[M&A事例]徹底したハンズオン支援でバックオフィスを改善。労働環境が整い、業績も順調に成長

MURAの社員さんと村瀬 直人社長(右端)

譲受け企業情報

  • 社名:
    株式会社ブルパス・キャピタル(東京都)
  • 事業内容:
    プライベート・エクイティ・ファンドの運営、役員派遣によるハンズオン経営支援

東京都のプライベート・エクイティ・ファンド、ブルパス・キャピタルは、2022年1月に革小物のファブレスメーカーであるMURA株式会社(岐阜県大垣市)を譲り受けました。現地で社長や社員と向き合う徹底したハンズオン支援の結果、MURAは売上・利益を大きく伸ばし、順調に成長を続けています。ヴァイスプレジデントの森野 雄貴様に、M&Aの経緯とPMIのポイントを伺いました。(取材日:2024年2月2日)

トップ面談時から課題について、話し合いを重ねることで不安要素を解消

――まずはブルパス・キャピタルの強みについて教えていただけますでしょうか。

譲受け企業 ブルパス・キャピタル 森野様: 当社の強みは3つあると考えています。1つ目はハンズオン型のPEファンドであること。MURAとのM&Aの成立が2022年1月。そこから半年間ほどは私が東京から大垣に通い、週4、5日現地に常駐するような形でハンズオン支援を行いました。2点目の強みは、経営人材、各種エキスパートとの豊富なネットワークやコネクションがあること。必要なときに最適な人材にスピード感を持ってお声がけすることができています。
3点目の強みは、若さとコミット力ですね。当社のメンバーは自己資金を投じていますので、サラリーマン意識は皆無です。だからこそ、ハンズオン支援も可能なのです。

――素晴らしいですね。ハンズオン経営支援を謳っていても、ここまで本気でコミットするところは少ないと思います。

森野様: 私個人は大垣どころか、名古屋ですらほとんど行ったことがなく、誰一人知り合いもいない中でうまくやっていけるだろうかと不安を感じていました。しかし、徐々にMURAの皆さんに打ち解けていただき、協力しながら経営体制を整えていくことができたと思っています。

――MURAのどのようなところに魅力を感じましたか。

森野様:目を引いたのは、成長性と収益力のバランスの良さです。成長性が高い反面、利益水準はマイナスという会社も多い中、MURAはそういうことがなかった。毎年20〜30%の売上成長を果たしながら利益率も20%程度で維持しており、非常にバランスの取れた経営をされているなというのが最初の印象です。

――反対に、M&Aを進める上での不安はなかったのでしょうか。

森野様:MURAの成長性と収益力は村瀬 直人社長の手腕によるところがかなり大きいと感じていました。社長への依存度が高いということは、社長に何かあった場合に一気に業績が落ち込む危険性もある、つまり、諸刃の剣でもあります。

その点を不安視していたのですが、トップ面談の中で村瀬社長に私たちの提案を受け入れていただくことができ、うまく役割分担をして社長への依存度を下げていけばリスクを回避できると確信しました。そこで不安要素は解消されたため、今ではまったく心配していません。

M&Aを進める上では、日本M&Aセンターの担当者から的確なサポートをいただけてありがたかったです。さまざまな観点からアドバイスをいただいたおかげで、村瀬社長にもご満足いただける提案ができ、話がすんなりまとまったと感じています。

M&Aの交渉フェーズではいろいろな書類をご提出いただくため、少ないリソースで経営を回されている村瀬社長にはご苦労をおかけしましたが、そこに対しても日本M&Aセンターのサポートがあり、スムーズに進めることができました。

――先方からパートナーとして選んでもらうために心がけたことはありますか。

森野様:MURAに限らず、当社では相手企業の社長が大事にされていることは私たちとしても大事にするという基本姿勢を心がけています
しっかりとした対価をお支払いするのは当然のことながら、村瀬社長の場合、一定の経営に対する自由度があるほうが安心して経営に専念いただけると感じましたので、そうした意向を最大限にくみ取りながら話し合いを進めました。

MURAでは、「使いやすく、合わせやすく、お求めやすく」をコンセプトに財布やバッグなどの革製品を展開する

MURAでは、「使いやすく、合わせやすく、お求めやすく」をコンセプトに財布やバッグなどの革製品を展開する

ハンズオンの経営支援で社長が経営に専念できる環境を整え、社員のモチベーションもアップ

――取引先やMURAの社員への開示はスムーズに進んだのでしょうか。

森野様:MURAは楽天、Amazon、ZOZOといった各ECモールを通じてお客様に商品を販売している会社ですので、取引先はそれほど多くなく、問題はありませんでした。事業譲渡ではなく株式譲渡のケースだったので、取引先への説明にも難しさはなかったと思います。
社員の方々には、M&A成立の翌週にMURAを訪れて直接お話をさせていただきました。当社のプレスリリースを見て、すでにご存じの方もいらっしゃいましたね。

経営の仕方が大きく変わるわけではありませんし、社員のオペレーションも同様です。会社の業績も上向きに推移していましたので、大きな混乱もなくM&Aを受け入れていただけたと感じています。当時のMURAはオフィスと倉庫を兼ねたような状態だったため、私も商品の積み下ろしなどを積極的に手伝い、メンバーの1人として認めてもらえるように心がけました。

――PMI(M&A後の統合プロセス)についてお尋ねします。M&A後に変えたこと、変えなかったことは何でしょうか。

森野様:大きく変えたのは「経営管理」です。従来は村瀬社長がご自分の頭の中で大まかな売上管理をしていたところを、数字を明らかにしてきっちり管理するように変えました。商品を販売する各ECモールの権限を社員に少しずつ委譲し、それぞれの担当者に数字を出して管理してもらうようにお願いしたのです。

フラットな組織であるがゆえに仕事の負担が社員によってバラバラで偏りがあったため、「オペレーションの改善」も行いました。各人の役割分担を整理し、業務の効率化を進めたのです。例えば、1人の方が担っていた月1の棚卸しを全員で行うように変えたり、社員とアルバイトの業務内容をしっかり分けたり、といったことを地道に進めました。
その結果、各人の仕事量を最適化することができ、年次計画になかった急な施策にも対応できる柔軟性が出てきました。社員のモチベーションもさらに上がったと感じます。

外部の人間が入ったことで、社長が多忙で手が回っていなかった部分にメスを入れ、ゼロベースでオペレーションを変えることができたと思っています。
ただし、決裁権の多くは以前と変わらず村瀬社長に持っていただいていますので、経営の仕方が大きく変わったわけではありません。

――バックオフィスが整理されて、社員の皆さんにとってはかえって働きやすさが増したのではないでしょうか。経営管理やオペレーションの改善以外で変えたことはありますか。

森野様:「採用支援」ですね。社員やアルバイトの採用面接、社員のインセンティブ設計などにも携わりました。M&A前は村瀬社長が一人で求人広告を出し、面接もしていたそうです。

村瀬社長の負担が減り、経営に専念できるようになったのではないかと思います。「商品開発」の仕方も変えました。こちらもやはり村瀬社長がほぼ一人で担われていたので、社長から商品開発の仕方をレクチャーいただき、月に1、2回の会議を通じて社員のアイデアも吸い上げて商品開発に活かせるような会議体を新設しました。
会社の持続的な成長を実現するためには、社長への依存度をできるだけ下げていくことが不可欠だと私たちは考えています。

株式会社ブルパス・キャピタル ヴァイスプレジデント 森野 雄貴 様

株式会社ブルパス・キャピタル ヴァイスプレジデント 森野 雄貴 様

譲渡企業主体の体制づくりで、売上・利益がM&A前より大きく伸びた

――M&AによってMURAは「守りの部分」であるバックオフィスを固めることができた。それによって社長も社員も働きやすくなり、会社の持続的な成長ができる環境が整った、という印象です。

森野様:もともとMURAでは残業がほとんどなく、労働環境は悪くなかったのですが、外部の目が入ったことでさらに改善できたと思います。
1年ほどかけて、経営管理のルーティンをしっかり社員の皆さんで回していただけるようになりました。週4、5日行っていたハンズオン支援も、今では週に1、2回のミーティングに顔を出す程度で事足りています。

M&Aで大事なのは、当社が主役になってしまわないことだと思っています。経営の主体はあくまでMURAであり、商品開発や販売といった収益を生む部分についてはMURAの人たちだけで進めていけるような体制をつくることを重視してきました。
今、そのための歯車がうまく回りだし、業績は順調に成長しています。

――最後に、M&Aを検討されている企業様へのメッセージをお願いします。

森野様:EC事業を手がけている企業には非常に成長性の高いところがたくさんあります。しかしその一方で、急激な成長の過程で組織運営に歪みが出たり、社長が業務に忙殺されて経営管理やオペレーションにまで手が回らなかったりと、壁にぶち当たることも多いのが実状です。

年間売上高3億円を超えてきたら、社長お一人で仕事を回していくフェーズから、社長の右腕となるような存在に頼っていくフェーズに移ったほうがよいと思います。会社の持続的な成長を目指すのなら、これは大事なことです。
ハンズオン経営支援に長けた当社なら、社長がお忙しくて手が回らない領域のサポートをして差し上げられると思います。
M&Aを通じて相手企業を成長させることに私たちはパッションを持っています。ご関心を持たれたら、日本M&Aセンターを通じてぜひ一度ディスカッションの機会をいただけるとうれしいですね。

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