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チームで働く。その意味、真剣に考えたことありますか?

広報室だより
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“チームワークあふれる社会を創る”を理念に、チームワークを支えるソフトウェアを開発し続けるサイボウズ株式会社。同社が発信している“チームワーク”や“働き方改革”は、中堅中小企業経営者の皆様もよく耳にし意識するワードだと思います。 ・・・ですが、 「会社自体が小さいからチームそのものだし、実際利益も出ているのだから、うまく回っているよ」 「働き方改革っていっても、自分の会社は小規模だからあまり関係ないや」 そう思って、実際に取り組むことを一歩置き去りにしている方も多いのでは? 実は、サイボウズではソフトウェアだけではなく、チームワークあふれる社会になるために自社が挑戦してきた働き方改革や制度・風土改革などの取組を研修事業を通して提供する『チームワーク総研』を2017年11月に設立しているんです! 今回は、サイボウズ チームワーク総研 統括ディレクターの和田武訓様に、“チームワークあふれる会社になる秘訣”をお伺いしました。

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(左)サイボウズ チームワーク総研 統括ディレクター 和田武訓様
インタビューアーは、日本M&Aセンター コーポレート・プロモーションチーム 副部長 豊田利恵(右)が務めました

―チームワーク総研とはどういう活動をしているんですか? サイボウズの製品を開発・販売してきたり当社自身が働き方改革に取り組んだ経験を生かして、チームワークを醸成するためのノウハウを、研修事業を通じて企業の皆様に提供しています。 私は、サイボウズOfficeなどのマーケティング担当を経て、チームワーク総研の統括ディレクターになりました。 サイボウズOfficeは企業規模300名以下を対象としています。ユーザーの平均数は60名程度ですね。多くのお客様がグループウェアが入っていないお客様で、社員のスケジュール管理の必要性から導入を検討されています。 また、社長の世代交代のタイミングで導入を検討される会社も多いです。父から息子への事業承継ですね。社長の世代交代によって今までのやり方は変わります。社内のコミュニケーションも変わるわけです。IT/ソフトウェアの力を使って、会社の大きな変化に対応しようと考えるお客様が多くいらっしゃいます。

会社の風土は作れないけど、制度やツールは作ることができる

―社内コミュニケーションはチームワークに必要不可欠なポイントです。“チームワーク”や“働き方改革”と聞くと大きく捉えてしまいがちですが、そうやって考えるとツールを導入することも第一歩なのかもしれませんね。 そうですね。 よく、チームワーク総研での講演などで「働き方の多様性で大事なのは、風土と制度とツールです」とお話しさせていただくんですが、それを聞くと皆さん「風土かぁ・・・当社は古い体質だから無理だなぁ」とおっしゃるんですよね。 その時に私が言うのは、“風土は作るものではない”ということです。風土=目指すべき会社の姿ですから、その姿と目指して制度を作り、ツールを選択していくんです。風土は作れないけど、そのための制度は作ることができ、ツールも選択することができます。 間違ってはいけないのは、制度を作るのを目的にしてしまうこと。 「フリーアドレスにすればいいんでしょ」 「フレックスにすればいいんでしょ」 では、本来醸成したい風土は作れません。 “みんなが気持ちよく働きたいから、こんな制度を入れたい”というように、風土を醸成するために制度とツールを活用していくという視点が大切です。

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「多くの会社が制度を作ることに終始してしまう」と和田氏

会議の情報を公開すれば、議論が生まれ、制度は定着する

―“気持ちよく働く”っていいですね!しかし一方で、経営陣と現場ではその認識に乖離があることも多いのでは? たくさんあります!日本企業の多くは慣習的に『部長会議』や『経営会議』と称して役職者のみを集めて会議をして実際の現場には決定事項のみ降ろすということが多く、これが乖離を生んでいるんですよね。 なので、私たちはまず「会議の情報を公開していきましょう」という提案をします。情報を公開することで、議論がオープンになり、制度は使われて定着していきます。 例えば、テレワーク制度を導入したけれど実際に活用されていない会社があるとします。 「テレワーク制度ができました」と部長会議で報告されれば、経営者は「よかった!これでまた働きやすい会社になった!」とコメントして終わります。これでは制度は定着していきません。制度が使いづらい現状は、部長会議ではなく現場にあります。 会議の情報が公開されれば、制度が活用できていない現状について議論する場ができ、「制度を定着するためにどうしたらいいか」と経営者も考えます。こうして全員を巻き込んで、制度は定着していき、働き方の多様性が生まれるのです。

働き方が多様化すると、“管理”はなくなる

―そうやって働き方が多様化されると、中間管理職の役割は変わっていきますよね。 “管理”という発想は、なくなりますよね。 週5日フルタイム勤務で働く人はいなくなっていくでしょうし、物理的に離れた場所で働く人も出てくる。チームメンバー一人一人違う“働きやすさ”を聞いて、全員が気持ちよく働けるように仕事のやり方を考えていくのが中間管理職に求められていくでしょう。 それを実現するためには、“当たり前を捨てる”発想が必要になってきます。 実体験なのですが、私が昔リーダーをしていたチームはママさんたちで構成されていました。皆さん子どものお迎えがあるので定時退社が必須でした。 そのチームで、ある時Webサイトの切り替え作業をしなければならなくなったんです。実はこれまでは『Webサイトの切り替えは深夜作業』が当たり前でした。万が一うまく切り替わらない場合、日中ではお客様に迷惑がかかるからです。 しかし、このチームで深夜作業は不可能。 そこで『昼休み時間帯に作業を行う』という発想に切り替えました。昼休みであればお客様もWebサイトをそこまで利用していないので迷惑は掛かりません。実際の切り替え作業もスムーズに終わらせることができました。 『深夜にやらなければならない』という当たり前を捨てることで、全員がベストを尽くして仕事をすることができたのです。

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サイボウズ チームワーク総研 統括ディテクター 和田武訓様

―中間管理職の役割が変わると、それを束ねる経営者に求められるものはもっと変わっていきますね。 サイボウズチームワーク経営塾に来ている社長の皆様も、そういう変化の点で悩んでいる方は多いです。経営者の方は強い意志を持って会社をけん引してきましたから、変化のためにははやり“意識改革”が必要なんだと思います。 経営塾では“いかに環境変化に強いチームを創るか”を参加型・対話型で学べるようにしています。

フラットな場、だけではなく、ツールも用意する

―“働き方改革”って、現場がどう気持ちよく働けるかを考えて実現を試行錯誤しながら、組織を束ねる側の管理職や経営者も変わっていくことなんでしょうね。制度を入れるのではなく、そのために全社員が考えていく姿勢を創る、というような。 チームワーク総研として「働き方改革ができていない!」と悩むいろんな企業様の話を聞いてきましたが、それは圧倒的に“議論が作れていない”ことに要因しているのではないかと思います。 ・経営者は、やりたいことがあって、社員がついてきてくれるのか不安 ・社員は、言いたいことがあるけど、言い出せない こういう会社が本当に多くあります。 フラットに議論できる場を作るだけでは、これは解決しないんですね。会議を設定しても、会議の場で発言することに抵抗感のある社員だっている。でも彼は、インターネットでの書き込みなら自分の意見をゆっくり言葉にできるかもしれない。だから、フラットな場だけでなく、ツールも用意しておくんです。 人によって得意な場/コミュニケーションは違います。「相手は何が得意なコミュニケーションツールなのか」を双方が理解するのが、議論を生み出す第一歩ですね。

今だからこそ、一人一人が楽しめる働き方にそろえられる

―今後人材不足は深刻化し、働き方の多様性はもっと声高に叫ばれていくと思います。そんな時代を迎える中堅中小企業経営者に向けて最後にメッセージをお願いします。 “チームワークあふれる会社”を創っていってほしいですね。 働く上で大事にしているポイントは、一人一人違います。まずはその把握から始めていってください。 人材不足だからといって効率を求めるだけでは、絶対にどこかで限界が来ます。余裕がある今のうちに、全員が生き生きと働ける会社を目指して、「どんな働き方が楽しいか?」を吸い上げていってください。 そうやって踏み出した一歩は、会社の風土になって、働き方改革を起こしていくはずです!

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来訪者同士や社員が自然に交流できる待ち合わせスポット「サイボウ樹パーク」の前で

―ありがとうございました。 人手不足で働き方に多様性が求められる。 働き方が変わると管理職の仕事が変わる。 そして経営者の仕事も変わる。 その時代の流れをいち早くキャッチし、「チームワーク経営」を提唱しサポートしているサイボウズ社。 今回の取材を通して、そのリアルな現場を垣間見られたようでした。 日本M&Aセンターでは、今後も、中堅中小企業を取り巻く“働き方”についていろんな方向から取材をしていきます。お楽しみに!
サイボウズについてもっと詳しく知りたい方はこちらから↓ サイボウズ株式会社 サイボウズの企業研修プログラム「チームワーク総研」

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M&A マガジン編集部

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