コラム

社長年齢と業績は逆相関関係 平均年齢は62.49歳に上昇 東京商工リサーチ調査

調査データ
更新日:
理想の買い手企業が見つかります。会社売却先シミュレーションM-Compass。シミュレーションする

⽬次

[表示]

東京商工リサーチが公表した「全国社長の年齢調査」によると、全国の社長の平均年齢は62.49 歳となり、前回調査(2020年6月)から0.33歳上昇しました。社長の高齢化が進展する結果となりました。また経営者の年齢と業績の逆相関関係も浮かび上がりました。赤字企業の割合では、70代以上が22.3%で年代別で最多となるなど、年齢と業績が反比例する傾向が見られました。2020年に「休廃業・解散」した4万9698社に限れば、社長の平均年齢はさらに上昇し、70.23歳で初めて70代に達しました。最新の調査では高齢化によって事業承継を断念し、廃業を決断するケースが増加しています。

企業業績は社長の年齢に反比例

社長の年齢別に直近の企業業績を見てみると、「増収」は30代以下が最多の54.23%で、70代以上になると39.2%で4割を下回りました。「減収」では60代が最多の48.8%を占め、70代以上の48.1 %が続きます。より深刻な「赤字」と「連続赤字」では、70代以上が全年代で最も多く、それぞれ22.3%、10.58%の結果となりました。また40、50、60代の3つの年代で比べると、年代が上がるにつれて数値が悪化するデータとなり、社長の年齢と業績不振の関連性が浮かび上がりました。

平均年齢が最も高いのは6年連続で高知県

都道府県別のデータによると、30都府県で平均値(62.49歳)を上回りました。最も高齢だったのは高知県の64.61歳で、6年連続のトップとなりました。秋田県が64.53歳で全国2位、3位が山形県の63.96歳が続きました。一方で社長の平均年齢が最も若かったのは広島県で61.23歳、大阪府61.25歳、滋賀県の61.51歳の順となりました。地域差はあるものの、地方企業における経営者の高齢化の傾向が見られます。

社長の高齢化が阻む事業継続

2020年に「休廃業・解散」した企業の社長の平均年齢は70.23歳で初めて70代を超え、社長年齢分布では、70代以上が59.7%と6割に迫りました。70代以上の割合が年々高まるなど社長の高齢化が事業継続を阻む要因になっています。

社長の高齢化を止めるには円滑な事業承継と新規ビジネスの創出がカギ

全国の社長の平均年齢は2009年の調査開始以来、上昇が続いており、高齢化に歯止めが掛からない状況にあります。東京リサーチは社長の高齢化の背景には、事業承継と新規開業(新設法人)の停滞が見え隠れしていると指摘しています。新型コロナウイルス感染拡大によって、2020年の新規法人数も微減するなど経済活動が停滞し、経営者層の新陳代謝も進んでいないと分析しています。後継者の選定と交代には数年の準備期間が必要とされるため、円滑な事業承継の実現には経営者の早めの準備が欠かせません。国と地方自治体、金融機関等が事業承継と新規ビジネスの創出を後押しし、廃業の支援を含めた多方面的な取り組みが求められているとまとめています。

出典:東京商工リサーチ「全国社長の年齢調査」 東京商工リサーチ「全国社長の年齢調査」

著者

M&A マガジン編集部

M&A マガジン編集部

日本M&Aセンター

M&Aマガジンは「M&A・事業承継に関する情報を、正しく・わかりやすく発信するメディア」です。中堅・中小企業経営者の課題に寄り添い、価値あるコンテンツをお届けしていきます。

この記事に関連するタグ

「中小企業・事業承継・経営者」に関連するコラム

事業承継・引継ぎ補助金とは?中小企業庁が解説!

広報室だより
事業承継・引継ぎ補助金とは?中小企業庁が解説!

本記事では、事業承継・引継ぎ補助金の概要と、本補助金の制度運用を担う、中小企業庁財務課の高橋正樹課長補佐による解説(※)、最新の公募概要をご紹介します。※本記事は2021年6月30日に公開された内容を編集しています。役職等は取材当時の内容です。事業承継・引継ぎ補助金とは事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継や事業再編、事業統合を促進し、日本経済の活性化を図ることを目的とした補助金です。具体的には、事業

業種特化セミナーがスタート

広報室だより
業種特化セミナーがスタート

日本M&Aセンター業種特化事業部によるオンラインセミナー「全17コマ9月横断業種特化セミナー」が2021年9月10日から始まりました。高い専門性を駆使してM&Aを成功に導くコンサルタントがIT、物流、調剤、建設、食品、製造の業種別に最新M&A事例や成長戦略を解説します。(※当セミナーは終了しました)IT業界M&Aからスタート「売上20億円以上の受託開発ソフトウェア業におけるM&A戦略」をテーマに、

日本M&Aセンター初の"売らなかった経営者”が語るオンラインセミナー

広報室だより
日本M&Aセンター初の"売らなかった経営者”が語るオンラインセミナー

創業以来、セミナーを企業文化としてきた日本М&Aセンターで史上初めてとなる、M&Aを検討しながら譲渡しなかった経営者が体験談を語るウェビナー「成長戦略セミナー私が会社を売らなかった理由」が2021年8月25日に開催されました。逆説的でありますが、М&A仲介のリーディングカンパニーだからこそできる話題のセミナーとなりました。結果的に当社をM&A仲介ではなく“経営コンサル”としてご活用した経験談となり

日本企業のM&Aが過去最多 2021年上半期

広報室だより
日本企業のM&Aが過去最多 2021年上半期

M&Aの件数が過去最多のペースで進捗しています。レコフM&Aデータベースによると、2021年上半期(2021年1~6月)に公表された日本企業が関連するM&A件数が2,128件となり、新型コロナウイルスが感染拡大する前年の2019年上半期(2,087件)を上回り、上半期ベースでは過去最多を記録しました。M&A専門誌「MARR(マール)」の吉富優子編集長=レコフデータ代表取締役社長=は「政府が旗振り役

観光産業の休廃業・解散が高水準で推移 2021年上半期 帝国データバンク動向調査

調査データ
観光産業の休廃業・解散が高水準で推移 2021年上半期 帝国データバンク動向調査

帝国データバンクの全国企業「休廃業・解散」動向調査で、2021年上半期(1-6月)において全国で休廃業・解散した企業は2万8400件で、前年同期比4.6%減となりました。ただ前年同期比で2割以上の減少となった倒産件数(3038件、21.8%減)と比較すると、減少幅は小さく、特に観光産業の休廃業・解散は高水準で推移しています。ホテル・旅館は104件(前年同期比37件増、55.2%増)、旅行代理店は5

早稲田大で日本M&Aセンターが初の寄附講座「起業家養成講座」

広報室だより
早稲田大で日本M&Aセンターが初の寄附講座「起業家養成講座」

日本M&Aセンターにとって、初めての寄附講座「起業家養成講座」が2021年度前期に早稲田大学商学部で開講し、7月20日までに全15回の講義が行われました。講座はビジネスプランコンテストに連携し、起業意欲が高い学生が集まる講義として有名です。M&Aによる中小企業の事業承継を世の中に普及させた当社代表取締役社長の三宅卓や公認会計士で当社取締役コーポレートアドバイザー統括部長の熊谷秀幸、学生時代に起業経

「中小企業・事業承継・経営者」に関連するM&Aニュース

アダストリア、TODAY'S SPECIAL事業及び GEOROGE'S事業を吸収分割により承継する会社の株式取得(子会社化)へ

株式会社アダストリア(2685)は、2024年4月17日開催の取締役会において、株式会社ウェルカム(東京都目黒区)が運営するTODAY'SSPECIAL事業及びGEOROGE'S事業を、吸収分割により承継する会社(以下「対象会社」)の全株式を取得し、子会社化することについて決議した。なお、本件は、ウェルカムの100%子会社である株式会社トゥデイズスペシャル(東京都目黒区)に対して、吸収分割の方法に

日本郵政、主要子会社の不動産管理等に関する業務を日本郵政建築に承継へ

日本郵政株式会社(6178)は、2024年2月26日開催の取締役会において、2024年7月1日を効力発生日(予定)として、会社分割の方法により、子会社である日本郵便株式会社、株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険(以下、合わせて「主要子会社」)等に対して行う不動産の管理等に関する業務を、2024年4月1日に設立予定の100%子会社(以下「当該子会社」)へ承継させることを決定した。【子会社の

イトーヨーカ堂、北海道・東北・信越エリアの一部店舗の事業承継等を発表

株式会社イトーヨーカ堂(東京都千代田区)は、北海道・東北・信越エリアの一部店舗について、株式会社ヨークベニマル(福島県郡山市)、株式会社ダイイチ(北海道帯広市)及び食品スーパーロピアを運営する株式会社OICグループ(神奈川県川崎市)と事業承継等に関する契約を締結した。【本件の目的】2023年3月9日に株式会社セブン&アイ・ホールディングスが公表した「中期経営計画のアップデートならびにグループ戦略再

M&Aで失敗したくないなら、まずは日本M&Aセンターへ無料相談

コラム内検索

人気コラム

注目のタグ

最新のM&Aニュース