コラム

中堅中小企業のための“第三の株式市場”をご存知ですか?

竹内 直樹

日本M&Aセンター 取締役

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先日、ある地方の中堅企業の社長にお会いしてきました。 業界では比較的上位にあり、業績も安定している会社です。 「竹内さん、ちょっと話を聞いてもらいたい」 以前お会いしたときには、何の不安も持っていらっしゃらなさそうだった社長から突然ご連絡をいただいたときには、相談内容に全く見当がつきませんでした。 「今年に入ってから、業界全体の雰囲気がおかしい。」 「思っていたよりも、流れがガラッと変わってきている。」 「まだまだ自社だけで伸びていけると思っていたが、何か動き出さないとマズイんだ。」 お会いしていなかった間に、状況がかなり変化したようです。 「何か動き出したい、でも、どうしたらいいのか分からない。」という社長に、私はこう投げかけてみました。 「社長、まずは、東証のTOKYO PRO Marketに上場しませんか?」 「TOKYO PRO Market? 東証にそんな市場が?」 社長から返ってきた言葉は、予想していたとおりでした。

何か動き出したい・・・答えは「TOKYO PRO Market」

事業環境の変化は加速度的

「迷っている時間はあまりないと思っている。」 あれだけ余裕のあった社長がそう考えるようになったのには、いくつか理由がありました。 まずは、人材不足。 その地域に大手企業が最近いくつも参入してきたそうです。若い人達が東京や大阪に出て行ってしまってなかなか採用ができないという悩みは従来からありましたが、人材の取り合いが加速してしまい、本当に人材が確保できなくて困っている、とおっしゃっていました。 次に、コストの高騰。 原材料や輸送コストや人件費の上昇に歯止めがかからず、売上はほぼ前年と変わらないが、利益が半分以下になってしまっているというのです。業界ではある程度の地位を確立しているとはいえ、中堅中小企業では価格交渉力がない、と嘆いていらっしゃいました。 そして、市場や産業構造の変化。 具体的に書いてしまうと特定されてしまうかもしれないので、別事例でご紹介しますと、自動車エンジンのエネルギー源がガソリンから電気になることで、いくつかのパーツが不要になってきていますし、最近では、プラスチックのストローが紙ストローにシフトする動きがあります。 社長は自社の製品も、いまの業界の流れからすると、そのうち需要がなくなってしまうのではないかと危惧している、とのことでした。

事業環境の変化に迷っている時間はない

企業の成長とTOKYO PRO Market

確かに、いろいろな課題を抱えてはいるものの、現状では利益も確保しており、財務的にも問題はありません。 「何か動きだしたい」と言いつつ、動き出せないのは、取りうる選択肢が多いからです。 いい企業だからこそ、買収することもできますし、ファンドの力を借りることもできる。もちろん、大手企業と組む(大手企業に選んでもらう)こともできるわけです。とはいえ、これまで何の準備もしてこなかったので、どの手段もすぐに着手できる体制ではありません。 なので、私はTOKYO PRO Marketへの上場を提案したのです。 TOKYO PRO Marketは東京証券取引所が運営するプロ投資家向けの市場ですが、ご存知ない方が大半だと思います。事実、私も当社が今年の7月にTOKYO PRO Marketの上場サポート・審査等を行う“J-Adviser”という資格を取得することになるまで、全く知りませんでした。 TOKYO PRO Marketはプロ向け市場のため、一般の個人は株式を売買することこそできませんが、れっきとした証券市場であり、上場することで、東証から証券コードが付与され、定期的な情報開示を行うことで、「信頼性」と「透明性」が獲得できます。 また、TOKYO PRO Marketでは現在のオーナー経営者が支配権を維持(=株式の大半を所有)したまま、上場することが認められており、また、1年~1年半という短期間での上場も可能です。

TOKYO PRO Market上場で得られるメリットは大きい

自社単独で東証一部・二部やマザーズ・JASDAQなどの一般市場への上場を考えている場合に、“第三の市場”であるTOKYO PRO Market上場からスタートするという活用の仕方が王道ではありますが、M&Aを考える場合にも、TOKYO PRO Market上場はとても有効です。 買収する場合には、買い手が上場会社であるほうが、売り手から選んでもらいやすくなります。ファンドと提携する場合や大手と組む場合でも、上場していることで、相手に安心感を与えることができます。つまり、これから動き出すための準備として、これを活用しない手はない、ということです。

より深く知っていただくために

当社はこれまで、M&Aという手段でしか企業の成長をサポートすることができませんでした。しかし、J-Adviserという資格を取得したことで、IPOのサポートもすることが可能になったのです。当該資格の取得で企業の成長を全方位からサポートできる企業となり、当社としても次のステージにあがることができたのではないかと思っています。

TOKYO PRO Marketを知っておきましょう

企業の成長のために、一般市場への上場やM&Aを考えている方には、TOKYO PRO Marketの魅力をきちんと知っていただきたいですし、知っておいていただいて損はないと思っています。

  • TOKYO PRO Marketとは何か?
  • どういったメリットがあるのか?
  • J-Adviserはどんなサポートをしてくれるのか?
  • TOKYO PRO Marketを活用することで、どんな成長の可能性があるのか?

それらを知っていただくために、上場のメリットを自身の体験としてよく知っている弊社社長三宅や東京証券取引所の方からお話いただくセミナーを開催しております。

著者

竹内 直樹

竹内たけうち 直樹なおき

日本M&Aセンター 取締役

当社内最大件数(年間100件超)を成約させる事業法人部の責任者として5年間牽引し、上場後の当社の業容拡大に大きく貢献。事業法人部は主にマッチングを行う部署であるが、買い手と売り手との双方の成長戦略を描くなかで、譲渡案件のソーシングにも従事。昨今はミッドキャップ案件(売買金額20~100億円程度)を中心に、ソーシングからクローズに至るまでの全てのフェーズにて陣頭指揮をとっている。買収も売却も実行できるミッドキャップ企業をターゲットとした「成長戦略セミナー」を2015年からスタートさせ、2019年10月で同セミナーは10回を数え、累計参加者は3,000名を超える。 著書に『どこと組むかを考える成長戦略型M&A──「売る・買う」の思考からの脱却と「ミニIPO」の実現』がある。

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