ステークホルダーとは?意味や使い方、種類をわかりやすく解説
⽬次
- 1. ステークホルダーとは
- 2. ストックホルダーとシェアホルダー
- 3. ステークホルダーの種類「直接的ステークホルダー」とは
- 3-1. 株主・投資家
- 3-2. 従業員
- 3-3. 顧客(消費者)
- 3-4. 取引先企業
- 3-5. 金融機関
- 4. ステークホルダーの種類「関節的ステークホルダー」とは
- 4-1. 従業員の家族
- 4-2. 地域社会
- 4-3. 行政機関
- 5. ステークホルダーと連携する重要性
- 5-1. ビジネスの持続性と成長
- 5-2. リスク管理と回避
- 5-3. 信頼と評判の構築
- 5-4. 持続可能性の達成
- 6. ステークホルダー・エンゲージメントとは
- 6-1. 企業の取り組み事例
- 7. M&Aにおけるステークホルダーへの対応
- 7-1. 従業員への対応・注意点
- 7-2. 取引先企業への対応・注意点
- 7-3. 金融機関への対応・注意点
- 8. 終わりに
- 8-1. 著者
ステークホルダーとは
ステークホルダーとは、企業経営において直接・間接的に影響を受ける利害関係者のことを指す言葉です。具体的には株主、従業員、顧客、取引先企業のほか、行政や地域社会など広範囲に存在します。
企業はこうしたステークホルダーの利益を考慮しながら、事業運営を行う必要があります。
そのためステークホルダーとの連携、対応を考えるにあたって、まずは自社のステークホルダーを把握、認識することが求められます。
ストックホルダーとシェアホルダー
ステークホルダーと混同しやすい言葉として「ストックホルダー」「シェアホルダー」が挙げられます。
ストックホルダーは、企業の株を保有する株主です。株主は、投資目的で企業に関心を持ち、株式の価値の上昇や配当金を得ることを期待しています。一方、シェアホルダーは、株主の中でも議決権を持つ大株主を指します。
ステークホルダーの種類「直接的ステークホルダー」とは
ステークホルダーは直接的ステークホルダーと間接的ステークホルダーに大別できます。
直接的ステークホルダーは、投資や貸付、購買行動などで企業に直接的な影響を与え、また企業活動の結果によって直接的な利益・不利益を被るステークホルダーのことです。
主な直接的ステークホルダーの種類と役割は、以下の通りです。
株主・投資家
資本を提供し、企業の運営と成果について監視します。企業の経営に関する重要な決定に関与し、企業の方向性に大きな影響を与えます。
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従業員
運営に関与し、その成果によって組織の成功に貢献します。各自が職務を遂行し、組織の目標に向けた作業を行います。
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顧客(消費者)
企業の製品やサービスを購入・利用することで企業に収益をもたらします。消費行動を通じて、企業の製品開発や改善の指針に重要な影響を与えます。 |
取引先企業
(サプライヤーの場合)契約に従い、適切な品質で適時に製品やサービスを提供します。
(卸売業者・小売業者企業の場合)製品を消費者に届ける役割を果たします。
(パートナー企業の場合) |新製品開発や新市場に進出するために協力し、共有する利益を最大化させる。
金融機関
企業に対して融資を行います。企業が必要な資金を得られるようにし、その返済を監視します。
ステークホルダーの種類「関節的ステークホルダー」とは
間接的ステークホルダーとは、企業から直接影響を受けず、また直接影響を与えない範囲で影響し合うステークホルダーのことを指します。
主な関節的ステークホルダーの種類と役割は、以下の通りです。
従業員の家族
企業による従業員への給与の支払い、福利厚生などを通じ支援を受けます。企業に対しては、従業員の健康管理や安全対策を求めます。
地域社会
企業に対し地域の発展や福祉、環境保全などを求めます。企業側は地域社会に貢献することで、企業イメージの向上にもつなげます。
行政機関
企業に対して法律や規制を定め、許認可や監督などを行います。企業が社会的責任を果たしているかどうかを監視し、必要に応じて是正措置を求めます。
ステークホルダーと連携する重要性
ステークホルダーとの連携は企業やプロジェクトの成功にとって不可欠です。その理由について見ていきます。
ビジネスの持続性と成長
ステークホルダーは企業の存続と成長に重要な役割を果たします。
顧客からの需要や支持を得ることでビジネスの継続性を確保し、従業員のモチベーションや協力を得ることで組織の成果を最大化することができます。また、株主や投資家との信頼関係を築くことで、資金調達や投資のサポートを受けることができます。
リスク管理と回避
ステークホルダーとの連携は、リスク管理と回避にも役立ちます。
顧客や従業員、地域社会などのステークホルダーとの密接な関係を築くことで、潜在的なリスクや問題を早期に検出し、適切な対策を講じることができます。ステークホルダーのニーズや関心事に敏感に対応することで、リスクを最小限に抑えることができます。
信頼と評判の構築
ステークホルダーとの連携は、企業の信頼性と評判に直結します。
ステークホルダーの関心や要求に真摯に応えることで、企業は信頼を築き上げることができます。信頼を得ることは、ブランド価値の向上や顧客の忠誠心の醸成につながります。また、ステークホルダーの支持を受けることで、企業は競争力を強化し、市場での優位性を確保することができます。
持続可能性の達成
ステークホルダーとの連携は持続可能な経営を実現するためにも重要です。
環境保護や社会的責任の遂行、持続可能なビジネスモデルの構築など、ステークホルダーの期待に応える取り組みが求められます。ステークホルダーとの連携を通じて、企業は社会的価値の創造と長期的な成果の両立を図ることができます。ステークホルダーの関与を通じて、社会や環境の課題に対して共同で取り組むことができます。
ステークホルダー・エンゲージメントとは
ステークホルダー・エンゲージメントは、自社の各ステークホルダーと積極的に信頼関係を構築する取り組みです。
企業とステークホルダーの信頼関係が深まれば、株主からの高い支持や、従業員の仕事へのモチベーションアップなどに期待できます。
有効な取り組みとして、例えば定期的に顧客や取引先企業との意見交換会を開催したり、地域住民との情報共有・対話の場を設けたりすることで、信頼関係を構築し共創を進めるケースがあります。
また、そうした場を活用して、顧客からフィードバックを収集し、製品やサービスの改善につなげることも期待できます。
ここでは、実際に企業が取り組んでいるステークホルダー・エンゲージメントの取り組み事例を見ていきます。
企業の取り組み事例
SUBARUグループでは、事業所を置く地域の方々とコミュニケーションを図り、各地域の発展や信頼関係づくりに努めています。
群馬県太田市においては、SUBARUグループとお取引先様、そして太田市をはじめとする周辺地域にお住まいの皆様と一つの輪になって「地域の発展と住み良い街づくり」を目指し、スバル地区交流会を1995年に発足し、ボランティア活動、文化活動、教育活動、市民生活活動に取り組んでいます。また、その他の事業所を置く地域においても、交流会やイベントなどを実施しています。
出典:株式会社SUBARUホームページ(https://www.subaru.co.jp/csr/subaru_csr/stakeholder/)より一部抜粋
M&Aにおけるステークホルダーへの対応
M&Aの実行に際して、登場人物は契約主体のオーナーでだけではありません。
自社をとりまくステークホルダーの中でも、M&Aを行う上で特に配慮すべき「従業員」「取引先」「金融機関」にフォーカスし、それぞれの対応や注意点について紹介します。
従業員への対応・注意点
中小企業の場合は、経営者と従業員が家族同然、近しい関係にあるケースも多くあります。
M&Aの事実を知った場合、従業員の中には、「経営権が他の会社に移ることに対し不安を覚える」、最悪の場合「退職を検討する」という行動をとる可能性も考えられます。
また、M&Aを進めるにあたっては、従業員に対して情報が漏れないことが最も重要になります。
意図せず「会社が倒産するのでは」という噂が社内外に広がってしまい、最悪の場合、従業員の退職が相次ぎ、取引先からの信用を失う事態に陥り、M&A以前に会社の存続自体が脅かされる危険性もあるのです。
そのため、M&Aの事実を伝える順番、タイミング、伝え方については慎重に検討することが求められます。
M&Aが成立した後に、従業員を集めた説明の場を開くことが理想的です。譲受け企業(買い手)側も同席し、M&Aに至った背景や、経営体制、従業員の今後の待遇などについてきちんと説明を行い、不安を払拭することが大切です。
M&Aの伝え方、情報開示(ディスクロージャー)のポイント
譲渡オーナーにとって、M&Aの実行を従業員や取引先、金融機関など関係者に「いつ伝えるか」「どう伝えるか」は大きな関心事の1つです。また、しっかりと意識をもって行わないと、M&A後の経営統合プロセス(PMI)にも影響します。本記事ではM&Aの情報開示について、押さえておきたいポイントをご紹介します。.H04-003-01{background-color:#343d45;color:#fff!imp
取引先企業への対応・注意点
M&Aが確定した後、譲渡側、譲受側が揃って取引先企業を訪問、あるいは挨拶状を送付してお知らせすることが一般的です。
また、取引先と取引基本契約を締結している場合、「通知条項」等の名目で代表者変更や株主変更の事実が通知義務となっていることがあります(チェンジオブコントロール条項)。
通知期限や方法が詳細に定められている場合もあるので、あらかじめ取引先との契約書を確認し、定められた内容に沿ってしっかりと対応しましょう。
チェンジオブコントロール(COC)条項とは?記載例やメリット・デメリットを解説
チェンジオブコントロール条項(以下、COC条項)は、M&Aの場面で特に買い手側企業が把握しておきたい条項です。本記事ではCOC条項が設定されるケースやCOC条項のメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。日本M&AセンターではM&Aに精通した公認会計士・税理士・弁護士など専門家を含めた盤石の体制で安全・安心のM&Aをサポート致します。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。無料相談はこ
金融機関への対応・注意点
メインバンクなど取引のある金融機関にとっては、経営者の交代は非常に重要です。新しい経営者に不安や懸念がある場合は、融資取引の継続が難しくなる可能性も出てくるでしょう。
一般的に、M&Aの最終契約書に譲渡側(売り手)の保証債務解除を定めている場合が多く、融資取引のある金融機関へはM&Aについての情報開示後、速やかに譲渡企業と譲受け企業が揃って訪問し、説明を行うのが望ましいでしょう。
終わりに
以上、ステークホルダーについてご紹介してまいりました。
自社のステークホルダーとの関係構築は企業の経営課題の一つといっても過言ではありません。
特にM&Aの実行といった重大な経営判断は、社内外のステークホルダーに大きな影響を及ぼすため、対応に熟知したM&A仲介会社など専門家のサポートを受け、慎重に進めていきましょう。