[M&A事例]Vol.135 徹底したハンズオン支援でバックオフィスを改善。労働環境が整い、業績も順調に成長
プライベート・エクイティ・ファンドのブルパス・キャピタルは、2022年1月に革小物のファブレスメーカーを譲り受けました。会社の業績が拡大し、順調に成長を続ける現在、M&Aの経緯とPMIのポイントを伺いました
譲受け企業情報
自動車関連事業を主力事業とするGLIONグループ(以下、ジーライオングループ)は、これまでM&Aで92社もの会社を譲り受け、国内外で成長を続けてきました。各社の独自性を活かしながらグループ全体で業績を上げる具体的な取り組みについて、菊地 秀武社長にお話を伺いました。(取材日:2023年6月15日)
――はじめに事業内容についてご紹介ください。
譲受け企業 ジーライオングループ 菊地様:
当社は1986年に小さな自動車修理工場から始まりました。現在は、輸入車・国産車合わせて29ブランドの正規ディーラー事業を主として、リテールからアフターサービス、人材教育など自動車に関連するあらゆる領域をカバーし、国内で培った技術やノウハウを活かして海外6ヵ国に進出しています。
また、「より多くのお客様へ、より多くの満足をお届けしたい」との想いから、飲食事業やウェディング事業、旅館事業にもフィールドを広げており、今では106社のグループ企業からなる4,000名超の企業集団にまで成長しました。この成長を支えている要因は創業37年ぶれることのない理念とM&Aによるものです。
――これまで多くの企業を譲り受けてこられましたね。
菊地様: 2005年に自動車の買取事業を行う会社を初めて譲り受けて、買取専門の本部事業を開始しました。グループ初の海外事業もアメリカの会社を譲り受けたことに始まります。これまでに国内外の92社がグループインしています。
基本的に、グループインした企業の独自性を残し、変える必要のない部分は変えません。1社で4,000名を束ねるよりも100社で4,000名を束ねたほうが強い企業体になるからです。役員も含めればグループ内に100名の社長、300名以上の経営能力をもった人材がいるということですから、意思決定も早い。さらに、各社が強みを発揮して専門性の高い知識を活用し合うことで、強固で革新的な組織を築いています。
――独自性を維持しながらグループの強みを発揮する取り組みはありますか。
菊地様: まずは、グループインした会社に担当が1~2名サポートさせていただきます。あくまでアドバイザーという立場で他のグループ企業との間をつなぐ役割を担います。担当は他のグループ企業の経営者から任命されます。グループインを経験した経営者がサポートすることによって、少しずつ当グループの経営のやり方やプロジェクトに慣れていってもらうのです。月に1回全グループで実施される役員会にも参加してもらいます。
また、M&Aの一番のメリットは当事者の双方が組織面や人材面の拡充や収益力を高められることです。2018年頃から「組織再編」にも取り組んできました。その一つが業種を超えてグループ全体で取り組むプロジェクトです。コストダウンに取り組む「コストダウンプロジェクト」や価格の見直しを検討する「適正価格プロジェクト」、ほかにも脱炭素に関するものや中古車強化に関するものなど20を超えるプロジェクトが走っています。そして、活動を通じて各社の良い部分を全社で取り入れ、プロジェクトごとに定める経営指標にみんなが達するように協力し合います。こうした横串のプロジェクトに取り組むことによって、新しくグループインした企業も取り残されることなくスムーズに各社と連携してシナジーを生み出していけるのです。
実際に、グループインしてこれまでの経営を変えたことで大幅に黒字化した企業があります。同社は大手のフランチャイズ加盟から外れたことで提供価格が上がり、来客数が35%も減少してしまったのですが、プロジェクトを通じてコスト削減に取り組み、適切なところに資金投入をするなどして経常利益を上げることができました。
――新しくグループインした企業もプロジェクトによる横のつながりでしっかり支えていくのですね。
菊地様: 当グループの経営理念は、必ず「WIN-WIN-WIN」な関係を築くことです。お客様とビジネスパートナーと従業員が、お互いにとって十分な満足を強く実感していただくようにする。そのことを創業以来何よりも大切にしてきたからこそ、ここまで成長することができたのだと自負しています。
――そのほか、譲り受けた企業に配慮されている点はありますか。
菊地様: M&Aと聞くと、どうしても譲り受けた側のほうが立場が上というイメージをもたれると思いますが、それは違います。私は「共感型のM&A」という表現をするのですが、新しく迎えた会社に対しては気持ちを理解し、共感をもって物事を進めていくようにしています。実は、私もかつてグループインした経営者の一人なのです。ですから、資本業務提携をして「これからどうなるんだろう」という不安な気持ちがよくわかります。同じ道を歩んできた経営者の一人として寄り添いながら、共に学び合いながら経営をしているのです。
――譲り受ける企業を決める上で必ず確認することはありますか。
菊地様:
当グループは何をやるかではなく、誰とやるかを大切にしています。ですから相手企業の経営方針やオーナーの気質が当グループにマッチしているかが非常に重要です。特に、会社を良くしたい、成長させたいと考える経営者を求めていますね。
当グループの主軸である自動車事業を取り巻く環境は目まぐるしく変化しています。グループの総合力を活かすことで、既存事業のシェア拡大や独創的なビジネスモデルの創造を実現し、グローバルにチャレンジしていきたいと思っていますので、強い意思をもった相手であれば、業績に関係なく検討します。
菊地様:
実は先日、当グループの従業員がある会社からグループに入りたいと相談を受けたんです。理由を聞いたところ、関係先に当グループの会社がいて、会社も従業員も大切にされているし、会社のブランドも守ってくれているのがわかるからだと答えたそうです。それを聞いてとても嬉しかったですね。
社長就任以来、組織再編に取り組んできましたが、その一番の目的はグループで働く人の成長です。そうすることで、グループインした企業の従業員の報酬が上がったり、役員に昇進したりしてほしい。経営者になることも夢ではありません。皆さんの力がグループの未来を担ってくれるのです。
――最後に、今後についてお聞かせください。
菊地様: 当社には、全グループのお客様が加入する「CLUB GLION」という会員サービスがあります。加入すると車に関するサービスが受けられるだけでなく、グループが経営するレストランや旅館のサービスが受けられたりイベントに参加できたりするなど、多彩な事業をもつ当グループならではの取り組みです。今後は、グループのつながりをより強固なものにしながら、この会員組織をさらに全国に広げていきたいと思っています。
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