コラム

イスラム市場へのゲートウェイ“マレーシア”は魅力満載! ~海外駐在員レポート~

尾島 悠介

Nihon M&A Center Malaysia Bhd. Sdn.(マレーシア現地法人) Managing Director(代表取締役)

海外M&A
更新日:

⽬次

[表示]

2019年10月18日、Pullman Kuala Lumpur Bangsar にて開催された、「To Grow a Business YOU NEED EQUITY PLANNING 4.0」にて、当社として初めてマレーシアの中小企業オーナー向けにM&Aセミナーを実施いたしました。 マレーシア人の参加者は800名超。当社が海外ローカル向けに実施した顧客向けセミナーでは過去最大規模です。 マレーシアでM&Aといえば大企業の戦略ツールであり、恐らく日本の5~10年前のような感覚で、まだ中小企業クラスへは日本ほど浸透していない市場です。では、一体なぜ今回マレーシアでこれほどM&Aについて関心を集めたのでしょうか。

マレーシアセミナー会場

800名の参加者であふれるセミナー会場。国民の平均年齢は30代と若い

平均年齢は若くても後継者不在?!

マレーシア国民の平均年齢は30代。日本と比較するとずいぶん若いにも関わらず、後継者問題を抱えている企業がすでにあります。なぜなら、創業者の2代目3代目はイギリスやオーストラリアに留学して、そのまま現地もしくは大手企業に就職し家業には戻ってこない、という状況があるからです。 また他のASEAN諸国(シンガポールを除く)と比較すると、マレーシアは経済的に成長から成熟期へ移行しており、大手・中堅同士の統合も進んできています。すでに、業界再編の波が来ているのですね。 いかがですか? マレーシア人のオーナーと話していると、日本にいても聞こえてくるようなワードばかりが飛び交います。国は違えど、事業承継や業界再編型M&Aは万国共通であり、当社の日本国内でのノウハウ・経験がそのまま活きる可能性を秘めているのです。

尾島によるプレゼン

日本M&Aセンター海外支援室の尾島から、日本M&Aセンターの紹介、マレーシアと日本のM&Aについてプレゼン

日本からみたマレーシアの魅力

一方、ここ数年日本企業のM&Aによるマレーシア進出も増えてきております。日本企業にとってマレーシアの魅力とは、何でしょうか。

  • 世界でもトップクラスのビジネス環境マレーシアは、世界銀行が発表した各国の事業環境に関する報告書「ビジネス環境の現状2020」にて、ビジネス環境指数が世界190か国中12位(シンガポール2位、日本29位)となっており、ビジネスに欠かせないインフラが充実しています。イギリスの植民地であったことから、基本的にビジネスは英語であることも、グローバル展開しやすい理由の一つ。また、M&Aに重要な財務・税務の透明性も比較的高く、法務や契約関連も整備されており外資規制も少ないことが特徴です。

  • 「ハラル」やイスラム市場へのゲートウェイ最近日本でも話題のハラル食品・製品。品質や認証の中心であるマレーシア市場を足がかりに、インドネシアや中東、アフリカ市場等のイスラム市場への事業展開が可能です。

  • 安定した経済成長マレーシアは、ASEAN域内ではシンガポールに続く経済大国に位置づけられており、人口及び経済も安定して成長しています(人口は約3千万人)。インドネシアやベトナムと比較すると成長力や規模は劣りますが、既にマーケットとして成熟しており、M&Aでの進出が比較的容易です。 マレーシアでのM&A経験のある日系企業やPEファンドは、短中期的にマレーシアで足を固めつつ、ベトナムやインドネシアで中長期的な展開を行うケースが多くなっています。

上記がマレーシアの主な特長になりますが、他にも、外国人労働者が多いため成熟しているにもかかわらず労働コストが意外と他国と変わらない、石油・天然ゴム等の天然資源が豊富、自然災害リスクが少ない、等もあげられます。

パネルディスカッション

インドネシア駐在員事務所長・安丸良広もパネルディスカッションにかけつけました

当社海外支援室では、成長のために海外進出を検討している日本企業のM&A支援を積極的に行っています。現在はシンガポールとインドネシア(ジャカルタ)に拠点がありますが、マレーシアを含めたASEAN各国に今後も拠点進出予定です。

尾島

質問は絶えることなく

日本M&Aセンターの海外支援室は、クロスボーダーM&Aに対応するためASEAN各地の活動を強化しています。 ASEAN各国企業とのM&Aを希望されている企業の皆様には、ほかでは聞けない現地の企業ニーズを今後もどしどしお届けしたいと思います。

海外M&A・クロスボーダーM&Aに関するお問合せ

著者

尾島 悠介

尾島おじま 悠介ゆうすけ

Nihon M&A Center Malaysia Bhd. Sdn.(マレーシア現地法人) Managing Director(代表取締役)

大手商社を経て、2016年日本M&Aセンターに入社。商社時代には3年間インドネシアに駐在。2017年よりシンガポールに駐在しNo.2として現地オフィスの立ち上げに参画。以降は東南アジアの中堅・中小企業と日本企業の海外M&A支援に従事。2020年にマレーシアオフィス設立に携わる。現地経営者セミナーを多数開催。 「ASEAN M&A時代の幕開け 中堅・中小企業の成長戦略を描く」編著者代表

この記事に関連するタグ

「ASEAN・クロスボーダーM&A・後継者不在・海外M&A」に関連するコラム

クロスボーダーM&Aのリアル ~シンガポールから見た日本企業~

海外M&A
クロスボーダーM&Aのリアル ~シンガポールから見た日本企業~

日本M&Aセンターのシンガポール・オフィスには、4人の現地スタッフ、4人の日本人スタッフの合計8名が常駐している。現在のスタッフ体制が確立したのは、およそ1年前。その中核となる二人のコンサルタント、ジョアンナとイーチェンが、日本オフィスに現状を伝えるべく、2019年7月に来日。シンガポールにおけるM&Aの最新情報をレポートする。(文中:J=ジョアンナ、Y=イーチェン|2019年7月時点)左:イーチ

ビジネス環境ランキング第2位、シンガポールってどんな国?~駐在員だより~

海外M&A
ビジネス環境ランキング第2位、シンガポールってどんな国?~駐在員だより~

マレー半島南端に位置するシンガポール共和国。マーライオンや、近年は近代的な形が特徴のホテル・マリーナベイサンズで知っている方も多いのでは?都市国家として成長を遂げる同国内に、当社シンガポール・オフィスが営業しています。日本M&Aセンター初の海外拠点であるシンガポールより、現地駐在員の井直大(いなおひろ)が“今”のシンガポール情報をお届け!ビジネスのしやすさはアジアナンバーワン!シンガポールで特徴的

マレーシアのM&A事情や女性の働き方は?現地M&Aコンサルタントにインタビュー!

広報室だより
マレーシアのM&A事情や女性の働き方は?現地M&Aコンサルタントにインタビュー!

日本M&Aセンターでは、クロスボーダーM&Aの支援強化に向けて、ASEAN地域に拠点を設けています。今回は、マレーシア現地法人NihonM&ACenterMalaysiaSdn.Bhd.でM&Aコンサルタントとして活躍するDaphnieOngさんに、入社の経緯や今後の目標をインタビューしました!プロフィールダフィニーオンさん(写真中央)2020年2月入社。M&Aコンサルタントとして日本とマレーシア

海外M&Aでは現地特有の論点に注意 ~会計~

海外M&A
海外M&Aでは現地特有の論点に注意 ~会計~

海外M&AではM&Aの対象となりうる企業が海外に所在していることから、文化や言語、宗教にはじまり、準拠するルールや実務慣行等も日本とは異なります。すなわち、会社法や労働法、税法、会計基準、ビジネス慣習等の違いを把握したうえで、海外M&Aを検討する必要があります。そこで、今回は海外M&A、特にASEAN(東南アジア諸国連合)域内におけるM&Aを検討する上で注意すべき事項の一部を紹介したいと思います。

グローバルなタックスプランニングの基本①外国子会社配当益金不算入制度 活用のすすめ

海外M&A
グローバルなタックスプランニングの基本①外国子会社配当益金不算入制度 活用のすすめ

海外子会社を有する会社が活用できるタックスプランニング手法のひとつ「外国子会社配当益金不算入制度」をご紹介します!(※本記事は2021年12月に執筆されました。)そのほか海外のM&A情報はこちらから海外の子会社が稼ぐ方がグループ全体の税率が下がる?日本は世界でも法人税率が高い国のひとつとして有名です。現在、日本で活動する会社のもうけに対してかかる税金の税率は中小企業の場合で約34%(法人税・地方税

Withコロナ時代、加熱するベトナムクロスボーダーM&A

海外M&A
Withコロナ時代、加熱するベトナムクロスボーダーM&A

こんにちは、3カ月ぶりの出社(外出)できるようになりました日本M&Aセンター・ベトナムの渡邊です。コロナ防疫に成功を収めていた優等生のベトナムですが、2021年5月以降コロナ変異株が猛威を奮いはじめ、直近3カ月の7月~9月は、生活必需品の購入ですら外出が禁止されるという厳しいロックダウン規制が導入されました。9月上旬にはピークを迎え、1日あたりのコロナ新規感染者数が1万5,000人、同死亡

「ASEAN・クロスボーダーM&A・後継者不在・海外M&A」に関連する学ぶコンテンツ

「ASEAN・クロスボーダーM&A・後継者不在・海外M&A」に関連するM&Aニュース

ルノー、電気自動車(EV)のバッテリーの設計と製造において2社と提携

RenaultGroup(フランス、ルノー)は、電気自動車のバッテリーの設計と製造において、フランスのVerkor(フランス、ヴェルコール)とEnvisionAESC(神奈川県座間市、エンビジョンAESCグループ)の2社と提携を行うことを発表した。ルノーは、125の国々で、乗用、商用モデルや様々な仕様の自動車モデルを展開している。ヴェルコールは、上昇するEVと定置型電力貯蔵の需要に対応するため、南

マーチャント・バンカーズ、大手暗号資産交換所運営会社IDCM社と資本業務提携へ

マーチャント・バンカーズ株式会社(3121)は、IDCMGlobalLimited(セーシェル共和国・マエー島、IDCM)と資本提携、および全世界での暗号資産関連業務での業務提携に関するMOUを締結することを決定した。マーチャント・バンカーズは、国内および海外の企業・不動産への投資業務およびM&Aのアドバイス、不動産の売買・仲介・賃貸および管理業務、宿泊施設・飲食施設およびボウリング場等の運営・管

マイナビ、インドのHRスタートアップ企業Awign Enterprises Private Limitedを買収

株式会社マイナビ(東京都千代田区)は、ギグワーカーのリソースを活用して顧客へ成果物を提供するインド企業のAwignEnterprisesPrivateLimited(インドバンガロール、以下Awign)を2024年4月25日付けで買収し、子会社化した。マイナビは、社会や人々の有益となるようなサービス提供を目指した事業を展開している。Awignは、単発の仕事を請け負う労働者(ギグワーカー)が集うプラ

M&Aで失敗したくないなら、まずは日本M&Aセンターへ無料相談

コラム内検索

人気コラム

注目のタグ

最新のM&Aニュース