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“事業承継”早めのご準備を

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後継者問題が日本経済にもたらす影響

中小企業庁によると、2025年までの10年間で、70歳を迎える中小企業・小規模事業者の経営者245万人のうち、半数の会社(日本企業の全体の3分の1)で後継者が未定となり、このまま放置しこれらの企業が後継者不在により廃業すれば、650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性があると公表しています(2019年11月中小企業庁「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」より)。

進行する経営者の高齢化

その証拠に、帝国データバンクが発表した全国社長年齢分析(2020年)によると、2019年の社長の平均年齢は 59.9歳(前年比+0.2歳)と過去最高を更新、右肩上がりの推移が続いています。年代構成比をみると、80代以上4.1%、70代19.7%、60代28.1%、50代26.4%となっており、60代以上の社長の割合は51.9%と全体の半数以上を占める結果となりました。 高齢化が進み、事業承継が行えないまま、休廃業・解散さらには倒産に追い込まれる中小企業も増加しています。

進行する経営者の高齢化

事業承継の重要性

事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことをいいます。 中堅・中小企業にとって、オーナー社長の経営手腕が会社の強みや存立基盤そのものになっていることが多く、「誰」を後継者にして事業を引き継ぐのかは重要な経営課題です。 また、事業承継は単に「次の社長を誰にするか(経営承継)」という問題ではなく、会社の経営権そのものの「自社株を誰に引き継ぐか(所有承継)」、「後継者教育をどう行うか(後継者教育)」という問題も重要です。 事業承継を行わなかった場合、社内で紛争が発生したり、業績が悪化するケースも多く存在しています。 また、経営者が若い場合や経営者の交代があった企業の方が高業績をあげるといったデータもあり、特に中小企業の事業承継は、日本経済にとっても非常に重要といえます。

進行する経営者の高齢化

事業承継にかかる時間

「2020年版中小企業白書」 によると、後継者を決定して実際に引き継ぐまでの期間について、社外への承継は69.5%が1年未満であるのに対し、親族内承継の場合は1年未満が48.2%で1年以上は51.8%(うち5年以上は12.8%)となっています。 また経営者が引退を決断してから実際に引退するまでの期間をみてみると、事業承継した経営者の場合、3年未満は68.3%、3年以上は31.7%となっています。

いまこそ早めの事業承継のご準備を

外部環境による変化は、いつなんどき訪れるか予想することは困難です。 これまでも幾度となく危機があり、バブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災などを乗り越えてきました。しかし、ここにきてコロナウィルスの流行による世界規模での経済の停滞という、いまだかつて経験したことのない状況です。 国内では、すでにM&Aでの事業承継を目指していたにも関わらず、譲渡の見通しが立たなくなり廃業を決めた、という老舗企業のニュースも流れています。望む条件でのM&Aを実現させるためには慎重な決断が必要ですが、重要なのは「早めの準備」です。M&Aは経済活動ですから、当然市況の変化による影響は受けます。地震などの自然災害によっても、お相手の事情が変わることは否定できません。 コロナウィルスによる先行き不透明な経済環境と、刻一刻と進む経営者の高齢化。 後継者への引継ぎ期間を考えると、今できることは一刻も早く準備に取り掛かることです。 誰に相談すればいいのか? 後継者の候補は親族か社員か第三者承継(M&A)か? どの順番で考えていけばいいのか? その他、事業承継を考えるときにはその選択肢を明確にし、道筋をつけていかなくてはいけません。私たちは、そのロードマップを描くところから支援しております。早めの準備と検討が、あなたにとってのベストな選択肢を実現することにつながるのです。

著者

M&A マガジン編集部

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日本M&Aセンター

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