プロアスリートの第二のキャリア。元日本代表プロバスケットボール選手の挑戦

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神奈川県横浜市内にあるフィットネスクラブ「ブルーゲート ヨコハマ」。賃貸管理会社の株式会社ベルニが2020年に事業を譲受けました。今回、異業種の事業に参入した背景には、社長の伊藤俊亮氏の異色の経歴が関係しています。伊藤氏は2020年に父親の経営するベルニに後継者として入社しましたが、それまではプロバスケットボール選手として活躍していたのです。今回、事業承継と同時にM&Aを実行、新たな事業に挑戦する伊藤氏に取り組みと想いを聞きました。

自身のキャリアを活かした新事業創出のためのM&A

2002年に大手電機メーカーの実業団に入団した伊藤氏は、センターとして最多得票でオールスター選出されるほどの人気選手で、日本代表として世界選手権にも出場、16年にわたり活躍しました。バスケットボールプロリーグであるBリーグの開幕と同じくして移籍した千葉ジェッツを2018年に引退した後は同チームでフロントスタッフとして運営にも携わりました。
「事業部長として法人営業をメインに、広報・MD・デザインと4部門を担当しました。フロント在籍は1年間でしたが、非常に勉強になりました」
その後、家業を継ぐべくベルニに入社した伊藤氏ですが、2020年はコロナ禍の真っ只中。本業の不動産賃貸も動きが鈍く厳しい状況が続く中、自分のキャリアを活かした事業を考え、たどり着いたのがM&Aでフィットネスクラブを譲受けることでした。
「プロアスリートのトレーニングというときついイメージがあると思いますが、それぞれの状況に合わせたトレーニングというのは実は手軽にできるんです。プロアスリートならではのコンテンツを作り、自身を広告塔にして独自の地域密着型フィットネスクラブを地元で作りたいと思いました」

現役時代は強靭な肉体と204センチの長身に走力を兼ね備えたフィジカルプレイヤーとして日本代表でも長きに渡って活躍した

事業譲渡の良さはすでにある魅力を活かして始められること

ただ、ゼロから作るのは大変です。そこで事業を譲受けることを考えました。フロントスタッフとして働いていた時に会社がM&Aをしたので、M&Aがどんなものかということは分かっていました。ですので選択肢として考えやすかったというのもあります」
相談を受けた日本M&Aセンターから提案されたのが、ベルニの会社近くにあるフィットネスクラブでした。もともと運営していたのは石川県を中心に直営でフィットネスクラブを7店舗運営する会社です。横浜の店舗は関東進出の足掛かりとして考えていたものの、知名度や土地勘もない上に新型コロナウイルスの感染拡大の影響で苦しい運営を続けていました。そこで、飛び地になっている横浜店の事業譲渡を決意されたのです。
「まず魅力に感じたのは立地です。横浜市中区で最寄り駅から1分、弊社からも歩いて20分ほどの距離でした。重視した条件の一つが横浜市内であるということでした。地元のネットワークとスポーツ業界での人脈をしっかり活かせることが大事だからです。その点で、条件に合致するお相手でした。また、設備もいいものが入っていて環境面も申し分ありませんでした」


清潔感のある施設内

地域密着と全世代をカバーした新プログラムで3年以内の黒字化を目指す

最終契約を交わしたのが2020年12月でした。まさにコロナ禍でのM&Aです。検討中には最初の緊急事態宣言も発令され、休業を余儀なくされたりフィットネスクラブが敬遠される事態に陥ったりしました。最終的にM&A後、会員数がピーク時の半分という状態からのスタートとなったのです。
「まずはあらゆるコストの見直しに取り組みました。清掃業者を変えて自分たちで掃除する部分を増やすことに始まり、すべての契約の見直しをしました。
次にメニューの見直しです。特にシニアとキッズのメニューの充実に力を入れました。例えば大人向けメニューとして始めたフラダンスのプログラムはおかげさまで好評いただいています。
時間帯で年齢層も変化します。朝はシニアの方、日中は主婦や男性が多くいらっしゃいます。今後は夕方の時間帯に学校帰りのキッズ向けのプログラムを企画する予定です。全世代をカバーしていくことで、今後は広い層でファンを作っていきたいと考えています」
直近の目標は3年以内での黒字化です。今、M&Aから1年が経ちましたので、残り2年での実現を目指します」

フィットネスクラブ ブルーゲートのホームページ

著者

M&A マガジン編集部

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日本M&Aセンター

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