著者・監修者一覧

竹内直樹

竹内たけうち 直樹なおき

日本M&Aセンター 取締役 戦略本部長

当社内最大件数(年間100件超)を成約させる事業法人部の責任者として5年間牽引し、上場後の当社の業容拡大に大きく貢献。事業法人部は主にマッチングを行う部署であるが、買い手と売り手との双方の成長戦略を描くなかで、譲渡案件のソーシングにも従事。昨今はミッドキャップ案件(売買金額20~100億円程度)を中心に、ソーシングからクローズに至るまでの全てのフェーズにて陣頭指揮をとっている。買収も売却も実行できるミッドキャップ企業をターゲットとした「成長戦略セミナー」を2015年からスタートさせ、2019年10月で同セミナーは10回を数え、累計参加者は3,000名を超える。 著書に『どこと組むかを考える成長戦略型M&A──「売る・買う」の思考からの脱却と「ミニIPO」の実現』がある。

関連記事

中堅中小企業のための“第三の株式市場”をご存知ですか?

コラム
中堅中小企業のための“第三の株式市場”をご存知ですか?

先日、ある地方の中堅企業の社長にお会いしてきました。業界では比較的上位にあり、業績も安定している会社です。「竹内さん、ちょっと話を聞いてもらいたい」以前お会いしたときには、何の不安も持っていらっしゃらなさそうだった社長から突然ご連絡をいただいたときには、相談内容に全く見当がつきませんでした。「今年に入ってから、業界全体の雰囲気がおかしい。」「思っていたよりも、流れがガラッと変わってきている。」「ま

「海外進出は、お前にはまだ早い」”攻め”の2代目と”守り”の会長の間で揺れる海外進出

コラム
「海外進出は、お前にはまだ早い」”攻め”の2代目と”守り”の会長の間で揺れる海外進出

中堅中小企業を悩ます、国内市場の縮小、人材不足…。「もう海外に出て行くしかない!」そう思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。私が長年買収のお手伝いをさせていただいてきた、とある会社の2代目社長も上記の通り海外進出を考えていました。同社の創業者は父親であり、実質の経営は2代目に任せているものの、自身は会長という肩書でまだ在席しています。ずっと考えてきた東南アジアの会社への出資について、会長

事業承継を乗り越えた2代目、承継後に頭を抱えた意外な理由とは?

コラム
事業承継を乗り越えた2代目、承継後に頭を抱えた意外な理由とは?

「M&Aによる成長戦略に興味があるので話を聞かせてください!当社には少し特殊な事情もあって・・・」とある製造業の2代目社長の言葉です。面談のはじめ、社長は自身が会社経営を引き継いだ経緯を話してくれました。「父は5年前に病気で倒れ、そのまま帰らぬ人になってしまいました。そこで、私が急遽会社を継いだのです。」事業承継は先代の病気により突然訪れたそうです。もっとも、社長は会社を継ぐつもりで先代が倒れる数

「顔も合わせたことない人たちが・・・」3代目社長を悩ます問題とは?

コラム
「顔も合わせたことない人たちが・・・」3代目社長を悩ます問題とは?

「この会社は、私の父が、兄弟3人で創業したんです」社長がおっしゃったその一言で、社長が今抱える悩みが推測できました。先日、とある3代目社長にお会いしたときのことです。その社長は、大学を卒業してから約20年、某有名メーカーの経営企画部に勤務していました。お父様である先代の社長から「今年の年末年始は、必ず帰って来い」と連絡があったのは、3年前の年末だったそうです。「お前に会社を継いでほしい。あいつはや

「それでも、あいつに任せたいんだ・・・」継がせたい社長の切なる想い

コラム
「それでも、あいつに任せたいんだ・・・」継がせたい社長の切なる想い

数か月前、ある製造業のオーナー社長にお会いしてきました。最近は日に日に寒くなってきていますが、まだその頃は夏真っ盛りで、連日真夏日を記録していました。面談のきっかけになったのは、社長からの1本の電話でした。「やっぱり、これからもう一度、自分の手でモノをつくりたい。前にも伝えたとおり、自分には子供がいない。だから、後は専務に任せたいと考えている。でも、専務はまだ若い。着手した第3工場の建設も彼だけで

「人材さえ確保できれば、赤字の企業でも買いたい」~人材不足に悩む社長の選択~

コラム
「人材さえ確保できれば、赤字の企業でも買いたい」~人材不足に悩む社長の選択~

先日、弊社開催の座談会で、中堅企業の社長の皆様とお会いしました。この座談会は数名程度の少人数で開催しているものです。東京だけでなく、関西、東北、中部、北陸と全国各地からご参加いただき、業種もメーカー、卸、飲食、建設、運送と様々だったのですが、ある共通した悩みをお持ちでした。「人材不足が年々ひどくなっている。育成したくても、人材がいなくて。」「採用に力を入れているのですが、本当に人が採れないんです。

「いまのままでは渡せない」~父のプライドと優しさ~

コラム
「いまのままでは渡せない」~父のプライドと優しさ~

先月、新幹線とローカル線を乗り継いで、ある社長にお会いしてきました。最寄駅でタクシーに乗り、会社名を伝えると、運転手さんは「あぁ、もちろん知ってますよ」と言い、住所も聞かずに車を走らせてくれました。小売業を営むその会社は、その地域では知らない人がほとんどいない創業約100年の老舗企業です。「うちのビジネスはこれから苦しくなる。いまのうちに、次の展開を考えなければならない。どういう方法が考えられるか

「やらない理由がどこにある?」M&A決断のとき

コラム
「やらない理由がどこにある?」M&A決断のとき

先日、ある社長に3年ぶりにお会いしてきました。最初の出会いは約10年前、私がM&Aのアドバイザーとしてまだまだひよっ子だった頃です。「生意気だけど、言ってることは合ってる。信用できる奴だと思ってたよ」30歳の若僧の言葉でも真摯に聞いてくれる社長のことが、私も大好きでした。3年前に私がご提案したのは、東海エリアで10店舗展開している会社でした。事業内容や財務情報などをご説明した後、少し間をおいて、社

つないでいきたい「日本のものづくり」

コラム
つないでいきたい「日本のものづくり」

この1ヶ月で、メーカーの社長さん数人とお会いする機会がありました。工場を案内していただいたり、職人さんの話を聞いたりすると、“日本のものづくり”の奥深さを改めて体感します。「うちの技術は、どこにも負けません」「日本じゃなきゃ、作れない」みなさん、自社の製品に誇りを持っていらっしゃいます。一方で、みなさんが口を揃えておっしゃることがありました。「人が採用できない」「市場規模が小さくなってきている」「

ファンドは嫌われ者?

コラム
ファンドは嫌われ者?

「IPOしたいと思っているけれど、自社だけではちょっと難しい・・・」「モノとカネは何とかなるけれど、ヒトの問題が解決できない・・・」「サポートはしてほしいが、事業のことについてはあまり口を出されたくない・・・」近頃、このようなご相談が増えてきました。「ファンドの活用はどうでしょうか?」とお聞きすると、経営者の多くの方が怪訝な顔をして、「ファンドはちょっと・・・」おっしゃります。確かに、ひと昔前は、

「私が悪かった・・・」―初めてみせた父の本音

コラム
「私が悪かった・・・」―初めてみせた父の本音

ある一組の親子にお会いしました。見るからに頑固親父らしい創業オーナーと真面目そうな息子です。最近、親子でご相談に見えられるケースが増えてきました。現在、お父様は会長に退き、息子さんが社長をされているそうです。意外だったのは、社長をされているのは、長男ではなく次男だということです。お話を聞いていくと、長男も役員として勤務されているとのこと。私が意外そうな顔をしていると、「長男に社長をやらせてみたけど

家、家にあらず。継ぐをもて家とす

コラム
家、家にあらず。継ぐをもて家とす

父の観阿弥とともに能(能楽)を世に広めた世阿弥は、多くの言葉を残しています。一番有名なのは、「初心忘るべからず」でしょうか。その世阿弥の有名な言葉のひとつに「家、家にあらず。継ぐをもて家とす」があります。世阿弥は、「たとえ自分の子供であっても、その子に才能がなければ、芸の秘伝を教えてはならない」と言ったうえで、この言葉を続けています。この「家、家にあらず。継ぐをもて家とす」とは、「家というものは、

「僕には継げない」親子で歩んだM&Aの道のり

コラム
「僕には継げない」親子で歩んだM&Aの道のり

これは、私が出会ったとある親子の話です。当社が開催したセミナーに50歳代と30歳代の男性が連れ立ってご参加されました。会場の真ん中に座っていた二人は、私の講演をとても熱心に聞いていただいていました。「社長を引き継ぐ息子の勉強のためにセミナーに来たのかな」とはじめは思っていました。セミナー後にその親子にお話をお伺いしたところ、思いもしなかった相談を受けました。父(社長):「M&Aで自社の売却を考えて

保守的な会社こそ、M&Aによる成長戦略が有効

コラム
保守的な会社こそ、M&Aによる成長戦略が有効

5年ほど前、ある企業の社長とCFOにお会いしました。東京23区内の会社で、売上高は100億円を超え、純資産も潤沢な優良企業です。その社長も事業承継と成長戦略に悩みを抱えていました。「事業承継については、うちの会社は保守的なので社内で解決したいと思っています」「今は業績が好調ですが、当社の事業の市場は将来確実に縮小します。でも、うちの役員や従業員は保守的なので…」いろいろとお話をお伺いしていくうちに

M&Aによる成長戦略は、「会社を買う」ばかりでない

コラム
M&Aによる成長戦略は、「会社を買う」ばかりでない

「社長、会社を大きく成長するという目的のために、どこと組んだらいいのか―買収と売却のどちらも視野に入れて、ゼロベースから検討してみませんか」このような提案を積極的にし始めたのは5年ほど前からです。「会社を買う話がしたいんだ。売ることなんて考えられない!」という反応を示す方が最初の頃は多かったと思います。2016年の日本でのM&A件数は公表ベースで2,652件。その3倍はあると言われている未公表の案