コラム

同業・異業種のM&Aで成長スピードを加速 グループ年商150億円を目指す西和物流の挑戦

広報室だより
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M&Aの経験豊富な経営者から経営哲学やM&Aの狙いを聞くインタビューコーナー「巧者に学ぶM&A戦略」が始まりました。初回は奈良県に本社を構える総合物流企業の西和グループです。これまで6度の同業・異業種のM&Aを実行し、グループを拡大させて成長を続けてきました。地元メディアや業界誌で注目企業に選定されるなど地域と業界の発展にも貢献されています。西和グループの中核企業である株式会社西和物流の萩原良介代表取締役社長に聞きました。

御社について教えてください

高校卒業後、幼馴染の山崎和哉専務取締役と二人で創業し、常に右斜め上を見て突っ走ってきました。「日々感謝」を企業理念とするグループは運送業、倉庫業、自動車整備業、美容業の計12社に広がり、従業員は400人を超えています。創業から売上は落ち込んだことはなく、増収基調を続けています。大阪と奈良に倉庫を構え、関西エリアのドラッグストアへの配送に特に強みを持っています。また関西から九州にも多くの荷物を運んでいます。創業当時から従業員の仲間を大切にし、共に成長して厳しい競争を勝ち抜いてきました。

M&Aをするきっかけは

当初、西和グループは2030年までにグループ年商100億円を目指していました。しかしながら数年前からドライバー不足が顕在化し、会社の成長でも頭打ちを感じるようになっていました。伸び悩む中で次のステップを考えた時に、以前から興味があったM&A戦略を取り入れることを決めて、日本M&Aセンターに依頼しました。ただ最初はM&Aの資金をいつ準備するかも分からず、文字通り右も左も分かりませんでしたし、不安もありました。

一方でM&Aを重ねるごとにノウハウの獲得や自信も付き、M&Aによる相乗効果を感じることも増えてきました。2021年までに同業と異業種の計6社をM&Aで譲り受けました。M&A前までのグループ年商は50億円程度でしたが、順調に成長を続けて、数年以内には着実に年商100億円を狙えるまでになっています。目標としていたグループ年商100億円も150億円に上方修正しました。

M&Aが成功するにはどんなことが必要でしょうか

M&Aが成功するためには人間関係を構築することが一番大切です。企業を買う方も不安ですが、譲り渡す企業とその従業員は我々よりも、もっと不安なはずです。私の場合は譲り受ける企業に最初に伺う時に、余計な不安を従業員に与えないようにあえて私一人で行くようにしています。まず自分たちの会社やグループの夢や目標を自分の言葉で語り、相手に信用してもらえるように行動することを心掛けています。「腹を割って」話せる関係が人間関係でもM&Aでも重要ではないでしょうか。

M&A後の統合プロセスであるPMIも非常に重視しています。PMIにはまず会社同士のルールを合わせるガバナンスが必要で、企業同士が同じベクトルに向いてもらうためのルールの統一も求められます。我々はアフターコンサルにお願いして、PMIを進めています。自分たちが言いにくいことを第三者的な立場で代弁してくれる存在も必要だと感じています。

同業だけではなく異業種のM&Aも実行されています。どんな狙いがありますか

若いころに仕事を頑張り過ぎて、心身のバランスを崩したことがありました。健康でなければ良い仕事も家族を幸せにすることもできないと実感しました。その経験から従業員とその家族にも笑顔になってもらうためには、何より健康が必要不可欠です。M&Aによって美容業界の会社にも仲間になってもらいました。従業員とその家族の健康を考え、社会基盤を形成するエッセンシャルワークのグループ企業を作りたいとの思いもあります。ビジネス的にも運送と美容を掛け合わせる訪問美容など新しい分野にも挑戦していきます。美容と健康を通じて、全ての人々と従業員・家族が明るく幸せに暮らせる環境を整えることを目指しています。

今後の抱負をお聞かせください

今後もM&Aを活用して、自分たちの強みをさらに成長させ、新しい分野への挑戦も続けていきたいです。人材不足な物流業界だからこそ、ドライバーの派遣など人材派遣業にも関心を持っています。本業では自分たちの強みをより発揮できるように九州での二次配送をさらに展開できるようなM&Aも検討しています。全従業員とその家族が誇れる企業に、そして2030年にグループ年商150億円を目指してまいります。これからも仲間と一緒に突っ走っていきます。

西和グループのホームページはこちら

著者

M&A マガジン編集部

M&A マガジン編集部

日本M&Aセンター

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