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【スペシャル対談】クラウドワークス×日本M&Aセンターが巻き起こす、人材流動化革命

広報室だより
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日本の生産性はもっと上げられる昨今の「副業ブーム」にも後押しされ、日本最大級のオンライン人材マッチングプラットフォームを開発・運営するクラウドワークスを取り巻く環境は大きく変化しています。今後同社は戦略的なM&Aにより、ともにビジョンを実現していく企業をグループに迎え、業界をけん引する企業として国内の人材流動化をさらに加速させていくといいます。同社が日本M&Aセンターと連携することで、業界の未来をどのように変えていくのか。クラウドワークス代表取締役社長兼CEO 吉田浩一郎氏と、日本M&AセンターIT業界専門グループリーダー竹葉 が語ります。

人材流動化は急激に加速する

日本M&Aセンター竹葉 クラウドワークスは人材マッチング市場を切り拓いてきたトップカンパニーですね。

クラウドワークス吉田 創業は2011年です。2011年11月11日11時11分11秒、株式会社クラウドワークスを登記しました(笑)
2012年から企業と個人がオンラインで直接つながり、仕事を受発注できるクラウドソーシングのサービスを提供しています。2022年12月末時点で542万人のユーザーと、87.5万社が利用しており、企業の業務プロセスや個人の働き方に革新をもたらしています。
2014年には東証マザーズへ上場し、2022年度は過去最高の売上高100億円に達しました。

株式会社クラウドワークス 代表取締役社長兼CEO 吉田浩一郎 氏


東京学芸大学卒業。パイオニア、リード エグジビション ジャパンを経て、株式会社ドリコム 執行役員として東証マザーズ上場を経験した後、独立。アジアを中心に海外へ事業展開し、日本と海外を行き来する中でインターネットを活用した時間と場所にこだわらない働き方に着目、2011年11月、株式会社クラウドワークスを創業。クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」を立ち上げ、日本最大級のプラットフォームに成長させる。

竹葉 クラウドワークスは設立からわずか3年で上場、2016年9月期に売上10億を超え、そこから6年間で売上100億を超えるまでの企業に成長されました。上場後も順調に成長され非常にすばらしいですよね。

吉田 上場してからも赤字を続けていた時は、周囲から「もう上場したから引退すれば良いのでは?」「クラウドソーシングは絶対に利益が出る構造にないよ」などと言われることもありましたが、学び続け、自己変革を続け、ようやくここまで来たという感じです。

竹葉 ECサイトで商品を買うように「働く人のスキルとネットで出会えるサービス」を作ってこられたんですね。まさにスキルECやクラウドソーシング業界の開拓企業といえますね。

吉田 世の中の流れが大きく変わってきたのもあります。フリーランスの市場だけでなく、2018年に政府が副業を解禁し、副業推進を訴え続けて約5年、人材流動化領域の最後の壁であった正社員領域もやっと動き始めました。またコロナの影響でリモートワークが浸透したり、「週4日正社員」などの制度が始まったりと、個人の働き方が大きく変化しました。実際、当社のサービスには日本の名だたる企業の正社員が、副業を目的として履歴書を登録しています。転職市場には出回らない、副業人材の履歴書データベースがこれだけたくさんあるのは、日本で唯一クラウドワークスだけだと思います。

竹葉 フリーランスと企業のマッチングサービスとしてだけでなく、正社員の副業サービスとして成長していくということですね。

日本の生産性はもっと上げられる

竹葉 急成長するクラウドワークスですが、今後の目標を教えてください。

吉田 2020年に「売上総利益CAGR+20%以上成長を10年続ける」と宣言し、2022年9月期は成長率+33.7%を前倒しで実現。この成長率を10年継続しつつ、2023年9月期においては売上130億・EBITDA12億を“最低ライン”として目指していきます。
今後は「個のためのインフラ」を目指し、次の10年で「オンライン人材市場」の圧倒的No.1となるため、取り組んでいきます。ここでいう「オンライン人材市場」とは、ここまで手がけてきたクラウドソーシングによる人材マッチング事業や副業人材市場のみならず、もっと広い、転職市場やコンサル市場、SIやBPO市場との境界があいまいに溶けて広がったその先をイメージしています。

竹葉 自社で伸ばしてきたクラウドソーシング事業以外の新しい部分を補うためにM&Aを活用し、ジョインしてもらった企業と一緒に事業を拡大させていくということですね。

吉田 はい、これまでも何社かM&Aを実施しています。2017年にM&Aでジョインしたもらったヒューマンリソース事業を展開するgraviee社は、当社クラウドテック事業との連携により、M&A後も年間30%成長を続けていますし、工数管理ツールを展開するクラウドログや、IT人材のマッチング事業を手掛けるコデアル社などもクラウドワークスグループのリソースを活用することによって大きく成長しています。
これまでのM&Aは自社のサービスに近いテック企業が中心でした。今後は人材派遣業やソフト開発会社など、リアルなインフラ産業の企業にもグループインしていただきたいと考えています。

竹葉 自社と近しい領域のM&A経験から成功の型ができ始めていますね。クラウドワークスならではの強みは、どこにあるのでしょうか?

吉田 我々の競争力の源泉であり最大の強みは、転職市場にもどこにも出ていない人材のデータベースです。クラウドワークスには87.5万社にのぼる登録クライアント企業と、542万人の登録ワーカーのデータが集結しています、昨年期1年間で、ほとんど広告を打たずに、8.6万社のクライアント、約60万人ものワーカーの新規登録がありました。
私たちが次に注目している業界の一つは、人材派遣業界。人件費の高騰や、企業側も3年が経過したら正社員への登用が必要になってくる3年ルールなどにより、人件費の変動費化を目的として派遣を活用しているのに、実態としては固定費化されているなどの課題を抱えています。派遣元の企業についても、単に人を派遣するモデルのみでは単価も上げにくいでしょう 。
クラウドワークスグループに入ってもらえば、私たちのプラットフォームに登録している人材がコンサルティングを行い、提供する付加価値を高めることで単価をアップすることができます。またコンサルティングをする中でシステムの開発需要等がでてくれば、これも私たちのプラットフォーム上のITエンジニアを活用いただける。クラウドワークスグループの人材流動化プラットフォームの中に入ることで、自社単独では実現できなかったことが可能になり、顧客へのサービスメニューも増やすことが可能になります。

竹葉 クラウドワークスとM&Aをするメリットはどのような点でしょうか?

吉田 「クラウドワークス独自の経営フレームワーク」と「膨大なユーザーデータ」という2つの経営資源を提供できることかと思います。
クラウドワークス独自の経営フレームワークに関しては、クラウドログという生産性管理ツールを外販し始めたように、社内には生産性向上のためのノウハウが豊富にあります。それらを対象企業に適用して、より効果のある領域に投資をして企業をさらに成長させることが可能になります。また、プロダクト開発、営業支援、新規事業の立ち上げ、人材育成など、グループでしっかり支援させていただきます。
そして何より、膨大なユーザーデータの活用により、対象企業の不足している社内リソースを補完したり、新規クライアントをグループで紹介したりすることができます。過去のPMIの経験から、M&A後のシナジー創出の精度は上がってきていると感じています。

竹葉 リモートでのスキルの提供が可能になったことで、特に地方の人材派遣会社などにとってはメリットがありそうですね。当社には、日本全国へのネットワークがあります。後継者不在や成長に課題を抱えている人材派遣業の会社も数多くあります。クラウドワークス社のビジョンに共感してくれる企業様をぜひご紹介したいですね。

吉田 私たちのビジョンは、「世界で最もたくさんの人に報酬を届ける会社になる」ことです。目標は流通取引総額2兆円で、トータルの報酬金額は1.6兆円を達成すること。この報酬額は、日本で最も従業員に対して報酬を支払っていると言われる、国内最大手の自動車メーカーの報酬額とほぼ同じです。流通総額2兆円のプラットフォームを作ることができれば、社会の新しいインフラになると思います。ただこれらのビジョンも私たちだけでは実現できません。M&A業界1位の日本M&Aセンターならではのノウハウ、知見、データベースを活用させていただきながら、ビジョンを一緒に実現してくれる仲間を増やしていきたいと思っています。

プロフィール

竹葉 聖

竹葉たけば きよし

日本M&Aセンター 業種特化1部 チーフマネージャー/IVS2023 LAUNCHPAD KYOTO 審査員

公認会計士試験合格後、有限責任監査法人トーマツを経て、2016年に日本M&Aセンターに入社。IT業界専門のM&Aチームの立上げメンバーとして7年間で1000社以上のIT企業の経営者と接触し、IT業界のM&A業務に注力している。18年には京セラコミュニケーションシステム(株)とAIベンチャーの(株)RistのM&A、21年には(株)SHIFTと(株)VISH、22年には(株)USEN-NEXTHOLDINGSと(株)バーチャルレストラン等を手掛ける。IVS2022 LAUNCHPAD NAHA及びIVS2023 LAUNCHPAD KYOTO審査員

著者

M&A マガジン編集部

M&A マガジン編集部

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