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【連載】「経営者と家族のための事業承継」現場でみる最新の考え方と進め方 ~第3回「後継者について知ってほしいこと」~

長坂 道広

日本M&Aセンター 事業承継エグゼクティブ・アドバイザー

事業承継

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中小企業庁の発表では、2025年までに、平均引退年齢である70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万社が後継者未定と言われています(2019年11月中小企業庁「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」より)。 中小企業・小規模事業の経営者の皆様の多くは、ご自身の会社の事業をどのように継承していくか、考えられたことがあるかと思います。

日々、事業承継相談の現場でうまれてくる考え方、進め方を連載で紹介しております。 第3回のテーマは「後継者について知ってほしいこと(2)」です。 今回は、社員承継と同族承継について解説します。

社員(幹部)は会社を継げない

結論から言いますと、社員は会社を継げる可能性はたいへん低いです。 会社を継ぐためには経営者としての適性はもちろんですが、以下の3点も検討しないといけません。

(1)候補者の年齢 (2)連帯保証 (3)株式の買取

まずは、「候補者の年齢」についてです。例えば、社長が65歳で、継がせたい常務の年齢が62歳でしたら、数年後にはまた後継者の問題が発生します。しかしながら、多くの場合、社長と次期社長候補の年齢は近いです。これでは、後継者問題の根本解決にはなりません。

2番目に「連帯保証」。金融機関からの借入をしている場合、多くの社長は連帯保証をしています。もし社長が退任したら、つぎの新社長が金融機関への連帯保証をしないといけない場合があります。数千万、数億円の連帯保証を新社長ができるのか?これが検討課題です。 最近は、金融機関も後継者に連帯保証をもとめない方向ではありますが、金融機関との相談になります。

最後に株式の買い取りです。 引退する経営者の株式を新社長ほかが買い取れるのか? もし、新社長に経営を任せたとしても、引退した社長が株式を保有したままでいれば、引退しても経営の最終責任を負ったままです。 新社長が株式を買い取れればいいのですが、株価が課題です。いい会社ほど株価は高く、例えば売上3億円の会社でも億の株価になることもあります。資金を用意して、買い取ることは困難です。まずは自社の株価を知るところからはじまります。

この3つを解決しないと、社員はオーナー経営者として会社を継ぐことは実質不可能です。

同族承継を考えている社長 継がせる場合、継がせない場合の注意点

子供に継がせたいと考えている社長に、「承継について子供と話したことがありますか?」と尋ねると、きちんと話し合いができている人は、少数派です。親子なので話しづらいということもあると思います。 また、子供は会社の内容をよく知りません。例えば、社内にいる子供を除けば、財務内容を知っている子供はほとんどいないと思います。そのような状況で会社を継ぐ、継がない、地元に戻る、戻らないは、決められないと思います。

実際に会社を継いだ子供に、継いだ理由と経緯をお聞きすると、多いのが、突然帰ってこいといわれた、お父さんが入院したのでもどった、お父さんが急逝されたので戻らざるを得なくなった、という理由で突然戻るケースです。ほとんど準備なしです。これではスムーズな承継はできません。

もし、子供に会社を継がせたいなら、少なくとも親子間で事業承継についてや会社の成長についてお互いの考えを話し合う場をもたないといけません。 時間をかけて、会社内容を共有し、承継のための準備をしていくのが理想です。

事業承継の準備の大きな課題の一つは、親から子供への株式の承継とその際の贈与税、相続税です。 これは、税理士のアドバイスをもらいながら検討をすることになりますが、いい会社ほど税金も億単位の高額になるので、このような事案に慣れた税理士のアドバイスをもらうことをお勧めします。

また、継がせない場合でも、その理由を子供に説明しておくこともとても大切なことです。 事業の跡継ぎについては気にしている子供も多いです。子供は、自分から承継について切り出しづらいものです。承継の方向性を明確にしてあげることにより、子供は自分の人生の方向性を明確にでき、自身の仕事や事業などを継続していくことに集中できることになります。

今回は、事業承継で絶対的に考えるべき4つのポイント「(2)後継者」の社員承継と同族承継について説明いたしました。次回は株価、株式について解説します。

長い準備期間が、いい事業承継につながる

事業承継は、一生に一回です。 税金のことばかりでなく、事業の成長性、後継者候補などの可能性を広く検討してから複数の選択肢に絞り、まず準備をはじめること。 最初の一歩を踏みだし、準備期間を長くとれることが、いい事業承継につながります。 そして、家族の理解を得ながら方向性を決定できれば、とくに承継後のご家族のコミュニケーションが円滑にいきます。

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著者

長坂 道広

長坂ながさか 道広みちひろ

日本M&Aセンター 事業承継エグゼクティブ・アドバイザー

創業期の日本M&Aセンターに入社。未上場企業のM&Aという日本で未開拓だった市場で25年間M&A仲介に携わる。 日本M&Aセンターの上場も経験するが、M&Aだけではなく、関係者が喜べるあらゆる承継手法を提供できるよう、2016年日本M&Aセンターと青山財産ネットワークスの協力により「株式会社事業承継ナビゲーター」を設立。

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