社長引退後の第二の人生。実際どんなことをしている?

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オーナー経営者にとって、M&Aは数十年かけて育ててきた会社を第三者に託す一生に一度の大きな決断です。しかし、中堅・中小企業のM&Aは世の中に公表されないことが多く、その実態はベールに包まれています。M&A後、自分自身がどうなるのかと不安を抱き、決断をためらう経営者も少なくないのが現状です。

日本M&Aセンターホールディングスのグループ会社「ネクストナビ」は、M&Aを実行したオーナー経営者の、事業承継からその後の人生計画までワンストップでサポートし、譲渡オーナーの人生の充実を支援しています。そんなネクストナビの石黒 哲明代表取締役社長(取材当時)に、M&A後のオーナー経営者はどのような第二の人生を送られているのか聞きました。

社長、引退後の第二の人生のこと、想像していますか?

石黒社長は、「譲渡オーナーは、M&Aで会社や従業員を守れたこと、また手元にお金ができたことで安心感を得る一方、経営者という肩書きがなくなり不安を抱く方も少なくない」といいます。そして経営者の第二の人生について、「選択肢はたくさんありますが、大きくわけると、財産・健康・生きがい・社会貢献・経営ノウハウ、この5つに分類できるのではないでしょうか」と話します。

社長引退後の第二の人生 5つの視点
  1. 財産:財産の見える化、ポートフォリオ再配分、有価証券、不動産購入/売却、資産管理会社設立
  2. 健康:人間ドッグ、体のメンテンナンス睡眠・美容、トレーニング
  3. 生きがい:旅行・食・スポーツ・音楽・車・時計・家庭菜園・コミュニティーづくり
  4. 社会貢献:寄付・ボランティア・財団設立・子どもたちの未来に残る活動・SDGs
  5. 経営ノウハウ:講師・顧問・マネジメントなど

日本M&AセンターがM&A後の社長に行ったアンケートによれば、譲渡後の社長が最も関心を寄せていたのは、「健康」で、その次に多かったのが「食」、次に「旅行」となっています。

譲渡後の生活については、「人は大きな決断をした時、この決断は正しいのだろうか、もう1度考え直したほうがいいのではないかと考えます。M&Aを決める時の経営者は孤独で、周囲に相談することができないため、結婚でいう”マリッジブルー”に陥るオーナー経営者も少なくありません。それを解消するために、早くから自分の生き方の道筋を立てておくことが重要なのです」と話します。

ここからは譲渡後のオーナー経営者の第二の人生について、いくつか実際の事例を挙げてもらいました。

資産運用する人は多い!

「お伝えした通り、譲渡後のオーナー経営者には手元の現金が増えます。まずは不動産や車や時計などの高額商品を買われる方も多いし、勧められるままに資産運用をする方も多いです。ただし、お金は生活基盤を支えるものなので、慌てずにお金の見える化をすることをお勧めしています」

海外で新たな人生スタート!

「オーナー経営者の奥様がハワイ好きでハワイに移住された方がいます。マンションを購入して、ゴルフやトレーニング、英会話、サーフィンなどをして、ハワイを軸に第二の人生を送られている方もいますね」

意外と難しい!スポーツデビュー

「時間にゆとりもできるのでテニスやゴルフ、山登りなどの運動を始めようと思う方もいます。ただ、なかなかすぐには難しい印象がありますね。やはり引退前から体力づくりは必要ですね。社長を引退しても体は資本ですから、まずは健康診断からですね」

現役復帰も1つの選択肢

「譲渡後、会長となった方は、肩の荷が下りた一方で、現場の従業員から相談を受けることが少なくなったことにさみしさを感じたそうで、資格を活かした新たな事業を始められました。ただこれまでのような拡大志向はなく仕事と趣味と社会貢献をバランスよくできればということでした。これまでの経営者経験を若手に伝えて役に立てればという思いがあり、経営者はいつまでも経営者だなと感じますね」

社会貢献はつながりが大事

「引退後は社会貢献をしたいという方も多いです。好きだった音楽などの趣味であったり、子どもたちのためのことであったり、でも意外とコミュニティーとの接点がなく、どうしていいかわからない方もお見受けします。またみなさんは、経営のプロフェッショナルだったのでその経営ノウハウを次世代や社会に還元することが日本のためでもあるので私たちがそのサポートを担わせていただきたいと考えています」

社長引退後の第二の人生は、人によってそれぞれですが、石黒社長は、「より充実した人生を送るために、「譲渡前」に第二の人生について考えておくことが大切です」と語ります。

ネクストナビでは、譲渡オーナーが第二の人生をどのように過ごしているのか事例を紹介していくとともに、譲渡オーナーの第二の人生が充実したものになるようさまざまなご提案を行っています。

著者

M&A マガジン編集部

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