【2026年最新】事業承継・M&A補助金とは?対象者やメリット、申請方法を解説
中小企業や個人事業主にとって、後継者不足や経営資源の分散は深刻な課題です。国が支援する「事業承継・M&A補助金」は、そのような課題を解決する制度として注目を集めています。
本記事では、事業承継・M&A補助金の創設背景や活用時のメリット、注意点、補助される事業者と経費のほか、申請の流れについて解説します。
この記事のポイント
- 事業承継・M&A補助金は、中小企業や個人事業主がM&Aや事業引継ぎにかかる費用の一部を支援する制度であり、企業の持続や成長の後押しとなる。
- 事業承継・M&A補助金は、専門家費用や設備投資、マーケティング経費、さらには廃業費用なども補助対象となっており、自己資金の負担を軽減できる。
- 補助金申請には審査や実績報告などの厳格な手続きが必要なため、事前準備を整えた上でスケジュールを管理することが重要となる。
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事業承継・M&A補助金とは?
事業承継・M&A補助金(旧:事業承継・引継ぎ補助金)とは、中小企業・小規模事業者が事業承継やM&Aを行う際に発生する費用の一部を支援する国の制度です。
事業承継・M&A補助金は、設備投資や専門家へ支払う費用のほか、契約に伴う手続き費用など、幅広い用途に対して活用できます。例えば、M&A後の経営統合であるPMI(Post Merger Integration)におけるコンサルティング費用や、事業の拡大に向けたマーケティング経費も対象です。
なお、原則として年度ごとに数回の公募が行われます。2025年度は、8月に第12次公募の公募申請受付が開始されました。年間スケジュールはあらかじめ確定していないため、経済産業省や関連機関の情報を定期的に確認することが重要です。
また、事業承継・M&A補助金は「事業承継促進枠」、「専門家活用枠」、「廃業・再チャレンジ枠」、「PMI推進枠」の4枠で補助を行っています。必ずしもすべての枠が同時に公募されるわけではありませんが、第13次公募の事業承継・M&A補助金は、4枠すべての補助が行われています。
補助金の採択率は?
| 9次公募 | 10次公募 | 11次公募 | 12次公募 | |
|---|---|---|---|---|
| 経営革新枠 | 申請:388件 採択:233件 採択率:60.1% |
ー | ー | 未発表 |
| 専門家活用枠 | 申請:440件 採択:275件 採択率:62.5% |
申請:518件 採択:318件 採択率:61.3% |
申請:590件 採択:335件 採択率:60.8% |
未発表 |
| 廃業・再チャレンジ枠 | 25件の併用申請のうち14件を交付決定 | 8件の併用申請のうち3件を交付決定 | ー | 未発表 |
| PMI推進枠 | ー | ー | ー | 未発表 |
補助金創設の背景と目的
事業承継・M&A補助金が創設された背景には、日本全国で深刻化している中小企業の後継者不在問題があります。政府はこの状況を打開すべく、事業承継を円滑に進める支援を強化しており、その一つが事業承継・M&A補助金です。
この補助金の目的は、事業の引き継ぎの支援にとどまりません。事業の後継者による新しい取り組み(経営革新)を支援することも目的の一つです。
事業承継・M&A補助金活用のメリット
事業承継・M&A補助金は金融機関からの借入と違い、返済不要であり、資金の負担を軽減できる点が大きなメリットです。
事業承継やM&Aの際には、専門家への報酬や登記にかかる費用など、多くのコストが発生します。特に、M&A仲介会社や、弁護士といった専門家への報酬と、PMIにかかる費用は高額になる傾向があるため、補助金の活用は承継後の事業安定にもつながるでしょう。
事業承継・M&A補助金活用の注意点
事業承継・M&A補助金は審査基準が厳しい点には注意が必要です。例えば、M&Aによる買収であれば、買い手企業と売り手企業との間にどのようなシナジーが生まれ、その事業がどう成長していくのかを明確に説明しなければなりません。
また、補助事業終了後に報告書を提出し、受領された後に交付されることにも注意が必要です。加えて、仲介手数料やフィナンシャル・アドバイザー費用といったM&A支援機関の活用にかかる費用については、あらかじめM&A支援機関登録制度に登録されたM&A支援機関の支援のみが補助対象となります。
さらに、交付決定後には、補助対象となる経費の支出証拠や実績報告書の提出が義務付けられています。補助金の使用目的と異なる支出があった場合や、報告義務を怠った場合には、補助金の返還やペナルティが科される可能性もあるため注意しましょう。
補助される事業者と経費
事業承継・M&A補助金は、中小企業や小規模事業者であれば対象となる制度です。ここでは、補助対象の「事業者」と「経費」について解説します。

補助対象となる法人・個人
事業承継・M&A補助金の対象となるのは、中小企業基本法に定められた中小企業、小規模事業者、および個人事業主です。法人格の有無を問わず、要件を満たしていれば申請ができます。
具体的には、下記のような事業者が対象となります。
<補助対象となる事業者の例>
・親族内承継を予定している企業や個人事業主
・第三者への承継(M&A)を行う買い手・売り手事業者
・経営を引き継ぐために準備を進めている後継者候補
・廃業を前提に再チャレンジを考えている事業者
補助対象となる経費
事業承継・M&A補助金の対象となる経費は幅広く、承継の準備から実行後の事業運営まで、必要となる支出が数多く含まれています。主な対象経費は下記のとおりです。
<補助対象となる経費の例>
・専門家費用(FA、弁護士、公認会計士、税理士など)
・登記費用、契約書類の作成費用
・設備投資費(機械・装置の購入、店舗の内装工事など)
・マーケティング・販路開拓にかかる広告宣伝費
・廃業費用(在庫処分費、原状回復費など)
注目すべきは、「廃業費用」も補助対象となっている点です。事業承継・M&A補助金においては、「廃業=終了」ではなく、次の挑戦に向けた前段階と位置づけられています。
申請枠ごとの分類と補助内容(最新・第14次公募)
事業承継・M&A補助金は、各公募によって対象事業や補助上限額、申請要件が異なります。ここでは第14次公募の内容を見ていきましょう。
※本補助金に関する詳細情報については事業承継・M&A補助金ウェブサイトをご確認ください。
「事業承継・M&A補助金」14次公募の公募要領は2026年1月30日に公開されました。
14次公募は13次と同様に「事業承継促進枠」「専門家活用枠」「PMI推進枠」「廃業・再チャレンジ枠」の4枠での公募です。
申請受付期間は以下のとおりです。
公募申請受付期間:2026年2月27日(金)~2026年4月3日(金)17:00 予定
続いてそれぞれの公募枠について見ていきましょう。
事業承継促進枠

今後5年以内に親族内承継または従業員承継を予定する中小企業を対象に、設備投資や改築工事など生産性向上に資する費用を補助します。
【補助対象例】
└機械設備の導入、店舗・事務所の改装・改築、ITツール導入 など
【補助率】
1/2または2/3(小規模事業者は2/3)
【補助上限額】
└800万円(通常)※一定の賃上げを実施する場合、補助上限を800万円から1,000万円に引き上げ
専門家活用枠

M&Aにより事業を引き継ぐ(買い手)・引き継いでもらう(売り手)企業を対象に、デューデリジェンス、FA費用、仲介手数料など専門家費用を補助します。(※M&A支援機関登録制度に登録されたFA/仲介業者に限る)
【補助対象例】
└ファイナンシャルアドバイザー(FA)や仲介に係る費用※、デュー・デリジェンス(DD)、セカンド・オピニオン、表明保証保険料 など
【補助率】
└買い手:1/3・1/2・2/3 ※100億企業要件を満たす場合:1,000万円以下の部分は1/2、1,000万円超の部分は1/3
└売り手:1/2・2/3 ※①赤字、②営業利益率の低下(物価高影響等)のいずれかに該当する場合
【補助上限額】
└買い手支援:
600〜800万円 ※800万円を上限に、DD費用の申請する場合200万円を加算
2,000万円 ※100億企業要件を満たす場合
└売り手支援:
600〜800万円 ※800万円を上限に、DD費用の申請する場合200万円を加算
PMI推進枠

PMI推進枠は、PMIの取り組みを行う中小企業を対象に、専門家の活用や設備投資にかかる費用を補助する制度です。
補助枠は、PMI専門家活用類型と事業統合投資類型に分かれています。
【補助対象例】
└設備費、外注費、委託費 など
【補助率】
└PMI専門家活用類型:1/2
└事業統合投資類型:1/2・2/3 ※中小企業者等のうち、小規模事業者に該当する場合:2/3
【補助上限額】
└PMI専門家活用類型:150万円
└事業統合投資類型:800~1,000万円 ※一定の賃上げを実施する場合、補助上限を800万円から1,000万円に引き上げ
廃業・再チャレンジ枠

事業承継・M&Aに伴い既存の事業を廃業し、新たな取り組みにチャレンジする予定の中小企業・小規模事業者を対象に、再チャレンジを目的として既存の事業を廃業するための費用を補助します。
※再チャレンジの主体は、法人の場合は株主、個人事業主の場合は個人事業主本人となります。
※廃業・再チャレンジ枠は、他の3つの枠と併用申請できます。
【補助対象例】
└廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、土壌汚染調査費 など
【補助率】
2/3又は1/2 ※事業承継促進枠、専門家活用枠、PMI推進枠と併用申請する場合は、各事業における事業費の補助率に従う
【補助上限額】
300万円 ※事業承継促進枠、専門家活用枠、PMI推進枠と併用申請する場合は、それぞれの補助上限に加算
補助金申請の流れ
事業承継・M&A補助金をスムーズに活用するためには、申請から交付までの流れを把握しておくことが重要です。補助金の申請の流れを4つに分けて解説します。
<補助金の申請プロセス>
- 申請の事前準備
- 申請手続き
- 交付決定
- 実績報告書など必要書類の提出
1. 申請の事前準備
申請の事前準備でまず行うのは、GビズIDプライムアカウントの取得です。補助金の電子申請に必要で、発行までに通常2~3週間かかるため、早めに対応しましょう。
そのほか、下記のような準備も並行して進めておく必要があります。
<申請に必要な準備事項の例>
・事業計画書の作成
・補助対象経費の見積書の収集
・決算書や確定申告書などの会社情報の整理
・M&Aや承継に関する資料の整備
2. 申請手続き
必要書類がそろったら、電子申請システム「jGrants」で申請します。申請時には、GビズIDによるログインが必須です。
なお、申請期間中はアクセスが集中しやすく、システム上の不具合や遅延が発生する可能性もあるため、余裕をもって申請しましょう。
3. 交付決定
審査が行われ、採択された場合は「交付決定通知書」が発行されます。この交付決定を受けた後は、補助対象となる経費の支出を開始できます。
なお、交付決定前に支出した費用は補助対象外となるため注意しましょう。
4. 実績報告書など必要書類の提出
補助事業が完了したら、実績報告書を提出します。実際に支出した金額を証明するために、領収書や契約書、振込明細などの証拠書類の提出が必要です。
また、補助金の性質上、報告後も一定期間(通常は3~5年)の事業継続義務が設けられるケースもあります。補助金を適正に受け取るためにも、継続的な記録管理と証拠保全を意識しましょう。
事業承継・M&A補助金を正しく理解し、持続可能な事業承継を目指しましょう
事業承継・M&A補助金は、承継の形態や目的に応じた枠を選べば、資金面の負担が軽減できます。補助金の活用も検討しつつ、持続可能な事業承継を目指して進めていくことが大切です。
よくある質問(FAQ)
事業承継・M&A補助金は、どのような事業者と経費が対象となるのですか?
事業承継・M&A補助金の対象となるのは、中小企業基本法に定められた中小企業、小規模事業者、および個人事業主です。法人格の有無を問わず、要件を満たしていれば申請ができます。
補助金の対象となる経費は幅広く、専門家費用や設備投資費など、承継の準備から実行後の事業運営まで、必要となる支出が数多く含まれています。
詳しくは「補助される事業者と経費」をご確認ください。
事業承継・M&A補助金はいくらぐらいですか?
事業承継・M&A補助金の上限額は申請する枠によって異なります。例えば「事業承継促進枠」の補助額は800万円からですが、一定額以上の賃上げを満たせば、1,000万円まで引き上げが可能です。
「廃業・再チャレンジ枠」では、廃業にかかる費用や再起業の支援費用として最大150万円が支給されますので、それぞれの中から自社に適切な枠を選びましょう。
詳しくは「申請枠ごとの分類と補助内容」をご確認ください。
事業承継・M&A補助金の申請はどのような流れで行いますか?
事業承継・M&A補助金を申請する際には、まずGビズIDプライムアカウントを取得しましょう。併せて、電子申請システム「jGrants」で事業承継・M&A補助金の申請を行ってください。申請に対して審査が行われ、採択された場合は「交付決定通知書」が発行されます。この交付決定を受けた後は、補助対象となる経費の支出を開始できます。
補助事業が完了したら、実績報告書と共に領収書や契約書、振込明細などの証拠書類の提出が必要です。
詳しくは「補助金申請の流れ」をご確認ください。









