コラム

業種特化セミナー「物流企業が高値で会社を譲渡する方法」

山本 夢人

日本M&Aセンター物流業界支援室 室長

広報室だより

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業界別にコンサルタントがM&A戦略を紹介する日本M&Aセンターによるオンラインセミナーが9月14日に開催されました。物流業界支援室長で業界再編部長の山本夢人が「物流企業が高値で会社を譲渡する方法」をテーマに、M&Aにおける運送会社の企業評価のポイントを解説しました。

情報過多の企業評価

M&Aで譲渡企業の適切な価値を算出するために必要な企業評価ですが、価格算定方法を知る人が少なく、世の中にはいろいろな情報であふれています。物流業界では特に変動項目も多いため、経営者の見込む価格と企業評価の価格が乖離することも多いと山本は説明し、「正しい企業評価方法と相場を知ることが大切」と語ります。企業評価は主に資産や負債のバランスを見る貸借対照表(BS)と収益構造を見る損益計算書(PL)を基本に算定しますが、帳簿価格がそのまま適応されるわけではなく、時価への洗い替えが必要なのだという。簿価ではなく時価を計算することになるため、帳簿上黒字経営だからといって必ずしも高い企業評価につながるとは限りません。運送会社では車両など減価償却費も多く、未払い残業代の計上、退職金の引き当て不足等調整項目も多数存在します。それらのチェック項目をしっかりと理解しておかないと客観的な見られ方、企業評価との大きな乖離が起きてしまいます。M&A検討の有無に関わらず企業評価を行う意義について、山本は「自社の企業価値を知ることで現在の立ち位置を理解し、また価値向上のための要素を見つけることができる」と話します。「顧問の税理士の先生に算出していただける相続税評価とM&Aでの株価は全くの別物だと理解することが重要」と指摘します。

企業評価の主に3種類

企業評価には大きく3つの種類に分類されます。純資産に着目するコストアプローチ、株価に注目するマーケットアプローチ、収益力に視点を当てるインカムアプローチになります。 物流業界で多く採用されるのは純資産に着目するコストアプローチになります。

M&A価格はタイミングも大事

M&A業界で語られる業界のライフサイクルにおいて、大手のシェア率が高まるごとに導入期、成長期、成熟期、衰退期に分けることができます。業界再編が進む成長期では売り手市場となり、譲渡企業は買い手を選ぶことができますが、ある程度再編が進んだ成熟期以降は買い手市場となります。物流業界は大手が市場の半分程度のシェアを持つ成長期のステージであり、山本は「企業価値はタイミングも大事。成長期は譲りたい側が相手を選べる」と話し、業界再編が進む物流業界の動向を解説します。ただ「譲渡企業の価値が高いだけが幸せなM&Aとは限らない」と山本は説明します。高すぎる対価となると、そのしわ寄せがくるのは残された従業員となる可能性が高い。それでは本当に成功のM&Aとはいえない。適正価格の譲渡がオーナー、従業員、買い手企業の幸せなM&Aを実現します。山本は「全員が幸せになるM&Aが一番価値の高い譲渡になります」とまとめました。

日本M&Aセンター業種特化事業部のセミナー情報

著者

山本 夢人

山本やまもと 夢人ゆめひと

日本M&Aセンター物流業界支援室 室長

東京大学工学部卒。野村證券、土木資材メーカーの副社長として経営に参画後、日本M&Aセンターに入社。経営者としての経験のもとに中小企業オーナーの立場に立ったM&Aを提案。2019年度全社MVP・最高売上を記録。

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