コラム

東南アジアM&A最前線:シンガポールから

西井 正博

Nihon M&A Center Singapore(シンガポール現地法人) Managing Director(代表取締役)

海外M&A

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日本M&Aセンターは2016年、シンガポールに初めての海外拠点を設けました。
当初は、私が立上げ部隊として1人でスーツケース1つだけで現地に移住し、ゼロからの中堅・中小M&Aビジネスを開拓していきました。
おかげさまで現地でも我々のサービスは受け入れられ、実績を積み上げ事業も拡大し、現在は10人ほどのメンバーで活動をしております。
今回は、そんなシンガポールの中堅・中小M&A最新事情を現場の視点でお送りいたします。

注目される海外M&Aそして東南アジア市場

近年、更なる成長が難しい日本市場に限界を感じ、多くの企業が海外M&Aを新たなる成長の手段として考えるようになっています。
弊社海外事業部への問い合わせも年々増えている状況です。

下記図は日系企業によるASEANでのM&A件数の推移ですが、2016年~2019年でおよそ1.5倍になっています。
2020年はコロナの影響でM&A活動そのものが停滞してしまっておりましたが、2021年になって再び積極的に検討をする企業が増えてきているのが現場での実感となります。

【日系企業によるASEAN5ヵ国 M&A件数推移】

出典:レコフM&Aデータベースより日本M&Aセンター作成

東南アジアで最もM&A件数が多い国シンガポール

シンガポールといえば、人口も少なく、面積も東京23区程度の小さい国と思われるかもしれませんが、実は日系企業による東南アジアM&Aのうち、シンガポールでのM&Aが44%(2019年)を占め最も盛んな国になっています。

我々も数多くのM&Aをシンガポールでお世話してきましたが、日系企業側の検討理由としては主に下記の3点に集約されると感じています。

  • 世界でも屈指のビジネス環境:東南アジアの中で最も癖が無く、日系企業でもビジネスがしやすい
  • 会計・法務共に非常に高い透明性:アジアで最もM&Aがしやすい国
  • 東南アジア市場へのゲートウェイとしての役割:シンガポールを起点として東南アジア市場を攻める

上記の各点については、また別の記事で触れていければと考えています。

超高齢化社会に突入する国シンガポール

アジアでも屈指の先進国であるシンガポールは、出生率が極端に低く今後間違いなく日本と同じように高齢化社会となります。
下記図「シンガポールと日本の60歳以上の人口割合の予測推移」にある通り、およそ20年後には現在の日本と同じ程度の高齢化社会となります。

日本でも事業承継問題が社会問題化したのは過去10年くらいの事ですが、シンガポールでは近い将来に間違いなく現在の日本と同様、事業承継問題が社会問題化することが予想されます。ということは、日本で過去20年間起きた事がそのままシンガポールで起こるということであり、実際にシンガポールの現場では事業承継M&Aのご相談を数多くいただいております。

【60歳以上の人口割合:日本&シンガポール】


出典:United Nation World population prospects 2019より当社作成

検討しやすい中堅・中小企業M&Aマーケットが今後拡大していくシンガポール

我々にお問い合わせ頂く多くの企業が、数百億円規模の案件は検討のハードルが高すぎる為、検討のしやすい数億円~数十億円程度の案件を検討したいと言われます。
シンガポールでは上記にある通り、近い将来中堅・中小オーナー企業の事業承継問題が日本と同じ様に社会問題化します。
これは、検討のしやすい規模(数億~数十億円規模)のM&A案件の数が増えていくことを意味します。
従って、日本市場の閉塞感という構造的な問題が存在する限り、今後東南アジア・シンガポールのM&Aはますます増えていくことが予想されます。

今回の記事はいかがだったでしょうか?今回はシンガポールという国のM&A事情をざっくり解説させて頂きました。今後も、より具体的な事項を現場の視点からレポートしていきたいと思います。

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著者

西井 正博

西井にしい 正博まさひろ

Nihon M&A Center Singapore(シンガポール現地法人) Managing Director(代表取締役)

2008年日本M&Aセンターに入社。入社以来、一貫して中堅・中小企業M&Aを担当。2016年シンガポール国立大学のMBA課程修了後、シンガポールオフィスの設立に携わり、以降は東南アジアの中堅・中小企業と日本企業の海外M&A支援に従事。これまで30件以上の国内外M&A支援実績を持つ。

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