日本M&Aセンター
M&A Tax Cafe 2019年9月30日

「事業承継のリアル」を学ぶ、若手公認会計士たち ~後半~

2019/7/23、東京・八重洲において若手公認会計士たちが集った。事業承継を学ぶための青年部による開催だ。今業界で注目度が上がっている、事業承継コンサルティング業務。しかし、その全容を学ぶ機会、しかも現場を知っている経験者から学ぶ場は限られる。

そのような課題感から青年部が企画した本セッションには、事業承継業務を学びたいという若手の公認会計士たち20名ほどが集まった。

日本公認会計士協会東京会青年部

2019.7.23日本公認会計士協会東京会青年部特別委員会開催「事業承継のリアル」セッション

後半のQ&Aセッションでは、M&Aや事業承継コンサルなどスポットの仕事について、普段の顧問料以外にどうやって請求するのか、などの彼らにとっての「リアル」な質問も飛び出す、ホンネを語る場となった。

※本コラムは、日本公認会計士協会東京会青年部特別委員会が開催した、「事業承継のリアル」セッションをレポートするものです。

登壇者紹介

花島 宣勝 氏

公認会計士。事業承継・個人の財産承継を含めて考えないと、家族とうまくいかなかったりすることもある。それを含めてトータルでサポートする事業承継支援を行う。

増田 智彦 氏

弁護士。キリンビールでの勤務を経て、司法試験合格。事業再生や倒産、M&Aを扱う。M&A支援の場合は、公認会計士と組んで仕事をすることが非常に多い。事業承継は親族外への承継よりも、親族内承継の支援を行うことがほとんど。

羽田 寛芳

公認会計士。中央青山監査法人を経て、日本M&Aセンター入社。財務・会計・税務の専門家として事業承継M&Aを中心にサポートしており、2019年9月で同社でのアドバイザー歴は14年目。累計関与M&A案件数は1,000件超。

後半は、Q&Aセッションの様子をレポートします。

事業承継に対する公認会計士の皆さんの取り組み、さらに気になる手数料についてなど、活発なやり取りが交わされました。

Q 事業承継税制は、どれくらいの株価があれば使った方がよいのでしょうか?

A 花島:株価500万円でも使うことはあります。事業承継税制は、あくまでも猶予であることを認識しなければいけません。いつかはかかる税金であることをきちんと説明する必要があります。

Q 承継した後にうまくいかなくなったパターンはありますか?

A1 羽田:M&Aの場合は、買い手から送り込まれた社長がうまくなじめずに失速してしまった、めっき業の土壌汚染が発覚して買い手が思っていた建て替えができなくなった、取引先が剥落してしまった、などがありますね。

A2 花島:遺留分トラブルです。生前贈与を受けている場合など、さかのぼって遺留分を請求されてしまうことがあります。以前、実際にあったケースは、経営していた会社に現金があったのと金融機関の協力がもらえたので払えたのですが、手当をしていなければ大変なことになっていたと思います。
事前に取り決めを行っておけば、遺留分を請求されないケースもありますが、すでにもめてしまった後にその請求を退けることは難しいですね。

A3 増田:M&Aでよくあることは、経営者に引継ぎを頼むときにキーパーソン条項を作って引き継ぎを行うのですが、3年くらいあらかじめ定めた期間内にうまく引き継げなかったときに、問題になることがありますね。

Q 顧問契約の範囲内の業務と、事業承継対策の業務のプラスアルファの手数料はどのように請求するのですか?

A 花島:税制対策をやる、となったときにプラスアルファの費用が発生します。贈与など、スポット業務でフィーをもらうこともあります。いつもの担当者ではなく別の専任者が対応しています。当事務所なら、こういう分野の専門家がいて、こうしたサポートもできますよという普段からのアピールが大事ですね。

Q M&Aの場合、実は話が進んでいてDDだけ担当することがあります。そのときのDDに関するフィーをもらっていますか?

A 花島:DDの分は当然、スポットでの業務ですからいただくようにしています。その後の個人財産については個人の資産管理会社を作ってそこの顧問に就任させてもらいます。上場企業のケースだと株がそのままで相続が発生すると相続税が莫大になることがあり、どちらにしろ対策が必要になってきます。そういったことを切れ目なく、長いお付き合いの中で担当します。

Q 事業承継の場面で、こういう人がいたら気をつけた方がいい、という存在はいますか?

A1 花島:相続についてですが、相続人ではない人が出てくるとこじれます。当事者だけだと話し合いでなんとかなることが多いのですが、例えば相続人の配偶者が出てくると結構もめてしまう場面が多いように感じます。

A2 羽田:M&Aの場合で海外拠点があるときは、海外進出したものの現地の運営を現地のマネージャーにまかせっきりになってしまっていて、その人が大きな発言権を持ってしまっていることがあります。経営そのものに関する発言権まで強まっているときは、物事が進まない原因になってしまうこともあります。

A3 増田:私の場合は公認会計士の皆さんが先に地ならしをしてくれているので、それほど多くありません。ただし、経営者本人が自分でなんでもやらなければ気が済まない、決定権を絶大に持ち続けている場合は、納得してもらうのに困ることがあります。

パネラーの皆さん、ありがとうございました。

どんな企業も必ず迎える事業承継。会社の存続だけでなく、経営者一個人の人生に関すること、さらに家族の未来や会社と社員のさらなる発展にも深くかかわる総合的な問題だ。聞けば聞くほど、経営者自分ひとりで、すべての面で満足がいく事業承継を果たせるのは万が一にも等しい。専門家として事業承継のリスクや重点ポイントをしっかりと認識している公認会計士や弁護士とともに、経営者人生の総仕上げをやり遂げることが重要だ。

「事業承継のリアル」を学ぶ、若手公認会計士たち ~前半~ はこちら

※本タイトル記事(前編・後編)は日本公認会計士協会東京会青年部特別委員会の皆様、各パネラーの皆様のご協力により作成いたしました。ここに御礼申し上げます。

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