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アーリーリタイアにはいくら必要? 失敗しないために押さえておきたいポイント

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アーリーリタイアイメージ
近年、早期退職者を募集する企業が増え 、個人のブログでも成功体験が語られるなど「アーリーリタイア」という言葉を耳にする機会が多くなりました。本記事では、新しいライフスタイルの選択肢として注目されるアーリーリタイアについて、セミリタイアや、FIRE(ファイア)との違いにふれながら解説します。

アーリーリタイアとは

「アーリーリタイア」とは、定年を待たずに早期退職・引退(リタイア)することを指します。この言葉は、英語の“early retirement(早期退職)”に由来する和製英語で、早期リタイアなどと呼ばれることもあります。これまで多くの企業で終身雇用制度を採用してきた日本では、60~65歳の定年まで勤め上げることが一般的でした。しかし、日本経済の低迷や、働き方改革の推進によって、多様な価値観が生まれつつあります。そこで、仕事だけに時間を費やすのではなく、人生を自由に謳歌したいと考える人々が増えてきたことから、アーリーリタイアが注目され始めているのです。

特に自分で会社を経営する経営者にとって、アーリーリタイアを検討することは、重要と言われています。そもそも経営者には、サラリーマンのように定年が無いため、仕事を辞めるタイミングを見失いがちです。なかには、「生涯現役」と仕事そのものを人生と捉える方もいますが、第二の人生を自分の好きなことに費やしたいと考える方は、アーリーリタイアの実現に向けて動き出す必要があります。
実行するタイミングとして、一般的には40~50代で検討を始める方が多いようです。また、最近では20~30代の間でも新しい価値観として広まりつつあります。ただし、アーリーリタイアには、働かなくても生活を送れる十分な貯蓄や資産が必要なため、短期間で準備ができる人は限られるでしょう。

セミリタイア、FIREとの違い

アーリーリタイアとよく混同されやすい「セミリタイア」「FIRE」との違いについて説明します。

セミリタイアとの違い

セミリタイアとの違いは、勤労による収入の有無です。
アーリーリタイアが早期退職金や貯金などの資産をもとに余生を過ごすのに対し、セミリタイアでは、アルバイトやパート、フリーランスなどで一定の収入を確保しながら生活します。セミリタイアでは、早期退職後も働くことになり。一定の収入が確保されるため、事前に十分な資産形成を行う必要があるアーリーリタイアに比べるとハードルが低くなるのではないでしょうか。

<関連ページ>
セミリタイアの概要やメリット・注意点とは?行うべき準備について解説!

FIREとの違い

FIRE(ファイア)は、英語の“Financial Independence, Retire Early”を略したもので、経済的自立と早期リタイアを目的としたライフプランのことです。
FIREでは、資産運用によって経済的自立を目指すため、アーリーリタイアのようにあらかじめ十分な資産形成を必要とせず、比較的若い段階でも実現可能です。従って、アーリーリタイアとFIREの違いはセミリタイア同様、収入の有無ということになります。FIREの場合、収入を得る方法は株式投資や不動産投資、FXなどの不労所得によるものです。

FIREでは、リタイアに莫大な資産は必要ありませんが、それでも年間支出の25倍の貯蓄が必要と言われています。さらに資産を目減りさせないためには、投資元本比の約4%にあたるを運用益が必要だと考えられています。年4%の運用益を安定して数十年継続することは決して容易ではないため、投資スキルやノウハウが必要です。不労所得には、前述した株式投資、不動産投資、FXの他にも、労働を必要としない仕組みが構築できたオンライン収入なども該当します。

アーリーリタイアのメリット

次に、アーリーリタイアをすることによって得られるメリットを紹介します。

仕事にまつわるストレスからの解放

最大のメリットは、仕事にまつわるストレスから解放されるということです。仕事そのもの、重責から解放されるだけではなく、人間関係の悩み、通勤電車での苦痛、毎日決まった時間に起きなければならないこと、立てていた休日の予定を狂わされるなど多くのストレスから解放されます。い時間や責任に追われること無く、穏やかに余生を過ごせるでしょう。

時間に余裕が生まれ、新たなチャレンジができる

仕事に費やしていた時間を自由に使えるようになるためたとえば、語学留学や資格の勉強に励むなど、新しいことに挑戦しやすくなります。仕事に追われながら新しいことを学ぶのは、大変ですが、リタイアすれば思い切り自己投資に時間を費やすことが可能になります。

アーリーリタイアのデメリット

一方、アーリーリタイアのデメリットについて説明します。

まとまった収入源がなくなり、資産が目減りしていく

先述した通りアーリーリタイアでは、勤労によって得ていた収入がなくなるため、早期退職金や貯金などの資産をもとに生活していきます。そのため、資産が目減りしていくのは避けられません。資産と残りの人生の年数を照らし合わせながら適切な消費生活を送らなければ、貯金が底をついてしまうこともあるでしょう。
総務省統計局から発表された「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」によると、二人以上の世帯の家計消費支出は、月平均27.7万円と言われています。資産に対して、毎月の支出が多過ぎると生活資金が無くなってしまうため、あらかじめ綿密なプランニングが必要です。また、その際は医療費や家屋の修繕費、家具や家電の買い替え費用など、イレギュラーな出費も考慮しておくと安心です。
参照元:総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)

将来受け取れる年金額が減る

年金には、老齢厚生年金と老齢基礎年金の二種類があります。そして、アーリーリタイアをすることによって受け取れる年金額が減ってしまうのが老齢厚生年金です。老齢厚生年金は、年金を納めた期間に応じて年金額が決まるため、早期に退職した場合、老齢厚生年金を納めない期間が長くなるため、年金が減額されてしまいます。

一方、老齢基礎年金は、20~60歳までの国民年金保険料を納めた期間で年金額が決まるため、退職した後に国民年金保険料を払い続ければ問題ありません。ただし、保険料の免除を受けたり、未納の状態が続いたりすると、年金が減ってしまうので注意が必要です。リタイアする前に、将来自分が受け取れる年金額や、国民年金保険料の支払い金額などをシミュレーションして、老後までカバーできるかを明確にしておきましょう。

社会的信用が低くなる

アーリーリタイアをすると、前職で高いポジションにいた方でも、その肩書きは無職になってしまいます。それは、いくら莫大な資産を保有していたとしても変わりません。会社員から無職という扱いになると社会的信用が低くなりローンが借りにくくなる、クレジットカードを新しく作れないなどの場面が出てくるでしょう。その後も社会的信用を維持したいという方は、個人事業主の開業届を出しておくのも一つの手です。

アーリーリタイアに必要なもの

ここからは、アーリーリタイアを行うために必要なものについて詳細を説明します。

十分な貯蓄や資産

先述のとおり、アーリーリタイアを行うために、働かなくても不自由なく生活できるだけの十分な貯蓄や資産が不可欠です。当然ながらリタイアする時期が早いほど、必要となる金額は大きくなります。そのため十分に計画立てて貯蓄を増やしたり、株式投資や不動産投資、FXなどで、資産形成を行うことが望ましいでしょう。

入念かつ綿密な人生設計

アーリーリタイアしたその後の人生を充実したものにするには、しっかりとした人生設計を立てておく必要があります。たとえば「年に1回は旅行したい」「月に数回は豪勢な外食をしたい」「将来二世帯住宅を建てたい」など、どのような生活を送りたいのかを明確にします。そして、その生活を叶えるためには、月にいくらの費用がかかるのかを算出するのです。そうすることで、退職までに蓄えておくべき貯蓄金額が分かります。

必要な金額から逆算すればリタイアする時期が明確になり、計画を立てて進められるため、アーリーリタイアの成功率が格段に上がります。リタイアしてから「目標も無く時間を持て余している」「散財し過ぎて生活が立ち行かなくなった」など、悲惨な結果を招かないためにも、計画は綿密に練りましょう。また、お金のことだけでなく、その後長く続く人生における生きがいを見つけておくことも重要です。

アーリーリタイアに向いている人の特徴

それではアーリーリタイアに向いている人の特徴について見ていきましょう。

M&A・投資などで資産形成に成功した人

アーリーリタイアの成功率を上げるものは、十分な貯蓄や資産に他なりません。そのため、すでに何らかの収益で資産が数億円ある人は、向いているといえます。事実、40~50代でアーリーリタイアをしている人のほとんどは、M&Aや投資などで十分な資産を確保していると言われています。もしも定年よりも前に一般的な生涯賃金と同等の資産を貯められた場合は、平均寿命まで余裕をもって暮らしていけるでしょう。

ライフプランを明確に早くから描いている人

可能な限り早くからファイルプランを明確に描いていることも大切です。繰り返しになりますがアーリーリタイアには、生涯働かなくても生活を送れるだけの十分は資産が必要です。しかし、早いうちから計画を立てて動かなければ、それだけの資産を確保するのは、難しいでしょう。また、引退後にかかる費用の算出、資産を確保するための計画に加えて、それを実行に移せる行動力も欠かせません。収支のバランスが崩れたときは原因を究明し、すぐにリカバリーできる対応力も必要です。

【年齢別】アーリーリタイアにはいくら必要?

最後に、アーリーリタイアするために必要な金額を、30歳、40歳、50歳の年齢別に解説します。尚、以下で挙げる金額例は、厚生労働省と総務省統計局のデータをもとに作成した概算です。
まず、厚生労働省の「令和2年簡易生命表」より、平均寿命を85歳、総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)」に基づき、1ヶ月の生活費(税金などの支出は除く)を仮定してそれぞれの期間に応じた金額を算出しています。
正確な金額を知りたい場合は、引退後の人生計画を綿密に設計した上で、月にかかる生活費などを詳細に割り出しましょう。また、その際に年金額や税金の支出なども計算しておくことが重要です。

実行年齢 必要な金額(内訳) (総額)
30歳 【30~65歳までにかかる生活費】
1億3千211万352円

【65~85歳までにかかる生活費】
5千116万920円
【30歳から85歳までにかかる生活費】
1億8千327万1,272円
40歳 【40~65歳までにかかる生活費】
9千541万3,032円

【65~85歳までにかかる生活費】
5千116万920円

【40歳から85歳までにかかる生活費】
1億4千657万3,952円
50歳 【50~65歳までにかかる生活費】
5千871万5,712円

【65~85歳までにかかる生活費】
5千116万920円

【50歳から85歳までにかかる生活費】
1億4千657万3,952円

参照元
厚生労働省 「令和2年 簡易生命表」
総務省統計局 「家計調査報告(家計収支編) 2020年(令和2年)」

上記はあくまで目安のため、世帯の人数や、ライフスタイル、生活水準によって、金額に大きな差が生じます。
ご自身、家族のライフプランを綿密に練り、イレギュラーな出費にも対応できるだけの十分な資産を確保しておくことが求められます。

終わりに

以上、アーリーリタイアについてご紹介しました。リタイアした後も、一定の収入を確保するセミリタイアやFIREとは異なるため、実行に移す前に、入念なプランニング、資産形成が必要となります。今後のライフプランの選択肢の一つとして、ぜひ本記事を参考に検討されることをおすすめします。

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