[M&A事例]Vol.135 徹底したハンズオン支援でバックオフィスを改善。労働環境が整い、業績も順調に成長
プライベート・エクイティ・ファンドのブルパス・キャピタルは、2022年1月に革小物のファブレスメーカーを譲り受けました。会社の業績が拡大し、順調に成長を続ける現在、M&Aの経緯とPMIのポイントを伺いました
譲受け企業情報
※M&A実行当時の情報
レンタルサーバー事業を中核事業に持つカゴヤ・ホールディングス株式会社(京都府)は、積極的にM&Aを推し進め、2021年12月から約9カ月間に3社を譲り受けました。M&Aを活用して「総合DXカンパニー」を目指す北川貞大社長に、最初の譲受け企業となったエスケイワードとのM&Aについてお聞きしました。
――現在のレンタルサーバー事業はいつから手掛けられたのですか。
譲受け企業 カゴヤ・ホールディングス株式会社 北川様:
当社は、お茶どころの京田辺市で茶摘みガコを販売したのが商いの始まりです。「カゴヤ」という社名はここに由来します。その後、両親の代ではプロパンガスを販売する事業をしていました。私は家業を継ぐ気がなくて、子どもの頃から実業家になりたいと思っていたんです。そこで、何を事業にするかを考えて中学生の時に出合ったのが、まだ黎明期だったパソコンでした。
結果的に親に説得されて家業に入りましたが、会社内にサーバーを設置して地域向けのインターネットサービスプロバイダー事業を始めました。当時は2~3メガバイトが一般的だったホームページの容量を100メガバイトで提供したところ、全国のプロバイダ比較の容量部門で1位になり、ユーザーが一気に全国に広がりました。2002年には社名を株式会社カゴヤガス設備からカゴヤ・ジャパン株式会社に変更し、ガス事業からインターネット関連事業に完全にシフトしたんです。2006年には自社でデータセンターの運営もスタートし、現在の事業に成長させてきました。
――先見の明をお持ちですね。今回、2021年12月に1社目となるエスケイワードを譲り受けましたが、どんな経緯でM&Aに取り組もうと思われたのですか。
北川様: これまで当社はインターネットのインフラ事業を主力にしてきましたが、今後はよりビジネスに広がりを持たせていかなければと考えるようになりました。そこで、コンテンツを作る技術をもちたいと、M&Aの候補先を探していたんです。
――それがエスケイワードだったのですか。
北川様: 実は、その前に2社ほど話を進めた会社があったのですが、いずれも前向きな理由で譲渡を決意されたわけではなかったようで、途中で断念したんです。エスケイワードは業績も素晴らしく、会社や従業員さんのより良い環境づくりのためという、非常に前向きな理由をお持ちでしたので、話を進めることができました。
――エスケイワードのどんなところに魅力を感じましたか。
北川様:
まずは企業として安定した収益を得られている点です。大手企業や官公庁など取引先に恵まれていることもさることながら、それを実現できるだけのコンテンツの制作能力と、38言語に対応できる点も魅力に感じましたね。
それから加藤社長が人材を大事にしてこられただけあって、ナンバー2もしっかり育っていますし、従業員の皆さんも真面目で素直な人が多い。当社の従業員も真面目な人ばかりなので、社風の面でも合うのではないかと思いました。
加藤社長と話をするなかで、これまでビジネスというものに対して非常に真摯に臨まれてきたことが伝わってきました。一緒になれば私も経営者として勉強になると思いましたし、加藤社長の会社なら大丈夫だろうと決断しました。
――2021年12月の最終契約締結から半年以上が経ち、現在はどんな事業を展開されていますか。
北川様:
新しい取り組みとしてはVR事業です。これまでは企業の存在感を高めていくのにホームページは効果的でしたが、今はFacebookやInstagramなどのSNSやスマートフォンのアプリなどメディアが増えています。VRは次のチャネルとして欠かせないものになっていくでしょう。そこで、知り合いの現代美人画の画家の方にVR空間に美術館を作ることを提案、快諾いただきました。エスケイワードに持ち込むと乗り気になってくれて、VR展示会が実現しました。
エスケイワードは多言語対応ができますから、今後はメタバース空間でスムーズに世界中の人とコミュニケーションがとれるサービスやコンテンツを提供することも可能です。今回の経験を足掛かりにVR事業をどんどん発展させられればと思っています。
――エスケイワードとの資本提携以降、図書管理クラウドサービスを提供する株式会社ソフテック(北海道札幌市)、医療系のシステム開発を手掛ける株式会社ミップ(大阪市)を譲り受けされましたね。グループとしてシナジーを発揮する工夫は何かされていますか。
北川様:
特徴として企業間で役員の出向をしています。今回、加藤社長にはカゴヤ・ホールディングスのほか、ミップの役員にも加わっていただきました。こうすることによってグループ企業間でのコミュニケーションが活発になり、共同での新規事業も始めやすくなります。
また、グループ全体での役員会も定期的に行っています。単に業績の報告を聞くだけの場ではなく、今後の戦略や業界のトレンドについてなど、全員が活発に発言してディスカッションできるように気を配っています。
他社の経営を知ることで、お互いに刺激を受け合います。グループ間で切磋琢磨して全体で成長できる環境づくりにもつながっているんです。
――カゴヤ・ホールディングスの今後のビジョンをお聞かせください。
北川様:
当社は総合DXカンパニーを目指しています。ITと違って、DXは顧客の業務に積極的に関わっていって変革させなければなりません。それには顧客のことだけでなく顧客の業界そのものへの深い知見が必要です。それを得るには、人を一人採用すればいいといった単純なものではなく、長い時間をかけて組織の中に蓄積されていくノウハウがものをいうのです。
当社はこれまでさまざまな強みをもつ企業とM&Aをしてきました。エスケイワードは多言語対応に強みをもっていますし、ソフテックは教育現場、ミップは医療現場に関する知見をもっています。さらに本社所在地も京都、愛知、北海道、大阪とバラバラです。拠点を共有することで全国展開しやすい環境もできつつあります。
今後もそうした強みや知見をもった企業と一緒になることで業界内でのビジネスの幅を広げていき、将来的には上場も視野に入れながら、グループ全体で成長を加速させていきたいと思っています。
こちらのM&A事例インタビューは動画でもご覧いただけます。
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