2025年4月の物流トラック運送業界M&Aを読み解く
⽬次
物流業界の2025年4月の公表M&A件数は13件
2025年4月における公表ベースでのM&A(合併・買収)は13件で、前年同月の11件と比較して2件の増加となった。
4月のM&Aを振り返ると、「海外展開を加速する上場企業」「同県内で統合を進める地場の
中堅・中小企業」の2パターンが特徴に挙げられる。
海外展開への対応を求められる物流企業
25年に入り上場企業のM&Aは14件を数えるが、このうちの7件は国内企業が海外企業を買収するM&Aとなっている。
現在、国内は人口減少や人手不足、高齢化の影響で消費が落ち込み、経済の縮小が懸念されている。
このため、製造業や小売業をはじめとする多くの業界がASEAN(東南アジア諸国連合)や北米などの海外市場に進出し、販路を広げる動きを強めている。
こうした各企業の海外展開へ対応するため、物流企業は積極的に対応している。
多くの荷主企業が国内市場縮小への備えとして海外展開に注力しているのに伴い、物流業界でも持続可能な成長を目指して海外に目を向けたM&Aを加速。
現地企業の買収や提携を通じてサービス対応力を高めるなど、グローバルな物流網の構築を急いでいる。
中堅・中小はM&Aによる人材・拠点確保が主流
一方、国内では地域を代表する中堅・中小企業による同じ県内の事業者を対象としたM&Aが目立つ。
県内でのプレゼンス(存在感)を高めつつ、人材に関する課題を解決するM&Aが活発化している。「2024年問題」による労働時間の総量規制もあり、自前での拠点展開や人材採用が難しくなってきている中、中堅・中小企業はM&Aを成長戦略の中核に据えているとみられる。
数年前は「飛び地での拠点確保を目的に買収をしたい」という相談がメインだったが、労働時間規制を背景に業界再編の主役が「長距離事業者」から「中・近距離事業者」に移ってきている。
中堅・中小企業は「量」よりも「質」を伴った物流網の形成を目指す動きを強めていると映る。今後、事業規模の大小を問わないM&Aがますます増え、業界再編は進んでいくだろう。