)の場合は、対象経費に該当しない点に注意が必要です。専門家の見積取得は、補助対象期間開始前、専門家契約の締結から報酬支払までを補助対象期間内に行う必要があります。
※出典:事業承継・M&A補助金 専門家活用枠 【公募要領】より抜粋
相見積取得が不要な条件
本補助金の請求にあたっては、補助対象経費は原則として2者以上の相見積の取得が必須となりますが、相見積取得が不要な条件がある点にも注意が必要です。
- 条件①:補助対象経費において、選定先以外の2者以上に見積を依頼したが、全ての専門家・業者から見積を作成できないと断られた場合
- 条件②:FA・仲介費用において、専門家費用が移動総資産額又は譲渡額に基づくレーマン表により算出された金額以下である場合
- 条件③:システム利用料において、成功報酬(成約手数料)のみのM&A のマッチングサイトに複数登録して、当該成約手数料を申請する場合
条件の詳細については公募要領(https://jsh.go.jp/r6h/assets/pdf/11/requirements_experts.pdf)をご参照ください。
以上、事業承継・M&A補助金11次公募について概要をご紹介しました。
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