2024年11月の物流トラック運送業界M&Aを読み解く

荒瀬 貴文

日本M&Aセンター業種特化1部

業界別M&A
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物流業界の2024年11月の公表M&A件数は10件

11月における公表ベースでのM&A(合併・買収)は10件でした。 前年同月の20件と比較して10件の減少となります。

ただ、年間累計でみると23年1月~11月の物流業界におけるM&A件数が91件だったのに対し、24年1~11月の実績は111件と20件増加しています。

切り離し、内製化進む物流業界再編

大手・中小を問わずに、物流事業の切り離し、物流事業の内製化、新たな事業ポートフォリオ獲得、ファンドによる投資など、あらゆる背景からM&Aが実行されている。まさに業界再編の真っただ中という印象を受けます。

ヤマトホールディングスが総合物流業務を手掛けるナカノ商会の株式を取得しました。 ナカノ商会は、補完・庫内作業・輸送サービスのほか、顧客仕様に再構築した物流施設のサブリースなど顧客ニーズに合わせた複数の機能を一貫して提供しています。 小売事業者、食品などのメーカー・サプライヤー、EC(電子商取引)事業者を中心とする法人顧客を抱えています。

ヤマトHDはナカノ商会を傘下に加えることで、CL(コンストラクトロジスティクス)事業とEXP(エクスプレス)事業の拡大を目指す。

宅配サービスに強みを持つヤマトHDだが、M&Aを買う擁して法人ビジネス領域を拡大し、3PL (サードパーティー・ロジスティクス)の強化を図ることが目的です。

近年、EC化や小口・多頻度化の進展に伴い、ロジスティクスの複雑化が進んでいます。 様々な規制の強化にも対応していかなければなりません。 このような目まぐるしい事業環境の変化により、物流事業者(荷主企業を含む)は経営の難度が増しており、効率的な事業運営を求めるようになっています。

その結果、物流のアウトソーシング(外部委託)ニーズが高まると予想しています。

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実際に2009年から2023年の15年間で3PL市場の規模は3倍以上に拡大し、2022年度には4兆円に到達。今後も更なる拡大が見込まれています。

ヤマトHDとナカノ商会

ナカノ商会のような企業が戦略的にヤマトHDの参加に入る事例は1社単独での経営が多くの企業にとって必ずしも最適な選択肢ではないことを示唆しています。 このようなM&Aは競争力を高め、リソースを最適化する有効な手段と成り得る。

大手企業を中心とした業界再編は中小企業にとって、ネガティブな影響が出てくると予想する。下請け業務の統廃合で既存の業務を整理し、重複する取引先や業務を削減する事例、大手企業の統合で外注を減らし、輸送を内製化させるケースなどが想定されます。

市場の動きを観察し、多くの企業に最良の選択を取っていただきたいと考えています。

日本M&Aセンターでは、事業売却をはじめ、様々な手法のM&A・経営戦略を経験・実績豊富なチームがご支援します。詳しくはコンサルタントまでお問合せください。

著者

荒瀬 貴文

荒瀬あらせ貴文たかふみ

日本M&Aセンター業種特化1部

運行管理者資格保有(関東貨物第46628号) 1994年生まれ、島根県出身。新卒で第一生命保険に入社、リテールセールに従事した後営業マネジメントに携わり、日本M&Aセンターに入社。物流業界専門チームにて主に物流企業のM&A支援に携わる。

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