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『TOKYO PRO Market』Special対談インタビュー
TOKYO PRO Marketを、「企業成長」「地域活性化」「事業承継」等のツールとして多くの企業様にご活用いただける市場に

東京証券取引所が運営する、TOKYO PRO Market。
IPOの世界に20年以上携わり、創成期からTOKYO PRO Marketに関与、東京証券取引所の上場推進業務を約6年間ご担当されている絹谷様に、TOKYO PRO Marketの過去(立ち上げ時)から現在に至るまでの変化、市場にかける想い、そして、今後の展望などを、率直に語っていただきました。

TOKYOPROMARKET_Special対談インタビュー

左:株式会社東京証券取引所 上場推進部 課長(取材当時)絹谷 秀次 氏、右:当社 TOKYO PRO Market事業部 上場推進部 部長 臼井 智

急成長中の株式市場、TOKYO PRO Market

臼井:2009年に開設されたTOKYO PRO Market。昨年は新しく10社が上場し、かなり盛り上がってきていると思うのですが、開設時から振り返ってみていかがですか?

絹谷氏:TOKYO PRO Marketは、2012年にTOKYO AIMから東証が引き継ぐ形で始まったのですが、その当時から私はTOKYO PRO Marketに関連した業務に携わっています。当時は稼働しているJ-Adviserの数も少なく、TOKYO PRO Marketはほとんど世の中に認知されていませんでしたので、我々が金融機関や事業会社に出向いてプロモーションしても反応は薄い状態が続いていました。
それが今日では、大手メディアにも取り上げられる機会も増え、定点で見ますとTOKYO PRO Marketの上場企業数は45社とまだまだ少ないですが、ここ数年は、かなりポジティブな動きも出てきていて手ごたえを感じるとともに、とても嬉しく思っています。
昨年はTOKYO PRO Marketが10社、その他の市場を含めると、合計で約100社が新たに上場を果たしました。全体のうち、1割がTOKYO PRO Marketに上場をしているのが現状なんですけれども、それが2割3割となってくる時代もそう遠くないと思っています。例えばマザーズへの上場企業数が倍増するというのは考えづらいですが、上場のための制度設計が全く異なるTOKYO PRO Marketであれば、十分その可能性を秘めています。そういった状態になったときに、TOKYO PRO Marketは現状とはまた違った立ち位置になっているかもしれないですね。

臼井:ここ最近は特に注目度が増していますよね。我々がJ-Adviser資格を取得した頃と比較しても、市場の雰囲気は全然違うように感じます。

絹谷氏:2019年にJ-Adviser資格を取得されたんですよね。それからまだあまり期間は経過していませんが、たしかにその時と比べてもTOKYO PRO Marketの熱量は格段に上がってきています。

臼井:資格取得時は東証の皆さまが当社まで来て、色々とサポートをしてくださって。すごく親切に対応いただいたことを覚えています。その節はありがとうございました。

絹谷氏:いえいえ。IPO関連の関係者って、昔からあまり変わっていなくて、みんな長いんですよね。私ももう20年、IPOに関する仕事をしておりますし、30年、40年とやっている人もいます。いわゆるIPO村のような感じです。
そんな中で、TOKYO PRO Marketはまたちょっと色が違っていて。たぶんTOKYO PRO Marketがなかったら日本M&Aセンターさんのようなプレイヤーとはお会いする機会もなかったでしょうし、そういう意味ではIPO村に入られるメンバーの範囲が広がってすごく刺激的ですし、勉強にもなります。そういう意味でもTOKYO PRO Marketは良いマーケットだなと思っています。

株式会社東京証券取引所 上場推進部 課長(取材当時)絹谷 秀次 氏

株式会社東京証券取引所 上場推進部 課長(取材当時)絹谷 秀次 氏

TOKYO PRO Marketの成り立ち

臼井:経営者の皆さまと面談をしていると、「なぜ東証さんはTOKYO PRO Marketを作ったの?」と聞かれることがあります。質問される頻度もけっこう高いのですが、この点について教えていただけますか?

絹谷氏:そうですね。我々も聞かれることが多いです。もともとは、東証とロンドン証券取引所の共同出資による「TOKYO AIM」から始まりました。設立の背景としては、グローバルにみたときに当時(2008年)の日本は、スタートアップをはじめとしたベンチャー企業などに十分なリスクマネーが供給されていない、といった課題がありました。それを打破するために、個人投資家というよりも、一定の投資経験やノウハウを持ち、リスクテイクができるプロ投資家限定という構造にして、「ロンドンAIM」を模して市場を作ってみてはという議論になり、法改正が行われ、TOKYO AIMが創られました。
TOKYO AIMのコンセプトは、アジアのセントラルマーケットは言い過ぎかもしれませんが、日本のみならずアジア諸国のスタートアップ企業に上場してもらって、ベンチャー企業へリスクマネーを供給することを第1の目的にしていました。それを実現するために、制度設計上最初から英文のみでの開示も認めるなど、外国株の上場もしやすい環境にしています。
ただ、フタをあけてみると、リーマンショックのタイミングが重なってしまったということもあるのかもしれませんが、“企業としてはまだ早い段階の、スモールな会社”に対してお金を入れてくれるプロ投資家は現実にはそこまで多くないことも事実でして、プロ成りできる(プロ投資家になれる)個人も少ない。海外居住者であれば個人であっても市場に参加できることにはなっていますが、海外企業を呼び込めていないので、最初に掲げたアジアのハブという目標はなかなか達成できないという状況になっていました。そういう流れもあり、TOKYO AIMの運営が中々軌道に乗らずロンドン取引所が撤退し、その後、東証が引き継ぐ形で現在の「TOKYO PRO Market」になりました。

東京証券取引所_上場企業数の推移

絹谷氏:こういった背景はありますが、TOKYO AIM時代のコンセプトにこだわることなく、より多様な企業に幅広くTOKYO PRO Marketを使ってもらいたいと思っています。上場のための制度設計はマザーズ等の一般市場に比べて非常に柔軟になっていますので、企業によって、もっといろんな使い方があると思います。今後はさらにバラエティに富んだ活用のされ方が進んでいくといいなと思っていますし、いろんなパターンの成功事例がでてくれば、それがTOKYO PRO Marketの訴求ポイントにもなってくると思うんです。
日本のIPO市場としてはマザーズが定着していますが、多くの企業にとってはマザーズへの上場のハードルは相当程度高いのも事実です。そのため、上場を現実的なものとして捉えることができない経営者の方も多くいらっしゃると聞きます。TOKYO PRO Marketでは上場のための制度を柔軟に設計しておりますので、上場というスキームをこれまで以上に多くの企業の成長に役立てていただきたいと思っています。

TOKYO PRO Marketの現状

臼井:本当にいろんな可能性を秘めたマーケットだと思います。TOKYO PRO Marketに名称を変更して来年でちょうど10年ですが、これまでにどんなことに注力し、どんなご苦労がありましたか?

絹谷氏:いちばんは、上場会社数を増やさないといけないということを思っていました。そうしないと、そもそもTOKYO PRO Marketというマーケットが存在しているのかもわからない状態になってしまいますので。まずは利用者を増やすことを“第1フェーズ”として、この10年は注力してきました。
上場企業数が増えないと事例もでてきません。そうなると、「TOKYO PRO Marketはこういう使い方ができるんですよ」とお伝えしても納得してもらえませんよね。以前から「マザーズやJASDAQに上場するための第1歩としてTOKYO PRO Marketに上場しませんか?」「TOKYO PRO Marketを経由することで、結果として一般市場への上場が早期に実現する可能性もありますよ」とお伝えはしていたのですが、その実績がなかったので信じてもらえませんでした。「それ本当ですか?」「逆に手間じゃないですか?」などと言われたりして(笑)
ですが、歯愛メディカルさんが2017年にTOKYO PRO Marketから一般市場(JASDAQ)に初めて上場して、ひとつ潮目が変わりました。こんな事例もありますよとお伝えできるようになり、今までは机上の空論のように聞こえていた部分もあったと思うのですが、話にリアリティがでるようになりました。経営者の皆さまにも納得していただけるようになり、「一般市場へのステップアップのためにTOKYO PRO Marketを活用する方法がある」と徐々に認知されるようになってきたように思います。
J-Adviserの皆さまの協力もあり、昨年は過去最高の10社が新たに上場を果たしましたし、潜在的な上場予備軍も増えてきましたので、数という意味では一定の下地といいますか、この10年で基盤ができたのかなと思っています。

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